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工藤 岳 (KUDO Gaku)


北海道大学地球環境科学研究院
環境生物学部門・陸域生態学分野/准教授  

専門:植物生態学・進化生態学・生物間相互作用  



「わたし」の研究者図鑑インタビュー
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Kudo Labでは

植物の繁殖生態学,季節適応,生活史戦略など進化生態学に関する研究,送粉系を介した植物−動物相互作用の研究,気候変動と生態系の応答など多様な研究を行っています.主な研究フィールドは,高山生態系,冷温帯林,高層湿原など自然生態系を対象としたものが多いですが,実験系を用いた研究も行っています.大学院生やポスドク(日本学術振興会など)の受け入れは随時行っています.関心のある方の研究室訪問を歓迎します.

担当:大学院環境科学院・生物圏科学専攻・植物生態学コース

連絡先) 地球環境科学研究院A棟 A703室

〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
Fax: 011-706-4954 (植物生態グループ共通)Tel: 011-706-2269
E-mail:こちらをクリック



研究の興味と内容

高山植物の生活史戦略と山岳生態系

 低温・多雪・短い生育期間などの厳しい気候環境下にある高山生態系は,生物の環境適応や季節応答を調べるのに大変適した研究場所です.高山植物の分布・成長・フェノロジー(生物季節)・繁殖に影響する主要因は,積雪分布と雪解け時期の違いです.環境傾度に沿った高山植物の生態特性変化パターンの検出と,生育期間の短縮という選択圧に対する適応機構を明らかにすることが研究の目的です.また,気候変動が高山生態系に及ぼす影響についても,様々な視点から研究しています.
 調査は,北海道大雪山系を中心に国内外の様々な山岳地域で行っています.大雪山ヒサゴ沼調査地では,1987年より調査を続けています.

植物の繁殖形質進化と送粉生態学

 固着性の植物は,動物と比べて非常に多様で柔軟な交配システムや性表現を持っています.その背景として,訪花昆虫など第三者に交配プロセスが託されていることが重要です.送粉プロセスを詳しく調べることにより,植物の繁殖戦略や繁殖形質の進化,生理的・形態的性質の多様性に関する多くのことが明らかにできます.私たちのグループでは,野生植物や実験系を利用して,植物の様々な繁殖戦略と交配システムについて研究を進めています.

森林植物の生活史戦略

 雪解け後直ちに開花し,初夏には姿を消してしまう春植物は,冷温帯林に特徴的なグループです.短期間で一年の活動を終えてしまう春植物は,高山植物と似た生活様式を持っています.林内の光環境は初夏から夏にかけて著しく変化していきます.林床植物にとって,光環境の季節変化は光合成活動の制約だけでなく,花粉媒介昆虫を介した生物間相互作用にも大きく関係してきます.林床植物の生活史戦略について,光合成特性,フェノロジー,資源分配様式など幅広い視点から研究しています.また,気候変動が冷温帯生態系にもたらす影響についても取り組んでいます.


履 歴

  • 1962年3月 -------東京生まれ
  • 1985年3月 -------東京農工大学農学部林学科卒業
  • 1987年3月 -------北海道大学大学院環境科学研究科(環境保全学専攻)修士課程修了
  • 1991年9月 -------北海道大学大学院環境科学研究科(環境保全学専攻)博士課程修了
  • 1990-92年3月 ----日本学術振興会特別研究員
  • 1992-93年3月 ----北海道大学低温科学研究所(動物学部門)研究生
  • 1993年4月 -------新技術事業団科学技術特別研究員(森林総合研究所)に在籍
  • 1994年6月 -------北海道大学大学院地球環境科学研究科助手
  • 1996年5-12月 ----スウエ−デン王立アビスコ自然科学研究所,ヨ−テボリ大学客員研究員(学振)
  • 1997年3月 -------日本生態学会宮地賞受賞
  • 2000年4月 -------北海道大学大学院地球環境科学研究科助教授
  • 2001年2-9月 -----カルガリー大学(カナダ)客員研究員(学振)
  • 2005年4月 -------北海道大学地球環境科学研究院准教授(現職)

大学院生の受け入れについて

 植物の繁殖生態学,生活史戦略,送粉系を巡る植物−昆虫相互作用,被食防衛戦略,その他進化生態学に関する研究,ならびに気候変動に対する生態系応答に関心のある,意欲と知的好奇心のある院生を歓迎します.研究スタイルとしては,従来野外でのフィールド研究を主体としたものが多いのですが,実験系での研究も可能です.興味のある方は,研究室訪問をお勧めします(随時可能).



担当した院生の研究テーマ

修士課程 (1996年以降):

  • Pollination system and shoot dynamics in two Salix species, S. miyabeana and S. sachalinensis(エゾノカワヤナギとオノエヤナギのポリネーションシステムとシュート動態):田村早奈英 (1996-1998)

  • 落葉広葉樹林における林床植物群集の開葉フェノロジーと光環境に対する応答:深田健二 (1996-1998)

  • Ecological significance of semi-evergreen leaves in Dryopteris crassirhizoma (Dryopteridaceae)(林床植物オシダの半常緑葉の生態学的意義):谷友和(1997-1999)

  • 高山植物の発芽特性の種間比較と種内変異−雪田植物群落と風衝地植物群落の比較:下野嘉子 (1997-1999)

  • 冷温帯林床植物の開花フェノロジーと繁殖特性:下島晶子 (1998-2000)

  • 異なる光環境下における冷温帯林床植物の繁殖成功と繁殖特性の比較:小菅祥二 (2000-2002)

  • ユリ科アマドコロ属3種(オオアマドコロ・ワニグチソウ・ヒメイズイ)の繁殖特性と物質分配の比較:長谷川智子 (2000-2002)

  • Meta-population structures of alpine-snowbed herbs(高山雪田植物のメタ個体群構造):平尾章 (2000-2002)

  • Ecological significance of floral color change in Weigela middendorffiana (Caprifoliaceae)(スイカズラ科ウコンウツギにおける花色変化の生態学的意義):井田崇 (2001-2003)

  • 根萌芽を行うシウリザクラの個葉特性変異と食害パターン:大沢剛志 (2002-2004)

  • 異なる倍数性、繁殖様式を持つミミコウモリ(キク科)の遺伝変異:立花麻梨 (2003-2005)

  • Effects of inflorescence archtecture and nectar distribution on bumblebee behavior within inflorescence(花序構造と花蜜分布がマルハナバチの花序内訪花行動に及ぼす影響):平林結実 (2003-2005)

  • 冷温帯落葉樹林における林床性草本植物の繁殖コストの評価:堀端聡 (2003-2005)

  • 地球温暖化が高山植物の群集構造に及ぼす影響−環境操作実験による風衝地と雪田の比較:木村光宏(2001-2006)

  • 一回繁殖型高山植物ミヤマリンドウの成長様式:生育期間の変動がもたらす影響:川合由加 (2005-2007)

  • 石狩浜における海浜草本植物の成長.繁殖.資源獲得様式について:稲葉遥子(2006-2008)

  • 土壌温暖化に対する林床植物のフェノロジーと成長応答:石岡亮(2008-2010)

  • Contribution of photosynthetic products to seed production in Gagea lutea (Lilliaceae) (ユリ科植物キバナノアマナにおける光合成産物の種子生産への貢献度について):Sunmonu A.Idowu(2009-2011)

  • 種子生産が春植物エゾエンゴサクの個体群動態に及ぼす影響:平野里佳(2010-2012)

  • Comparisons of foraging patterns of bumblebees (Bombus spp.) between urban and natural forests(都市林と自然林におけるマルハナバチ類の採餌パターンの比較):中村祥子(2010-2012)

  • Responses of shoot growth and distribution of Pinus pumila to climate change(気候変動に対するハイマツのシュート成長と分布域の応答):雨谷教弘(2011-2013)

  • 標高傾度に沿ったチシマザサの光合成特性と生産性:青島佑太(2011-2013)

  • Comparisons of seasonal patterns of floral visits by bees and flies, and fruit-set success in alpine-plant communities (高山植物群落におけるハチ類とハエ類の季節的訪花パターン、ならびに結実成功の比較):水永優紀 (2013-2015)


博士課程

  • Effects of temperature and growing season period on the leaf characteristics and shoot development of plants(温度と生育期間変化が高山植物の個葉特性とシュート生長に及ぼす効果):鈴木静男(1995-1999)

  • Variations in reproductive characteristics and biological interactions between sympatric alpine shrubs, Phyllodoce caerulea and P. aleutica, along snowmelt gradients(同所的高山植物エゾノツガザクラとアオノツガザクラの雪解け傾度に沿った繁殖特性変異と生物間相互作用):笠木哲也(1998-2002)

  • Phenotypic variation in germination characteristics and genetic differentiation of Potentilla matumurae (Rosaceae) between alpine fellfield and snowbed populations(高山草本植物ミヤマキンバイにおける風衝地と雪田個体群間の発芽特性の表現型変異と遺伝的分化):下野嘉子(1999-2003)

  • Growth strategy of tall-herbaceous species to the seasonally-fluctuating light environments under cool-temperate deciduous forests(冷温帯広葉樹林下の季節的光変動に対する高茎草本植物の生長戦略):谷友和 (1999-2004)

  • Landscape genetics of alpine plants: analyses of genetic structure and gene flow mediated by snowmelt gradients(高山植物の景観遺伝学:雪解け傾度に沿った遺伝構造と遺伝子流動の解析):平尾章 (2002-2005)

  • Resource utilization patterns of understory herbs in cool-temperate deciduous forests(冷温帯落葉広葉樹林における林床植物の資源利用様式):井田崇 (2005-2009)

  • Variation in life-history strategy and reproductive performance of alpine plants under heterogeneous snow conditions(異質積雪環境における高山植物の生活史戦略と繁殖特性の変異):川合由加 (2007-2011)

  • Carbon allocation strategies for reproduction and growth in spring ephemeral plants(春植物における繁殖と成長への炭素分配戦略):Sunmonu A. Idowu (2011-2014)

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研究報告 (和文論文・著書・解説・総説など) *原著論文(英文)のリストは 英文ページ にリンクしてください

著 書

  • Kudo G. (2016) Landscape Structure of Flowering Phenology in Alpine Ecosystems: Significance of Plant?Pollinator Interactions and Evolutionary Aspects. In: G. Kudo (ed.) Structure and Function of Mountain Ecosystems in Japan. Springer. (DOI: 10.1007/978-4-431-55954-2, ISSN 2191-0707)

  • 工藤岳(2015)生態学研究における開花フェノロジーの重要性.種生物学会編:「生物時計の生態学〜リズムを刻む生物の世界」.文一出版

  • 工藤岳(2012)大雪山系のツガザクラ属植物.モーリーNo.27, 14-17

  • 工藤岳(2012)花暦の微妙が織りなす生き物の世界.分担執筆:「エコロジー講座5.生物のつながりを見つめよう」.文一総合出版

  • 工藤岳(2010)地球温暖化と生態系:陸域生態系における季節性と生物間相互作用の撹乱.分担執筆:「地球環境科学事典」.弘文堂

  • 工藤岳(2009)植物の繁殖.分担執筆:「植物の百科事典」.朝倉書店

  • 工藤岳(2009)雪田植物:雪解け傾度が作り出す環境変化と生物現象、訪花昆虫と高山植物.増沢武弘 編著:「高山植物学 高山環境と植物の総合科学」.共立出版

  • 工藤岳(2008)登山道の植生調査法:大雪山系黒岳周辺の調査を例として.渡辺悌二編著:「登山道の保全と管理」.古今書院

  • 工藤岳(2008)ランドスケープフェノロジー.植物の季節性を介した生物間相互作用.大串隆之・近藤倫生・仲岡雅裕編:「生態系と群集を結ぶ」.京都大学学術出版会

  • 工藤岳(2007)高山生態系のしくみと地球温暖化の影響.松本忠夫・福田正己 編著:「生物集団と地球環境」.日本放送出版協会

  • Kudo G. (2006) Flowering phonologies of animal-pollinated plants: reproductive strategies and agents of selection. In: Harder L.D. & Barrett S.C.H. eds. "Ecology and Evolution of Flowers". Oxford University Press

  • 工藤岳(2005)積雪分布の違いが作り出す高山植物の分布と生活サイクル.中村太士・小池孝良編著:「森林の科学―森林生態系科学入門―」.朝倉出版

  • 河野昭一・工藤岳(2004)エゾエンゴサク.河野昭一監修:「植物生活史図鑑II.春の植物 No.2」.北大図書刊行会

  • 工藤岳 (2000) 大雪山のお花畑が語ること−高山植物と雪渓の生態学.京都大学学術出版会

  • 工藤岳編著 (2000) 高山植物の自然史−お花畑の生態学.北大図書刊行会

  • 工藤岳 (2000) 植物の有性繁殖様式の多様性:さまざまな有性繁殖様式の中での両性花.種生物学会編:「花生態学の最前線−美しさの進化的背景を探る」.文一総合出版

  • 工藤岳 (1999) パラボラアンテナで熱を集める植物−太陽を追いかけるフクジュソウの花−.大原雅編著:「花の自然史−美しさの進化学」.北大図書刊行会

  • 工藤岳 (1993) 高山植物と高山帯.東正剛・阿部永・辻井達一編:「生態学から見た北海道」.北大図書刊行会

  • 工藤岳 (1992) ウラジロタデ.田中肇編:「フィ−ルドウオッチング8 草原の野草ウオッチング」.北隆館

和文論文・解説・総説・報告書など

  • 工藤岳(2014)気候変動下での山岳生態系のモニタリングの意義とその方向性.地球環境19: 3-11

  • 川合由加・工藤岳(2014)大雪山国立公園における高山植生変化の現状と生物多様性への影響.地球環境19: 23-32

  • 工藤岳・井本哲雄(2012)大雪山国立公園におけるマルハナバチ相のモニタリング調査.保全生態学研究17: 263-269

  • 工藤岳・横須賀邦子 (2012) 高山植物群落の開花フェノロジー構造の場所間変動と年変動:市民ボランティアによる高山生態系長期モニタリング調査.保全生態学研究17: 49-62.

  • 工藤岳(2012)連載 野外研究サイトから(21)大雪山国立公園.日本生態学会誌 62: 301-305.

  • 工藤岳(2010)高山生態系を脅かす地球温暖化.私たちの自然(財団法人日本鳥類保護連盟) 第51巻 (No.561): 2-4.

  • 工藤岳(2010)地道なモニタリングが暴きだすエキサイティングな相互作用:気候変動がもたらすフェノロジカルミスマッチ.(大島賞総説コメント)日本生態学会誌60: 13-14.

  • 星野仏方・工藤岳・米森舞乃・雨谷教弘・金子正美・矢吹哲夫(2010)山岳生態系における植生変動の定量化に関する研究−北海道大雪山系五色ヶ原を例として.酪農学園大学紀要 35:47-53.

  • 工藤岳(2010)生態系分野.陸域.高山.地球温暖化観測推進ワーキンググループ:「地球温暖化観測における連携の促進を目指して−雲・エアロゾル・放射および温暖化影響評価に関する観測−(地球温暖化観測推進ワーキンググループ報告書第2号)」.環境省・気象庁

  • 工藤岳(2008)送粉系生態学のこれまでの経緯と最近の動向.(宮地賞総説コメント)日本生態学会誌58: 168-170.

  • 工藤岳(2008)高山生態系の構造と高山植物の生態特性ー北海道大雪山系を中心にー.らいちょう 7: 3-9. NPO法人ライチョウ保護研究会

  • 工藤岳(2008)地球温暖化と森林生態系:フェノロジーを介した生物間相互作用への影響.森林科学 52: 14-18.

  • 工藤岳(2004)列島探訪.北海道・大雪山.豊かな高山植物を育む雪解け水の響き.National Geographic(日本版)第10巻、第9号.pp.26-29.

  • 工藤岳・佐藤謙(2004)「平成15年度大雪山国立公園における登山道の管理水準検討調査」モデル路線上の植生調査報告書.環境省委託調査

  • 和田直也・中井裕美・工藤岳(2003)立山におけるチョウノスケソウの個葉特性−中緯度高山帯と寒帯・亜寒帯ツンドラとの比較−.植物地理・分類研究 51: 49-57.

  • 工藤岳(2002)大雪山で研究するということ:その意義と現状.ひがし大雪だより 39: 1-4.

  • 工藤岳 (1999) 総説:個葉特性変異と環境傾度−ツンドラ植物を中心に.日本生態学会誌 49: 21-35.

  • 工藤岳 (1997) 雪解け傾度が作りだす高山生態系の多様性−植物と訪花昆虫の相互作用を例として−.北方林業 49: 131-135.

  • 工藤岳・露崎史郎・佐藤利幸・甲山隆司(1997)遠音別岳北西斜面における林床植生の種多様性の垂直変化.遠音別岳原生自然環境保全地域調査報告書.p.47-59. 環境庁自然保護局,日本自然保護協会

  • 甲山隆司・工藤岳・西村貴司(1997)遠音別岳原生自然環境保全地域の植生系調査の概要と気象環境特性.遠音別岳原生自然環境保全地域調査報告書.p.13-27. 環境庁自然保護局,日本自然保護協会

  • 佐藤利幸・工藤岳・露崎史郎・甲山隆司(1997)シダ植物相と空間配置からみる遠音別岳周辺の地域特性-スケーリング解析による分布要素と多様性.遠音別岳原生自然環境保全地域調査報告書.p.61-78. 環境庁自然保護局,日本自然保護協会

  • 鈴木静男・工藤岳(1997)遠音別岳高山帯と亜高山帯アカエゾマツ林床におけるイソツツジ・コケモモの個葉特性と枝伸長量の比較.遠音別岳原生自然環境保全地域調査報告書.p.79-87. 環境庁自然保護局,日本自然保護協会

  • 佐藤謙・工藤岳・植村滋 (1993) 定山渓漁入ハイデの風穴植生.日本生態学会誌 43: 91-98.

  • 工藤岳( 1991) ウラジロタデの生態的変異について(第2報)生活史特性の比較.日本生態学会誌 41: 25-30.

  • 工藤岳・児玉祐二 (1990) 大雪山土壌温度の通年変化.低温科学(資料編)49: 15-32.

  • 工藤岳 (1989) ウラジロタデの生態的変異について.日本生態学会誌 39: 37-44.

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