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(2024年5月11日更新) [ 日本語 | English ]

ツバキ科 (Theaceae D. Don), camellia






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[エングラー体系 (Engler's syllabus)]
1. 葯は底着で長い。漿果か閉果 ___ Subfam Thernstroemioideae モッコク

2. 萼片と花弁は互生。花は葉腋から1-4個出る。冬芽は裸

3. 花は単性で雌雄異株。葉に鋸歯。葯は無毛 ___ Eurya Thunb. ヒサカキ (E. japonica Thunb. ヒサカキ)
3. 花は両性。葯は有毛

4. 花柱は分裂しない。葉有毛、低い鋸歯。花弁は萼片より少し長い ___ Adinandra Jack ナガエサカキ (A. ryukyuensis Masamune リュウキュウナガエサカキ, A. yaeyamensis Ohwi ケナガエサカキ)
4. 花柱は2-3裂。葉無毛、全縁。花弁は萼片より3倍長い ___ Cleyera Thunb. サカキ (C. japonica Thunb. サカキ)

2. 萼片と花弁は対生。花は葉腋から1個である。葉全縁。葯無毛。冬芽は鱗片で包まれる ___ Ternstroemia Mutis ex L. f. モッコク (APG: Fam Pentaphylacaceae モッコク) (T. gymnanthera (Wight et Arn.) Sprague モッコク)

1. 葯は丁子状に着き広卵形。胞背裂開する蒴果(時に核果) ___ Subfam Theoideae

2. 葉落葉。蒴果に軸ない。種子に翼 ___ Stewartia L. ナツツバキ (S. monadelpha Sieb. et Zucc. ヒメシャラ)
2. 葉常緑。蒴果に軸ある

3. 種子に翼ある ___ Schima Reinw. ex Blume ヒメツバキ (S. wallichii (DC.) Korth. ヒメツバキ), - ssp. noronhae (Reinw. ex Blume) Bloemb. イジュ)
3. 種子に翼ない

4. 蒴果の裂片は宿存する。種子は円い ___ Camellia L. ツバキ
4. 蒴果の裂片は落ちる。種子は扁平 ___ Tutcheria Dunn ヒサカキサザンカ (T. virgata (Koidz.) Nakai ヒサカキサザンカ)

ツバキ (Camellia L.)


1. 花柄殆どなく頂生か腋生、1-2(3)個つく。冬芽は鱗片に包まれる。小苞から萼片へ次第に変わる

2. 花 ≥ 3 cm Φ。葉身 ≥ 3.5 cm l。果実に普通2-3個の種子

3. 子房無毛。花糸中程まで合生し筒状。枝無毛。(若葉の毛落ちた後)葉裏に黒点。春開花

4. 幹直立、普通樹高5-6 m、葉柄無毛。花筒状、花弁幅広。雄蕊の筒白色 ___ C. japonica L. (ヤブ)ツバキ
4. 幹横に開出することあり1-2 m h。葉柄若い時は縁に毛。花はより開いて咲き、花弁はより狭い。雄蕊筒黄色 ___ ユキツバキ

3. 子房密毛。花糸基部で合生し、より上は離生。枝葉中肋に毛多い。葉裏黒点なし。開花晩秋-初冬、花弁全開。花白色(野生種)

4. 葉身3.5-5 cm l、楕円形で表面光沢、裏面は普通平滑。(九州-中国地方) ___ C. sasanqua Thunb. ex Murray サザンカ

4. 葉身4.5-7 cm l。楕円形-長楕円形、表面光沢なく、裏面小さい疣状凸起密布。質より厚い。(奄美大島-台湾-中国南部) ___ オキナワサザンカ

2. 花 ≤ 2.5-3.5 cm Φ。葉身 = 2.5-3.5 cm l。果実は径1.2 cm、1個の種子 (沖縄) ___ C. lutchuensis T. Ito ex Matsumura ヒメサザンカ

1. 花柄あり腋生で1-3、時に集散花序につく。小苞早く落ち、萼片5-6、宿存する。葉長楕円状披針形でより薄い。冬芽は裸 ___ C. sinensis (L.) Kuntze チャ
園芸(移入)
C. cuspidata Wright (トガリバサザンカ): 原種, インド-東南アジア
C. fraterna Hance (シラハトツバキ)
C. sinensis (L.) O. Kuntze (チャ)

f. macrophylla (Sieb. ex Miq.) Kitamura (トウチャ)
f. rosea (Makino) Kitamura (ベニバナチャ)

C. salicifolia Champ. ex Benth (ヤナギバサザンカ)
C. × hiemalis Nakai (カンツバキ): ツバキ × サザンカ

幹: 矮性 dwarf ↔ C. sasanqua = 直立性 straight
異名: C. sasanqua Thunb. cv. Shishigashira, C. sasanqua Thunb. var. fujikoana Makino

ST ST
    2014年1月21日 日本大学藤沢キャンパス
C. × vernalis (Makino) Makino (ハルサザンカ)

品種 varieties

原種 foundation stocks

分布: 約200種 アジア東南部温帯-熱帯

中国南部-ベトナム北部に自生種多

日本: 分布圏最北端(3種1亜種1変種自生)

現分布北限 = 青森県夏泊半島ヤブツバキ自生地

園芸利用原種は必ずしも多くはない → 代表的種

日本産: ヤブツバキ(C. japonica), ユキツバキ(C. rusticana), サザンカ(C. sasanqa)
中国雲南省産: トウツバキ(C. reticulata)

他に近年育種材料としてツバキ属中一番強い芳香を放つ沖縄のヒメサザンカ(C. lutchuensis)や、多くの優良形質を持つ中国のサルウィンツバキ(C. saluensis Stapf ex Bean)、黄花のキンカチャ(C. chrysantha)等が注目される
【主な原種】
ヤブツバキ (C. japonica)
花: 紅色、花弁5-6枚、一重筒咲き
分布(自生): 青森以南)・四国・九州-朝鮮半島南端

+ 朝鮮半島西南の海岸、四川省(峨眉山)、山東省、江西省等

ホウザンツバキ (C. japonica var. hozanensis)
分布: 台湾中部-沖縄諸島 (ヤブツバキ変種)
ユキツバキ (C. rusticana)
花: 赤、一重咲き、雄蕊散開
分布: 日本海側山地(滋賀北部-秋田)多雪地帯

ヤブツバキ亜種(ssp. ustinata)とする見解
∵ ヤブツバキと分布重複地域で交雑品種多

自生ユキツバキ分布規定要因 = 積雪量

1月降水量 ≥ 200 mm
最深積雪 ≥ 150 cm、根雪期間 90-200日

積雪下越冬 - 雪上は冷害で越冬不可
局所的に積雪少ない所には分布しない
多雪地でも(芽活動始まる)5月20日以後に霜がある地域には分布しない

キンカチャ (C. chrysantha)
花: 光沢ある純黄色
原産: 広西チワン族自治区ベトナム国境付近低地
1965 新種とし発表 ∴ 本属黄色花初発見

ヤブツバキやトウツバキとの種間交雑容易 - 新花色育種素材とし注目

トウツバキ (C. reticulata)
花: 桃色の一重杯咲き
分布: 雲南省騰中を中心としたサルウィン川流域

f. simplex Sealy (ヤマトウツバキ)
ヤブツバキと共に園芸重要種で園芸品種多
ツバキ節、サザンカ節との種間雑種も育成

ST ST
cv. Curtain Call (2024年3月17日、百合が原公園温室)
その他の原種
テルミナリス、ナンシユチャ、トリコクラダ、ピングツオエンシス、トガリバヒメツバキ
C. brevistyla Cohen Stuart シマサザンカ (原種): 台湾
C. lutchuensis T. Ito ex Matsumura ヒメサザンカ (原種): 沖縄
C. nokoensis ウスバヒメツバキ (原種): 台湾
C. oleosa (Lour.) Rehder (syn. C. oleifera Abel) ユチャ(原種): 中国長江以南-ラオス・ベトナム
C. reticulata Lindl. f. simplex Sealy ヤマトウツバキ
C. vernalis cv. Yuletide ハルサザンカ(ユーレタイド) (原種)
map
ツバキ類の分布
: ヤブツバキ
: ユキツバキ
: サザンカ
: リンゴツバキ
: ヒメサザンカ

ヤブツバキ系 (Ja)

ヤブツバキ(C. japonica)から生まれた品種群 → ツバキ品種の7割を占める

ユキツバキとの推定交雑種 → ユキバタツバキ

特徴
  • 原種の花は紅色で、花弁数5-6枚の一重咲きだが、花色・花形・葉形等変化多く、様々な個体変異がある
  • 開花期: 1-4月頃で、早いものは10月から(新潟でもそうだった)
ST1 ST2 ST3
八重咲品種 (a double-flowered cultivar). [1] 2010年4月7日. [2/3] 2010年4月9日, 東京のどこかの大学キャンパスにて実玲撮影
黄花のツバキ (箱田 2006)
ツバキは園芸植物として日本で500年以上の歴史があり、海外でもツバキブームを経て多くの園芸品種が誕生した。しかし、紅→桃→白色の変化の中で変異はあるが、黄色の品種は登場しなかった。
原種では1800年代後半にベトナムで初めて黄花種が発見されてから約50種の自生種が報告されている。1965年に中国・南寧市近郊から報告されたキンカチャ(金花茶)が、1979年頃に日本に導入されて以降は、キンカチャを片親とした黄花品種がいくつも作出されている。園芸品種の黄花ツバキは、全体がクリーム色になる程度であり「黄」の発色までにはいたっていない。
青花のツバキ
青い珊瑚礁 (Aoisangosho) 香港島の山地に自生するホンコンツバキ(C. hongkongensis)に青色の色素であるデルフィニジンを含むことが確認されており、青花ツバキ作出の交配親として注目されている。
'青い珊瑚礁'は1995年に鹿児島県種子島の藪ツバキから発見された。花色は不安定で紅色-紫色を呈するが、青の発色が良い場合は青紫になる。

相賀徹夫. 1989. 園芸植物大辞典
日本つばき協会. 1972. 現代椿集

Ja系品種
玉之浦、参平椿、白卜伴、隠れ磯、酒中花、弁天神楽

ワビスケ系 (Wa)

日本で古くから栽培されてきた雄蕊退化した品種の総称
起源は、ツバキとチャ(C. sinensis)の雑種、ツバキとサルウィンツバキ(C. saluenensis)との雑種、あるいはヤブツバキの突然変異等、諸説ある。
日本で古くから栽培されてきたウラクツバキ(cv. 太郎冠者)とその実生やその後代という2つの系統が存在することまで判明している。
京都に江戸開幕以前からの古木が残り、古くから茶花として愛されて来た。
特徴
  • 大部分は極小輪で、中には比較的大きいものもある。
  • 花色は、白、桃、紅、絞り等変化に富む。開花期は2-3月。
Wa系品種
太郎冠者、伊予侘芯、姫侘助、胡蝶侘助、雛侘助
C. wabisuke (Makino) Kitam.

var. campanulata (Makino) Kitam. (ベニワビスケ)

f. bicolor (Makino) Kitam. (ワビスケ)

var. wabisuke (シロワビスケ, 白侘助)

参考文献
  • 箱田直紀(監). 2003. 東京農工大学のサザンカ. 東京農工大学農学部
  • Ta C-H & Bartholomew B. 1984. Camellias. Timber Press, Portland. 211 pp.
  • 桐野秋豊・太田克典. 1989. ツバキとサザンカ. 主婦と生活社, 東京. 131 pp.
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