1998.5.15. 担当:清野達之

Vegetative Architecture of Elaeocarpus hookerianus. Transition from Juvenile to Adult

Day JS, Gould KS, Jameson PE. 1997 Annals of Botany 79: 617-624.


はじめに
Elaeocarpus hookerianus(ホルトノキ科ホルトノキ属)の成長にとも なう分枝・樹形の変化の意義の解明.
E. hookerianus:短枝・長枝的なシュート成長,すべての枝の節間長に時 間的空間的な周期がある.
・樹形の変化:二叉型の樹形(幼稚樹)→逆竹箒型樹形(成木)
・樹形の変化:サイズのよる光獲得体勢の違いを反映,そのための形態変化.
・この樹形変化の光獲得の効率性を考慮した機能的な面とその意義を解明.

材料と方法
材料
E. hookerianus 24個体,樹高 1 mから 9 m の範囲の個体を選定.
分枝形態の解析
・枝;枝の長さ,枝の角度,垂直高ごとの枝数の頻度を測定.
・個体;水平的な樹冠の広がりと樹冠深度を測定.
分枝のトポロジー
・分枝の程度や状態をトポロジーの概念から解析.樹形の相称性を解析.
葉の特性
・葉の形態を各サイズごとに記載;写真と各個葉の長さと幅,断面を記録.
・葉組織の断面からの解析;葉の厚さ,上層部組織での細胞の高さと幅を測定.

結果
葉の形態(図1,図2,表1)
・個体のサイズと枝の垂直高で変化.
・サイズ;小さく細長く,若干切れ込みの入った葉(幼稚樹)から大きな楕円形の葉へ変化(成木).
・垂直高;垂直高の増加とともに長く,幅広い葉へ変化.
・機能面;厚く,多層からなる葉組織になっていく.
葉の解剖(図3)
・柵状組織と海綿状組織の層の構成が変化;陰葉型から陽葉型に変化.
・暗い環境下で生育した個体の個葉;各サイズで陰葉型になる.
枝成長の特性(図4,図5,図6,図7,表2)
・サイズ変化による枝成長の変化(図4,図5;まとめたものが図6,図7).
・短枝からなるジグザク型の樹形から,あまり分枝をしない逆竹箒型の樹形に変化.
・シュート成長の様式や分枝特性がサイズによって変化している.
・サイズによって変わりうる成長の項目と可変的な成長の項目がある(表2).

まとめ
E. hookerianusの形態的な変化,幼稚樹期,稚樹期,成木期の3段階を確認
・形態の変化;
・幼稚樹期:二叉の樹形で陰葉型.
短枝・長枝の組み合わせによる高さ成長と横成長の可塑性.
葉の生理的な特性;単層からなる陰葉型.
→林床のような限られた資源下ではエネルギー効率がよろしい.
.稚樹期:幼稚樹期と成木期の過渡期.
サイズの増加につれて高さ成長重視への切替.
葉の形態特性;裂状→一枚の葉で複数の役割.
・成木期:林冠を構成.
幼稚樹や稚樹よりも低いエネルギー効率.
葉の配置・形態を変化させ,樹冠内での自己被陰を低下.
葉の生理特性;陽葉型→林冠部での乾燥(照り)に適応.
E. hookerianusの個体発生による形態や葉の生理特性の変化
→枝やシュート成長,葉の生理特性をサイズによって変化させ,光獲得効率の最大化.

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