地域生態系学講座セミナー 2003.06.09 (月) 13:00

研究計画セミナー
植物が食害を受けた際の補償作用に関する研究

堀端聡 horibata@ees.hokudai.ac.jp

 植物の被食に対する戦略として大きく三つのことが言われている。一つは、防御物質を合成したり、葉の表面に刺などを作って被食に対抗する防御(defense)。もう一つは、植食者と生育期間や、生育場所をずらし被食から逃れる回避(escape)である。これら二つは、被食される前の対策と考えることができる。そして、三つめは、被食された後の対策で、補償作用(compensation)と呼ばれるものである。これは、食害を受けた植物が、自身の成長や繁殖器官などを補い適応度を上げるための作用である。

 本研究では、三つめの補償作用に主に焦点を当て、まず春植物であるフクジュソウ (Adonis ramosa) とエンレイソウ(Trillium apetalon)を材料に切葉処理と摘花処理を食害と見立て実験を行う。

 春植物は、雪解け後すぐに地上部を出し、林冠が閉じるまでのわずかな期間で成長、繁殖を行い、林冠が閉じはじめる頃には枯れ、地上部を失う。このような生活史をもつ春植物が、食害を受けた際どのような補償作用を示すのか、また翌年の種子生産など繁殖にどう影響するのかを知ることが本研究の目的である。また、フクジュソウ(Adonis ramosa) やエンレイソウ(Trillium apetalon)は、その果実が緑色なことから光合成を行っていると考えられ、被陰処理を行うことで、種子生産にどの程度影響するのかを見る。さらに、葉に防御物質であるタンニン、フェノールが含まれるかどうかも調べる。

 実験は、初夏に開花期を迎えるものについても行う予定である。


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