地域生態系学講座セミナー 2003.06.30 (月) 13:00

研究計画セミナー
雪解け傾度に沿った植物集団内の遺伝構造の変化

平尾 章 hirao@ees.hokudai.ac.jp

 高山の多雪環境に生育する植物では,雪解け時期の異相によってフェノロジーや生育期間などの生活史が異なる植物集団が存在する.雪解けが早い場所では十分な生育期間が確保されるが、開花期における訪花昆虫の活性が低いため他花受粉効率は低いと考えられる.一方、雪解けの遅い場所では生育期間は短縮されるが、豊富な訪花昆虫による多花受粉の促進が期待される.もし雪解け傾度に沿って栄養 (クローン)生長の大きさと有効な種子生産量のバランスが推移すれば、集団内の遺伝構造にどう違いが生じるだろうか?

 本研究では,SSRおよびアロザイムを分子マーカーとして,栄養生長をおこなう木本植物を対象に次の現象の検出を試みる.

  1. フェノロジーの推移に伴った種子生産の質・量的変化
  2. 生育期間の違いによる集団内のクローン構造の変化
  3. 雪解け傾度に沿った集団内の遺伝構造の変化
  4. 集団全体の遺伝的多様性におけるシンク・ソース構造

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