地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2006.05.09 (火) 10:30

ワタスゲ・ホロムイスゲが形成する谷地坊主の定着促進効果 (facilitation)

小山明日香

 生物間相互作用は、種の分布や種多様性に影響するため、群集構造を規定する要因として重要である.これまで、生物間相互作用では、負の作用である競争(competition)が注目されてきたが、近年、撹乱ストレスの高い生態系において、正の作用である定着促進効果(facilitation)の重要性が認識されつつある.

 ミズゴケが発達する高層湿原では、土壌改良剤や燃料を目的とした泥炭採掘が北半球の広い地域で行われてきた.泥炭採掘跡地では、地上部・地下部ともに植生がほぼ完全に除去されるため、採掘跡地は高い物理・化学的ストレスにさらされる.そのような厳しい環境である泥炭採掘跡地においては、遷移様式を決定する生物間相互作用は、競争よりもむしろfacilitationである可能性が高い.実際に、泥炭採掘跡地において、谷地坊主のfacilitationの存在が報告されている.

 本研究は、谷地坊主の発達が撹乱後の植生遷移に与える影響を明らかにするために、同所的に生育する谷地坊主形成種2種を対象として、facilitation効果の比較及びその機構を検証することを目的とする.

今回のセミナーでは、近年のfacilitationに関する研究を背景に、谷地坊主が他種に与える影響とその機構についてレヴューを行う.

以下、紹介論文(予定):


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