地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2006.06.06 (火) 10:30

Tree architecture diversity in tropical rain forest

矢澤佳子

光は定着、生存、生長といった樹木のperformanceと密接に関連している。樹木は光を樹冠で受け取るため、より多くの光を獲得できるようにその樹冠形を可塑的に変化させる。この樹冠形の特徴は樹木の光獲得戦略として捉えることができる。

多くの樹木が共存している熱帯林では種特異的な樹冠形を見ることができる。このような森林では種の共存を促進するために光獲得のニッチの分化があると考えられる。光獲得と密接に関連している樹冠形は、森林動態の重要な構成要素であり、森林動態を把握するには主要構成種の樹冠形を考慮する必要がある。

樹冠形を表し、解析するためにアロメトリーがよく用いられている。熱帯林では、crown dimensions(胸高直径、樹高、樹冠長、樹冠面積)の間でのアロメトリー関係が調べられ、樹種によってそのアロメトリー関係に差異があることが分かっている(King 1990, Kohyama et al. 2003)。光獲得における種特異的な樹冠形の特徴は、森林動態を理解するために重要な要素である。しかし、不均一な光環境に対応して可塑的に変化する樹冠形の特徴を把握することは難しく、樹冠形の特徴が樹種ごとにどのように異なっているかは十分に分かっていない。

樹木はその光環境に対応してより多くの光を獲得するように樹冠を偏らせる。この根元からの樹冠のずれは樹冠ベクトルを用いて定量的に把握することが出来る (Takiguchi 1983, Umeki 1995)。この樹冠ベクトルを用いれば、注目する個体の樹冠形の水平的な偏りを把握することができる。

本研究では、光獲得のために種特異的であると考えられる樹冠形の特徴を明らかにし、その特徴が各樹種の他の特徴とどのように関連しているかを明らかにすることを目的とする。そのために、パソ森林保護区の主要構成種に対して、樹冠形のアロメトリー関係を種間または共通する種のグループで比較する。

参考文献
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