地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2006-11-24 (金) 10:30

亜高山帯針葉樹林におけるアカエゾマツ個体群の直径成長量の時空間的変化

北村知洋

森林を構成する樹木の成長挙動には様々な特性が見られる。それは、地域や種などで固有なものがある。一方、比較的狭い範囲に生存する同種の個体同士であれば、一様な成長挙動を示すかというと、そうではない。例えば同じようなサイズや樹齢であっても、成長挙動には大きなばらつきがある。サイズや樹齢が異なれば、なおさらである。

森林動態の詳細な再現や予測のためには、このような、樹木の個体レベルでの成長挙動の把握が、今後はより重要になると考えられる。

樹木の成長を簡単に測定できるものが、直径成長である。樹木の直径成長は、樹木自体の遺伝的、生理的な内的要因や、その樹木が生育している場所の気象条件、個体間競争、生虫害、地形条件などの外的要因や環境要因の影響を受けている。そして、過去からの直径成長を刻んだものが、樹木幹部の年輪である。樹木の年輪幅を解析することで、その樹木が年輪の形で保持している過去からの直径成長の履歴を調べることができる。

樹木の年輪は、Sibtec Scientific社製Digital Microprobeを用いて測定することができる。Digital Microprobe は、直径1mm の金属性のプルーブ(探索針)をドリル状に回転させながら樹木の幹部に突き刺し、非破壊的に年輪を測定することができる装置である。

そこで本研究では、北海道東部に位置する阿寒湖畔の雄阿寒岳(標高1,371m)の亜高山帯針葉樹内に設置した、1haプロット(標高528m)内に生存する、DBHが 20cm以上(最大98.5cm)のアカエゾマツ、59個体を対象に、それらの年輪を測定した。そして、年輪の測定結果から得られた過去の成長履歴の内、最近40年分を直径成長量として用いて、現存するアカエゾマツが、どのような成長挙動を示しながら現在に至っているかを、時間的、空間的に解析することとした。


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