地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2006-11-28 (火) 10:30

泥炭採掘跡地における植物定着に対する谷地坊主の効果

小山明日香

植生遷移において、生物間相互作用は種の分布や種多様性に影響するため、群集構造を規定する要因として重要である.特に、撹乱ストレスの高い生態系では正の作用である促進(facilitation)効果の重要性が認識されている.

一方、北半球の広い地域で、ミズゴケが発達する高層湿原において泥炭採掘が行われてきた.泥炭採掘跡地では、地上部・地下部ともに植生がほぼ完全に除去されるため、採掘跡地は高い物理・化学的ストレスにさらされる.そのような厳しい環境である泥炭採掘跡地において、谷地坊主が他種の定着を促進する facilitation効果の存在が報告されている. そこで、本研究では北海道サロベツ湿原の泥炭採掘跡地において、谷地坊主の発達が撹乱後の植生遷移に与える影響を明らかにするために、同所的に生育する谷地坊主形成2種及びその周囲に定着する植物個体を対象としてfacilitation 効果の比較を行うことを目的とした.

方法として、1972年採掘跡地内で谷地坊主が発達しているが低被度である3植生域に、調査ラインを設置し、調査ライン内の谷地坊主及び植物個体の追跡調査を行った.また、谷地坊主とその周囲にシードトラップを設置して、種子散布動態を調べた.それらの結果より、植物個体の種子供給・発芽・成長及び生存の各定着段階における谷地坊主の影響を明らかにするとともに、その影響に対する応答を植物種ごとに比較していく.


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