地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2006-12-05 (火) 10:30

標高勾配に沿ったミネヤナギパッチの定着促進効果の変化

松田深雪

火山の噴火後など、撹乱後の遷移初期のような過酷な環境において多種の共存を可能にする植物間相互作用の一つに定着促進(facilitation)がある。定着促進効果の強さには環境ストレスの強度が影響しているといわれており、特に、ストレスの低下に伴ってその効果が弱くなると考えられている。そこで、本研究では火山における標高勾配をストレスの指標として選び調査を行った。

1929年に噴火した渡島駒ケ岳において、落葉性低木のミネヤナギのパッチが高標高域において定着促進効果をもたらすことは既に明らかにされている。本研究では、ミネヤナギの促進効果が標高勾配に沿って(1)出現種組成、(2)出現種の生存や成長、開花に対して変化があるのかを明らかにすることを主な目的とした。

渡島駒ケ岳南西斜面の上・中・下部にそれぞれ20のパッチと20の裸地を選び、概ね1m2の調査区を設置し、定着個体の侵入・成長・死亡を追跡した。2006年秋には全出現個体の地上部を刈り取り、乾重を測定した。また、各標高でウェザーステーションにより、PAR、地表面温度、風速を測定した。2005年には、土壌中の pH、含水率、全窒素、可給態リンを測定した。

観測した気象データより、ミネヤナギパッチにストレス緩衝作用が認められた。また、優占種4種は全てミネヤナギパッチで定着が促進されていた。ただし、その標高間での定着促進効果は種によって異なっていた。このような違いが生じる要因として、土壌化学要因は標高間で差がみられなかったため、標高間で変化する物理的要因が主に影響していると考えられる。


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