地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2007-01-23 (火) 10:30

開拓跡地における森林の復元機構と再生手法の検討

庄山紀久子

復元とは生態的機能の低下した特定の場所を意図的に変えるプロセスであり、目標設定とその手法は放置、修復を含めていくつかの選択肢があり決定する必要がある。しかし人為的な影響を受けた植生の回復過程において侵入稚樹の動態・成長様式など不明な点が多く、そのため管理手法の決定は実験的プロセスとなり、意思決定が促進されないという問題点がある。

 本研究では冷温帯針広混交林分布域において開拓跡地の植生の変遷を明らかにし、さらに復元サイトにおける樹木成長・動態の解析と処理効果の検証を行った。植生変遷図を基に推移行列モデルを用いた解析を行った結果、開拓期に著しく減少した森林植生の回復は放棄期と植林期では大きな違いはみられず植林はササ地の減少に寄与していた。また群落調査の結果から開拓跡地の植生は8群落に分類され、各群落の出現種数・多様度指数はいずれも低い値であるが類似度、序列化スコアではカラマツ植林地の種組成は残存する針広混交林の種組成に近づいていることが示された。

 さらにカラマツ植林地において在来樹種への転換を目的とした林冠疎開+防鹿柵処理効果について検証した。防鹿柵は広葉樹稚樹の個体数増加と樹高成長、林冠疎開は成木段階への新規加入とトドマツ稚樹の樹高成長に効果がみられた。防鹿柵+林冠疎開処理では稚樹樹高成長に対する効果は顕著ではなく、処理に対する稚樹の反応はトドマツと広葉樹で異なっていた。このことから種、サイズ構成に応じた処理について考察したい。


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