地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2007-02-13 (火) 10:30

開所に生育する落葉広葉樹の樹冠上部における当年枝特性の樹高依存性

宮田理恵

樹木の当年枝は新たに葉と枝をつくる器官であり、個体の成長や維持に大きく関わっている。樹冠には、さまざまな長さや太さをもつ当年枝が含まれる。長い当年枝は短い当年枝よりも葉重量/枝重量が小さい傾向にある。この傾向は、長い当年枝と短い当年枝の機能的な違いの結果であり、長枝は新たな空間獲得、短枝は葉面積展開という異なる役割を果たしている。さらに、当年枝を一単位と考えると、樹冠は当年枝全体の集団(シュート集団)として捉えることができる。シュート集団は樹木の生育段階によってサイズ分布を変えることが知られている。例えば、樹高の小さな個体では多くの長い当年枝をもち、このことは樹冠構築や高さ成長に寄与している。一方、大きな個体では短い枝に偏ったシュート集団をもち、このサイズ分布は高さ成長に伴い増大した非同化部を維持するために重要であると言われている。これらのことから、大きな個体の当年枝では、非同化部への重量分配を減らす一方、葉への分配を増やすと考えられる。従って、明るい環境下であっても、当年枝の構造は樹木の高さに伴って変化することが予想される。そこで、亜高木・高木種の稚樹から林冠木までを対象にし、当年枝の特性にどのような樹高依存性が見られるのかを明らかにするために、以下の調査と解析を行った。

2006年7〜8月に苫小牧研究林の冷温帯広葉樹林において、被陰されていない明るい環境下に成育する13 樹種の個体の樹高とそれらの樹冠上部から採取した当年枝の葉面積、葉乾燥重量、乾燥重量の測定を行った。

当年枝特性の種間共通部分、種差、個体差、ならびに測定誤差を考慮するために、階層ベイズモデルを用いて、当年枝の中での(1)葉と枝への重量分配比、(2) 単位面積あたりの葉重量(SLA)の関係に、樹高依存性が見られるかを解析した。その結果、(1)樹高の増大とともに葉重量への分配が増大 / 減少 / 変化しない種が混在していることがわかった。また、(2)SLAは樹高増大に伴って減少し、その傾向に種間差はなかった。


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