地球環境科学研究科 植物生態学セミナー 2007-02-21 () 10:30

Variation in Seedling Architecture with Microhabitat Conditions

田辺沙知

森林に共存する植物種の間では多様な構造パターンが見られる。稚樹のシュート構造は樹冠をある高さで横に広げるタイプとさらに樹高を増大して光を獲得するタイプがあると考えられている。地上部では光獲得、樹高成長を最大化するのに対して地下部は一般的に物理的な支持に加え養分や水分吸収の機能があるとされているが、実際の実生の根系構造などについてはそれほど明らかになっていない。屋久島では同じ森林内で耐陰性のある樹種によって側根型と主根型の根系構造を持ち、種子サイズとの相関があると報告されている。本研究では、異なった生育場所でも同じような傾向が見られるかどうか、地上部の形態と対応して地下部も同じような構造パターンをとるのか、また耐陰性の低い樹種の実生構造でも似た傾向が見られるか、といった設問を考慮する。これによって地下部を含めた樹種による実生の構造特性、および定着場所との関係性を明らかにすることを目的とする。

2006年7月末〜8月下旬の間に苫小牧研究林にて調査を行い、林道脇および林内に生育する落葉広葉樹12種において各個体の実生を掘り取った。同様にして10月末に屋久島の湯泊林道・大川林道で林道脇に生育する6種の実生の掘り取りを行なった。また、それぞれの地上部・地下部の高さ・深さ、投影面積、枝基部直径、葉面積、枝、葉、根の乾重量測定を行なった。

地下部を含めた実生特性の全種共通部分、樹種差を考慮し、階層ベイスモデルを用いた解析を行なった。地上部・地下部の重量分配比の総重量依存性、ならびに地上部での葉と枝(同化部・非同化部)への重量分配比の関係について調べた。その結果、平均的な個体サイズではより地上部へ分配をするものの、個体サイズが増すに従ってより地下部への分配が増大する傾向が見られた。また、地上部のサイズによる葉への分配の変化は見られなかったが、いずれの重量分配比の関係では樹種ごとの傾向が得られた。

今回は苫小牧データから得た結果の一部について発表いたします。


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