地球環境科学研究科 植物生態学セミナー   2009-11-30 (Mon) 10:30
(場所: 工学部 N304 )

泥炭採掘跡地における侵入段階の異なる植物2種の光応答の違い

平田亜弓

北海道サロベツ湿原では、1970-2003年にかけて泥炭採掘が行われてきた。泥炭採掘により地上部植生は完全になくなる。そのため、遷移初期の実生は、直射日光と、それによる土壌表面の乾燥により強いストレスを受ける。その様な環境の泥炭採掘跡地における初期侵入種として、ミカヅキグサ(Rhynchospora alba)とヌマガヤ(Moliniopsis japonica)がある。2種は、ミカヅキグサが侵入した後、ヌマガヤが侵入する。

さらに近年、特に高緯度地域においてオゾン層の減少に伴う紫外線照射量の増加が報告されている。気象庁によると、札幌でも同様の傾向が観測されている。そこで本研究では、特に紫外線に着目し、侵入段階の異なる上記2種の光応答を明らかにしようとした。

1982年泥炭採掘跡地において、ミカヅキグサ、ヌマガヤの移植実生に対し、遮光する波長・遮光率の異なる4種類のフィルターを用いて処理区を設けた。2009年には、遮光処理に加えて、地表面乾燥の影響を評価するため、地表面を5cm掘って水位を上昇させた処理区を設けた。また、8月中旬から末には、両年とも刈り取りを行い、乾燥重量、紫外線吸収率の測定、クロロフィルa,b濃度の測定などを行った。

今回の実験では、2種ともに紫外線に対して生理的な反応は必要としていなかった。また2種間で紫外線吸収率、クロロフィル濃度を比較すると違いが見られ、それは2種の侵入段階の違いを説明すると考えている。


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