地球環境科学研究科 植物生態学セミナー   2009-12-14 (Mon) 10:30
(場所: 工学部 N304 )

有珠山の植生回復と土壌の性質
−地熱・火山ガス調査を交えて−

川久保恵理

 火山ではその噴火攪乱頻度により、植生回復や土壌生成のプロセス及びメカニズムが異なる。火山の噴火は、植生の消滅や降下堆積物による土壌環境の改変を引き起こす。また、噴火後放出する火山ガスが植生回復へ負の影響を与えることが報告されている(亀谷 2009)。

 本調査地である有珠山は、1663年の噴火以降数十年ごとに噴火が起こっており、現在でも活動がみられる。近年の噴火による有珠山上部の植生消滅は噴石の直撃や降下堆積物、地熱活動での枯死が原因であるが、その後年月を経て植生回復に伴う土壌生成の進捗が報告されている(Riviere 1982, 1986; Ito and Haruki 1984)。しかし、噴気孔の有無により植生の回復が異なる。例として、噴気孔の無い小有珠の南側斜面では、土壌生成や植生の回復が進み、ドロヤナギ(ドロノキ)やシラカンバを含む森林が形成されつつある。一方、活発な火山活動がみられるI火口周辺では,少数の草本が点在している程度に留まっている。このことから、火山噴出物堆積地の噴気孔の存在による高い土壌温度や火山ガスが、植生回復の差異や土壌の性質に影響を及ぼす

大きな要因の一つと考えた。よって、本研究では、噴気孔の有無に着目し、地熱や火山ガスが火山噴火後の土壌の性質と植生回復にどのような影響を与えているのか明らかにすることを目的とした。


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