環境科学院 植物生態学セミナー   2013-02-05 (Tue) 10:30
(Room: A809 )

苫小牧の天然林と二次林における主要樹種個体群の動態
Dynamics of major tree populations in primary and secondary forests in Tomakomai

生駒佳史

大きな撹乱からの再生途中にある二次林と長期間の遷移を経て安定した天然林で は森林の構成及び動態が異なる。苫小牧の樽前山麓低地林において58年前の伐採 から再生した二次林と、樽前山の約300年前の噴火堆積物上に成立した成熟天 然林の二か所において13年以上の期間に亘ってプロット内に生育する樹木の種、 胸高周囲長、死亡、加入、一部個体の樹高、が記録されてきた。出現する高木種 はおよそ30種であるが、すべての種を対象に追跡することはサンプル数が足り なくて困難だったため、本研究では両プロットにおいて十分な個体数と幹断面積 占有率を有する6樹種(イタヤカエデ、オオモミジ、ミズナラ、カツラ、サワシ バ、アズキナシ)を「主要な樹種」と定めた。主要な樹種について最近6年と過 去6年の二つの期間に分けて、相対成長度RGR、死亡率Mortalityを計算し、個体 サイズとの関係性を解析し、樹種間での違い、プロット間の違い、期間の違い、 などを考察した。

結果① 樹種毎の成長に関して

 全体で見ると、天然林では二次林よりも平均個体サイズが大きく、個体数密度 が低く、樹木群集の種多様性が高い傾向があった。二次林における成長に対する 個体サイズの大きさとの関係を見ると、ミズナラでは正に働くが、他の樹種では ゼロもしくは負に働き、樹種間のばらつきが大きかった。天然林ではどの樹種も ゼロ付近の負の値にかたまり、樹種間の差は小さかった。

結果② 過去6年と最近6年における成長の変化

 天然林においては、どの樹種も成長に対する個体の大きさの相関が負になる方 向に変化した。二次林ではイタヤカエデとアズキナシが負の方向にシフトし、サ ワシバは正の方向にシフトした。

結果③ 樹種毎の死亡率に関して

 全体的に見て二次林においてはサイズの小さい個体ほど死亡率が高まる傾向が あり、ミズナラとオオモミジはその度合いが強かったが、サワシバは逆の傾向を 示した。天然林では樹種毎の差が小さく、多くの樹種がサイズと死亡率の相関に おいてゼロ付近に分布した。

結果④ 過去6年と最近6年における死亡率の変化

 二次林ではオオモミジとミズナラにおいて、サイズの大きさと死亡率の正の相 関性が減少した。サワシバは逆にサイズ依存度合いが低下してゼロになった。二 次林全体において死亡率に対する樹種間での差が小さくなる傾向が見られた。天 然林でも同様に、どの樹種もサイズ依存性がゼロに近づくようにシフトし、樹種 による違いがさらに小さくなる傾向を示した。 考察。二次林では樹種による差が天然林よりはるかに大きいが、年を経る毎にそ の傾向は弱まっている。天然林では変化は少ないが、大型個体の優位性がわずか に下がっている可能性が示された。


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