TRENDY SEMINAR (第91回)

日時 7月30日(金) 18:00 -
(最終水曜日ではありませんのでご注意ください)
場所 北大地球環境A棟309

「旧熱帯と新熱帯における降雨林の比較」

西村貴司 (北海道大学・地球環境)

 1997年より調査を継続しているインドネシアの中央カリマンタンとCoomesらによっ て近年発表された南米ベネズエラにおける降雨林の類似及び相違について比較検討し た.カリマンタンのケランガス,泥炭湿地林及びベネズエラのカーティンガ林とも標 高100 m以下の低地に拡がる森林であり,年間降水量は2500-3000 mmで,雨季には地 表が水に覆われることがある.林冠高はいずれも30 m前後しかなく,土壌の腐植層よ り下は,ケランガスとカーティンガ林では漂白された石英質の砂で形成されており, 泥炭湿地林では約10 mの深さまで泥炭が堆積している.いずれの森林においても土壌 中のpHは4前後で低く,非常に貧栄養である.カリマンタンとベネズエラの森林を構 成している科を比較しても共通性はあまり高くなかったが,上述したように2つの森 林のおかれている環境はきわめて類似している.  ケランガス林,カーティンガ林とも特にPとNの不足した貧栄養な土壌上に成立し ており,その結果これらの森林に生育する種の稚樹は,SLAの小さな葉を持ち,地下 浅くに細根の発達したルートマットのようなものを持たず,根が深いという特徴があ った.泥炭湿地林とカーティンガ林の林床には多数の小丘と窪地が散在している.こ れら小丘は窪地に比べると栄養塩濃度が高く,実生や稚樹の密度が高かった.また小 丘上の実生,稚樹は窪地よりも,特に雨季の死亡率が低かった.また,泥炭湿地林に 生育する種では,より大きな総葉面積を持つ種のほうが樹高の生長速度が大きかった が,同様の傾向はカーティンガ林でも認められた.  このように,カリマンタンとベネズエラの降雨林を構成する種は異なっているにも 関わらず,それらの種の形態上の特徴及び更新,生長特性は非常に似通ったものであ った.


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問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
鈴木牧・加藤悦史・下野嘉子・谷友和
Email: makizoh@ees.hokudai.ac.jp
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Tel: 011-706-2264