TRENDY-チャランケ合同セミナー

日時:11月29日 (月) 15:00-
場所:北大地球環境 A棟 2F 講堂
テーマ: 森林群集において樹木種の開花量の年次変動は
マルハナバチの個体群動態や林床植物の繁殖成功に影響を与えるだろうか?

冷温帯落葉広葉樹林における高木種の開花フェノロジーと開花量の評価
前野華子 (北大 農 演習林)
森林におけるマルハナバチと林冠花資源動態の関係
稲荷尚記 (北大 低温科学研究所)
亜高木ハクウンボクの開花量の年変動
加藤悦史 (北大 地球環境科学研究科)
総合討論
(-- 林床草本植物に対する影響もふくめて --)


冷温帯落葉広葉樹林における高木種の開花フェノロジーと開花量の評価

北大・演習林・修士2年 前野華子

森林においてバイオマスで大きな割合を占める高木種、特に虫媒性高木種の 開花は、林床植物に比べて多大な餌資源を訪花性昆虫に提供することになる。 しかし、高木種の開花量は年次変動することが知れられているため、大量の花 蜜や花粉を個体群の維持に必要とする訪花性昆虫(特にマルハナバチ)の行動 や個体数は、餌資源量の変動に応じて変化することが予測される。また、送粉 者の個体数の変動や高木種との送粉者をめぐる競争の大小によって、このよう な訪花性昆虫に受粉を依存する林床植物の繁殖成功は変化することも考えられ る。

以上の予測を確かめるために、北大苫小牧演習林の成熟した落葉広葉樹林に おいて、まず、虫媒性高木種の花量の季節変化を開花フェノロジーの記載によ り調べた。そしてマルハナバチ訪花がみられ、かつ林分内でバイオマスの大き な樹種で、個体群レベルでの開花量の評価を試みている。

本発表では、森林における各種の開花フェノロジーを示し、高木10種の開花 量の評価を2年分提示します。開花量の評価はまだまだ問題点が多いので、広 くご意見をいただきたく思います。


森林におけるマルハナバチと林冠花資源動態の関係

稲荷尚記
北海道大学 低温科学研究所 修士2年

マルハナバチと植物の間における密接な相互作用については,とくに植物にた いする送粉効果という側面から,きわめて詳しく研究されてきた.

マルハナバチの個体群レベルでの研究は少ないものの,草原的環境でいくつか 行われ,資源量とそのフェノロジーがマルハナバチ野外コロニーの繁殖スケ ジュールに影響を及ぼすことが示唆されている.一方,温帯に広く分布するマ ルハナバチ類にとって,森林もまた典型的な生息地のひとつであるが,個体群 レベルでの研究はないと思われる.森林は,餌資源供給という点にかんして, 草原と異なるであろういくつかの特徴が挙げられる.林床にくらべて林冠の花 資源量が相対的に大きいことと,それがしばしば大幅な年次変動を示すことで ある.

演者は,苫小牧の冷温帯落葉樹林において,ウィンドウトラップを用いた複 数年次の調査からマルハナバチ採集個体数が地上からの高さや年次によって異 なることを示し,おもに林冠花資源量の変動パタンとどう対応しているかにつ いて議論する.


亜高木ハクウンボクの開花量の年変動

加藤悦史
北海道大学 地球環境科学研究科 DC2

ここではある特定の樹木に注目し、開花量の年変動パターンを示す。

ハクウンボクは冷温帯の落葉広葉樹林の中で亜高木層に生育する樹木種である。 ハクウンボクの花序には比較的大きな花が数多く着き、開花時のマルハナバチに よる訪花頻度も高い。その結実成功はマルハナバチの送粉に大きく依存してい る。しかしその開花量は年間で安定しているわけではなく、大量開花を起こす 年とそうでない年がはっきりと現れる傾向がある。

このような開花の特性を持つことによって、ハクウンボクは森林の林冠におい て優占する樹木ではないが、森林の送粉系、とくに送粉昆虫の個体群動態を考 える上でも重要な種となるはずである。この発表ではその鍵となる樹木の開花 量の変動パターンとそのメカニズムについて述べ、さらにマルハナバチ個体群 との関係を議論できればと考えている。


問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
鈴木牧・加藤悦史・下野嘉子・谷友和
Email: makizoh@ees.hokudai.ac.jp
URL: http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/seminar/
Tel:011-706-2264


Last modified: Mon Nov 15 15:20:58 JST 1999