TRENDY SEMINAR (第110回)

日時 8月31日 (金) 16:30

場所 北大地球環境A棟804

JST-CRESTプロジェクト(1996-2001):
森林衰退に係わる大気汚染物質の計測,動 態,制御に関する研究

Study on the Measurement, Behavior and Regulation of Air Pollutants Causing Forest Decline − from JST-CREST project (1996-2001)

小林 剛 (低温研 COE特別研究員)

 昨年度まで行われていた科学技術振興事業団(JST)の戦略的基礎研究推進事業 (CREST)による研究プロジェクト(研究代表者 広島大学総合科学部 佐久川弘)の 概要を紹介する。本プロジェクトでは,森林衰退と大気汚染との関連性を調査してい る気象学,大気化学,分析化学,植物生態学,植物生理学,微生物学の各分野の研究 者を西日本を中心として組織化し,共通の視点・手法でその原因解明を試みてきた。 具体的には,樹木の衰退が見られる全国4地点(丹沢・大山,乗鞍岳,瀬戸内海沿岸 山林,九州山岳地域)で調査をそれぞれ実施した。
 過去5年間(1996年〜2001年)の研究結果をまとめると次のようになる。全ての地点 で1)大気汚染物質と湿性酸性化 降下物(雨,霧および露)の輸送・拡散経路と気象要素の関連性を野外観測と数学的 モデリングから検討するとともに,2)森林生態系とくに樹冠部から土壌にかけての 影響物質の沈着量と化学変化過程の野外における定量化と,3)衰退過程にある野外 の樹木の生育状態とくに光合成生産や葉内成分・生理活性の診断,そして4)影響物 質の樹木に対する曝露よる衰退過程の実験的検証を行った。以上の結果から,大気汚 染と酸性化降下物あるいはそれらに由来する二次的な反応物質(フリーラジカルな ど)が,森林衰退と明確な関連性があると判断された。しかし,樹木の衰退に直接関 与する汚染物質は必ずしもすべての地域において共通ではなく,森林の立地条件,人 為干渉の程度,樹種により異なることが分かった。一方,大気汚染による衰退と,病 害虫や林床管理の有無との相互作用に関する研究も実施し,相乗効果を評価するとと もに森林衰退の抑制に向けての提言を試みた。しかし,樹木集団の個体群動態や適応 度に対する各要因の影響度の定量化が課題として残った。

キーワード
衰退地のモニタリング,野外での樹木の生理活性診断,低濃度の酸化性物質の実験的 検証,大陸からの遠距離由来物質

 

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問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
下野嘉子・谷友和・浦口あや
Email: yotti@ees.hokudai.ac.jp
URL: http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~trendy/
Tel: 011-706-2264