Trendy セミナー   2004.10.27 (水) 16:30   北大・大学院地球環境・A804 号室

生育環境が葉の老化過程に与える影響

小野清美 (北大・低温研・寒冷生物圏変動)

葉の展開から落葉にかけて、葉の中では様々な変化が起こっている。葉の展開終了後、葉の光合成活性は次第に低下し、窒素量、タンパク質量、クロロフィル量が減少していく。このような現象は葉の老化と呼ばれる。強光や低窒素条件では葉の老化が早いというように、光、窒素供給量など植物個体の生育条件によって葉の老化の早さは異なっている。これらの生育条件は、組み合わせによって葉の老化に与える影響が異なっていると考えられる。例えば、強光低窒素条件では、強光高窒素条件より窒素が欠乏し、葉の老化が早くなる。また、強光低温条件では、強光高温条件よりも光が過剰になり光ストレスによって、葉の老化が早くなる可能性がある。このように、ある一定の生育光が葉の老化に与える影響を考えるときに、生育温度や窒素供給量とのバランスを考慮する必要がある。

今回のセミナーでは、ヒマワリを生育光・窒素供給量を変えて生育させ、個体内の窒素欠乏が光合成産物の蓄積を通して葉の老化過程を制御している可能性を示した結果(Ono et al. 1996, Ono and Watanabe 1997)と、2 段階の生育温度(25℃:高温、15℃:低温)および栄養液の供給が無い状態または栄養供給下でミズナラを種子から生育させ、個体の成長やストレスが、葉の老化過程にどのような影響を与えているのかについて調べている現在行っている研究について述べる予定である。これまで、弱光条件(100μmol m-2 s-1)でミズナラを生育させた結果では、栄養供給が無い状態では、栄養供給下の個体よりも、弱光下であるにもかかわらず低温条件で光ストレスを受けやすく、光ストレスを防御しようとする応答が起こっているものの、ストレスが老化のひとつの要因になっている可能性が示された。


Trendy Seminar http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~trendy/2004/
世話役:森洋祐・西村愛子
email:yomori*ees.hokudai.ac.jp(もり)
 aiai*ees.hokudai.ac.jp (にしむら)
Phone:011-706-2264
Facsimile:011-706-4954
北海道大学大学院地球環境科学研究科 地域生態系学講座