Trendy セミナー   2007-07-12 (木) 16:00   北大・大学院地球環境 A804 号室

(粕谷さんセミナー二本立て!)
[1] 近親交配は有利か不利か
[2] ノンパラメトリックな検定の光と影

粕谷英一(九大・理・生物)

主催者より: 今回は粕谷さんにふたつのセミナーを同日にお願いすることになりました. どちらか一方だけの参加も可能です.気軽に参加してください.

また (何時になるかわかりませんが) セミナー終了後に粕谷さんを囲んでの (簡単な) 懇親会を予定しています.参加希望のかたは久保 (kubo@ees.hokudai.ac.jp) までお知らせください.


(16:00 より)

近親交配は有利か不利か

 近親交配はサイズ依存的な交尾と並んでもっともよく調べられてきた非ランダムな交配であり、交尾行動の進化だけでなく、生態学や集団遺伝学のさまざまな観点から研究されてきた。一般には、近親交配は不利であり近親交配回避は有利であると見なされることが多い。理論的には、近親交配回避が有利なのか不利なのかは、血縁度と近交弱勢のバランスで決まる。近親交配が有利でも不利でもないような近交弱勢の閾値は比較的高いところにあり、近交弱勢がそれよりも弱いときには、近親交配回避は不利で近親交配した方が有利である。自然条件下では、交尾相手を選ぶうえでの血縁関係の役割は意外なほどよくわかっていない。血縁個体が交尾相手として選ばれにくいという報告もあり、一方で兄弟姉妹間のような近い血縁個体間での近親交配が普通に見られる動物も少なくない。近親交配/近親交配回避を交尾相手を選ぶことであるとみたとき、これまで注目されていないどのような現象が見られると予測されるか述べ、今までの少ない研究例との関係を検討する。


(10 分ほど休憩)
(17:10 ごろより)

ノンパラメトリックな検定の光と影

 Mann-WhitneyのU検定、Kruskal-Wallisの検定、KendallやSpearmanの順位相関係数、Jonckheereの傾向性仮説の検定などを代表的な例とするノンパラメトリックな検定は、生物学に限らずデータ解析で広く使われてきた。データ解析に実際に携わる人々の間での、その評価は、順位にするために情報をロスする鈍感な方法、頑健で使いやすい方法、時代遅れな方法など、さまざまである。だが、ノンパラメトリックな検定の実際の長所と弱点は意外に知られておらず、データ解析の実践家による妥当な評価を困難にしている。正規線形モデルの方法(たとえば、t検定や分散分析)との比較では、母集団の分布が何であってもt検定以上の検出力を持つノンパラメトリックな検定が必ずあり、母集団が正規分布から外れればt検定を超える検出力を持つノンパラメトリックな検定があることが昔から知られている。順位をとることでの情報のロスは多くの場合にはわずかである。一方、多くのノンパラメトリックな検定は等分散を前提にしており不等分散の状況には不向きである。だが、データが顕著な不等分散を示すときに好んでノンパラメトリックな検定を使用する、”自殺的”解析はしばしば見られる。生態学でのデータ解析を考えたとき、おそらくノンパラメトリックな検定の最大の弱点は説明変数が複数のときにあり、とくに交互作用の扱いに顕著に表れる。


Trendy Seminar http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~trendy/2007/
世話役:川合由加
email:kawawawa+@ees.hokudai.ac.jp
Phone:011-706-2267
Facsimile:011-706-4954
北海道大学大学院環境科学院 植物生態学