Trendy セミナー   2009-12-17 (木) 16:30   北大・大学院地球環境 工学部 N301 (案内図)

造網性クモ類と徘徊クモ類との相乗効果がイネ害虫防除に果たす役割:
クモの網が害虫に与える非栄養的効果に注目して

高田まゆら (帯広畜産大畜産生命科学研究部門)

宮城県大崎市田尻における環境保全型水田には多様なクモが生息しており、イネの上部にはアシナガグモ属(造網性)が、イネの株元にはコモリグモ科(徘徊性)がそれぞれ特に優占している。アシナガグモが張る水平円網の被度は著しく高いため、イネ害虫アカスジカスミカメ(以下アカスジ)が網にかかる光景が頻繁に観察されたが、網が脆弱なことからアカスジはそのまま落下してしまうことが多かった。アカスジは水田内に侵入後、通常イネの穂付近に生息しているが、アシナガグモの網がアカスジを落下させることにより、株元付近に生息するコモリグモ類がアカスジを捕食する可能性が考えられた。

そこで本研究では、アシナガグモとコモリグモとの間に生じる相乗効果がアカスジ密度を減少させるという仮説を立て、以下の2つの調査を行った。まず約40枚の無農薬・無化学肥料水田を対象にクモ類やアカスジなどの生物量調査を行ったところ、水田内のアカスジ密度はアシナガグモとコモリグモとの交互作用で説明することができ、アシナガグモが多い水田ほどコモリグモ密度とアカスジ密度との負の相関関係が強くなる傾向があることがわかった。次に19枚の水田でコモリグモを多数採集し、アカスジのDNAマーカーを用いた食性分析によりその捕食頻度を調べたところ、コモリグモのアカスジ捕食頻度はアシナガグモ密度が多い水田ほど高くなることがわかった。これら2つの結果は、上記の仮説を支持すると考えられた。

(このセミナーは、平成21年度文部科学省グローバルCOEプログラム 「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」 (url) の支援を受けた人材育成自由企画として実施しています)

Trendy Seminar http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~trendy/2009/
世話役:宮田理恵
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北海道大学大学院環境科学院 植物生態学