Trendy セミナー   2010-02-26 (金) 16:30   北大・大学院地球環境 地球環境 A 棟 809

葉は日光合成量がゼロになると枯れるのか?

及川真平 (京都工繊大)

葉の1日の光合成量は、一般に展葉完了時に高く、その後加齢と共に低下する。受光強度が日光合成の光補償点まで低下したとき、葉は炭素を同化することができなくなり枯死する。しかし、光合成を行うのに十分な受光強度と生理的能力を有している場合でも葉は枯れることがある。なぜなのか?その理由として、ふたつの仮説が提案されている。ひとつは、その葉は他の場所でより効率的に使える資源をもっていた。例えば、被陰された古い葉が持つ栄養塩をより受光強度の高い若い葉に転流し、そこでより高い光合成速度が達成されるならば、まだ正の日炭素獲得を維持していても古い葉を枯らしたほうが個体全体の炭素獲得にとっては得である。もうひとつの仮説は、他の器官の呼吸コストを償却できなくなったために葉は枯れる。呼吸により生産されるエネルギーと中間代謝産物は植物体の形成とその維持に必要である。葉は光合成によって、葉自身だけでなく茎や根にも呼吸基質を供給しなくてはならない。そのため、葉は自身の炭素収支がゼロになる前に枯れるかもしれない。

本セミナーでは、以下の問題について概説する。葉は1日の光合成量がゼロになると枯れるのか?それよりも早く枯れるのか?早く枯れる場合、それは効率的な資源利用の結果であるのか?それとも、他の器官の呼吸コストを償却するためなのか?日光合成量の低下をもたらす要因として、受光強度の低下と生理的能力の低下のどちらがより重要なのか?生育環境の違いは、これらにどう影響するのか?

(このセミナーは、平成21年度文部科学省グローバルCOEプログラム 「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」 (url) の支援を受けた人材育成自由企画として実施しています)

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世話役:宮田理恵
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北海道大学大学院環境科学院 植物生態学