Trendy セミナー   2010-10-21 (木) 16:30-18:00   北大・大学院地球環境 地球環境 A 棟 809

ハクサンハタザオにおけるトリコーム表現型の自然変異と
種間関係への影響

川越哲博 (北海道大学創生科学研究機構)

遺伝的変異は進化の源であり、遺伝的変異の生成や消長の過程の解明は進化生物学において最も根源的な課題といえる。集団中の遺伝的変異について「自然淘汰が働く形質の遺伝的変異は減少する」という単純な予測があるが、実際の野外集団では重要な機能を持つと考えられる形質(つまり強い自然淘汰が働く形質)の遺伝的変異が観察されることが多い。

私の研究対象はアブラナ科ハクサンハタザオの野外集団に見られるトリコーム多型である。トリコームは植物の表皮に形成される小さな毛のことで、一般的には植食昆虫への防衛形質だと考えられている。ハクサンハタザオではトリコームを作る株とトリコームを失った株が生育している。トリコームが食害防衛に重要な形質だとしたら、なぜ野外集団でトリコーム生産の変異が見られるのだろうか? この問題に答えるため、自然環境におけるトリコーム変異の適応的意義を調べる生態学的調査と、トリコーム遺伝子の変異を長期的に形作ってきた要因を推定する進化遺伝学的実験を合わせたアプローチで研究してきた。本講演では私自身の研究成果をお話するとともに、生態学者が遺伝子を読むことでどんなことができるかも議論したい。


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世話役:藤沼潤一
email:fujinuma@||@ees.hokudai.ac.jp
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北海道大学大学院環境科学院 植物生態学