TRENDY SEMINAR(第82回)

日時 10月14日(水) 18:00―
場所 北大地球環境科学研究科A棟309号室

高山植物に対する開放型温室を用いた実験
鈴木静男(北大・地球環境)

人工的な温暖化実験は、地球温暖化に対する予測という意味で重要である。温帯高山は多くの周北極植物の分布の南限付近に位置するため,温度の上昇はこれら植物にストレスを与え,高山植生の遷移に影響を与える可能性がある.このような環境の変化に対して,植物にはすぐに反応する特性と長期的な継続効果によって現れる特性があると考えられる.そこで大雪山ヒサゴ沼付近の風衝地(標高1700m)に開放型温室を設置し、95年よりモニタリングを開始した. 落葉種のウラシマツツジ・クロマメノキ、常緑種のヒメイソツツジ・コケモモ・ガンコウランを材料に用い、開葉・開花フェノロジー,個葉の寿命・窒素含有量・LMAを調べ、シュートの伸長量・葉への投資量とその開花数を測定し個葉からシュートレベルまでの3年間の反応についての結果と,近年行われてきた野外での温度上昇実験の論文のレビューとをあわせて考察する予定である.
我々の3年間の実験から得られた結果の要約:フェノロジーに関しては,敏 感に反応する種とそうでない種が見られた.また,開始時期は雪解けからの積算 温度では説明できなかった.葉の窒素濃度は減少する傾向があるが,生育シーズ ン中の温度とは有意な関係は見られなかった.LMAは減少する傾向があるが,生 育シーズン中の温度との有意な関係が見られたのはヒメイソツツジだけであった. しかし,全ての種の寿命は増加しており,光合成期間の延長によって得られたか せぎを常緑種ではシュート成長量へと投資し,落葉種では花生産の増加という繁 殖への投資がみられた.実際の野外での実生の定着状態を調べてみると,わずか に見られる裸地で若干確認された程度である.従ってこのサイトではVegetative growthが大きな役割を果たしていると考えられる.ある種はVegetative growth へ,ある種は繁殖へというように資源配分のこのような違いは今後の植生変化に 影響を与える可能性がある.

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問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
鈴木静男・鈴木牧・加藤悦史
Email: shizuo@ees.hokudai.ac.jp
Tel: 011-706-2267