TRENDY SEMINAR(第83回)

日時 10月28日(水) 18:00―
場所 北大地球環境科学研究科A棟309号室

花粉分析から見た最終氷期以降の植生変遷
-ブナの成育域拡大の様子-
滝谷美香( 北海道立林業試験場)

約7万〜1万年前までは最終氷期と呼ばれ,現在よりも寒冷な時代であった.この時期,日本ではブナの成育域の北限は中部地方まで南下しており,中部地方以北には亜寒帯性の針葉樹林が広がっていたとされている.そして氷期終了後の温暖化に伴い,ブナは北方へ分布域を拡大し,6000-7000前に渡島半島南端にたどり着き,現在の北限である黒松内低地帯へは500〜1,000年前に到達したというのがこれまでの見解であった.北海道南西部に位置する横津岳山系において,コアサンプラーを用いて泥炭を採取し,約15,000年間の試料を得た.この試料について花粉分析を行い,過去15,000年から現在までの植生を復元した.約12,000年前以前には,トウヒ属等が優占する亜寒帯林が成立していた.その後気候が温暖になったアレレード期には,落葉広葉樹の割合が増加したが,一時的に寒さが戻ったヤンガードリアス期には,再び亜寒帯林要素が増加した.氷期が終了した10,000年前には,亜寒帯林は完全に消滅し,ミズナラを主とする森林が成立した.その後ブナ林が拡大し,優勢となった.ブナは約12,000年前には,既にこの地域に成育し,その後の温暖化に伴い分布を拡大した可能性が示唆された.今回は,最終氷期以降のブナ生育域に関する,これまでの研究報告および成果を紹介するとともに,古生態学,特に花粉分析に関するレビューを行う予定である.

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問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
鈴木静男・鈴木牧・加藤悦史
Email:shizuo@ees.hokudai.ac.jp
Tel: 011-706-2267