TRENDY SEMINAR(第85回)

日時 1月13日(水) 18:00-
場所 北大地球環境科学研究科A棟309号室

ブナ林植生の地理変異と積雪環境との関係性

- 個体群維持過程に積雪環境はいかに関与するか -

本間航介(北大低温科学研究所)

植生の地理変異と気候との関係性というテーマは植物生態学の中でも歴史ある「ネタ」であるが、これまで主にマクロスケールでの温量指数・降水・蒸発散量との相関関係とミクロスケールの生理生態学的な特性の解明に終始し、個体・個体群スケール(メソスケール)を基調にした議論が少なかったように思う。これは、世界でも希なほど研究者密度の高い日本のブナ林においても同様であり、「雪の多い場所(日本海側)と少ない場所(太平洋側)でブナ林の組成・構造・更新が違っている(ブナ林の背腹性)」との認識はなされていたものの、雪が植生をコントロールするメカニズムを個体群動態の視点から考えるようになったのは、意外にも、つい最近のことである。
個体群動態と環境を関連させて調べるには、複数の環境の異なる地点で共通のフォーマットでサンプルされたデータを比較する作業が必要である。幸いにも、1993年のブナ林の全国的な大豊作を期に、日本のブナ林研究者の全国ネットワーク(Nutwork)が組織され、全国約20箇所のデータが集められたことで研究は飛躍的に進展した。
雪という環境は単一の環境因子として植物に作用するわけではなく、様々な因子を内包した複合体として作用するといわれる。調べてみると雪はまさに環境因子複合体であり、内包される個々の因子の作用も極めて強力であることが分かってきた。最近ブナ林の背腹性について明らかにされたことをまとめ、雪と植生という問題の根の深さについて論じたい。

キーワード:個体群・雪圧・動物植物間相互作用・萌芽・菌害・ササ・遺伝的地理変異・豊凶サイクル


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問い合わせ先
北海道大学大学院地球環境科学研究科地域生態系学講座
鈴木静男・鈴木牧・加藤悦史
Email:shizuo@ees.hokudai.ac.jp
URL:http://noah.ees.hokudai.ac.jp/~kubo/seminar/
Tel: 011-706-2267


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