21 Jan. 1999

ハーバード逃亡記その2 ___慣れてきたら帰国___


あっという間に春が来て夏が来て,この週末(7月4日)は独立記念日で,いよいよ来週にはここを引き払い,コロラドはロッキー山中であるGCTE F1/F2会議(森林の個体ベースモデル関係のワークショップ)にひとつでたら帰国するという時期になりました.長い不在で日本のみなさんにはご迷惑をお掛けしましたが,しばらくお待ちください.


車事情

なにせ広い分,車がないとどうしようもない国だから,中古車を購入して生活していた.ボストンは,名にし負う運転の荒い場所だそうで,「北海道みたいな運転だな」と思っていた私には,納得がいったようないかないような...それでも,ボストニアンに言わせると,ボストンの運転はpredictableに荒いが,ニューヨークのそれはunpredictable でよくない(丁寧な運転者も荒っぽいのもいる)とか,ボストンは死亡事故もその他の事故も同様に多いが,ロサンゼルスは死亡事故ばかり多いから,彼の地のほうがより運転が危ないのだ,とかいう説明?を聞かされる.どっち優先,というのも明瞭でない交差点では,基本的にハンドサインで切り込むしかない,とか,基本的に右折は赤信号でもできる,とか,変なクセをつけて帰ってしまいそうだ.

さて,なだめながら使っていた10年選手のフォードエスコートが,ついに動かなくなった.オートマチックのギアが入らない状態で,日本では間違いなくオシャカ扱いだが,車を酷使するこの国では,この位の歳になるとトランスミッションを交換するなんていうのは,当然の話みたいだ.


お天気・自然事情

冬には,1日のなかで軽く15度(摂氏で)くらい変化する気温差に悩まされた.札幌と違い,積雪はそう多くないが,これがすぐ溶けて凍る.家の前の歩道をつるつるのままに放っておいて,歩行者が転んで運悪く骨折でもしたら,なんと放っておいた家の人間が訴えられたりするそうだ.(札幌では考えられない...)さすが訴訟国家,なんて感心していても仕方ないので,せっせと雪払いをした.このところも同様で,数日,35度にもなる日が続いたりする.ここ一月ほど,ほとんど降雨がなかったので,だいぶ芝生も干からびてきて,水やリをしても追いつかない.なかなか植物達には厳しい環境だな,というのが感想.

春,4月後半から5月にかけては,モクレンやアメリカハナミズキが美しい.日本のぱっとしない樹形のアメリカハナミズキとはずいぶん違い,広闊に横枝を張った美しい樹形になる.その後は,ライラックやトチノキの花が引き継ぐ.さて,そのアメリカハナミズキと反対に,こちらでも好んでよく育てられているケヤキやカツラは,本来の産地の日本で見るような美しい樹形にはならずに,なぜかひねこびた樹形をしている.どうもお互いに土壌の好みが違うのか,移入された樹木は樹形形成に何らかの抑制がかかるのかも知れない.


なにができた?

いろいろと,やるべき予定を考えて来たのだけれど,森林プロットデータの解析や森林動態シミュレータの改訂版を作ったりしているうちに,あれよあれよと滞在時間が終わってしまった.前半は主に,ボルネオ島西部の私たちのふたつの1ヘクタールプロットのデータを解析して,動態シミュレーションを行なった.そこで用いた解析プロトコルや,導いた仮説をさらに深く掘り下げるべく,後半には,ホストのPeter Ashton先生達のマレー半島の50-haプロットデータに手を出すことになった.

50ヘクタールにもなると,プロットデータのテキストファイルも20 メガバイトにもなる巨大な代物で,とても持参してきたMacintosh PowerBookでは手に負えないか,と思っていたし,現にそれまで用いていたFuture Basicというプログラム言語で走らせていては,各個体ごとの周辺込みあい度の計算などは,永遠に終わりそうもない感じだった.そこで,手近はBazzaz先生の研究室にあったり,あるいは,はるかかなたわが講座にあったりする(さすがにネットワークのおかげ..)サーバ・ワークステーションを使ったりもしていたのだが,何と!コンパイラをCodeWarrior(マック用とウィンドウズ用が一緒についてくる)にしてC++に翻訳(ほとんど直訳)したコードを走らせたら,すごく実用的に速い(100倍がところ速い)ことがわかった.そうすると,マックからサーバまでおなじコードが使えることになり,これも便利で,..などとやっていると,これがまた結構時間を喰ってしまう原因になる.それでも,日本にいたら,とてもではないが,別のプログラム言語を使うか,なんて気力は湧かないから,こちらに来たご利益でしょうか.

Harvard Forestに提出した,滞在期間中の成果レポートはこちら


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