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_____updated on 14 Nov 2009
甲山隆司_____Takashi KOHYAMA
植物生態学・群集生態学
所属:
北海道大学・大学院地球環境科学研究院
環境生物科学部門・陸域生態学分野 教授
教育担当:
大学院環境科学院
生物圏科学専攻・植物生態学コース,および
環境起学専攻・共生システム創成課題
楽古山頂にて−(南日高)十勝岳を背景に (8 Nov, 2009; 工藤岳撮影)
研究室アドレス
〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目 北大・地球環境・A棟A701号室
_____ 植物生態学グループの研究室は、耐震補強工事のため2009年7月から半年ほど疎開中 _____@工学部R棟R313号室
Fax: 011.706.4954 (グループ・分野共通)
Tel: 011.706.2260(研究室直通)
Email: こちら
研究の興味と内容
林木集団の動態と多種系の維持機構
本州の亜高山帯のシラビソ・オオシラビソ林,南九州の照葉樹林,そして島嶼部東南アジアの熱帯雨林と,森林を対象にしながら,より複雑な,多様性の高いシステムに対象を広げてきました.だんだん奥地に追いやられつつある原生林を相手に,驚くべき自然の構築物とその多様性を研究できるよろこびは,かけがえのないものです.
森林を構成する林木種の生活を理解するためには,個体の生理的なパラメーターに加えて,個体の三次元的な体制や,その集合としての森林構造の把握が必要です.森林の垂直構造や,その変動としての更新動態に注目して,さまざまな森で共存している林木種間の関係を解析してきました.野外調査データの分析にもとづいて,林木個体の樹形生長や林木集団のサイズ分布動態のシミュレーションも手がけてきました.光資源をめぐる関係で,森林の動態や,さらには多種間の共存の機構が説明できるという「森林構造仮説」を提出しました(Kohyama, 1993, J. Ecol. 81: 131-143).この仮説は,従来の生産生態学と個体群生態学,そして群集生態学を統合する新しい観点を提供するものです.「森林構造仮説」は,森林の地上部構造を,ギャップ動態を反映した林分齢構造と,各林分を構成する各樹種の樹木個体のサイズ構造の複合体として,流体力学で用いるような偏微分方程式によって記述します.各林分の個体サイズ構造は,あるサイズの個体の挙動(生存・成長・繁殖)に及ぼす抑制効果を規定します.樹冠による光資源の先取り関係を考慮し,この抑制効果が,全種込みの一方向的なサイズ重み付けした密度に比例すると仮定することによって,多種の安定共存をシミュレートすることができます(下図は12種の安定共存の例).
パッチ齢構造と樹木サイズ構造を持つ12種の胸高断面積合計の時間経過
赤・黄・緑はそれぞれ低・中・高耐陰性の種群;色が薄いほど上層まで成長できる林冠種
(Kohyama 2006, Ecol. Res. 21: 346-355)
しかしながら、森林構造仮説のベースとなる,樹木個体のサイズなどを連続変数として表すモデルでは,種間共存をもたらすメカニズムを解析するには不向きです.そこで,森林構造を上下2層から成ると単純化して,競争方程式のような連立微分方程式に還元して解析し,共存機構の「階層理論」を提唱しました(Kohyama & Takada, 2009, J. Ecol. 97: 463-471).(一方向的な)光競争のもとでは,大きくなる「林冠種」は,繁殖能力や耐陰性において優れた「下層種」の侵入を許さざるを得なくなるような,階層間の限界密度の違いの存在が重要であることを指摘しました.
私たちの研究室では,枝先のシュートスケールから,個体の樹冠構造のスケール,さらには集団レベルでの成長・死亡・加入過程のスケール,と,多面的なスケールから,共存する樹種それぞれの持つ特性を洗い出し,定量化しています.こうしたフィールド研究が,階層理論や,光合成産物のシュート間分配に基づく林分構造発達シミュレータ PipeTree(Kubo & Kohyama, 2005, Ecol. Res. 20: 255-269)のような理論的研究と相互に発展していくような手法を用いて、さまざまな未解明な謎を解明していきます.
ゆっくりと変化していく森林というシステムの理解には,永久調査区の設定と追跡が欠かせません.各研究者・グループが個別に進めてきた内外の永久調査区の観測データを持ち寄って,データベースを作り,広域のスケールでの森林の変化を比較解析していこうと,有志が集まって2001年からPlotNetを立ち上げました.現在,リモセン研究者や生態系モデリング研究者などユーザ側も加わって、さらに活動が活発になっています.PlotNetについては,こちらをご覧ください.
略 歴
- 1954___ 10月30日 東京生まれ
- 1978___ 東京都立大学理学部生物学科卒業
- 1980___ 京都大学大学院理学研究科植物学専攻修士課程修了
- 1983___ 京都大学大学院理学研究科植物学専攻博士課程修了,理学博士
- 1983___ 日本学術振興会奨励研究員
- 1985___ 鹿児島大学教育学部講師
- 1987___ 鹿児島大学教育学部助教授
担任した鹿児島大学卒業生のリスト
- 1991___ 京都大学生態学研究センター助教授
- 1991-1992___ ケンブリッジ大学植物学教室客員研究員
- 1992___ 日本植物学会奨励賞受賞
- 1994___ 北海道大学大学院地球環境科学研究科教授(現職)
- 1998-1999___ ハーバード大学集団進化生物学教室Bullard客員研究員
報告1 (Jan. 1999) / 報告2 (Jul. 1999)
- 2000-2008___ 地球フロンティア研究システム生態系変動予測研究領域 兼務
講義
植物生態学II・生態系科学基礎論
シラバス(PDFファイル,40Kバイト)はこちら(研究科内からダウンロード可能)
講義用スライド:[#1] (1MB)
[#2] (2.2MB)
[#3] (4.4MB)
生物多様性論II
甲山担当分スライド:
[biodiv_kohyama] (28MB!)
OBたち
北大赴任前から在籍しており、学位審査主査を務めた諸氏
和田直也・鬼丸和幸・成田憲二
博士号を取得した担当院生諸氏
高橋耕一・相場慎一郎・明石信廣(@京大理学研究科)・清野達之・西村貴司・
鈴木牧・加藤悦史・宮本和樹・Joeni Rahajoe・
浦口あや・志水顕・塩寺さとみ・庄山紀久子・小林誠
博士研究員・受入れ研究者
Peter Belingham・久保拓弥・Herwint Simbolon・Matthew Potts・Yue Ming(岳明)・長谷川成明・鍋島絵里・Geeta Kharkwal
研究報告
(和文総説・解説・報告書など)
原著論文(英文)のリストは英文ページにリンクしてください
- 甲山隆司. 1984. 林木のデモグラフィーをめぐる問題点. 種生物学研究, 8,
1-10.
- 甲山隆司・坂本圭児・小林達明・渡辺隆一. 1984. 小楊子川流域の照葉樹原生林における林木群集の構造. 屋久島原生自然環境保全地域調査報告書, pp. 375-397. 環境庁自然保護局
- 甲山隆司. 1984. 亜高山帯シラビソ・オオシラビソ林の更新. 遺伝 38(4),
67-72.
- 甲山隆司. 1985. 極相種の特性. 沼田真, 編, 現代生物学大系12b, 生態B, pp. 170-172. 中山書店
- 甲山隆司. 1986. 林木種の共存研究の方向. 群落研究, 3, 15- 22.
- 甲山隆司. 1987. 北八ケ岳の亜高山帯シラビソ・オオシラビソ・ダケカンバ混交林の動態. 長野県植物研究会誌, 20, 36-41.
- 甲山隆司. 1990. 長期観察が必要である−スマトラのケース・スタディーから. プランタ 9, 14-19.
- 甲山隆司. 1992. 動いているスマトラの森. 堀田満・井上民二・小山直樹,
編, スマトラの自然と人々, pp. 38-52. 八坂書房
- 甲山隆司. 1993. 熱帯雨林を形づくる樹木の多彩な生活.遺伝 47(10), 37-43.
- 甲山隆司. 1993. 熱帯雨林ではなぜ多くの樹種が共存できるか.科学 63,
768-776.
- 甲山隆司・ 相場慎一郎・明石信廣・坂本圭児. 1994. 屋久島西部照葉樹林域の原生林と二次林の10年間の動態. 屋久島原生自然環境保全地域調査報告書, pp. 61-69. 環境庁自然保護局.
- 甲山隆司. 1994. "生涯一葉"の植物.週刊朝日百科・植物の世界
2, 173.
- 甲山隆司. 1994. さまざまな樹種がなぜ共存できるのか.週刊朝日百科・植物の世界
13, 46-47.
- 甲山隆司. 1995. 地球変化と植生の変遷.遺伝 49(2), 6-7.
- 甲山隆司. 1995. 暗い森のなかで生き延びる.週刊朝日百科・植物の世界
13, 140-143.
- 甲山隆司. 1995. 樹形はどのようにしてできあがるのか.週刊朝日百科・植物の世界
7, 126-128.
- 甲山隆司. 1995. 森林の変容と継続観察.随想森林
32, 89-90.
- 甲山隆司. 1996. 森林アーキテクチャーから植生帯動態モデルへ. 日本生態学会誌
46, 57-61.
- 甲山隆司・工藤岳・西村貴司. 1997. 遠音別岳原生自然環境保全地域の植生系調査の概要と気象環境特性. 遠音別岳原生自然環境保全地域調査報告書, pp. 13-27. 環境庁自然保護局
- 甲山隆司.1998.生物多様性の空間構造と生態系における機能.井上民二・
和田英太郎,編, 生物多様性とその保全(岩波講座 地球環境学5), pp. 65-96. 岩波書店
- 甲山隆司. 2003. 生態系の成り立ちの基礎(2章) / 植物の繁殖と個体群動態(3章).松本忠夫,
編著,集団と環境の生物学(放送大学教材).日本放送出版協会
- 甲山隆司,編著.2004. 植物生態学.朝倉書店
- 甲山隆司.2006. 東アジアの陸域生態系の特性と環境応答.武田博清・占部城太郎, 編, 陸域生態系の科学:地球環境と生態系, pp. 244-253. 共立出版.
- 甲山隆司.2008. 生態系の「生産」と人間社会の「生産」. サステナ, 9, 44-47.
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