林冠動態の格子モデル

−小川学術参考保護林 (25ha) の場合−

○久保拓弥(九大・理・生物)・田中浩(森林総研)・中静透(京大・生態研センター)

 小川学術参考保護林では航空写真に基づく林冠動態の解析がなされてきた.このように調べられた林冠とギャップの空間パターンの変遷を説明する格子モデルを構築した.観測データに対応する約1万の格子点(5m方形区)の状態を樹高15mを境界に「ギャップ」(大きな樹木が存在しない場所)と「林冠」に分類した.各離散時刻ごとに全格子点はこの2状態を逐次的に変化し,さらに各格子点の状態遷移率は隣接8近傍の格子点に影響されると仮定した.林冠動態データからこの状態遷移率を得るために,無作為化された「変化する順」に従う最尤推定法を開発した.

 1976年から91年まで5年おきに観測された林冠動態の過程において「林冠が破壊されギャップになる確率」と「ギャップから林冠に修復する確率」のどちらもその格子点が置かれている局所的な環境に強く依存していた.15年の調査期間に森林全体の林冠修復が継続し(ギャップの面積は半減),その一方でギャップの集中度は高く維持されていた.離散時間逐次変化格子モデルと無作為化パラメータ推定法はこのパターンを説明することができた.

図:ギャップ(黒)の空間分布の時間変化




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