植物個体内の資源配分と植物個体間の競争は 個体・集団の構造にどのような影響を与えるだろうか? これを解明するために, 八ヶ岳・縞枯山の Abies 同齢林分観測データにもとづく 三次元樹木集団シミュレイター \PipeTree を開発し, その挙動を解析した.
PipeTree では個々のシュートごとに開空度を計算し, それによって決まる年間炭素同化量からさまざまな 維持コストをさしひいて個体全体の純同化量を決定する. 頂芽優先など考慮した資源配分モデルにしたがって 樹木個体内で資源の移動をさせる. 配分された資源は, いくつかの形態的な制約を満たしつつ, 各部の生長に利用される.
PipeTree を構成するサブモデル群を調整し, 縞枯山の個体・集団の動態データに見られる 樹高-幹直径のパターンを再現できた. このときに, Abies 個体間で光をめぐる (群落光合成モデル的で間接的な) 競争だけでなく, 枝を展開するための空間を占有する過程で生じる (より直接的な) 競争の重要性が示された.