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露崎 史朗 (Shiro TSUYUZAKI)
植物群集生態学・環境保全学

有珠山/サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ
(2009年10月16日更新)

日本植物学会要旨

諸般の事情で面倒臭いが必要に応じ、学生発表を含む

* 雑録 [ 植物学会 | 生態学会 | 講演(含 他学会要旨) ( 英語版 English )| 書評・コラム | 報告書 | 参考文献 ]


表題 発表者
月日
場所
形式
リンク・メモ
有珠山噴火20年後における旧表土中の埋土種子集団の検出 後藤真咲・露崎史朗 2000 静岡
北海道渡島駒ケ岳における1996年噴火後の植物群集動態 露崎史朗 2001 東京
火山活動と植物群集動態 - 渡島駒ケ岳を事例として 露崎史朗 2001 函館 口頭 支部会
サロベツ湿原における泥炭採掘跡地の植生回復について 西村愛子・露崎史朗 2003 9.26 札幌 口頭
アラスカ内陸部大規模森林火災後の木本実生定着パターン 露崎史朗・成田憲二・澤田結基・福田正己 2007 野田 口頭 スライド
泥炭採掘跡地における窒素施肥実験:富栄養化が植生遷移に与える影響 西村愛子・露崎史朗 2007 9.9 野田 ポスター
ミズゴケ泥炭採掘跡地における広葉草本3種の資源分配変化 小山明日香・露崎史朗 2008 9.26 高知
ポスター
テフラ性火山噴火後の遷移の特徴 露崎史朗 2009 10.16 札幌 口頭 支部会

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学生 (書類のための記録)

表題 発表者
月日
場所
形式 リンク・メモ
モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの発芽特性 保要有里 2009 9.19 山形 ポスター

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有珠山噴火20年後における旧表土中の埋土種子集団の検出

2000年 (静岡)

後藤真咲・露崎史朗 (北大・院地球環境)

  有珠山は1977-78年に噴火し、山頂付近の表土(旧表土)は厚い火山噴出物に覆われた。その後、火口原では侵食等により露出した旧表土から埋土種子由来種の出現が見られた。噴火10年後(1987年)には、旧表土中に約2000種子/m2が生存していた。そこで、噴火20年後(1998年)における旧表土中埋土種子集団の生存状況を知るために、厚さ1 m以上の噴火降灰物下から旧表土を採取し、発芽試験法(GM)と50% K2CO3溶液遠心浮上法(FM)の2法を用い埋土種子検出を行った。

 GMで23種、1317種子/m2、FMで30種、2986種子/m2の生存が確認された。同定種は22種である。埋土種子相はエゾノギシギシが優占しており、カラフトダイコンソウ、イワアカバナ、イグサ、ハイキンポウゲもみられ、多年生草本が多かった。

 検出された種数、種子数ともにFMの方が多く、共通検出種は11種であり、二方法間で結果が大きく異なっていた。GMとFMはそれぞれ長所短所があるため、同一の埋土種子集団について異なる推定結果を得る可能性が高い。種子が検出できない理由として、GMでは必ずしも全ての種子が発芽するとは限らないこと、FMでは抽出過程での問題および形態からの同定の困難さがあげられる。埋土期間の長い種子は休眠性が強く、構造が劣化していることが考えられ、これらの点を十分に考慮し複数の検出方法を用い検討することが望ましい。


参考 References

  • Tsuyuzaki, S. & Goto, M. 2001. Persistence of seedbank under thick volcanic deposits twenty years after eruptions of Mount Usu, Hokkaido Island, Japan. American Journal of Botany 88: 1813-1817
  • Ishikawa-Goto, M. & Tsuyuzaki, S. 2004. Methods of estimating seed banks with reference to long-term seed burial. Journal of Plant Research 117: 245-248
    生物科学ニュース和文要旨: 長期埋土における種子バンク推定法について 石川真咲・露崎史朗 (北大・院地球環境)
     20年間深さ1 m以上の噴火堆積物下に埋土していた種子集団を用いて,発芽実験(GM)と比重選別法(FM)の2つの標準的な埋土種子集団推定法を比較した.GMは温室で行い,FMは50% K2CO2溶液を用いて行った.全体として,FMはGMよりもより多い種数と種子数を得ることができた.しかし,FMで得られた種の多くがGMでは発芽せず,またより小さな種子はFMではあまり検出できず,それぞれの方法には長所短所がある.特に長期間埋土された種子は,強い非発芽状態となり,そして構造的に脆くなっているため,長期埋土種子集団推定には単一の方法を用いることは避けるべきと結論した.

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北海道渡島駒ケ岳における1996年噴火後の植物群集動態

2001年 (東京) [登録番号603072]

露崎史朗 (北大・院地球環境)

 北海道南西部に位置する渡島駒ケ岳は1929年に大噴火を行なった後、小康状態を保っていたが、1996年以降小噴火を数回繰り返している。本火山において、1996年噴火による植物群集の被害状況の把握とそのごの動態を明らかとするために、噴火降灰物の厚さが数cm以上(激害区)、数mm程度(中害区)、1 mm以下(微害区)、観察されない(無害区)の4地点を選び調査区を設け、2000年まで経年で追跡調査を行なった。主な結果は以下の通り。

  1. 無害区・微害区では、地衣類・コケ類が極めて優占するが、中害・激害区では、これらの植物はほとんどみられなくなる。また、2000年時点でも、中害・激害区においては、これらの植物はほとんど増えていない。
  2. プロットあたりの平均種数は、激害区から無害区に向かって増加する。しかし、2000年までに、いずれの調査区においても種数の大きな増加は見られない。
  3. 維管束植物では、低木種であるミネヤナギが激害区においても噴火の被害を逃れ生存していた。中害区においては、ミネヤナギは2000年まで徐々にではあるが、被度を拡大している。激害区では、ウラジロタデ、タルマエソウ、ヒメスゲが5年間を通じて観察された。
  4. 噴火降灰物の厚さが数10 cm程度のところであれば、群集回復は、噴火による被害を免れた維管束植物によって主としてなされると結論した。

- Plant community dynamics on Mount Koma, Japan, after the 1996 eruption

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サロベツ湿原における泥炭採掘跡地の植生回復について

2003年 (札幌)

西村愛子・露崎史朗 (北大・院地球環境)

 道北に位置するサロベツには、2700 haもの湿原が広がり大部分がミズゴケ泥炭湿原で構成されている。この泥炭を土壌改良材として利用するために、1970年から現在まで毎年数ha以上の面積で泥炭採掘が行なわれている。この泥炭採掘跡地において、採掘開始から現在に至る植生の遷移過程を明らかにするために調査を行なった。採掘開始年からほぼ3年間隔で各年に1 × 1 mのプロットを20ヶ前後設置し、未採掘の高層湿原上にコントロールを設けた。各プロットにおいて植生調査と環境要因の測定を行なった。採掘後経過年数と共に種数・植被率は増加し、採掘後10年前後から植物の侵入が見られ、20年後ではミカヅキグサ、ヌマガヤ、ヨシなどが優占していた。コントロールではミズゴケ出現被度は100%に近く、1970年のプロットと比べても植生は明らかに異なった。環境要因では、NH4+、K+などの陽イオン濃度と全窒素濃度が採掘からの時間経過に伴い減少傾向を示した。水位は採掘年代との間に明瞭な関係がみられず、特に水位が高い場所では他のプロットと異なる植生が発達していた。以上より、採掘後の経過年数が短いほど栄養分が多く、植物の定着に適し速やかな植生回復が見られると考えられるが、本来の高層湿原に生育する種は採掘跡地内に十分に定着しているとはいえず、ミズゴケ被度の高い高層湿原へと進む遷移系列とは異なる遷移方向に進んでいることが示唆された。

- Vegetation recovery on peat mining sites in Sarobetsu Mire, northern Hokkaido

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アラスカ内陸部大規模森林火災後の木本実生定着パターン

○露崎 史朗(1), 成田 憲二(2), 澤田 結基(3), 福田 正巳(3)
(1)北大・院・地球環境, (2)秋田大・教育文化学部, (3)北大・低温研

 アラスカ内陸部北向き斜面では、永久凍土permafrost上にクロトウヒPicea mariana林が広く発達している。このクロトウヒ林の更新には、周期的な火災が関与していることが知られている。これまでの火災は、主に落雷による自然火災で、その火災の性質は、林冠火災と呼ぶ地表面のミズゴケが完全には焼失しない規模のものである。しかし、近年、アラスカにおける火災規模は、面積・強度ともに増大する傾向にあり、北向き斜面に発達した永久凍土の分布変化を介した森林更新の改変が懸念されている。そこで、2004年に大規模火災が発生したフェアバンクス近郊のポーカーフラットに永久調査区を設け、実生の侵入・生存・成長について追跡調査を開始した。その結果、ミズゴケが全焼した地表面では、カンバ・ヤマナラシ・ヤナギ等の落葉樹の実生個体数はクロトウヒを上回ること、死亡率は種間で大きな差がないこと、成長は落葉樹の方がクロトウヒより良いことが明らかとなった。一方、ミズゴケが残存した地表面には落葉樹はほとんど侵入していなかった。したがって、ミズゴケが全焼するような大規模火災が続けば、クロトウヒの更新は大きく阻害されることが示された。また、地表面が全焼したところでは、夏季には凍土が確認できない、あるいはミズゴケ残存面と比べて深い部分にのみ凍土が存在していた。したがって、クロトウヒの更新には、ミズゴケの回復と凍土の発達が鍵となる。

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テフラ性火山噴火後の遷移の特徴

<座長 長里 千香子

テフラ性火山噴火後の遷移の特徴

露崎 史朗(北海道大学地球環境科学研究院)

 火山遷移は、溶岩上の遷移とテフラ(軽石・火山灰などの噴火降灰物)上の遷移では大きく異なる。ここでは、1983年より経年調査が行われている1977-78年に噴火した有珠山における結果を中心に、テフラ性火山噴火後の遷移の特徴を紹介する。主な知見は、以下の4点である。

  1. 転石苔を生さず → コケ期は発達できない。
  2. ない袖は振れない → 一年生草本期は、旧表土(噴火前に形成されたテフラ下にある土壌)が出現しない限り発達しない。噴火30年後に旧表土を採取し、表土中の種子の生存状況を調べたので、その結果も報告する。
  3. 縁の下の力持ち → 遷移初期から栄養繁殖起源の多年生草本が優占する。
  4. 兎と亀の物語 → 初期に回復が早かったところは森林化せず、裸地であったところの方が森林化が早いことがある。

参考 (References)

  • Tsuyuzaki, S. 2009. Causes of plant community divergence in the early stages of volcanic succession. Journal of Vegetation Science 20: 959-969

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