ガイア・グループNEWSLETTER 6号 2001.初夏 [改変] ガイア全文 はこちら
フィールドノート(6)
- 火山活動が生態系に与える影響を知るには?
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露崎 史朗 つゆざき しろう
世界には約550の陸上性火山が存在し、Ring of Fireと呼ばれる環太平洋火山帯に属する日本だけに限っても86の活火山がある。2000年の有珠山噴火、三宅島噴火は、ホットなニュースであったが、小噴火をいれれば毎年、日本のどこかで噴火が起こっているといっても過言ではなかろう。これらの火山の影響は、地球レベルでは、火山噴出物が成層圏に達すると、温室効果とは逆に冷蔵室効果により地球規模での温度低下が起こり生態系に大きな影響を与え、また火山活動および、それにに伴う地震や津波は、時として大きな人災を引き起こす *。当然ながら、日本における植物群集の発達にも、様々なスケールで噴火活動の影響が強く表れている。
* このあたりのことは、 LitteraPopuli 14: 8-9 (2002) も参照
火山噴火初期段階における環境は、短い時間で変動し、それに伴う群集変化も著しい。火山活動は、タイプ、規模、頻度により異なる影響を陸上植物群集に与えるが、撹乱(disturbance)を受ける群集側も地理的レベルでも地域レベルで異なる。そこでまず、個々の火山における、言いかえれば、地域レベルでの火山における、植物群集の動態を明らかにすることが必要である。ついで、各火山における群集動態の共通部分を見つけ出すことにより、よりグローバルなレベルでの火山が生態系に与える影響を明らかにできよう。これまで、火山活動による撹乱後の植物群集動態についての研究は、調査に際する多くの障害にも関わらず、各地の火山において行われてきた。今後は、これらの火山間における群集動態の不偏性を見つけ出すことが大きな作業となろう。そのためには、以下の2点が重要である。
- 噴火前の植物群集構造は、噴火後の群集構造を大きく制約しているため、噴火前の群集を調査しておく必要がある。しかし、世界的に見ても噴火前に詳細な調査がなされた報告はない(a)。
- 永久調査区による長期観測は、植物群集動態を実証できる唯一の方法ともいえる。現在、長期生態学研究 (LTER, Long-Term Ecological Research)データベース化が始まっている。有珠山山頂部には1983年に永久調査区を設置し、2000年(b)まで継続調査が行なわれている。有珠山は、2000年3月31日に22年ぶりに噴火を行ない、現在も火山活動は続いている。これらの調査区で追跡調査により、噴火以前の状態と比較が定量的に行なえる。追跡調査により火山噴火後の群集動態の予測性も高まり、ハザードマップを始めとする災害予測や防災手法への応用も可能となろう。
(a): 有珠山ではフローラリストを作成し(Tsuyuzaki 1995)、本ホームページにて更新している。合州国セントへレンズ山についても1980年噴火以降のフローラリスト(Titus et al. 1998)が作成された。
(b): 2009年度まで調査完了した。
1984年の有珠山火口原。多くの枯死木が立っていた。噴火前には、それなりの大きさがあった森林であった。



A. 1977-78年噴火の影響を調べるために有珠山に1983年に設置された永久調査区(permanent plot) B. 1996年噴火の影響を調べるために渡島駒ケ岳に設置された永久調査区 C. 1996年噴火後ニュージーランド、ルアペフ山に設置された調査区。1997年調査。ワイカト大学(the University of Waikato)、クラークソン(Clarkson)博士が継続調査中 - 参考
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海外
カムチャッカ, クリチェフスコイ山 Mount Kliuchevskoi
セントへレンズ山 Mount St. Helens, West Coast, USA
ハワイの植物 (University of Hawai'i at Manoa, Botany)
ニュージーランド火山群 Volcanoes in New Zealand (ランギトト Rangitoto)
フィリピン, ピナツボ山 Mount Pinatubo内地
富士山,
浅間山,
三宅島,
伊豆大島,
阿武 (山口の火山),
阿蘇,
雲仙普賢岳,
霧島,
桜島
見学: 2003.3.27 桜島, 2003.3.28 霧島
北海道
雌阿寒岳,
十勝岳,
樽前山,
有珠山,
駒ケ岳,
恵庭,
恵山
リンク
火山における植物群集動態
Plant community dynamics on volcanoes
火山遷移初期動態に関する研究
気象庁
火山の資料