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(2013年2月10更新) [ 日本語 | English ]

バイオーム (biome)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

 Biomeは、そのまま「バイオーム」と発音して使用されるか、その意味から「生物群系」あるいは「植物群系」と訳し使用される言葉である。ただし、(植物)群系は、植物社会学分野では(plant) formationの訳である。
 理想的には、最大(地球)規模での植物相・動物相・環境を同一と見なせる範囲に分布する生態系を指す。実際には、植物群集をもとに区分されることが多いことが、訳に表れている。地球規模なので、陸上では、環境としては気候が重要視される

[ バイオーム | バイオーム型 | ツンドラ | 砂漠 ]

索引
→ 生物共同体の最大規模区分

主に気候条件から区分された生活帯life zone範囲内に属する生物群集

 植物群系に対応する大きさの動物・植物からなる群集(生物群系biotic formation)に限定し用いること多い。一定相観を持つ植物群系とそれに特徴的な動物群により認識される生物共同体だが、その領域内の遷移途中相を含めたバイオーム域の意味にも用いられる。

バイオーム型 (biome type)


バイオームの上位区分 → 類型区分的に用いる (Allee et al. 1949)
表. 各バイオームの特性 (Mackenzie et al. 2001). 様々な分け方があるので、最もシンプルかつ生態学の講義で使っているものを記した。
  バイオーム      純一次  バイオ 温度    降水量
                  生産力  マス
  ツンドラ tundra 低      低     低      低 (< 250 mm),
                                         主に雪
  砂漠 desert     降水量  低     大きく  極低
                  に依存         変動    (いわゆる乾燥地)
  草原 grassland  高      低             砂漠と森林の中間
  森林 forest     高      高     様々    高
その他の分け方の一例
1. ツンドラ tundra, 2. タイガ taiga, 4. 夏緑林 summer-green forest, 5. 草原 grassland, 砂漠 desert, 熱帯多雨林 tropical rain forest

 更に草原はステップ、プレーリー、サバンナ、カンポ、リャノ、パンパス等のバイオームを含み、大型草食動物により特徴づけられる。しかし動植物間関係は特に追求されず種類組成、生活型(生活型組成 fifeform spectrum、相観 physiognomy)等から論じられる傾向が強い。

世界の植生 world vegetation
世界の植生型(群系) (IUCN 1973): 全生物を考慮したシステム構造に基づく生態系分類は試みられていない
陸上生態系: 植物群落特性が生態系の性格規定 → 植物群落分類をそのまま生態系類別に利用

大陸ヨーロッパ系植物群落学では種類組成に基き群落を細類別するが、情報量の現状では群落型細別に対応させたシステムは難しい。陸上生態系比較に適当な植生単位は群系formationレベルだろう

寒地荒原と訳す人もいる

ツンドラ (tundra)


分布
北極圏全陸地。シベリア・北アメリカ北部
気候
最暖月平均気温 +10°C以下0°C以上。一部永久凍土層がみられる。
最暖月平均気温が10°Cの等温線 → 森林限界: 森林生息限界以北(北半球)。垂直分布にも用いる(s.l.)
南極圏陸地は最暖月平均気温0°C以下であるがツンドラとすることもある
植生
北半球のツンドラ植物群落 = ユーラシアツンドラ群落 + 北米ツンドラ群落

共通種 = イネ科、イグサ。コケ、地衣がよく発達

コケ植物地衣類・小低木主体の草原。永久凍土のため水はけが悪く、ミズゴケ・スゲ等の湿原を作りやすいが、比較的乾いた所にコケモモ・ガンコウラン・ハイマツ等の矮小化木本の混じるお花畑になる

→ 温暖化実験 (warming experiment)
IGRFによるモデル磁場計算 (偏角計算)

極地

(松田・星合 1973)

極圏
66°33’以北および以南。Arctic ocean, Antarctic oceanとその周辺

熱入射角低いため温度低く、季節変動幅比較的小 = 生態系は単純で動態解析等に適

植物種数
南極圏
高等植物: 南極大陸のみで2科2属3種、周縁の島々加えると30種以上

南極ブナNothofagus: 針葉樹的行動を示すブナ
Deschampsia antarcticaColobanthus quitensisナンキョクミドリナデシコ(4-6種)
自生は上記2種。他にPoa pratensisP. annuaが搬入されP. annuaは開花した
ケルゲレン島(フランス領): Pringlea antiscorbutica, Lyallia kerguelensis (固有種), Acaena adscendens, Azorella selago

蘚苔類: 蘚類80種 苔類10種 計90種。地衣類: 350種
菌類: 大陸のみでは高等菌5-8種、カビ類30種位、酵母菌20種位、計60種程度
藻類 淡水藻類では藍藻155種、緑藻142種、接合藻類(デスミツド)44種、珪藻304種、計645種
北極
羊歯植物以上で65科950種

アラスカ極地 57科/153属/466種
カナダ極地 38/115/340
グリーンランド 57科/496種
ソ連極地: 500-600種

カナダ極地: 大型藻類383種、海産プランクトン121種、淡水産珪藻192種、菌類79種、地衣類275種、蘚類304種、苔類78種を報告

砂漠 (desert)


砂漠・半砂漠 (desert, semi-desert)

大陸内部

砂漠(乾草原)

昔は、「沙漠」と書いた
成因: 低降水量となる要因が重要

  1. 大気大循環上で下降流が卓越する地域 = 通年高気圧が支配 Ex. サハラ沙漠
  2. 大陸中央部の内陸性気候となる地域 Ex. ゴビ砂漠・タクラマカン沙漠
  3. 沿岸部を寒流が流れる地域 ? 大気乾燥 ? 乾燥した海風 Ex. アタカマ沙漠
  4. 内陸から乾燥した風が海岸に向かい吹き抜ける地域 Ex. パタゴニア
種類

砂沙漠(エルグ): 砂地・砂丘
礫沙漠(レグ): 礫質広がる乾燥地
岩石沙漠(ハマダ): 基盤岩石露出した乾燥地 → 奇岩多

沙漠地形

オアシス oasis: 沙漠に点在する泉 → 集落発達することもある
ワジ Wadi: 平時水流れず(枯れ川)、降雨時のみ流水ある川
外来河川: 水源沙漠の外にあり沙漠を貫流する川 Ex. ナイル川・黄河
内陸河川: 外海に流出せず内陸部で消滅する河川 Ex. シム・ダリア川 → アラル海

内陸湖: 内陸河川が流入する湖 → 水量減少は蒸発のみ = 塩湖となることがある

降水微量かつ不安定 → 植物ごく疎らにしか生えない荒地(乾燥地)
[砂漠適応] 乾生植物 xerophyte

a) 乾燥に耐える特殊形態(多肉・小葉・深根 Ex. サボテン)
b) 稀な降雨時だけ発芽し開花・結実しすぐ枯れ、乾燥時は種子で過ごす

同化器官としての葉 = 低温と乾燥に弱い → 広葉から針葉へ、常緑から落葉へとその生活形を変えていく
現気候 → 植生規定 + 同環境に必ずしも同植物が生えるとは限らず過去の歴史(地史)は無視できない

草原 (grassland)


ステップ(荒草原)

温帯内陸乾燥地帯に発達 (サハラ等の熱帯・亜熱帯砂漠周辺部にもみられる) (s.s.) ソ連南部のイネ科草原
(s.l.) s.s. + 北米プレーリー、アルゼンチンパンパス、南アフリカ草原、アルカリ地帯草原(パンパス)
夏季高温。冬季寒冷。雨量少
樹木生育みられず、イネ科草本(ハネガヤ、コガネカモノハシ)にマメ科やキク科の植物をまじえた草原
→ 高温だと、トゲの多いアカシアやミモザ等の低木やサボテン・リュウゼツラン等の多肉植物の疎林になる

サバンナ

= 熱帯草原 → アフリカのスーダンやコンゴ等
年中高温。年降水量普通200-1000 mm
乾性イネ科草原: イネ科植物(ハリガネガヤ、シバムギ)主体の草原にアカシア等の落葉広葉樹が散在
ステップよりは降水量が多いが、森林を作るほどには雨が降らず樹木は点在し樹冠つながらない

セラード cerrado
ブラジル中央部のサバンナ気候地域の植生
イネ科植物を主とし低木をまじえる草原地域
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