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(2020年10月2日更新) [ 日本語 | English ]

健康 (health)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[メンタルヘルス, 健康管理, 安全対策]

環境医学 (environmental medicine)


医学生態学 (医学的生態学): 健康状態、特に病気発症原因や発症の地理的分布等を環境条件と関連づけ研究
医学的地理学 (医学地理学): 病気分布と気候条件やバイオームとの関係
20世紀後半: 医学的人類学(医学人類学、医療人類学)が米国中心に隆盛 → 健康・病気に対する環境要因の重要性 → 医学的生態学進展 ≈ 疫学

環境条件 = 気候・病原体・媒介動物等自然環境 + 「開発」近代化、衣食住等日常生活や社会経済的・文化的環境

Def. 健康: 肉体的、精神的及び社会的に完全によい状態 → 疾病や虚弱でない、という意味と異なる(WHO)
健康指標: 発生数 - 既存資料, 実測(人を対象とした調査)

発生率 incidence rate → 死亡率 mortality Ex. 人口動態統計から
有病割合 prevalence
発生割合 incidence proportionあるいは累積発生率 cumulative incidence
生存時間(平均余命) Ex. 生命表から

環境に対する成体の反応: 曝露(環境) → 疾病(健康)

個体適応(adaptation + homeostasis) / 自然淘汰(natural selection)
環境医学では更にもう一つの反応を導入 = ハッチ hatch
個体適応: 恒常性homeostasis + 代償性compensation → 疾病: 環境医学分野
防御反応: 環境に対する反作用

環境との関連が深い疾患群
感染症 infection desease, ID: 人類史中で多くの生命を奪ってきた

医学生態学は病原体と媒介動物(主に昆虫)、宿主としてのヒトの人口密度や行動パターンとの関連性を解明することを目指し、「病原体理論」(Ewad 2000)を提唱する進化医学分野とも接点をもつ

生活習慣(成人)病 lifestyle illness: 疫学(疾病)転換経て罹患・死亡率↑

食生活変化による栄養素摂取パターンや、発癌物質等の環境汚染物質への曝露等を要因として扱う

疾病 pathema: 細胞病理学的分類 / 生化学的分類(未熟)

免疫疾患
遺伝性疾患
腫瘍: - oma (hepatoma, myoma), Tumor, Neoplasma
炎症: -it is (含、免疫疾患)
循環障害: Ex. 血行障害、体液異常
代謝障害 Ex. 退行性病変、中毒、栄養疾患

炎症 inflammentation: 発赤rubor, 熱感color, 疼痛dolor, 腫張tumor, 機能障害functiolaesa

免疫疾患: 自己免疫疾患・アレルギー
腫瘍: 良性腫瘍benign、悪性腫瘍malignant
原因: 環境 = 75-85%、ウイルス = 5-10%、他 = 5-20%

方法論(健康影響を調べる方法)

1) 記述学 description
観察・記載、症例報告
2) 実験科学 experiments
研究条件設定 → 因果関係解明-極限条件 → 仮説・条件設定 = 原理
索引

動物実験、ヒト曝露実験 + 疫学 (☛ 因果関係)

研究対象: 細胞レベル in vitro vs. 個体レベル in vivo

動物 vs. 人間 / 個人 vs. 集団

疫学 (epidemiology)

Def. 健康に関連した状態や出来事の集団内分布や決定因子を研究 + 成果を健康問題対策に応用
衛生学 hygiene を基に発展 (→ 毒性学 toxicology)
医学の特徴

流行 epidemic(e): 研究者以外により条件づけの行われた「集団」に対する分析(研究者が研究のための条件設定しない) → 因果関係解明 = 環境-人体関係

高木兼寛(1849-1915) 海軍軍医、「ビタミンの父」

M15: 430人疾病/1000人、34人死亡/1000人
脚気による遠洋航海での疾患者・死亡者数: 欧米0/1000人。軍艦筑波169/300人疾患、25/300人死亡
→ 衣食住: 無相関、階級: 相関 + 食事: 相関 → 西洋食(海軍カレーが有名)に替え軍艦筑波就航すると脚気発生

1896 Eikman: 脚気-ビタミン関係
♦♦♦ 疫学は誤用・悪用されやすい(騙されやすい) ♦♦♦

学問以前の姿勢の問題も多 (政治とか経済とか)

健康に関係する国の調査

国勢調査・人口動態統計・国民生活基礎調査等 (一部) Ex. ↓利用例
国勢調査 national population census, NPC: 5年毎全日本在住者対象実施
1) 法令に基づく利用(地方交付金算定、議員定数決定等)
2) 行政施策利用(社会福祉、雇用対策、環境整備計画等)
3) 人口問題分析や学術研究等に利用(将来人口推計、平均寿命計算等)
人口動態統計 Population Survey Report
出生・死亡・死産・婚姻・離婚など人口動態事象を計量的把握
人口・保健衛生・文化水準指標とし重要な役割 + 社会保障資料となる調査
出生届等に基づき、市町村役場で人口動態調査票を作成し、最終的には厚生省に送付される(業務統計)
生命表 (life table)
作成基礎期間における死亡状況が一定不変と仮定した時、同一時点で発生した出生児集団が死亡減少していく過程で、各年齢の生存者が平均してあと何年生きられるか、定常状態の人口はどのような様相を示すか等を、死亡率、生存数、平均余命等の生命関数によって表現したもの
国民生活基礎調査 National Livelihood Survey
国民の保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を世帯面から総合的に把握
昭和61年を最初の調査年とし、以後3年目毎の各年に大規模調査をし、その中間年には簡易調査を行う。「健康票」自覚症状有無、通院・通所状況、日常生活影響等。調査対象は全国の世帯及び世帯員で、一地区が約50世帯になるよう設定された調査区から、層化無作為抽出した地区内全世帯

環境分野における疫学


曝露集団、個人?(何の曝露を測る?)
結果の利用生活指導?、規制等 (Risk Assessment へのデータ提供)
濃 度concentration、曝露 exposure、量 dose
→ 方法: 集団レベルの健康影響 = 統計学的調査法 – 疫学研究の進め方
a) 調査
= 母集団選定: 全数調査, 抽出標本調査 + 測定項目 → 指標化 Ex. 相対危険度・寄与危険度
b) 調査方法
記述的疫学調査
分析疫学的方法: コホート調査 cohort study = ある集団を追い続ける(cohort: 古代ローマ軍団の単位)

コホート = 同時成立集団 Ex. 同年出生
後向調査 retrospective study: 過去の資料・記憶を辿る
前向調査 prospective study

実験疫学的方法: 実験動物、介入調査intervention study
理論疫学的方法 ☛ 水俣病
研究デザイン: 健康影響の有無や程度の調べ方
地域相関研究 ecological study: 分析(観察)単位 = 集団 (≠ 個人)

Ex. 「横浜市」 = 「1人の人」
1. 記述研究  2. 集団比較研究  3. 経年変化研究  4. 変化率相関研究

断面研究 (横断的研究) cross sectional study (prevalence survey)
ある集団対象に、ある時刻での結果と関連が疑われる原因の有無を調査 → クロス・セクション(データ) cross-section
→ ある一時点で調査した個々人の状態記述 = (一般的に)因果関係議論困難
コホート分析 cohort analysis (疫学)
定義付けた1群の観察集団を未来へprospective長期(通常年単位)追跡
仮説で原因とする因子暴露-非暴露群に分け、疾患罹患率・死亡率等比較
1. 時間による分類

a) 前向きコホート研究 prospective cohort study
b) 後向きコホート研究 retrospective cohort study

2. デザインによる分類

a) 閉じたコホート研究 closed cohort study, fixed cohort study = 固定コホート: 観察集団を最初に固定し一斉スタート観察
b) 開いたコホート研究 open cohort study, dynamic cohort study = 動的コホート: 時間と共に追加観察

症例対照(ケース・コントロール)研究 case-control (retrospective) study
ケース群(疾患罹患患者)とマッチ(性別・年齢・喫煙歴等)するコントロール群(非疾患者)を用い曝露院試(危険因子 risk factor, RF)比率比較
→ 疾患発症後、RF暴露を後向き(過去に向かう)研究多
主に後向き研究 → 関心は過去の曝露(曝露評価に問題点)

オッズ比 odds ratio による検討
マッチング matching

Ex. DES投与と発癌: 胎児期のエストロゲン様物質DESへの曝露と膣上皮変化と次世代への影響
Diethylstilbesterol, DES: エストロゲン活性有する非ステロイド性合成化合物。1938年合成。受精卵着床忌避作用あり、性交後避妊薬とし使用された。この化合物が流産防ぐと誤認された頃に服薬した妊婦より生まれた女児に、遅発性膣明細胞癌発現があり、初めて胎盤通過性発癌性物質確認された → 膣癌: 通常稀、かつ発症50歳以上 → 1966-1969年 15-22歳の患者8人発生

デザイン: 出生記録もとに1:4マッチング(生年月日 ± 5日, SES) → 母親に対する面接聞き取り調査
調査項目: 出生時体重、初潮年齢、母出産年齢、流産経験(母)、エストロゲン投与歴(カルテ、処方箋)、両親の職業及び教育歴、他

考察: Selection biasの可能性(地域に留まっている)

以前に出血あり、流産した人に選択的にエストロゲン投与
DES以外の要因の可能性(出血なし、エストロゲン投与なくても発症)
患者姉妹から、現在まで癌患者なし(エストロゲン投与があったが)
↔ DESによる影響の可能性大

⇒ DES Study からDESAD Studyへ
Case-control studyからcohort studyへ(これまでのデザインに対する考え方)

Ex. 喫煙と肺癌 ☛ 事例

無作為(ランダム化)対照試験 randomized controlled (clinical) trial, RCT
治療等介入効果みる際、介入群と非介入群(標準薬・偽薬投与等含む)に分け、標本属する群を無作為決定し割り振り行う研究
Concealment of allocation: 介入群・非介入群振分けは事前には分からない
→ 2重盲検法double-blind method
N-of-1 trial
1症例に、実験的治療(新薬等)、通常治療、偽薬(プラシボ, placebo)を交互に一定期間投与し効果検討。治療は、両者の差が真か偽か判定できるまで反復cross over trial。可能な限り、患者と治療者に投与治療薬はマスクして行う。治療薬順番や期間等はランダムに決定
Cross over trial
治療法(介入)A, Bの効果 → 無作為に対象を2群に分け1群をAB順、他群をBA順で一定期間治療し比較。AB(BA)間切り替え影響減少に無治療期間washout period (rule-in period)を入れることがある
c) 因果関係検討
判断基準 criteria 確認: 関連一致性, 関連強固性, 関連特異性, 関連時間性, 関連整合性
環境要因に対する生体反応

medicine
量-効果Dose-effect関係
medicine
量-反応dose-response関係

1) 能動的な反応: 微生物(免疫・予防接種)、栄養、体育
2) 環境要因の量 Ex. O2も多量だと人体害(Hatch 1962)
量-効果関係 dose-effect relationship: 個体における、ある曝露と質的に明記された(量的)効果との関係
量-反応関係 dose-response relationship: 1群の対象(者)における、ある曝露と質的に明記された効果の量的な強さ示す、個人の相対的数(割合)との関係

(薬理学用語: 環境科学上はdose-response relationshipが重要)

許容範囲・閾値
  1. TLV(threshold limit values) 米・日 → ACGIH提唱
    ACGIH = American Conference of Govermental Industrial Hyginists
    通常作業時間における平均の度を問題

    = Time-weighed average(時間加重平均濃度)

    即ち、平均が許容内なら劣悪時を問題としない
  2. MAC(maximum allowable (acceptable) concentration)
    American Standard AssociationのZ-37委員会提唱
    劣悪時でも上限を越えてはならない
  3. STEL (short-term limit): MACの考え導入
  4. 国連(WHO)許容濃度
  5. Safe concentration zone (Permissible levels)

→ 問題: 解釈をTLV, MACどちらで行うかは国により異なる

耐用一日摂取量 tolerable daily intalte, TDI

一生摂取しても健康に有害影響ないと判断される一日あたり摂取量
WHO、各国において科学的(+ 政治的)知見に基づき設定
Ex. ダイオキシン(DXN) = 4 pg/kg/day
→ 最も感受性の高い胎児期における暴露による影響を踏まえ設定
発癌等の影響はより高暴露でないと観察されない
動物実験で得た結果を人に適用 → 安全見込1/10の数値に設定

研究傾向
1999-2001 研究: 疫学研究中心にDXNs (PCDD/F、Co-PCB)人体影響検討
高濃度汚染による健康被害 Ex. 事故、職業曝露 → 微量汚染影響へ移る

一般環境レベルでの健康被害影響の有無、影響の程度や量-反応関係(まだ少ない)

体内DXN負荷量直接測定研究↑ (量的曝露評価 → 精度確度面課題)
癌発生・死亡をエンドポイント → 糖尿病、その他疾患に関する議論増える

生殖影響や次世代影響 → 女性や小児を対象とした検討
PCDD/F: 小児のアトピー性皮膚炎、甲状腺ホルモン等
PCB: 乳癌、子宮内膜症、神経心理的影響等をエンドポイントとする研究

研究デザイン: 一般的コホート研究、ケース・コントロール研究枠組外増
Ex. DXNやPCB問題そのものへ論点移る傾向

= 高濃度汚染から低濃度汚染へ、死亡から疾患発症へ関心移る(等)
研究に適切な対象者選択難しくなり、新研究スタイル化 (推察)
→ バイアス(Ex. 選択バイアス)生じやすい。標本サイズ小さいのも特徴

高濃度曝露(IARCコホート、セヴェソ, Yuchengら)研究は、既知の知見と概ね合致
一般環境レベルでは健康影響認められない結果でも、曝露評価、小標本サイズ等の理由から信頼性低。後向き研究多く潜在的交絡要因と考える変数の入手困難。類似研究も考慮される交絡要因が異なる場合が多く交絡要因に何を考えるか論文から把握しにくい研究もある。結果解釈や研究比較をする際に注意が必要。結論的、と言うより従来考えなかった部位等への健康影響に対する第一段階的な検討結果と考える方が合理的

ケース・コントロール研究新デザイン
ネステッド・ケース・コントロール研究 nested case-control study
ケース・コホート研究 case cohort study
環境問題に関する後向き研究 → 前向き研究は稀だが、今後必要

環境疫学の問題点・今後の課題

方法論的問題
曝露評価(いつ、誰に何を、いつ測定、測定方法は、疾病評価 (何をもって影響ありとするか、評価の道具は), 妥当性validityと再現性repeatability, 因果関係 (予防という意味での因果関係)
実用上の目的
保健クライテリアの確立及び環境汚染防止計画に必要な情報を提供
予防及び抑制対策の有効性の評価
科学的知識の改善
疫学研究の後
→ 健康影響調べた - 次はどうする
1) リスク・アセスメント risk assessment → リスク・マネジメント risk management

有害特性明らかにし hazard identification、用量-反応関係求めdose-response relationship、人・環境への曝露量を示しexposure assessment、そこに生じるリスクの程度を明らかにする risk characterization
個々の(領域の)判断 → 統合型判断へ
環境基準(リスク・アセスメント、リスク・マネージメントの一例)
誰のリスクを下げる (全体 vs 高濃度曝露者)

2) 裁判: 疑わしきは罰せず? 罰する?

法的因果関係 vs 疫学的因果関係
集団の因果関係と個の因果関係

公害病 (pollution disease)


≡ 産業活動により排出される有害物質により引き起こされる病気
Ex. 大気汚染 - 喘息, s.l.. 揮発性有機化合物等吸引 → アトピー・アレルギー)
Ex. 水質汚濁 → 有機水銀中毒・カドミウム中毒
1950年代: 公害問題表面化
1960年代: 地域住民運動の対象 → 企業や国の責任を問う訴訟・裁判

四大公害病

高度経済成長期(1950年代後半-1970年)に発生した代表的4公害病
水俣病 Minamata disease
1956.05 新日本窒素工業附属病院(水俣市) 細川院長: 原因不明患者4名

Minamata
Ex. 水俣病: 湾の魚に因果関係

「伝染病」疑い対策(数年前から類似症状患者)
患者発生部落現地調査 - 患者多数確認 →
熊本大学医学部に協力依頼

1956.11.3 熊本大学医学部研究班研究報告会

喜田村正次(公衆衛生学): 症状から重金属(特にMn)中毒?
入鹿山且朗(衛生学): 患者漁師多 - 魚介類?(チッソ水俣工場排水)

1957 伊藤: ネコ7匹に水俣湾内魚介類餌 → 40日以内に全て発症
1957 世良: 健康ネコ8匹を水俣市茂道・湯堂の漁家で飼育 → 全て発症

← 患者増加 →

1959.07 熊本大学: 水銀説

実験動物に有機水銀混入餌 → 水俣病類似症状
水俣病死亡者脳内に高濃度水銀蓄積
(水銀は高価 - 当初、排水混入の可能性は無視され検査しなかった)

⇒ 魚屋組合: 水俣産魚介類販売停止 → 漁民チッソに補償請求
1959 チッソ排水口付替 → 水俣病発生地域広がる (乱闘事件)
⇒ 斡旋: 熊本政界 → 工場-漁民 "原因不明という前提で …"

排水放流損害 → 工場側: 全国波及を恐れる →

1959.09 化学工業協会大島理事 1950.11 東京工大清浦雷作: 水銀説否定
1959.10 細川: 酢酸工場排水でネコに水俣病発症 - 工場長により実験停止

1962 酢酸工場排水中のメチル水銀化合物がネコの水俣病の原因

1961-62 熊本大学: 各所でメチル水銀化合物確認
第二水俣病(新潟水俣病)
1964 第二水俣病: 新潟県阿賀野川下流で水俣病 - 26人発病、5人死亡
1695 厚生省疫学調査班: 昭和電工加瀬工場排水が原因

工場側: 新潟地震で流出した水銀農薬が原因

1967.04.18 厚生省特別調査班: 第二水俣病の原因は工場排水
イタイイタイ病 Itai-itai disease
1910's-1970's 神岡鉱山(岐阜県飛騨市)排出Cd → 富山県神通川汚染 →

汚染米・野菜摂取

四日市喘息
1955 大規模コンビナート誘致決定

硫黄酸化物 + 悪臭発生物 → 大量排出

1960 市民から煤塵・悪臭苦情 → 対策委員会設置、調査研究開始

苦情増 +
塩浜喘息: 気道性疾患(Ex. 気管支喘息)が磯津・塩浜地区多発

1963 マスコミ: 四日市喘息と呼ぶ
日本における他の公害病
カネミ油症 (1968年頃)
当初: カネミ倉庫製造米糠油(食用油) → 脱臭工程で使用PCB混入 → 発症
現在: 原因物質はPCB中微量混入DXN

海外

アマゾン水俣病: アマゾン川流域に発生している水俣病に似た水銀中毒

砂金採取に大量の水銀使用 → 金採掘業者に水銀中毒発生
流出水銀が河川・大気汚染 → 食物連鎖で地域住民健康被害(住民毛髪からメチル水銀高濃度検出)

大気汚染健康影響

急性影響死亡: 受診・入院、発作(喘息、循環器系)、肺機能
慢性影響死亡: 呼吸器症状、肺機能
Def. 環境基準 ≡ 健康保護及び生活環境保全上、維持が望ましい基準
大気、水、土壌、騒音を保つことを目標としたて施策実施目標を定めたもの

「維持されることが望ましい基準」 → 行政上の政策目標
健康等を維持する最低限度ではなく、より積極的に維持が望ましい目標

汚染進行していない地域では、少なくとも現状より悪化せぬよう環境基準設定
現在の科学的知見を基礎とし定める → 常に新しい科学的知見の収集、適切な科学的判断加え修正 日本: 環境基準定まる大気汚染物質と毒性 (環境基本法 1993)
  • 粒子状物質(SPM < 10 μm φ粒子) (特に小粒径): 炎症性変化(慢性気管支炎等)、アレルギー性変化(ハウスダスト等)、繊維・結節性変化、吸収による全身的影響(粒子吸着鉛等の吸収)、肺癌
  • 硫黄酸化物(特にSO2): 水溶性で大部分は上気道で吸収され、鼻粘膜・喉頭・気管支刺激症状。微小粒子状物質にSO2は吸着され肺深部到達
  • 一酸化炭素: 空気中COは肺胞から拡散し血球Hbと結合し一酸化炭素Hb (CO-Hb)形成 → 組織酸素不足
  • NO2 (窒素酸化物: 難水溶性 - 肺胞達しHNO2やHNO3になり刺激
  • 光化学オキシダント: 大気中窒素酸化物と炭化水素がUVで光化学反応し生成される強酸化力物質の総称
    健康障害(粘膜刺激 = 目・喉痛・息苦しさ、手足痙攣 - 運動時重症発生)
    植物影響: オゾン効果 → 葉緑素減少: SO2による相乗効果ある
  • ベンゼン: 発癌
  • トリクロロレチレンCCl2=CCl2: 生ゴム・硫黄等溶剤、殺虫剤、ドライクリーニング等
    テトラクロロエチレン(バークレン) tetrachloroethylene, C2Cl14: ドライクリーニング、金属洗浄、工業用溶剤等

    揮発性有機塩素化合物
    接触: 目、鼻、喉を刺激し、皮膚に繰り返し接触すると皮膚炎
    蒸気吸入: 眩暈、頭痛、吐気、貧血、肝臓障害等
    動物実験: ラット ×発癌性 vs ○マウス

(星野 1972)

瀬戸内海汚染
塩飽しわく諸島: 古くから漁場
1941 水島工業用地(三菱重工水島製作所) - 海軍戦闘機
1958 水島コンビナート: 三菱石油

大規模埋立、農業用干拓地工業用地転換 - 漁獲急激減少(藻場消失)

1964 坂出コンビナート計画

主汚染源: 火力発電所、石油(化学)工場、パルプ工場、鉄鋼工場、精錬工場、アルミニウム工場

1971 瀬戸内海汚染総合調査団発足 1972 瀬戸内の環境を守る連絡会
1973 瀬戸内漁民会議
1973 瀬戸内海環境保全臨時措置法 - 1978 特別措置法(恒久法)
粒子状物質に関する環境基準(日本)
微小粒子状物質影響疫学調査 (Japan Mortality Morbidity and Air Pollution Study)
1999 環境庁: 微小粒子状物質等曝露影響調査検討会疫学WG(5年計画)

曝露評価: 常時測定局データ、対象世帯屋内・屋外濃度、個人曝露量(量的評価可能に)
対象地域: 粒子状物質濃度(一般大気測定局)及び共存ガス状物質濃度情報に基づき選択
(幹線道路沿道地域別途検討)

調査対象者: 小児、成人(地域ベース、病院ベース)
健康影響

急性影響: 日死亡数、呼吸器系(喘息による救急受診数、喘息症状の変化)、循環器系(不整脈の発生)
慢性影響: 呼吸器症状が主、新たな指標の検討も

大気汚染物質の影響に関する量的な評価が可能なデザインを優先
エンドポイント、研究手法は複数の組み合わせ
研究デザイン、個人曝露評価、及び統計解析については研究班全体で共通のプロトコルに従って実施
アスベスト: 天然に産出されるケイ酸化合物 → 特定粉塵指定
保温性、耐磨性、耐熱性、耐薬性に優れ、保温材、建材等に広く使われた

学校建築物等の取り壊し時の飛散が問題 → 「大気汚染防止法」でビル解体手順が規定

微粉が肺に達すると肺癌、悪性中皮種の原因 - 使用禁止

[ 事例 ]

環境ホルモン (environmental hormone)


1980年代: DDT, PCB, DXN等合成化学物質 - 乳癌や肝臓癌原因物質

蓄積量は急性毒性を心配するほどではないため

1990年代: 環境ホルモン(通称) = 内分泌撹乱物質

→ 分泌ホルモン: 動物体内で細胞間情報伝達物質とし働く
「奪われし未来」(1996)発端
内分泌撹乱物質 = 合成化学物質中のホルモン類似物質 → 細胞間正常情報伝達撹乱

Ex. トリブチルスズ(船体塗料), ビスフェノール(簡易容器), DDT, PCB, フタル酸エステル, DXN
脂溶性化学物質は母親体内残留しやすく胎児でより危険性高い

→ ホルモン同様で数十-数百pg (1兆分の1 g)で効果発現
多くの動物で、雌雄分化は受精卵発生後暫く経ち分泌されるホルモン作用により、内分泌撹乱物質は胎児期における性分化を撹乱しやすい

生殖機能異常(精子減少)、雄の雌性化(下水含有屎尿由来女性ホルモン見解もある)、孵化能力低下

環境省: 約70 種の化学物質を環境ホルモンを疑う物質としリストアップ

DXN(環境ホルモン)研究注意点
TCDD/F?, PCDD/F?
曝露評価(曝露レベル、曝露群/非曝露群) → 誤分類 misclassification、健康影響評価にも
曝露はDXNのみか → DXNは「非意図的」生成物
追跡期間は十分 → 癌発症には長期間必要
一般集団曝露レベルでの健康影響 → 高レベル曝露予想される集団での研究のみ – 外挿可能か?
近年問題視: 生殖影響・次世代影響の知見少 → これまで問題視されなかった(検討課題)
DDT
殺虫剤とし開発され脊椎動物への急性毒性低い
難分解性、物理化学的、生物学的に安定で環境残留性高い
脂溶性高い
変異原性、催腫瘍性、催奇形性
DDT = 女性ホルモン様作用 → 環境ホルモン
DDE = ホルモン作用阻害物質く
一日摂取許容量: DDT 20000 ng/kg/day
有機スズ化合物
トリブチルスズオキシド(TBTO)、トリフェニルスズ(TPT)等、有機性置換基結合スズ化合物の総称
船底塗料や魚網の防汚剤として広く使用
含積性 → 成長阻害、白血球リンパ球異常 + 環境ホルモン
1990 化学物質審査規正法: TBTO = 第1 種特定化学物質、TBT = 第2 種特定化学物質指定

→ 全面禁止 → 現在: 湾内生息生物から高濃度検出 + インポセックス

インポセックス: 巻貝等に見られる生体異変でメスにオスの生殖器官が形成される現象 Ex. イボニシ(巻貝)
ポリカーボネート
使用量多いエンジニアリングプラスチック(高性能樹脂)の1つ
耐熱性・強度に優れる
原料にビスフェノールA使用 → 食器等使用時にビスフェノールA溶出懸念

非意図的生成物質

化学物質生成時に目的物質以外に生成される化学物質で無益か不利益をもたらす物質
Ex. DXN: 燃焼で有機物質がCO2とH2Oに分解する過程で生じる有害物質
Ex. コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)

ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)・ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)類似生理作用示す全PCB類
DXNs対策特別措置法でいうDXNsに含まれる

メンタルヘルス (精神保健) (mental health)


こころの取扱い説明書

自分のこころも相手のこころも大切に

素直に自信をもって
やさしくこころを開いて …

共感

ありのままの自分を大切に

自分のことも
自分以外の生命体のことも慈しむ

こころが元気な時
  • 人の優しさに触れたとき
  • 自分のことを受け入れてくれたとき
  • 自分が評価されたとき
  • 冗談がウケたとき
  • 美味しい物を食べたとき
  • 達成感を得られたとき
  • ありがとうと言われたとき
こころが元気のないとき
  • 人から否定されたとき
  • 無視されたとき
  • 自分が評価されなかったとき
  • 笑いがとれなかったとき
  • 自分のことを「ダメだ」と思ったとき
  • 他人と自分を比較したとき
  • 自分の気持ちが相手に伝わらなかったとき

制作: CBGT second group (NATTOO)


【セルフケア アドバイス】
ストレス解消には、様々な方法があるが、日常生活に簡単に取り入れられる方法として、
  1. 楽しむという感覚の適度な運動(ストレッチや散歩など)
  2. 快適な睡眠
  3. 笑うこと
  4. 趣味の時間を大切にする
などがある。
快適な睡眠に必要ような時間は個人差があるが、起きた時に気持ちがいい睡眠、日中に眠くならない睡眠をとることが大切。就床前4時間の飲酒やカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙やPC, スマホなどのブルーライトは避け、不眠になりがちな人は軽い読書、音楽、温めの入浴、筋弛緩トレーニングなどリラックスすると入眠しやすい。自分に合った方法を見つける。また、笑うことは免疫力を高めストレスの解消に繋がると言われる。
趣味は仕事から解放される実感が、仕事への意欲も高め、また、趣味を介した、仕事とは関係のない人々との交流は、新たな人間関係を生み、生活の幅を広げる。

ストレス (stress)


原因: 環境・体質・思考様々で特定困難 →
反応 = 逃避か闘争反応“flight or fight response”- 恐怖への応答
徴候
  1. 生理的: 肥満、高血圧、食欲不振、心臓発作、疲労感fatigue、睡眠不足、頭痛、痙攣spasms等
  2. 精神的: 不安感、不信感、倦怠感、抑圧感、疎外感等

2012年3月8日講演ノート

時期
入学直後(春先)・修了前(論文執筆時) → 他の季節にも少なからずあり、常にあると思った方がよい
傾向: 自大学出身者よりも他大学出身者に多い → だとすれば構造的問題

追い込まれる環境が作られている ☛ PM理論

解決のために
  • 自殺対策 → まず、自殺者は「鬱」であることを知ること
    きっかけ: 価値あるものを失う  苦しい時にサポートがない
  • 自殺予防策: 可能性予見困難 「食べてるか?」「寝てるか?」という声かけ
  • その他: 対話は具体的に
  • やむを得ない場合(その方が良いと判断できれば): 休学復学援助

平成28年9月14日

自殺

各部局等の長 殿                                                   理事・副学長 新田 孝彦

学生の自殺防止対策の対応について (依頼)

学生の自殺防止対策につきましては,日頃より多大なご尽力をいただいているところですが,今年度においては,学生の自殺が続いている事態となっており,喫緊に自殺防止対策について全学的に徹底した対応をする必要があると考えております。
つきましては,貴部局におかれましては,平成28年5月6日付け「学生の自殺防止対策について」の依頼事項及び全学的な自殺防止への取組状況を再確認いただくとともに,下記のような学生に対する日常的な教育的対応について教職員に周知・徹底いただきますようよろしくお願いいたします。

  1. 「危機状態」学生にいち早く気づく日常的な教育的対応 - 変化に注意
    • 欠席・遅刻・早退増,成績下降
    • 自分本位や奇妙な論理、判断、妄想、衝動的、決断力欠如
    • 無関心、自閉、攻撃性,感情変化,服装・身嗜み(不潔、怠惰)、孤立
    • 風邪や腹痛などの症状が出やする,治りにくい
    • 窓口で気になる様子(頻繁に訪れる,沈みがちな表情,意気消沈した様子,焦燥感等)
  2. 「危機状態」にある学生が孤立しないよう行う日常的な教育的対応
    • 様子をみて,声をかける →
      率直に心配だと伝え,学生が安心できる場所でゆっくりと話を聴く
      学生視点に立ち,学生の心情を理解しようと試みる
      無理に話を聴きださず,否定しない,説教をしない
      結論を急がず,一緒に考える
    • 声掛け等,日頃から関係づくりを心がける
    • 相手の意向を尊重したサポートを心がける
  3. 学生相談室等の専門的支援機関への日常的な教育的対応
    • 窓口等で気になる学生がいたら,その学生の所属長やクラス担任等に様子を伝え,対応を依頼し,引き続き見守る
    • 気になれば,学生の所属長やクラス担任等に相談し対応
    • 必要に応じ,学生相談室等の専門的支援機関に連絡,対応相談
  4. 最終学年の学生の悩みへの対応
    • 最終学年は,進路未定や就職困難・未定等、心理的荷重かかり,自殺生じやすい時期であり,上記1-3の対応の流れの中で,本人の意向を尊重しつつ,関心をもって相談相手となるよう努める
    • 新学期や年度末,卒業や単位取得,学位論文の執筆など環境の変化が要因となる時期も同様に対応する
【本件担当】 学務部学生支援課学生支援企画担当

テクノストレス


(墨岡 2011)

テクノ不安症
緊張状態でコンピュータ作業継続すると表れるストレス

初期症状は目が多 → 眼精疲労(2週間で視力異常低下事例) → 赤信号
頸肩腕症候群: 前屈み姿勢とマウスの使いすぎが主な原因

肩凝り原因 = 肩血行不良以外ありえない! → 問題はその要因(ストレスでもでる)

重度テクノ不安症: カウンセリング必要

テクノ依存症
コンピュータに関わりすぎ、自我が機械的になり、直接的人間付き合い困難

対処法

照明・採光: 眩しさ感じない → 鉛直面 < 500 lux、水平面300-700 lux目安
高輝度光源がディスプレイ画面に映り込まぬよう対策講じ、グレア(眩しさ)防止
椅子、机又は書見台等は適正な姿勢保持ができるよう調整
視距離(ディスプレイと目の間隔)は40-60 cmが目安
ディスプレイやキーボードは文字が読み易く、画面上端は作業者目の高さより10度以下(目上向 - 乾きやすく目に埃がつきやすい = ドライアイ)
連続作業: 1時間を目安に10-15分の休憩。休憩時は適度な動的運動行なう

ストレッチ体操、ウォーキング、マッサージ・つぼ刺激、食事、入浴

健康管理面 = 定期的に健康診断 / 職場体操 / 労働衛生教育
食事
ビタミンAとB群の摂取を心がける
ビタミンA: 目の角膜や網膜の細胞・粘膜を正常に保ち、涙量を一定に保つ働き → ビタミンDや油脂と一緒に摂取すると吸収効率が高まる
ビタミンB1: 軽度欠乏 = 軸精視神経炎、眼精疲労誘発(極度の不足 = 脚気)
ビタミンB12: 不足 = 皮膚・粘膜の炎症を誘発 → B群は水溶性であるため過剰分は尿にて排出されるので過剰摂取の心配はまずない
アントシアン: ロドプシン活性化し視覚機能高める → 視力回復や眼精疲労予防効果(ブルーベリーに豊富)

[ 騒音 ]

騒音ストレス (noise stress)


noise
- - -▶ 抑制. -----▶ 促進. 影響

図. 騒音の人体影響: 騒音影響のルート模型 (長田 1973)

ストレッサー stressor: 騒音・低周波
_____
_↓ [大脳皮質-辺縁系]
_____
[ 視 床 下 部 ]
_______
[下垂体] [脳幹 → 脊髄]
______________ ___
[内分泌系] [自律神経系] [体性神経系]
________________________
[生体反応(ストレス反応): 循環・呼吸・代謝・免疫機能等変化]

図. 人体影響発生機序

低周波騒音 low-frequency noise

特徴: 不定愁訴多*、個人差大

* 疲労・不眠など体調不良だが明確な症状は無く病名不明となる症状

苦情
心理的苦情: うるさい・いらいら等

G特性音圧レベル > 100 dB ⇒ 低周波音を感じる

生理的苦情: 頭痛、耳鳴り、吐気、胸部腹部圧迫感等

超低周波音の直接的人体影響は検証されていない
圧迫感・振動 ≈ 40 Hz ⇒ 特に強く感じる

睡眠影響: 入眠妨害、睡眠浅度化、覚醒等

≈ 10 Hz/100 db or 20 Hz/95 ⇒ 浅眠に影響(追試必要)

物的影響: 低周波音による共振 - 建具振動・移動、ガタツキ等

建具固有振動数 ≈ 2-20 Hz

[ 風力発電 ]

風車騒音

発生源側 emission______________受音側 immision <受音点>
__[風車 (騒音源)] ⇒⇒⇒ <伝搬> ⇒⇒⇒ [ 家 屋 ]
____________________________背景騒音(残留騒音)
←←←← 物理的現象 →→→→→ [ 生理・心理・社会的要因 ]
風況______________
音響パワーレベル______________アノイアンス(煩わしさ) annoyance
時間的変動特性_______________睡眠影響
純音成分____________________社会的要因
距離減衰____________________暴露-反応関係
地形________________________騒音評価指標
気象________________________

stress
超低周波 (知覚できない) -------|----------------------------------------- 騒音

図. 風車騒音。全国29風力発電施設周辺の164ヶ所で測定
20 Hz以下の超低音領域は、全て知覚閾値を下回る → 風車騒音は超低周波音ではなく、可聴周波数範囲の騒音の問題

風車騒音の人体影響 (研究中)
• 風車騒音レベルと煩わしさ annoyance - 相関
• 睡眠影響 - 限定的
• 聴力、頭痛、耳鳴、糖尿病、高血圧、循環器疾病 - 不明
• 景観等も人体影響に関与する

不眠症


ご存知ですか?

不眠症の4タイプ
監修: 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所部長 三島 和夫
  • なかなか寝付けない(入眠障害) ... 眠りにつくのに30分-1時間以上かかり、苦痛に感じる。
  • 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒) ... 夜中に何度も目が覚め、なかなか寝付けない
  • 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒) ... 朝早く目覚め、もう一度寝ることできない
  • ぐっすり眠った気がしない(熟眠障害) ... ぐっすり眠った感じが得られなかったり、眠りが浅いと感じる
不眠症のタイプ別の有病率を見てみると、全体的には夜中に起きてしまう方(中途覚醒)の割合が多く、この頻度は年齢が高くなるにつれて増加すると言われています。症状によって服用するお薬の種類も異なる場合がありますので、気になる症状がある場合は、「寝つけない」、「夜中に起きてしまう」といった不眠症のタイプをしっかりと医師に伝える
● 睡眠薬を安心して服用するために
- 気になったら相談 -
睡眠薬服用に対する不安と主な理由
依存症があり止められなくなる: 43.5%
止められなくなってしまわないか心配
睡眠薬を服用していると、止められなくなることを心配する人が少なくないが、不眠症治療には、まず医師の指示の通りに薬を服用することが重要。自分の判断で急に中止すると、不眠が悪化することもあり注意必要。服用薬の種類によって止めやすさも異なる。医師に相談。
効果がなくなる(量が増える): 23.0%
薬の効果がなくなる(量が増える)ことが心配
薬の種類により飲み続けると効果が弱くなりやすいものと、なりにくいものがある。医師に不眠症状をきちんと伝え、自身にあった治療を受ける。薬を飲んでいる場合は効果が弱くなったからといって、自身の判断で薬を飲む量を増やさない。薬の効果が弱くなってきたと感じたら医師に相談。
不安な点はない: 22%, わからない: 15%, 翌日に眠気が残る: 13%
翌日に眠気が残ることが心配
特に高齢者は、翌日のふらつきや眩暈に注意必要。ただし、不眠だと逆に夜間トイレに起きた時などに転倒する危険高まるので、しっかりした治療重要。年齢により使いやすい薬が異なる場合がある。気になる人は医師に相談。
三島和夫「睡眠薬に対する日本人の意識調査」結果
平成21年度厚生労働科学研究・循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業 [一部改変]

良質な睡眠を確保するために生活習慣を改善すべき
  • 最適な就寝時刻: 就寝時間早すぎると不眠症状悪化することがある。寝床で眠りを待つのではなく、眠気が強くなってから寝室に向かう。寝室での読書・TV・ラジオは眠り妨げる
  • 就寝前の酒: 飲酒は逆効果。一時的に寝付きはよくなるが、徐々に効果弱まり、夜中に目が覚めやすくなる
  • 就寝前のカフェイン: 就寝4時間前以降はカフェイン摂取しない。寝付きにくくなったり、夜中に目が覚めやすくなる
  • 定期的な運動: なるべく運動。心地よい疲労感を得ると寝つきよくなり、睡眠深くなる
  • 寝室環境: 寝室を適当な温度に保つ。快適な環境で眠ることが良い睡眠得るために重要
  • 就寝前喫煙: 夜は喫煙避ける。ニコチンには精神刺激作用がある
  • 就寝前水分: 寝る前に水分取り過ぎない。夜間にトイレに行く必要がある

健康管理 (health control)


副反応 adverse event: 通常見られる反応 Ex. 軽い発熱、倦怠感、接種部の発赤・腫脹
副作用 side effect: 異常な反応 Ex. 痙攣、ショック状態、アナフィラキシーショック

化学物質過敏症 (chemical sensitivity, CS)


化学物質原因で1種のアレルギー的反応

Ex. 頭痛・手足冷え、不快感、疲労感等の症状

殺虫剤、除草剤、ホルムアルデヒド、食品添加物、芳香剤、金属、排気ガス等が含む化学物質原因
  1. 過去に高濃度曝露 → 過敏 = 微量でも発症
  2. アレルギー誘発濃度よりかなり低濃度で発症する
杉並病: 井草森周辺環境問題 = 1996年頃から東京都杉並区都清掃局杉並中継所周辺住民不調訴える

視神経異常等化学物質過敏症類似症状 → 杉並不燃ごみ中継所が原因物質発生源? → 住民運動
2000: 硫化水素が原因物質との都見解出たが詳細未詳

1) シックハウス症候群

新築住宅原因で起こる健康被害全般
入居 → 時間経過 → 下痢、喘息、皮膚炎、長期微熱等の症状
推定原因: 特定困難 → 建築木材、壁紙、接着剤、塗料等含有のVOC(揮発性有機化合物)やホルムアルデヒド等化学物質が単独か複合的に作用
対策: VOC非使用材料利用 + 新築後1ヶ月程度経過後に入居 + 部屋暖め化学物質除去

建材メーカー: 健康被害ない材料開発急ぐ + トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン安全基準設定

ホルムアルデヒド: アルデヒド類の1種で刺激性気体(CH3OH + 銀・銅触媒酸化 → ホルムアルデヒド)

合成樹脂原料等に利用

ホルマリン(40-60%ホルムアルデヒド): 化学物質過敏症、シックハウス症候群の原因物質

= ホルムアルデヒド水溶液 → 防腐剤・消毒薬

2) 花粉症 (pollen allergy)

植物花粉原因のアレルギー性鼻炎

本州: スギ・ブタクサ等

→ 季節性 Ex. スギ花粉症: 花粉飛散する2-5月にくしゃみ、鼻水、目充血・かゆみ、流涙等の症状
花粉症 = 環境要因 × 体質的要因 (相互作用)
  1. 花粉症は大気中粉塵により悪化する → 大気汚染と関連深い
  2. 都心部はアスファルトに覆われ花粉飛散状態であることが遠因
  3. 同じ環境にいても花粉症になる人とならない人がいる → 体質的問題
その症状は カゼ? それとも 花粉症!?
☛ 北海道 主要種花粉飛散時期 (pollen dispersal periods)

毎年同じ時期に、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみなどの症状が出る。カゼと賞状が似てるので気をつけたい
要注意: シラカンバ、牧草類 (特にDactylis glomerata)

シラカンバ花粉: バラ科花粉とタンパク質組成類似

バラ科の果物を摂取すると口腔アレルギー症候群を合併することがある

イネ科花粉 (イネ科花粉症): 多くのイネ科牧草 - 長期にわたり飛散

喫煙 (smoking)


人体に与える影響 → それまでに吸い込んだ煙草の煙の総量と密接に関係

喫煙指数 (ブリンクマン指数): 喫煙本数/日 × 喫煙年数

吸い方等、条件差はあるがが、吸入量の目安として用いられる

Ex. 自分 (2014): 20 (本) × 34 (年) = 680. (2023) 18 × 43 = 774

≥ 400: 肺癌増加
≥ 1200: 喉頭癌(日本人研究例あり) = 非喫煙者の6倍(♀)と8倍(♂)

ニコチン依存症 (1) 脳ニコチン増加 2) 脳ドーバピン放出 (3) 快感・快楽

(4) 時間と共にニコチン欠乏 (5) ドーパミンによる快感回復にニコチン切望 (6) [禁煙すると] タバコを吸いたい、イライラが生じ、我慢できない

副流煙
(1) アルカリ性 = 刺激が強い → 鼻水、くしゃみ、咳を誘発
(2) 一酸化炭素多 → 心筋梗塞

COPD (慢性閉塞性肺疾患)

= 慢性気管支炎 + 肺気腫
肺疾患: 気管支に慢性的炎症生じ呼吸機能低下
原因 = 喫煙が90% (喫煙者の20%) → 治療: まず禁煙

飲酒 (potations)


本学学生の過度な飲酒による救急搬送が後を絶たない。死にそうな目に遭う前に、取り返しのつかない事態になる前に、きちんと知っておくこと?
自分の体とお酒について ---
未成年者の飲酒が法律で禁止されるのは理由がある
  • 発育途上の脳神経細胞を破壊し、脳萎縮を早くもたらす危険がある
  • 性ホルモンに悪影響を及ぼし、勃起障害・月経不順等をおこすことがある
  • 飲酒に対する自己規制きかなくなり易く、将来アルコール依存症になる確率高まる
成人しても、無限には飲めない。アルコール分解能力には個人差がある
酒は肝臓で分解される: バドワイザー如きでも、中ジョッキ1杯(500 ml)を体内で消化するには4時間かかる。※体格・体質・体調による
alchohol
アルコール脱水素酵素アセトアルデヒド脱水素酵素の量は、遺伝的なもので、飲酒で慣らして増やせるものではない。アセトアルデヒドは人体有害物質。分解しきれずに毒素が体内を巡ることで中毒症状を引き起こす

自分の体質を調べる
アルコールパッチテスト
北海道大学保健センター 所要時間20分程度(要予約) 予約受付 TEL: 011-xxx-xxxxx

北海道大学教務部学生支援課 (2018.9.3)

[ 微生物学 | 菌学 | 消化器系 ]

腸内細菌 (gut bacteria)


1885 Escherich Teodor (独-米): 乳酸菌発見
1899 Tissier, Henri (パスツール研究所): ビフィズス菌発見
1900 Moro, Ernst (豪): アシドフィルス菌発見 + 微生物生態研究
1934-1944 小林六造: チフス菌研究
1945 Reyniers JA (米): 無菌動物飼育装置開発

腸内細菌なしに動物は成育可能 - 栄養、免疫、感染研究に応用
無菌動物飼育で腸内細菌機能に関して得た知見

無菌動物は通常動物よりも長命
ソテツの実: 通常動物肝癌誘導 ↔ 無菌動物は発癌しない
無菌動物は生体防御組織発達が劣る

サンプリング
※ 嫌気性細菌が主 - 空気接触で直ぐに死滅する種も存在

炭酸ガス注入等により空気接触を断ち低温保管

腸内フローラ gut flora (intestinal flora)

= 腸管内常在細菌 (多系群) - メタゲノム解析により進展
腸内環境 = 嫌気性 (腸内細菌 > 99%%)
正常人: 100兆-1000兆個(3万種)生息 = 1.5-2 kg

Archaeaの1門(Euryarchaeota)、Bacteriaの4門(Firmicutes, Bacteroidetes, Actinobacteria, Proteobacteria)が菌叢の殆どを占める

大腸菌群
腸球菌: Enterococcus
乳酸桿菌属: Lactobacillus (L. acidophilus)

細菌生息数: 皮膚 = 1012個、口中1010個、腸管中1014

動物: 食性(肉食性、草食性、雑食性)により腸内フローラは大きく異なる

嫌気性細菌(バクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性レンサ球菌等)が優勢菌叢は共通 + 乳酸菌

腸内細菌種数
= 年齢・健康状態で変化 + 個人差・集団差
母親体内 = 無菌環境: 誕生直後新生児腸内用はほぼ無菌状態

誕生翌日糞便: 大腸菌、腸球菌、乳酸桿菌、腐敗菌、ブドウ球菌等
母乳栄養児と人工乳栄養児では腸内細菌叢が異なる

人工栄養児は消化不良、赤痢、風邪等になりやすい

母乳: 単純構成でBifidobacterium優勢 - 数日で新生児腸内出現

+ 5日目頃には新生児腸内でも優勢 → 安定した菌叢形成

ただし母親と新生児が持つビフィズス菌は種が異なる
腸内細菌侵入経路: 口? + 肛門?

+ 大腸菌、腸球菌、乳酸桿菌、腐敗菌、ブドウ球菌等減少

離乳期: 混合栄養 - ほぼ成人の菌叢に近づく

ビフィズス菌も成人型に近づく

老年期: 壮年期過ぎると再び変化

ビフィズス菌検出率低下、ウェルシュ菌増加

Def. 正常腸内菌叢: 健康な動物の腸内菌叢 大腸内菌叢安定

通過菌: 数日間のみ腸内で観察 - 排除される
定住菌: 長期間に渡り腸内に観察 - 原住菌叢: 宿主腸内に適応

健康状態・食物・薬物・気候・ストレス等の病気、老化等で異常発生

腸内構成細菌は数も多く、酵素活性も酵素種類も肝臓を上回る
毎日摂取される食物成分や腸内に分泌・排泄される生体成分は、これら酵素により変換され宿主に影響

機能
  1. 外来病原菌のバリアー: 増殖防止、宿主免疫機能刺激
  2. 食物消化吸収補助: 食物繊維消化し短鎖脂肪酸産生
  3. ビタミン合成: B2, B6, B12, K, B9, B5, B7生成
  4. ドーパミン・セロトニン合成
  5. 免疫: 腸内細菌と腸粘膜細胞とで免疫力の70%を作る
有害面: 腸内で有害物質を生成

腸球菌

哺乳類腸管内常在菌の中で球菌: 人間腸内から一般的に検出 - 通性嫌気性でグラム陽性の連鎖球菌

「ランスフィールド分類のD群」約20種: 医学・衛生学的分類 ≠ 分類群
Ex. Enterococcus: E. faecalis, E. faecium, E. avium, E. casseliflavus, E. gallinarum, E. flavescens

外界で増殖しにくく糞尿汚染ない限り水や土壌には殆ど分布しない

分類から見た腸内細菌大別

芽胞菌(多くはグラム陽性菌)

好気性 ___ バチルス
嫌気性 ___ クロストリジウム

無芽胞菌

グラム陽性

桿菌

大部分は好気的に発育し乳酸産生 ___ ビフィズス菌
プロピオン酸産生 ___ プロピオニバクテリウム
他 ___ ユウバクテリウム

球菌

好気性

双球菌 ___ レンサ球菌
ブドウ状 ___ ブドウ球菌

嫌気性

単在またはレンサ状 ___ 嫌気性レンサ球菌
八連球菌 ___ サルシナ

グラム陰性

桿菌

好気性

糖を発酵 ___ 腸内細菌科
糖を発酵せず蛍光色素生成 ___ シュードモナス

嫌気性

短桿菌または長桿菌 ___ バクテロイデス
湾曲状または短い螺旋状 ___ 嫌気性ラセン菌
スピロヘータ ___ ボレリア、トレポネマ

球菌(嫌気性)

小球菌 ___ ベーヨネラ
大球菌 ___ 巨大球菌

機能的分類
乳酸菌 vs 腐敗菌

乳酸菌: 通気嫌気性か偏嫌気性 - 腸内固有乳酸菌も知られる

ホモ発酵乳酸菌: 殆ど乳酸のみを生産
ヘテロ発酵乳酸菌: 乳酸に加え酢酸、エタノール、炭酸ガス等も生産

病原菌 vs 非病原菌
ビタミン生成菌 vs ビタミン消費菌

眼精疲労 (eye fatigue)


目の奥の痛み
見落としがちな眼精疲労と眼の病気

頭痛は緑内障、ブドウ膜炎等の眼の病気からも起こる = 眼精疲労も頭痛のきっかけ

肝経: 眼に強い影響力を持つ経路 → 障害 → 普段から眼がしょぼしょぼとし疲れる/すぐ充血し頭が痛む
+ 肝経とともに膀胱経も障害を受けやすい


医療クイズ: 次のことは絶対にしてはならない。なぜか。

自動車運転中吹雪になり先へ進めなくなり停まった。瞬く間に自動車の屋根の高さ位まで雪が積もったが寒いので窓を閉めエンジンをかけ暖房した

夏海水浴に行くため弁当屋へ行ったら丁度店員がおらず、ネズミが弁当のおいてある机の上を走ったのを見た。弁当の金額だけお金を置いて、弁当を持って海へ出かけた

フィリッピン、ベトナム旅行の際、機会があり釣りをした。フグを釣ったので、肝臓・卵巣を注意深く取り除き、筋肉の部分のみ食べた

恋人と森の中を歩いていたら共に指にトゲが刺さった。刃を持っていたのでまず恋人の指を切開し深く刺さったトゲを取り出してあげた。そのまま同じ刃を用いて自分のトゲを同様に取り出した

ガーデン・パーティー準備で御握りを作る人がいないので、指先がちょっと化膿していたが痛くないので手伝った

大掃除で、80歳のお祖父さんに簡単な梯子に登り壁上部の塵を払うよう頼む

実験室で油で汚れた機械(Ex. 真空ポンプ・エンジン)を分解掃除した。ベンゼンが大量に余っていたのでベンゼンを洗面器(槽)に満たし、それで洗った

古釘が足裏に刺さり出血したが痛くはないので古釘を抜いたのみで放置した

無菌ウジ(蛆)療法 maggot debridment therapy
治療法: 2 mm位の幼ウジmaggotを傷口に植えつけ → 傷の汚い部分ウジ採食 → 無菌的傷掃除
1930代: 医学論文で効果報告
1990代: 抗生物質耐性細菌増加 → 抗生物質使わない無菌ウジ療法再認識
2003: 足の糖尿病壊疽に無菌ウジ療法成功 Ex. 糖尿病壊疽で足切断必要重症患者が切断免れる
ウジ: 昆虫ホルモン出し傷修復刺激を傷に送る → 傷回復促進・殺菌作用

低治療費(豪州産養殖無菌ウジ1匹数百円)、副作用なく無痛(麻酔不要)

破傷風 lockjaw, tetanus


破傷風菌: 土壌内嫌気性常在菌 → 殆どの土壌中に生存
毒素: 破傷風毒素はボツリヌスに次ぐ地球上に存在する最強毒素で1 gで成人600万人殺せる
原因: わずかな擦り傷でも原因 = 嫌気性菌 → 開き傷より釘を踏んだような狭く深い傷が原因となること多
創洗浄を行いづらいことも関係
ピアス、虫歯、臍のごまで密閉された臍での報告。外傷がない症例も認められる
初期症状: 肩こり・口開きづらい → 病院
小児は転びやすくなる。排尿・排便障害も早期出現。翌日には全身硬直、痙攣、腱反射亢進見られる。中枢神経系緊張・興奮 + 自律神経症状。涎を流し、汗をかき、頻脈となる。更に血圧が乱高下する。重傷度は時間で判断する。外傷から初発症状の出る期間、または開口障害から痙攣が起こるまでの時間が短いほど重傷で死亡することもある

急性虫垂炎


= 盲腸、虫垂炎 → 虫垂の急激な炎症
[症状] 臍周囲に急激な腹痛や疝痛 + 著しい体重減少や食欲減退(食思不振)
虫垂炎症進行 → 痛みは次第に右下方に移り(腹部右下)、マックバーニー点という虫垂の正確な場所に痛み集中(臍から右腰骨まで線を引き三等分 → マックバーニー点は臍から2/3の所)

胃酸過多


制酸成含有薬: タナベ胃腸薬U分包、イノセアグリーン、センロック顆粒、パンシロン01、サクロン、ガストール顆粒、シグナル胃腸薬グリーン
制酸成分(炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル等)は、併用薬効果低下させる恐れ。炭酸水素ナトリウムは、ナトリウム摂取制限者は服用避ける。水酸化マグネシウム等は、下痢の副作用。乾燥水酸化アルミニウムゲル等は、便秘の副作用
[身近な野菜で"胃腸薬となる食材]

歯槽膿漏 (pyorrhea alveolaris)


ファンギゾンシロップ
真菌(カビ)殺菌薬
消化管にカンジダ菌(真菌)増殖時 → 消化管から殆ど吸収されない = 全身的真菌感染症に効果なし
歯槽膿漏: 通常の歯磨き後、シロップを直接口にいれ、その状態で歯ブラシ等で口中に満遍なくシロップを行き渡らせる。30分間うがいをせず放置し、シロップを飲み込む
大体1週間で歯茎に違いが出る
事前に歯科医院で歯垢や歯石を取っておくと効果的

Ewald (2000)

粉瘤(アテローム) atheromatosis or fatty deposit


体中至る所にできる
皮膚からドーム状隆起とゴム鞠を押す感触 → [原因] 表皮でできた袋あり、その中に垢と脂が蓄積

→ 細菌感染が起こると急に大きくなり痛む → 化膿もある

大きさ: 小さいものからニワトリ卵大(更に大きいことも)
治療: 細菌感染時は抗生物質を内服 + 化膿時は切開・排膿(+ 非感染時に手術により切除)

関節障害


  • 関節痛: 激-軽。1関節かr多関節が痛む場合 - 冒されやすい関節 ? 診断の手掛かり
  • 慢性関節リウマチ: 普通2以上の関節侵される。中等度の痛みで、日により腫れに強弱、随所の小、中関節が腫れて痛むこと多
    手指では指付根関節、真中の関節侵されやすく、朝起きた時、手強張る。指末端関節だけ痛む時は別の病気も考える(ヘバーデン結節)
  • 変形性膝関節症: 高齢者が朝起きるとき膝が痛み、少し運動するとやや良くなる時にが考えられる
    関節が痛み起こる病気。一般に静止状態から運動開始時が痛いのは年をとり関節が痛んできた兆候
  • 五十肩: 中年以後で、帯を結ぶ、髪を梳かす等の格好で肩が痛む
    平常殆ど痛まないが、運動時急に激痛に襲わたりする。膝肘に多く、関節中に遊離骨や軟骨あり、これが急に関節面間に挟まった時の症状。膝関節に”半月”(軟骨)クッション介在し、半月に断裂が起こると似た症状
  • 淋菌性膝関節炎: 激痛が特徴(僅かな振動で泣き叫ぶほど痛い)。激減
    股関節痛みを膝関節痛みに感じることがある。子供では、膝痛を訴える時は、股関節病も考える。膝関節や肩関節の骨は肉腫できやすく、外見で腫れている時は遅過ぎることがある。初期症状は、多くの場合、関節鈍痛。区別は、初期は困難で検査要する
  • 関節骨軟骨腫症: 関節包む滑膜の細胞が軟骨に変わり(化生)、発育しアズキ-ソラマメ位の大きさになり関節中に脱落し、痛み、運動制限等を起こす。関節遊離体を作る原因の一疾患で、膝に多いが、股関節や肘関節にもみられる。できる時は多数の軟骨の固まりができ、大小も様々で、あるものはまだ滑膜の中にあり、あるものは関節中に浮遊している
    痛みが強くなると手術で滑膜ごと全部取り去る必要

痛風

血液中高尿酸値状態が続くと、尿酸が原因で関節炎が起ったり、腎臓が侵される病気 日本: 昭和30年代から増加 → 現在患者約50万人(いつ?) 中高年男性に多(99%男性)。最近30代発病最も多く若年化傾向

→ 女性ホルモンに腎臓からの尿酸排泄促進作用があるため
閉経後女性ホルモン分泌減ると尿酸値上昇し50歳越えると男女尿酸値の差は小さくなる

行動的、大食い、酒飲みという"エネルギー出入の大きい人"がかかる傾向

高血圧、動脈硬化をはじめ、様々な成人病の誘引となり早期治療が大切

飽食時代の病気: 栄養事情良い増え、戦争等で栄養事情悪化すると減少

日本の痛風患者増加背景: 食事内容欧米化し動物性蛋白質摂取量増加。飲酒量増加、社会構造変化により個人行動パターンが変化等

診断: 状況判断で概ね可能 → 9項目中6以上あてはまればまず痛風
  1. 症状出てから1日以内にピ-ク
  2. 以前に同様な症状
  3. 1関節だけに症状
  4. 関節部位が赤くなる
  5. 関節が腫れる
  6. 足親指付根関節に激痛、腫れ
  7. 片足親指付根関節に炎症
  8. 片足足首周辺関節炎症
  9. 血液検査で高尿酸値

糖尿病 (diabetes or diabetes mellitus, DM)


= 消渇 (東洋医学)
血糖値やヘモグロビンA1c (HbA1c)値が一定基準超えた状態
1型, ICD-10:E10

ランゲルハンス島でインスリン分泌β細胞が死滅する病気

2型, ICD-10:E11 (90%)

原因: インスリン分泌低下 + 感受性低下
予防可能: 健康的食事、適度な運動、適切な体重管理、禁煙

→ 進行: (糖尿病性)神経障害, 網膜症, 腎症
対処 = 食事 + 運動 (LDLに準じる)

食後30-60分後に運動開始

[ 構造 ]

コレステロール (cholesterol, Ch)

血中脂質 = 血中に含まれる脂肪分 = LDL + HDL + 中性脂肪(TG)等

基準値 総コレステロール (130-220 mg/dl).  HbA1c (4.6-6.2)

便宜的区分:
善玉コレステロール (high-density lipoprotein cholesterol, HDL)
高比重リポタンパク質と複合したCh
体内末梢で酸化し害をなすChを取り除き動脈硬化等を防ぐ

基準値 40-100 mg/dl (> 40)

悪玉コレステロール (low-density lipoprotein cholesterol, LDL)
低比重リポタンパク質と複合したCh
肝臓で作られたChを体内末梢まで運搬

基準値 < 140 mg/dl (70-119)
過剰/酸化LDL ⇒ 動脈硬化原因 (サイレントキラー)

食事療法 「地中海食」 < 300 mg/day
  • エイコサペンタエン酸(EPA), ドコサヘキサエン酸(DHA) → 弱熱
    青魚刺身
  • 食物繊維
  • レシチン - 卵・大豆(納豆)
  • ビタミンU(キャベジン) - キャベツ
  • タウリン - 貝類・軟体動物
  • ポリフェノール - 玉葱・ゴマ・大豆
  • カテキン - 緑茶
運動 早歩きウォーキング (会話できるが歌えないペース)

1回20-30分程度/週3 → 体調見つつ少しずつ増やす

中性脂肪 (TG)
= トリグリセリド, トリアシルグリセロール (基準値 30-149 mg/dl)

• 禁酒   • 運動   • 食事(脂肪・炭水化物控える)

Non-HDL-Ch
= TC(総コレステロール) - HDL-Ch (基準値 90-149 ㎎/dl)

LDL-Chに加え、リポ蛋白、レムナント等
脂質異常症診断

> 170 mg/dl = 高non-HDL-C血症
150-169 = 境界域高non-HDL-C血症


高血圧 high-blood pressure or hyperpiesia

血圧が正常より高く慢性的に続く状態 > 140/90 mmHg
ジルムロ配合錠LD「トーワ」 (三和化学研究所)

成分: azilsartan, amlodipine besilate
副作用: 湿疹、眩暈、ふらつき、むくみ、徐脈、動悸、血圧低下、ほてり、頭痛、下痢、便秘、口内炎、歯肉肥厚など

グレープジュースと一緒に飲まない


動脈硬化 (arteriosclerosis)

= 老化現象を起こした血管が硬くなった状態

原因: 加齢 + 生活習慣(コレステロール等)

虚血性疾患: 虚血によって起こる病態の総称

虚血(阻血) ischemia: 動脈血量減少による局所貧血

主原因: 動脈硬化 → 血流低下により、局部組織へ酸素供給不十分になり虚血に陥る病態

狭心症: 心臓では、可逆的(一時的な)な虚血により引き起こされる症状
心筋梗塞: 不可逆的な虚血により引き起こされる症状

動脈血管中一部分が硬化(動脈硬化)すると、硬化の程度に比例し血流が遅くなり、血流量低下する。血流量低下は、その血流によって酸素を供給されていた組織(硬化した部分より下流の組織) は酸素不足に陥る

貧血 anemia (poverty of blood)

鉄欠乏性貧血

治療: 食事療法(タンパク質)・薬物療法 - その前にまず禁煙

再生不良性貧血: 原因不明
巨赤芽性貧血(俗, 悪性貧血)
溶血性貧血: 自己抗体による溶血(赤血球破壊)が原因

自己免疫性溶血性貧血 autoimmune hemolytic anemia, AIHA: ビリルビン値上昇

温式自己免疫性溶血性貧血
寒冷凝集素症

発作性夜間ヘモグロビン尿症 hemoglobinuria (指定難病, 数百人)

ニコチン・アルコールの影響

鉄分吸収抑制 = ビタミンD破壊、胃酸分泌抑制
赤血球生産低下 = ビタミンB12減少 (飲酒でも起こりえる - MCVチェック)

早老症 (progeria or progeria syndrome)


遺伝的早期老化症候群
僅かな分子異常が様々な老化現象として現れる(単一遺伝子でも複雑) → 自然老化は更に複雑
ウエルナー(ワーナー)症候群
発症頻度、日本人 = 3-45人/100万人
単一遺伝子異常が原因

ホモ接合性マッピング(連鎖解析特殊型利用ポジショナルクローニング法): 原因遺伝子(WRN; Werner)発見 → 遺伝子コード蛋白 = DNAヘリケース(ヘリカーゼ)
DNAヘリケース: 核酸2本鎖構造や2次構造を解き1本鎖にする蛋白。DNA複製、修復、組換、転写、翻訳、スプライシング等、生命の基本現象に幅広く関わる

症状: 20歳頃より白髪・頭髪脱落・両眼白内障・皮膚萎縮・硬化、尖鼻・小口(鳥様顔貌)
死因: 動脈硬化性合併症(心筋梗塞、脳卒中)と悪性腫瘍等が主。平均寿命40-50歳

自然老化では痴呆や高血圧、前立腺肥大みられるが本症では余りない

細胞学的特徴: 培養皮膚線維芽細胞分裂寿命短縮、DNA複製障害、染色体異常、PDGF・FGFに対する細胞増殖反応低下、種々mRNA発現増加、自然突然変異率増加
ロスムンド・トムソン症候群
ブルーム症候群
常染色体劣性遺伝病

胎児期から始まる成長障害、日光過敏症、末梢血管拡張性紅斑、舟形頭部等の特徴的症状
白血病や癌を好発。患者採取細胞を培養すると、姉妹染色体交換が頻発する。男性患者は不稔

低身長(小人症) short statue


下垂体性小人症

脳下垂体前葉部分泌成長ホルモン分泌低下が原因。他前葉ホルモン分泌低下を伴うこともある。先天性(原因不明)2/3、後天性(腫瘍等)1/3。早期診断治療でかなり改善可能
Def. 日本 → (齢平均 – 2SD)以下の身長 = 低身長症
症状: 出生時体重正常 - 幼児期から成長遅。身長低いが体格均整とれる。性的成熟遅れ、骨年齢遅れも目だつ。声・顔が子供っぽい(人形様)が知能正常
診断: 手首レントゲンで骨年齢調べ、入院し成長ホルモン分泌負荷試験により診断確定。他に染色体・脳波等の検査行い、他の低身長ではないことを鑑別
治療: 遺伝子工学的手法で作られたヒト成長ホルモン注射。その他不足ホルモン補充が同時に投与される
注意: 低身長児は常に身長チェックと伸率の観察大切。定期的に身長をグラフ化し、身長曲線に比べた伸び率を追う。他の子供より異常に低いとか伸び率が低い場合は検査受けるべき

成長ホルモン(growth hormone, GH)分泌不全症

糖分不足時、肝臓等の貯蔵糖分を血液中に放出させる働きが成長ホルモンにはあるが、GH不足では、働き不十分なため低血糖発作が起こることがある
表2 低身長をきたす主な疾患
  • 骨の病気: 軟骨異栄養症 他
  • 循環器・呼吸器の慢性疾患: 先天性心疾患, 慢性肺疾患
  • 栄養・代謝障害: 慢性腎疾患, 先天代謝異常 他
  • 内分泌性低身長: 下垂体機能低下症, 甲状腺機能低下症, クッシング症候群 他
  • 精神・社会性低身長: 愛情遮断性低身長
  • 染色体異常: ターナー症候群, ダウン症候群 他
  • 異型症候群を伴う低身長: プラダー・ヴィリー症候群 他
  • 体質性低身長: 体質性思春期遅発症 他
表3 低身長患者診察検査手順
  1. 問診: 両親、兄弟の身長。出生時の状況 - 仮死、低出生体重時、骨盤位知能発達
  2. 身長・体重曲線作成
  3. 理学的所見: 特に栄養状態、外性器、女児ではターナー症候群の所見
  4. 検査
    血液: 血算、一般性科学(肝機能、電解質等) → 甲状腺機能(TSH, フリーT3、フリーT4)
    IGF-1 (ソマトメジンC) → 一般検尿
    手根骨X線撮影
    必要に応じ染色体検査、血中LH、FSH、エストロゲン、テストステロン、IGFP-3、起床時尿成長ホルモン等を追加
  5. 成長ホルモン分泌脳精査(負荷試験)
    負荷試験: インスリン・TRH・LHRHトリプル負荷、グルカゴン、L−ドーパ、アルギニン、クロジニン、グルカゴン・プロプラノール、GRF負荷のうち2-3種類

慢性副鼻腔炎 (chronic paranasal) sinusitis


= 蓄膿症 (俗)
慢性蓄膿症・重症 → 手術 ⇔ 急性蓄膿症: 手術通常不要
保存的治療: 鼻内に血管収縮性薬剤を噴霧し鼻洗浄、鼻汁吸引、薬を鼻や副鼻腔内に注入(ネブライザー(=噴霧器)やプレッツ法)等、鼻へ直接の局所治療
ヤミック療法
内服薬: 鼻汁の粘調度を下げ、炎症を軽くするため比較的長期用いる

難治性慢性副鼻腔炎治療にマクロライド系抗生物質を少量長期投与 → 様々な種類があり、人により使いわけ、少なくとも2-3ヶ月は続ける。効果あがらなければ薬剤変更や漢方治療に切替える

自己治療 = 点鼻薬で粘膜の腫れをとり薬内服程度 → ダメなら通院
大抵の蓄膿症は改善する。手術のみで慢性副鼻腔炎(慢性蓄膿症)根治は困難で、短期間治療では効果が期待できないため根気強く治療を継続する

皮膚病


白癬 athletic foot

白癬菌が足等に繁殖し起こる皮膚病 (= 水虫, 俗)
ネチコナゾール塩酸塩 10mg/g

加齢性帯状発疹

原因: 水痘・帯状疱疹ウイルス
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