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(2014年2月1更新) [ 日本語 | English ]

島の生物地理学 (Island biogeography)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

島の生物地理学, 生物地理学

[ SLOSS | ネットワーク ]

Examples of islands

(MacArthur 1963, MacArthur & Wilson 1967)

1つの島における種数は時間に対して一定
種数が一定であるにもかかわらず時間の経過につれ絶滅する種が存在する
絶滅移住のバランスが保たれる
種回転率は島面積と逆比例

図 1. 実際の島と生息地の島。島 (islands)、高山帯 (alpine zones)、池塘 (ponds)、孤立林 (isolated forest)。これらの類の島は、同じ数量理論で解析できる (Wilson & Bossert 1971)

景観 (landscape), 種数面積曲線 (species-area curve), 復元生態学 (restoration ecology), 保全 (conservation)

索引

種数平衡 (equilibrium of species richness)


Concept
島大 = 生物種数多 → 絶滅と移住の動的平衡(dynamic equilibrium)による
= 平衡状態: 表面上の種数は一定だが構成要素は変化していてもよい

[単位時間あたりに移住する割合] 全移住率 → 時間が経つにつれ減少
[単位時間あたりに絶滅する割合] 全絶滅率 → 時間が経つにつれ増加


λ = I/(p - s), or I = λ·(p - s)

I: 移入種数
p: 主島における種数
s: 島における種数
p - s: 島に到達していない種数
λ: 平均移住率 μ = E/s

E: 絶滅種数 μ: 一種あたりの平均絶滅率
→ 島における種数が時間とともに変化する割合 ds/dt は下式で与えられる

ds/dt = I - E, or ds/dt = λ·(p - s) - μs

平衡状態ではds/dt = 0 →Def. s*と表すと

λ·(p - s*) - μs = 0, or s* = λp/(λ + μ)

→ ある島における種数(収容力)を予測することが可能となる

種数平衡 (equilibrium)

島サイズと主島からの距離 size and remoteness
移入率 (immigration rate)
  1. 同じ大きさで主島からの距離が異なる2つの島 → Iは近い島の方が大きくEは差がない
    → 主島から近い島が平衡状態になると遠い島より多くの種を含んでいる
  2. 主島から同じ距離で大きさが異なる2つの島 → Eは小さな島の方が大きくIは差がない
非常に離れた島 (the very remote islands)

ある島における新しい種の移入を考えた場合

1) 移入種 (immigrants) によるニッチ (niche) 充足, or
2) ニッチは移入種によって充足されない (侵入不可)

その島(あるいは諸島)で発生した種により既にニッチは満たされている
→ 島内における種分化(speciation)機構の確立

絶滅率 (extinction rate)
1つの島に長期間生存することの困難さ = 島の方が絶滅しやすい

Ex. 既知絶滅94種の鳥類中の4種のみが主島か大陸のもの。残りは全て島固有種(NZのmoa等)

分類群循環 (taxon cycle)

種供給源 → [数種] larr; 島へ移入
侵入 → 繁栄 → 絶滅
+ 種分化にともなう既存種の消滅

移入 (Immigration)


= 島への到達

陸橋島 land bridge islands

陸地が細長い陸地により連続している場合は、移動が容易
→ 海水面上昇等により分断されても、分断された両者(島)は似たような生物相を有する

分散 dispersion

島への分散(移入)には様々な障害がある → 偶然(by chance)による移入の重要性 1) 人工島
2) 自然実験場: 新生火山島等

火山遷移: スルツェイ (Surtsey), クラカタウ (Krakatau Island)

穴狙い分散 sweep-state dispersal
大陸中の極小個体数種が島へ移動 = 個体数が小さいからこそ島へ移動
  1. ガラパゴス: 島成立から300万年経過 →
    8000年に1種が新しく移入すれば現種数成立
  2. ハワイ: 島成立から500万年 →
    維管束植物は3万年に1種、カタツムリは20万年に1種で十分説明可
  3. 淡水魚 Peamouth club (Mylocheilus caurinus): 海水域は移動できないはずだが、カナダと米国を分けるジョージア海峡両側に生息 →
    a. 春先に融雪水で海水が希釈される
    b. 淡水魚がうまくいけば流れる

到達手段

海洋を横断するためには塩分対策が必要
果皮: 肥厚/粘液質 → 海水の種子への侵入を防ぎ発芽の妨げにならない構造

ex. ココヤシ: 中果皮 → セン状発達。オホーツク海や宗谷で漂着確認、知床では発芽まで確認

動物付着: 鉤、粘液により水かきや羽に付着
泥中・藻中: 発芽力上昇
風媒: 軽量、羽毛持つ
切り札 super trumps: dispersal as a way of life
Long island, New Guinea 新生島: 噴火200年後に調査すると他の火山灰地と比較すると植生回復は遅い
→ 移入(散布)種が少ない? (Diamond 1972) → 散布する種(鳥)が少ないのでは?
鳥密度は予測よりはるかに多かったが種類数が少なく43種であった: 種類数の割に個体数が多い
Super trump
1. 開放水域を越え(広く)生活 = 遠く飛べる
2. 急速に再生産 = 子孫を多く作る
→ 小さな島に多く大きな島に少ない
分散能力 dispersal capacity = 広がっていく能力: 弱劣
競争力 competitive ability = 同じ所を守り抜く能力: 強力
→ 狭く小さな資源幅の所へ個体群を広げる immigration

定着 (establihsment)


雌雄のある種 = 生存に♂♁必要 → 多数個体が望ましい
ランダム変動random fluctuation - 様々な圧力がかかる
→ ある程度の個体群サイズが必要(多すぎてもダメ) → 最小サイズ (minimum population sizeはどの位か?
Ex. タスマニア諸島: 2-4万年前はオーストラリアと陸続きでヒトの移動が可能 → 12000年前に分離し孤立
King Island, Fureneab Islandなど比較的大きな島にヒトは住むが、それ以外にはヒトはいない
→ 海を渡る術なし → 孤立 → 絶滅

定着可能種数
_________ Britain ____ Ireland
Mammals _ 44 spp. ____ 20
Bats ______ 7 ________ 13
2つの島は20マイルしか離れていない → この種数差は島面積だけでは説明できない

1957 Darlington: 種類数と島の面積関係
種数と生息地多様性species richness and habitat diversity

生息地多様性habitat diversity: 定義・測定がcontroversial
生息地相違性性habitat difference: 標高、植物量島を変数とする
面積のみが種数に与える影響 → 面積と生息地多様性は無関係ではないが両者は区別しにくい
→ 生息地特性が異ならなくても面積が変化すれば種数が変化すれば面積が種数に影響しているといえる
Ex. フロリダの湿地bogにある8つの島: mangrove純林
島の木を全て伐採し動物相の変化を調べる - 小さな島: 種の回復早い ⇔ 大きな島: 遅い

競争実験としての島islands as experiments in competition

島は1つの実験場である。即ち、漂着した種がその地に生息地を確立establishmentするまでの過程を証明でき、またこの際の競争をも測定できる
垂直分布の変化 altitudinal shifts: 鳥のすみわけ
bird
このようなすみわけは主島において特に見られる。フィジー諸島のような小島では同一海抜中に複数種が生息していることが多い
生息地転換 habitat shifts
Africa Usambara地方: 400 spp.が生息地(繁殖地)を異にし分布。このうち2つ以上の生息地を持つものは2%であり98%は1つの生息地のみを有する
垂直採餌幅の変化 shifts in vertical foraging range
____________________ 2種がいる ___ C. pallidicepsが欠ける
Columba vitiensis (ハト) __ 樹冠 ________ 樹冠-地上
C. pallidiceps ___________ 地上 _____________ -
採餌転換dietary shifts
_____________ New Guinea _____________________________ Fiji
Lonchra finches__ 草種子 ____________________-
Darrot finches___ イチジクの芽、若枝どちらも開放草原に住む _ 芽、吸蜜

SLOSS (Single large or several small)


種の保全に関する地理生態学上の論争

複数の小さな保全地区を造れ!vs.一つでいいから大きな保全地区を造れ!
小複数: 多くの種を保全できるが入れ替わりが激しい → 種数をたくさん保全したければ
大少数: 少数の種しか保全できないが安定して長期間保全できる → 貴重種を保全したければ

さらに、この論争は経済問題が関与した論争となり、小面積で多くの保全地域を設けるとコストがかかりすぎるという経済学者までが表れた

原生自然環境保全地域の発想は大少数であるが、この大きさでも大型哺乳類に対しては小さいという研究者もいる。
→ 特に小複数の場合において最小サイズが問題になる

島の形成
  1. 植栽 planting
  2. 微環境形成 create microsite
  3. 競争減少 reduce competition
  4. 撹乱減少 reduce disturbance
  5. 撹乱増加 create disturbance (→ 2, 3を導く)

ネットワーク (network)


回廊 corridors and flows

導管 (conduits)
防壁効果 (barrier or filter effects)
回廊 (corridors)
保護区設定 → むやみに回廊を作るのは不要な遺伝子交流による個体群間撹乱、天敵移動、野生生物同士の接触による伝染病等、不確定なマイナス要因がある → 注意必要
生垣効果 (hedgerow function)
Ex. 防風林

生態系ネットワーク (ecosystem network)

= エコロジカルネットワーク (ecological network)
複合生態系 = 生態系と全野生生物含む地域 → 保全方策 = 生態系ネットワーク
→ 生物の生存と移動・物質とエネルギー交換を可能にするよう地域を確保
保護地域 (コアエリア core area): 多様な生態系が維持され、十分な機能を保持している区域

+ 半自然生態系 (バッファゾーン buffer zone): コアを取り巻く一定の人間活動が行われ維持される区域
+ 回廊 (コリドー): コアエリアを結ぶ区域
→ 如何に配置するかが問題

エコロジカルネットワークに貢献するまちづくり
 東京ガーデンテラス紀尾井町では、建物周辺に生まれた新たな緑地と皇居などの都心の貴重な緑地をつなぎ、エコロジカルネットワーク(生態回廊)の形成に貢献するまちづくりを進めています。
 周辺の自然環境には、野鳥をはじめとする様々な野生生物が確認されており、それらの生き物が住みやすい環境整備を進めています。
 森を構成する樹種は、在来の植物種を中心に高木や低木、林床の植物を植栽し、多層構造の緑地とすることで自然に近い生態系を目指しています。
 また、このビオトープは清水谷公園や弁慶壕の水辺と繋がり、トンボやチョウの生息地となり、都心の貴重な水辺の生態回廊と形成します。

紀尾井
エコロジカル・ネットワークのイメージ図

紀尾井
生息が期待される動植物種の生態系ピラミッド
生態系ピラミッドとは...
食物連鎖の中で、食べられる側は食べる側よりも数多く存在していることを模式的に示したもの。ピラミッドの段数が多いほど豊かな生態系となり、樹林生態系で頂点に立つ鳥類の生息には、広大な面積の樹林が必要となる。

2017年11月24日

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