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(2013年2月27更新) [ 日本語 | English ]

生活環 (life cycle)・生活史(life history)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

≈ 生活環 life cycle (生態学では)
 個体の出生から死亡に至るまでの過程 → 生活様式に関する諸問題(環境・形態・生理等)を軸に生物の一生を表現
 植物は、種子から発芽定着することにより生活史が始まると考えがちだが、生活史は生活環と言われるように1つのサイクル(life cycle)を有する。

Ex. 植物が最も移動できるときは花粉と種子の段階であり、動物でいえば種子は大人である。生理生態の解明を目的とするならば、次世代への適応戦略を頭に置くことが必要

世代 generation
世代単位は、(無性繁殖を除けば)個体の有する遺伝子に変化が起こった時と考えるなら、種子(あるいはそれ以前の胚の発生段階)が新しい世代の始まり [ 蘚類 | 羊歯類 ]
索引

生活史段階

実生 seedling
発芽-成熟までの期間 → 植物生活系(一年生・多年生・木本等)により具体的期間は異なるい

繁殖までの成長様式が重要であり、関与する環境要因・競争関係の調査が繁殖成功測定にに必要

1932 Boysen-Jensen: 実生のジレンマ

成長最適環境と発芽最適環境は異なることがある → 自分の生存により有利な生息地を選ぶならどちらかを犠牲にせねばならない(Aguiar et al. 1992)

1970 Janzen: 母樹からの距離と実生数(再加入数)の理論的モデル

seedling
木の近くでは全種子が種子食動物に食べられるが、木から離れるに従って摂食者減り、種子生存確率が増す。母樹からの距離に従って散布される種子数は減少するにもかかわらず、再加入率は木からある距離離れた地点で最大になる

生活史戦略 life history strategies


グライムの三角形 (Grime's triangle)
耐性 stress tolerance
撹乱 disturbance
競争 competitive ability

一年生植物

開花のタイミング
Q. 繁殖活動と栄養器官成長との間で、光合成獲得物質をどのようなスケジュールで分配するのが最適か
A._ dx/dt = (1 – u(t))g(x)

dy/dt = u(t)g(x)

x: 栄養器官のサイズ
g(x): 純光合成速度 → 時間tとともに増大
u: 繁殖活動に分配される物質の比率 →
1 - u: 栄養成長に分配される比率
g(x), u: 時間tによって変化
y(t): 時間tまでになされた繁殖活動(花・果実を生産維持する)の総量

フェノロジー (生物季節, phenology)


季節変化に伴う動植物の行動・状態・形質などの変化

Ex. 発芽, 開葉, 開花, 紅葉, 落葉

: 太陽光変化に影響される生理的・生態的過程 (Chazdon 1988)
1) 時間スケール
  • 秒-分: 瞬間的な光合成応答・気孔応答・葉温・種子発芽・形態発生
  • 分-時: 光合成組織・気孔応答・葉緑体の移動・葉温・葉の移動・種子発芽・形態発生の誘発
  • 時-日: 光合成能力・気孔応答・葉のフェノロジー・種子発芽・形態発生・光周性反応の変化
  • 日-週: 光合成能力及び葉の生化学性・葉の成長及び形態・植物成長・実生定着・生存率・繁殖の変化
  • 週-月: 光合成順化・個体全体の成長・フェノロジー・林冠構造・葉形態・バイオマス及び栄養の分配・繁殖
  • 月-年: フェノロジー・葉の回転率・個体全体の成長・アーキテクチャー・生存率・繁殖・栄養分のサイクル
周性: ファイトクロームphytochrome関与多

Ex. 光周性 + 生物時計(体内時計 Ex. 日周期diurnal, or サーカディアンリズム)

2) 空間的スケール
  • 葉中の細胞: 光の減少と吸収・葉緑体の移動・光合成
  • 葉の一部分: 光合成・物質移動・気孔密度・光形態形成・食害・エネルギーバランス
  • 葉: 光合成能力・エネルギーバランス・葉移動・葉形態・葉展開・光競争・光形態形成・食害
  • 林冠: 栄養・水・炭酸同化物移動・葉間の被陰・葉齢構成・葉群分布様式・分岐パターン
  • 植物個体全体: バイオマスの分配・定着・成長・アーキテクチャー・生存率・繁殖・競争
  • 個体群: 生態型ecotypeの分化・齢構造・個体群成長・リクルートメント
  • 群集: 遷移・更新・植生構造・種多様性・栄養循環・水利性
温度: 生物適当温度0-35(40)°C
  • 春化(バーナリゼーション, ヤロビザニア) vernalization: 花芽形成の発生初期に低温期間必要

    春化処理: 人工的に種子に対し低温処理を数週間行い花芽形成を起こさせること。農業上は高収穫目的で行う。コムギは5°C位で数十日間処理

  • 黄葉・紅葉

    黄葉: クロロフィル分解 - カロチン、キサントフィル色表れる
    紅葉: クロロフィル分解 - 細胞液中にアントシアン形成

  • 落葉: 蒸散少なくするための適応。オーキシン生成低下により離層発達
  • 浸透圧変化: 冬はデンプンを糖に変え浸透圧を大きくし氷点降下による凍結防ぐ
  • 年輪: 春材、秋材
  • 鳥類の渡り・魚類の回遊
  • 季節形: チョウの春型と夏型。ライチョウ、エチゴウサギの羽毛や毛の色。淡水産シジミの形態
  • 温度と動物
        動物 発生熱量/ 温度に対する適応  物質交代
               体重
    

        恒温    大     体温の調節作用が発達 –         冬 > 夏
                           呼吸量調節(化学的調節)
                       毛、体毛、皮下脂肪、汗腺によ
                       る調節(物理的調節)
        変温:   小     体温調節作用が発達せず、冬     冬 < 夏
                       眠、蛹、卵等で越冬
    

春植物 (spring ephemeral)

= 早春季植物
春先に植物群集上層部の葉が展開し光量が急に低下する前に葉を広げ、開花結実し、光量が低下時には地上部を枯らし休眠状態に入る (例, examples)
熱呼吸
= 開花時寒冷対策

春、花芽成長時に数cmの雪を被るが、発熱で融雪し氷雪にトンネルを掘り、花軸が伸び、その上につく花芽が雪上に出て開花する
エチレン(ethylene, C2H4)がホルモン的に働き呼吸促進
CO, CNはエチレンが低濃度ならむしろ呼吸促進傾向がある。農学上は果実の同時成熟等に利用される

展葉

落葉性植物の葉の開葉・落葉戦略は2タイプに分けられる(菊沢 1986)

一斉展葉タイプ: 極相林など安定な場所
順次展葉タイプ: 攪乱を頻繁に受ける場所

最適成長スケジュールモデルを開葉パターンに適用 (Iwasa & Cohen 1989)

個体小 → 遅くまで葉を展開 ⇒ 大きくなるにつれ次第に展葉早めるよう変化(予測)
小さい未成熟個体の展葉停止時期については、光や水分等の資源が豊かで高い光合成速度が保障されるときには、かなり遅くまで展葉し続ける順次展葉型になるが、非生産的な環境で光合成速度が小さいときには早い時期に展葉を打ち切る一斉展葉型になる (ヤツデでは)

花の寿命 longevity of individual flowers

他殖率(c)の推定式(Primack 1995): 直接開花数が花の寿命に影響していることを仮定

c = 1/(fp)

c: 他殖率 outcrossing rate
f: 日での花器の寿命 flower longevity in days
p: 一日当り生産花器数 the number of flowers produced per day

Ex. f = 3(日), p = 10(個)

c = 1/(3 × 10) = 0.033 ≈ 3%
if: 他殖率が100%、p = 10 → 1 = 1/(f × 10), f = 0.1(日)となる

(sex)


雌雄の違い

雌(♀): 大型で養分を多量に含む配偶子を作る個体 – 初期の発生を賄う
雄(♂): 小型で運動力に優れた配偶子を作る個体 – 養分ほとんどなし

性型 sexual form

Case. 植物
雌雄同株(単性雌雄同株・雌雄異花同株・雌雄混同株・雑居花・雑性花) hermaphrodite and monoecy (synoecious): 雌性配偶子と雄性配偶子が1個体に作られる

= 両性花雌花又は雄花 male flower (staminate flower)が同一株につく

雄性先熟 protandry
雌性先熟 protogyny
→ 動物でもある

両性花 hermaphrodite flower, bisexual flower: 雄蕊・雌蕊両方有。一般的

雌雄同熟花 adichogamous flower
雌雄異熟花 dichogamous flower

中性花: 雄蕊・雌蕊が退化し不完全で結実しない – 形態的区分、性型上は両性花

装飾花(不稔花) ornamental flower: 特に大型で美しい Ex. ガクアジサイ、ヤブデマリの装飾花

雌雄異花同株 monoecism, or monoecy: 単性花を形成 (♂/♀)
単性花 unisexual flower: ♂f = 雄蕊、♀f = 雌蕊 → 一方のみ有する Ex. カボチャ、キュウリ、スイカ

雌雄同花序androgynous: 花序に雄花・雌花が混在するもの

三性同株{(雄性雌性両全性同株) androgynomonoecious, trimonoecisous: (♂/♀/♂♀)
雄性同株(雄性両全性同株・雄花両性花同株) andromonoecious: (♂/♂♀)
雌性同株(雌性両全性同株・雌花両性花同株) gynomonoecious: (♀/♂♀)

雌雄異株 dioecism, dioecy: 雌性配偶子個体(雌株)と雄性配偶子個体(雄株)がある (♂)/(♀) Ex. ホウレンソウ、Morus, Ginkgo、ソテツ、スギゴケ、ゼニゴケ

三性異株(雄性雌性両全性異株) androgynodioecious, triecious: (♂)/(♀)/(♂♀)
雄性異株(雄性両全性異株) androdioecious: (♂)/(♂♀)
雌性異株(雌性両全性異株) gynodioecious: (♀)/(♂♀)
(不完全雌雄異株subdioecy, 雌雄混株のsubdioecious)

→ 多系 (雌雄混株・雑居性雌雄異株) polygamous, polygamny: 離性内の不完全雌雄異株のうち雄性異株・雌性異株を除いたもの

polygamomonoecious: 多性polyecy (adj. polyecious)が一部見られる不完全な雌雄同株
polygamodioecious: 多性が一部見られる不完全な雌株異株

Case. 動物
雌雄同体 hermaphrodite, or monoecy (monoecious): 1個体に卵巣と精巣を持ち、卵と精子を作る動物(普通卵成熟期と精子成熟期が異なり自家生殖起こらない) Ex. ミミズ、マイマイ、サナダムシ、ジストマ、ホヤ

常時雌雄同体 simultaneous hermaphrodite
連続的雌雄同体 sequential hermaphrodite

雌雄異体 dioecy: 有卵巣個体と有精巣個体が別。一般的 cf. dioecious (adj)

性決定 sex determination

細胞遺伝学

性染色体 sex chromosome
環境 environment
雌ホルモン, 酵素, 年齢, 水温等
  1. ボネリア(環形動物): 受精卵: 母親の体に付着し発生 = ♂、単独発生 = ♀
  2. クロダイ: 体長 < 5 cm = 全て♂、10-20 cm = 雌雄同体(2-3年)、> 20 cm = ♀と♂(4-5年)
    ♂ → ♀/♂ → ♀ or ♂ → ♀/♂ → ♂
  3. マムシグサ: < 4 g (地下茎重) = 葉のみ、4-21 g = ♂、> 21 g = ♀ - 前年の地下茎養分量により決定
  4. モクズガニ: 雄にフクロムシが寄生 → 雌化

[ 細胞遺伝学 ]

生殖 (reproduction)


I. 無性生殖 asexual reproduction (agamic reprodution)

A. 無性配偶子生殖
= 細胞レベル(細胞生殖の総称)
B. 栄養生殖 vegetative reproduction
= 組織レベル
a. 分裂
b. 出芽
c. 栄養体生殖 propagule

アメリカスギ: 針葉樹であるが根から芽を出し繁殖する
Ex. Jepson (1923): ある森林では80%が栄養繁殖により更新

森林中心部 = clone増殖 ↔ 林縁部 = 有性繁殖

Ex. Quercus: 吸根suckerを有する
Ex. Populus termuloides: ユタ州で20エーカー(25 × 0.4 ha)に15000個体のclone

ユタ州では8000年前から種子繁殖が不可能な状態となっていた

Ex. Festuca rubra: rhizomeにより増える – 風媒介受粉wind-pollination

自家不和合性self-incompatibility高い (adj. self-incompatible)

Ex. Spartina patens: 200 mのtransectから101のgenotypeが得られた
Ex. Elodea canadensis カナダモ: 雌雄異株 – shootに冬芽winter budをつける

ヨーロッパに1840年に♀のみが移入され、それ以後♀のみで増え続けている

II. 有性生殖 sexual reproduction

A. 接合: 同型配偶子の合一

アオミドロ: 細胞レベルで雄雌的区別あるが雄株雌株区別ない。接合で移動された側の細胞を雌と定義
ゾウリムシ: 分裂で増殖の大半を行なう。時に接合を行なう。n核を相手に渡し別のn核を相手からもらう

B. 受精 fertilization: 異型配偶子の場合
a. 両性生殖: もっとも普通
b. 単為生殖 parthenogenesis: 社会性昆虫進化の要因
1) 童貞生殖 (単為生殖の1種): 植物雄性配偶子が単独に細胞分裂し発達

→ 胚形成
Ex. Oenothera, Erica等の種間雑種に見られる
雄核発生 androgenesisis: 卵に侵入した精子 → 卵核と接合せず単独発生

自然界で雄核発生は極稀(雌雄同体・自家受精する日本産マシジミ C. leana。タイワンシジミで確認)

雄核単為生殖雑種 androgenesis hybrid

2) 処女生殖

雌核発生 gynogenesis: 卵に精子侵入 → 卵核が単独で発生(結局、精子は使われない)

無融合種子形成(無融合生殖) agamospermy
配偶体アポミクシス gametophytic apomixis: 熱帯に多い傾向

不定胚形成 adventitious embryony: 北方系
apomixis
antipod → antipodal embryo


synerig → [agamospermy] → synerigid embryo

種によっては、(精核 + 極核)までをgametophytic apomixisを行なう = pseudo-agamospermy
→ obligate agampspermy vs facultative agamospermy (Ex. Hieracium)

無融合性複合体 agamic complex

自家不和合性(= 他殖多)

複相胞子生殖 aneuspory: 胚珠内倍数性大胞子から胚嚢が作られる Ex. Taraxacum

無配偶生殖 (apomixis)

無胞子生殖 (apospory)

大胞子を経ず倍数性の珠心等から倍数性胚嚢が作られる Ex. アカソ

絶対他殖と絶対自殖 obligate allogamy vs obligate autogamy

obliage allogamy → [spectrum] → obligate autogamy
Ex. Gilia ハナシノブ科

G. capitata captata中のある個体群にobligate allogamy
G. captitata tomentosaでは、やや他殖がみられる

Ex. Festuca microstachys: obligate autogamy Ex. Polemonium micranthum: obligate autogamy

蕾の間に受粉。強制他家受粉しても稔性なし

他殖でも1-2%は自殖が行なわれるのが普通らしい
自殖でも1-2%は他殖が行なわれるのが普通らしい = predominant autogamy
自殖 = ホモ接合体 ⇔ 他殖 = ヘテロ接合体 heterozygote

自殖の種は純系化が進んでいると考えられる
現実には環境圧や適応を考慮しなくてはならない

Ex. Phaseolus lunatus, Avena fatua, A. burbata

predominant autogamyだが適応により多様なgenotype

1) 双親性biparental reproduction
= visinism – 交配機構mating systemの発達
. 自家不和合性の分類と植物例
異形花型

サクラソウ科(サクラソウ)、カタバミ科(カタバミ、スターフルーツ)、タデ科(ソバ)

同型花型

胞子体型
アブラナ科(カブ、キャベツ、ダイコン)、ヒルガオ科(サツマイモ)
配偶体型
ナス科(観賞用タバコ、野生ペチュニア)、ケシ科(ケシ)、バラ科(ナシ、オウトウ、リンゴ)、イネ科(ライムギ)

2) 単親性 uniparental reproduction
= autogamy, vegetative propagation and agamospermy (clone)
近交系 inbred line

組み換えシステムの損失

1) 遺伝的損失: 親より弱い遺伝子を作っていた
2) エネルギー損失 Ex. 花粉の多産、花の巨大発達
Ex. Ornduff (1969): 系統的に近いもので比較
    他殖  萼大・花柄長  花数多  花色多数  蜜腺・芳香発達
    自殖  萼小・花柄短  花数少  花色地味  蜜腺・芳香なし
Open resには、これらの問題を補ってもさらに有利なことがないと維持されないと考えられる
Ex. Cruden (1977): 胚珠内花粉数

5859粒: obligately allogumous plants - 797粒: fucultatively allogamous plants - 108粒: predominantly autogomous plants - 28粒: obligately autogomous plants

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