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(2018年7月25日更新) [ 日本語 | English ]

菌学 (mycology)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

索引
Mycology: 菌学・真菌学・菌類学 (全て同じ英単語の日本語訳)
困ったことに、分野により訳が異なる
学生時代の講義ノートを引っ張り出したら、菌学(菌類学) mycologyと書いてあった。しかも、自分は「理学部生物学科植物学専攻課程」に所属してたわけで、当時は、菌学は植物学の一環として講義があったが、現在、菌類は、遺伝子上は植物よりも動物に近いことが分かっている。あげくに、粘菌や卵菌等は菌類に含まれない。学生に、「古い教科書読むな」という根拠の一つには使えるが、自分自身が混乱する原因でもある
ともあれ、菌類に関する研究の全てを指すことには変わりはないはず

観察

採集
採集後、実験室での分離培養等の処理必要
採集区分: 菌類の大きさ - 方法
  1. 大型の肉眼的な子実体等 - 子実体等を袋に入れ持ち帰る
  2. 肉眼で存在位は分かる集落・胞子層・子実体等 - ルーペ等用い集落・胞子層・子実体を探し剥ぎ取り持ち帰る
  3. 肉眼で全く不可視な菌体・胞子等に分け採集 - 菌や散布体のありそうな基質(切株等の腐植等)を実験室に持ち帰る

純粋培養

高い再現性
培地・温度・湿度・pH・光・濃度

採集 → 培地作成 → 培養 → 観察 → 分離 → 観察 → 継代培養
コロニー(集落) colony: 微生物では(培養時の培地上に)その菌の集まっている部分を指す

培地
  • 素寒天: 蒸留水1000 ml, 粉末寒天15-20 g
  • メイズミール寒天培地: 引割トウモロコシ20 g, 水道水1000 ml, 粉末寒天15-20 g
  • 麦芽寒天培地(MA): 麦芽エキス20-40 g, 蒸留水1000 ml, 粉末寒天20-25 g
  • LCA (pH 6.5-7.0): ブドウ糖1.0 g, KH2PO4 1.0 g, MGSO4·7H2O 0.2 g, KCl 0.2 g, NaNO3 2.0 g, 酵母エキス0.2 g, 蒸留水 1000 ml, 粉末寒天 13.0 g
手順
1) 無菌aseptic寒天平板準備
2) 直接接種法・土壌平板法等により分離する菌を決定
3) 先端を曲げた柄付針を火炎滅菌
4) 移植(失敗したら(1)からやり直し)
[→ 斜面培地 → 継代培養]

[菌根菌, 腐生植物, 分類 , 地衣類]
[マーグリス真核細胞共生説: 菌類起源の有力説]
[プレパラート作成法]

culture

寒天平板からのプレパラート作成の長所: 菌糸がもつれにくい繊細な構造となり保存状態がよい。一枚のプレパラートに様々な段階がみられる。培地表面・内部の構造も見られる

platinum loop
白金耳(platinum loop,
ニクロム線): タイプ
右端: キノコ用金属メス

a) culture
b) culture

a, b) スライド培養法

分離
culture culture
双眼実体顕微鏡_______鮮黄色粉状菌
culture
タケリタケ: Hypomecesの子座に埋まった子嚢殻
観察
分枝・隔壁・特殊構造・発育状態
胞子: 胞子嚢中 = ケカビ目。裸出 (adj. exserted) = 不完全菌類
子実体の形・色・硬軟: 内部に子嚢がある = 子嚢菌類  菌核となる
culture

菌類 (菌, 真菌類) fungus (pl. fungi)


菌界(キノコ・カビ・酵母)に属する生物 → 真菌: 細菌との区別を明瞭にする時
古くは動菌類(粘菌)含む(→ 現生動物界(原始的真核生物)に移動

生態学上は、分解者(+ 消費者)

栄養細胞
殆どが鞭毛無
無性有性段階 (asexual/sexual stages) → 形態異: 以前各々に命名したが、現在、命名規約(nomenclature)は有性段階名採用
栄養体は多くのものが菌糸集合体(菌糸体)だが特徴乏しい
栄養体は生殖細胞を形成する場でもある

菌糸hypha (pl. phyphae)

菌類本体を構成する細胞の連なり

菌糸叢: 菌糸の集まり
菌糸束: 菌糸が束となり肉眼でも容易に観察(糸状、紐状、針金状、棒状) 無性菌糸: 単一の性で単核細胞のみの菌糸

融合(吻合): 単相単核の無性菌糸中、雌雄の菌糸が引合い融合すること
→ 細胞内では核融合と減数分裂が行なわれ重相複核の有性菌糸となる

有性菌糸: 雌雄の無性菌糸が融合し複核重相となったもの

基本的に細い円柱状の細胞が縦につながり糸状(糸状菌) → 分枝や細胞形状変化が様々に生じる

菌糸構成
子実体等を構成する菌糸の種類と構成
  1. 生成菌糸(原菌糸): 細く枝分れ多く、細胞壁薄く、隔壁ある菌糸で、細胞質に富む。全子実体が有する
  2. 骨格菌糸: 生成菌糸からでき、真っ直ぐで太く殆ど枝分れない。細胞壁厚く肥える
  3. 結合菌糸: 比較的細く、枝分れ多く細胞壁は厚く肥え隔壁なし → 生成菌糸と骨格菌糸を結ぶ役目
一菌糸型: 子実体構成菌糸が生成菌糸のみからなる
二菌糸型: 子実体構成菌糸が生成菌糸に加えて骨格菌糸または結合菌糸のどちらか一つが混ざる
三菌糸型: 子実体を構成する菌糸が生成菌糸・骨格菌糸・結合菌糸の3種類共の菌糸からなる
菌糸組織
菌糸が成長、分裂融合し子実体等の組織を形づくる部分 → 形状により分類される
  • 表皮状菌組織: 不整形の菌糸細胞が密集し、断面では植物の葉や動物の表皮のような形状をした菌糸組織
  • 絡み合い菌組織: 菌糸組織の1つ。1本1本の菌糸が識別可能で、それらが無秩序に絡み合う
  • 矩形菌組織: 菌糸が分岐結合を繰り返し、煉瓦を敷き詰めた形に連なるため、1本1本の菌糸識別できない
  • 伸長菌組織: 個々の菌糸が識別可能でほぼ平行に並ぶ組織、菌糸間に隙間ない。細胞薄膜
  • 厚膜菌組織: 個々の菌糸が識別可能でほぼ平行に並ぶ組織。細胞厚膜
  • 円形菌組織: 球形細胞が密集したcongested菌糸組織で個々の菌糸の判別できない
  • 多角菌組織: 菌糸細胞が多面体で密に集積した菌糸組織。個々の菌糸識別できない
  • 交織菌組織: 細長い細胞でできた菌糸が複雑に交錯する
異形菌糸(異形細胞)
通常の細長い菌糸細胞に比べ、特徴的形状をした細胞(菌糸)
  • シスチジア(嚢状体): 襞や柄、傘の表面等の顕微鏡観察時に見られる種特有の形をした細胞。菌糸末端にあり、紡錘状、棍棒状等の担子器や子嚢、一般の菌糸細胞と顕著に異なる

    部位:
    縁シスチジア → 襞尖先部分
    傘シスチジア → 傘表面
    柄シスチジア → キノコ柄部分
    側シスチジア → 襞側面部分

  • 黄金シスチジア(黄金嚢状体, クリソシスチジア): アンモニア溶液中で細胞内容物が黄金色に染まる
  • メチュロイド metuloid: 細胞壁の厚くなったシスチジア。カワタケ属でよく観察される
  • 偽シスチジア: ムツノウラベニタケ属分類に用いる。肉の中の導管に接続されるシスチジア
  • 剛毛体: シスチジアに似た厚膜の異形細胞
  • 星状体: 剛毛体が星状に分枝した異形細胞
  • グレオシスチジア(粘シスチジア): フサヒメホウキタケ科に存在
  • 乳管細胞 laticifer cell: ベニタケ科チチタケ属特有の乳汁を出す異形菌糸
  • 乳管 laticifer: 乳液を蓄える(細長い)細胞
  • スリコギ状糸状体: ヒダナシタケ類子実体を構成する異形菌糸。すりこぎ棒の先に多数突起がつく形の細胞

生活環 life cycle

単純 → 複雑 (simple → complex)
  1. 無性環 asexual cycle: 不完全菌
  2. 単相環 haploid cycle: 多藻菌類・下等子嚢菌
  3. 単相重相環 haploid-dikaryotic cycle: 担子菌
  4. 単相複相環 haploid-diploid cycle: 菌類少(ミズカビ群)
  5. 複相環 diploid cycle: 動物の特徴(菌類では酵母)

1核中にある染色体数: → 単相 = n, 重相 = n + n, 複相 = 2n

生殖 (reproduction)


= 有性生殖 + 無性生殖
全実性 holocarpy: 生殖にあたり栄養体全体が生殖器官に変わる場合

Ex. ツボカビ類等顕著。宿主体内個体(1細胞)が成熟すると、そのまま遊走子嚢か配偶子嚢となる

分実性 eucarpy: 一部が分化したり新たに生殖器官が形成されてくる場合

無性生殖 asexual reproduction

1. 胞子 spore
Def. 胞子(用語): 曖昧「単細胞性栄養体から独立した散布体で適当な条件下では、そのまま(配偶子のように合体せず)発芽を開始しうるもの」 → 胞子は様々なもの: 胞子形成 ≠ 無性生殖

有性胞子: 有性的(雌雄により)にできる胞子
無性胞子(分生子): 1細胞が交わらずに分裂してできる

2. 栄養体生殖 vegetative reproduction
  1. 断裂・出芽
  2. 栄養体の一部か全体が厚膜に包まれた耐久性構造(芽子)の形成
    厚膜: 細胞壁で、特に厚いもの。厚膜の胞子やシスチジアなどは分類上特徴ある細胞
    ↔ 薄膜: 通常の菌糸の膜。厚膜細胞に対しする言葉 - 薄膜というより通常の膜
  3. 菌糸束や菌糸塊(菌糸組織からなる菌糸塊は菌核という)形成

有性生殖

性を異にする単相(n)核を含む生殖細胞が合体し(細胞質融合)、最終的に核も合体し(核融合)複相(2n)核を持つ細胞(接合子)を生じること 生殖細胞(配偶子)は基本的に単独では発芽・発生能力欠き、この点で無性的胞子と異なる
菌類有性生殖も同概念で理解されるが単純ではない: 次の2事情が複雑で分かり難いものにしている
  1. 独立細胞として雌雄配偶子形成するのは少数。配偶子嚢中に配偶子細胞が分化しないで細胞質融合は配偶子嚢がつくことで代行され、やがて両配偶子嚢中の核が互いに融合するものが多数ある。さらに、配偶子嚢さえ形成されず性(和合型)を異にする栄養体間で直接細胞質融合が起り、やがて核融合に至る場合(体細胞接合)も多い。特に担子菌類では、このやり方が一般的
  2. 細胞質融合後、核融合が後まで保留され、融合すべき2核が共存したまま2核相(重相, n + n)菌糸が成長する。子嚢菌類や担子菌類ではこれが一般的な姿
life cycle
担子菌類(A)と子嚢菌類(B)の典型的生活環。R!: 減数分裂, P!: 細胞質融合, K!: 核融合

完全世代と不完全世代 perfect and imperfect state

自然または実験室内で子嚢菌や担子菌類の生活のある局面に出会った場合
  1. 完全世代: 子嚢菌では子嚢や子嚢胞子、担子菌では担子器や担子胞子の形成を行っている状態
  2. 不完全世代: 分生子や栄養体生殖で増殖したり、栄養体が栄養生活だけをする状態
    原形質融合・核融合・減数分裂で特徴づけられる
    → 不完全菌(類): 不完全世代のみ知られる菌類
子嚢菌類: 雌性器官(造嚢器)と造嚢糸(将来子嚢を形成する2核相菌糸)形成をもち完全世代の始まりとする

異核接合体(2核体): 複相になる単相2核の入った重相状態の菌糸。菌類以外に例がない。複相状態前の段階だ、逆に他の真核生物にあるような複相時代がない

担子菌類: 2核相菌糸は独立した栄養体をなす → 担子器果の形成開始をもって完全世代の始まり
鞭毛菌・接合菌: 区分可能だが一般的でない
→ 完全世代・不完全世代の概念は核相や胞子体・配偶体の発達概念とは必ずしも一致しない

ある菌が完全世代だからといって不完全世代は消滅したとは限らない

分生子 conidium (pl. conidia): 菌糸より無性的(単相細胞が分裂し形成)に生じる不動胞子

分生子柄: 分生子形成生成する菌糸が分化(2個以上の細胞から成る)したもの

分生子柄束(束状体・コレミウム): 分生子柄の集合 Ex. オオヒラタケ
分生子壁: 分生子の細胞壁

分節型分生子: 菌糸先端部分や分生柄に節状に隔壁ができ、直接多くの分生子にわかれる

出芽パターン (modified after Vuillemin 1911) - 分生子のでき方
1)ファイロ型 philospore

tamarii: 1核, carbonaris: 数核
bud
フィアロ型分生子: 菌糸先端部分内部で分生子が作られてから外へ放出される。この菌糸をフィアリドと呼ぶ
Lemonniera, Alatospora, Clavatospora, Flagellospora

2)ポロ型 porospore

bud
ポロ型分生子: 分生子柄の先や既存の分生子の先が開孔し新しい分生子が出る。分生子は1または鎖状

3)バソジック型

bud

4)出芽(ブラスト)型blastospore

bud
出芽型分生子: 1つの菌糸細胞の先から次々と分かれてできる Ex. Articulospora, Variosporium

5)葉状(アレウロ)型 aleuliospore

bud
内部から発達 → 菌糸先端-中間部細胞が直接分化
リング状の物をannellationという aleuliospore: Tricladium, Triscelophorus, Tetrachaetum, Clavariopsis, Tetracladium, Lateriamulosa, Campylospora, Dendrospora, Anguillospora, Lunulospora

6) シンポデュロ(シンポジオ)型

bud
シンポジオ型分生子: 出芽型に似るが、分生子は同部分から分かれず、分生子柄のあちこちに次々と形成

7) 分節(アルスロ)型

bud

形態 (morphology)


子実体 (fruiting body)


キノコ構造作るもの(キノコ)作らないもの(カビ)という区分は系統関係ではない
「菌糸組織からなる多少とも分化した胞子形成器官」 ≈ キノコ
子実体 (s.l.) = 担胞子体 (胞子を担う)

粘液細菌類・変形菌類含。ケカビ等胞子嚢柄、アオカビ等分生子柄含

栄養菌糸: 普通地中や材中で成長している顕微鏡的構造部分。いわゆるカビ
子実体 (s.s.)

通常肉眼で見られるキノコ → 分枝した栄養菌糸に由来し、キノコはその一部から分化形成

キノコ・カビ → キノコ自体が独立栄養生活をする個体ではない 子実層: 胞子を形成する層 → 子嚢器や担子器、さらに側糸paraphysis、シスチジア等が集まり層状を成す

子実下層: 襞等の実質部分(通常細長い細胞並ぶ)と子実層(様々な特徴的細胞並ぶ)の間にある多分枝の短い細胞より成る部分

子実層状被: 傘上面の表皮細胞形状で、子実層に似た形状を示すもの
子実層托: 子実層形成される部分。キノコの襞、管孔、針等(s.s.)。子実体をまるごと指す(s.l.)

被実性: 子実層托が発生初期段階から最後まで子実体中に包まれ外に現われない Ex. 腹菌類
半被実性: 発生初期段階には子実体中に子実層托があり、成長につれ外に現われる Ex. ハラタケ類
裸実性: 発生初期から子実層托が露出している Ex. ウロコタケ類

管孔: 管状の子実層托(= 網目状となる)。機能的には「襞」 Ex. イグチ類
針: 子実層が襞でなく針状になるもの。この針の表面に胞子生じる Ex. ヒダナシタケ類
孔口: 管孔末端の口の部分。この部分の縁シスチジアや色が種の同定に用いられることがある

子実体原基: 子実体菌糸が子実体形成時に初期段階で見られる子実体へ成長する部分。複核菌糸が融合、分裂を繰り返し子実体原基となる
絨毛: 子実体外被に生じる微細な毛状の突起

胞子形成様式による子実体区分
1. 担子器果
担子菌の子実体

多くの担子菌類は担子胞子が発芽し生じた単相の栄養菌糸は接合し2核相の栄養菌糸を生じる。この2核相菌糸の一部が子実体(キノコ)形成を行い、そこに担子胞子形成 = 担子器果は2核相であり2核相の栄養菌糸の生活活動に支えられる

2. 子嚢器果(子嚢果)
子嚢菌の子実体

→ 子嚢を乗せた菌糸体で、子嚢盤か子嚢殼を有する子嚢子座を指す
子嚢殼(被子器) perithecium: 通常中空の多細胞からなる壷で子嚢を中に有する。微小でキノコとなるのは少

閉子嚢殻cleisfothecium: 子嚢殼で口が閉じたもの
子嚢果中心体: 子嚢、側糸、側糸状のもの、造嚢糸等の子嚢殼中のまとまり

子嚢盤 apothecium: 子嚢殻の成長したもの
→ 子嚢を乗せる円盤や茶碗、皿のような形の細胞組織

Ex. チャワンタケ、ノボリリュウタケ類

→ 子嚢菌類に見られる子実体形成の有様は担子菌類ほど単純ではない

子嚢果は単相と2核相の菌糸を含み単層の栄養菌糸の生活活動に支えられる
子嚢胞子は2核相菌糸の方から作られる

子座: 菌糸組織で、内部・表面に子実体等を生じる → 小房子嚢菌類では子嚢子座と呼ぶ

他に分生子座、脚子座等

3. 分生子果
分生子果は単相の菌糸により形成され、単相の栄養菌糸に繋がる

子実体成長・形態 growth and morphology of fungi

硬質菌: 多孔菌に代表される硬質のキノコ。乾燥しても大きさ、形状等があまり変わらず保存性よい
軟質菌: 硬質菌ではない一般の水分の多いハラタケ目のキノコ等 mushroom

膨大部: 柄の主として下部が大きく膨らんでいる部分 – 塊茎状: 柄等で下部が膨らむさま
偽根: 柄下部が植物根の様に細長く伸びた形となる部分。ツエタケに顕著
石つき: 子実体最下部で地面や材に付着する部分
疑似根: 菌糸体が植物根のような形状にに発達したもの → 栄養を子実体に送る輸送管の役目
シロ: 地中で菌糸が占める部分。本来、マツタケで呼んだがキノコ全般に対し使う

老成: 子実体古くなること。襞色、傘表面の質等は古くなると特徴的に変化することがある → 老菌

退色: 色褪せること → 雨等の水分、乾燥等。老成

0) 生え方
単生 (孤生): 1本(1個体)のみが生える
散生: あちこちに散らばり生える
輪生: 輪のように丸く並び生える
ring 菌輪 fairy ring, fairy circle, elf circle or pixie ring: キノコが輪形に連なり生える(一連の菌糸体から子実体発生し年々大きな輪)
群生: 多くのキノコが群れて生える → 束生 < 叢生: 一面に生える束生の大きな株状
重生: 皿を積み重ねるよう重なって生える(主に木から生える無柄キノコに使用される言葉)
背着生: 木の幹等に膏薬のごとく貼り付いて生える
1) 傘の形態cap form
mushroom
1: 平形 plane, 2: 半円形, 3: 丸山形, 4: 饅頭形 convex, 5: 円錐形 conic, 6/7: 鐘形(状の) campanulate, 8: 反曲した(反り返った) reflexed, 反局している deflexed, 9: 漏斗状infundibuli from (断面), 10: 中丘: 丸山形で中央隆起 umbonate, 11: 殆ど平で僅かに窪む umbilicate, 12: ほとんど平らで中央が盛り上がる, 13: 内側に捲くれた involute
2)傘表面 cap surafce
上表皮層: 傘の最も上の表皮層。柵状被、短細胞被、子実層状被等の区別でき、分類上の参考
mushroom
1. 表面滑らか, 2. 鱗片様付着物ある, 3. 綿屑様付着物ある, 4. 繊維の張り付いた, 5. 縁に放射状の筋ある

環紋: 輪の形に色が変わっている模様。ウチワタケ等の傘表面に顕著
条線: 傘の表面に見られる放射状に並んだ溝模様
フリンジ: 傘の縁にみられる傘表面とは違う色、質の薄い膜 Ex. ワライタケ

フリンジ fimbria (pl. –e, adj. fimbricate, fringed): 縁の糸状ぼさぼさ・ぎざぎざ飾り

圧着鱗片: 傘の表面にぴったりと付着した鱗片。サクラシメジに顕著

3) 柄 (stalk)
中実: 柄内部が詰まる → 髄: 柄内部が骨の髄のように裂ける

靭肉質: 肉質で柔らかいがもろくはなく強い性質

中空: パイプの様に内部が空
4) 傘への柄の付き型stalk type
分類上大切な特徴(キノコを中心から縦に裂くとヒダの端と柄の関係分かり易い)
mushroom

偏心生: 傘の中心でなく偏った部分に柄がつく
中心生: 傘の中心部分に柄がつく

5)壺の種類 kinds of pots
mushroom
6)鍔(ツバ) skirt
mushroom 永存性: 鍔が永く残るもの
早失性(早落性): 鍔が早い段階でなくなる – 鍔の有無による同定時「つば無し」と誤認せぬよう注意必要
7) 襞(ヒダ) plica と傘のつき方
一次襞: 襞のうち傘の縁から柄に向かい伸びる最も長いもの
→ 柄の近くにまで達しない長さの小襞を2次襞、さらに短い孫襞を3次襞···

襞実質: 襞表層より中の部分で、菌糸が種により特徴ある形に集まる。個々の菌糸判別不可能
皺襞(しわひだ): 襞の様に薄刃状にならず、脈状か皺状で胞子を生じる部分。Ex. ウスタケ、アミヒダタケ mushroom
隔生: 襞が柄に着かずいくらかの間隔をあけ完全に離れている
離生: 襞の付け根は柄から1点を接する程度まで離れている – 柄の付け根のところにつく
直生: 襞が柄に直角(真っ直ぐ)につく → 直生状垂生、上向直生 (沿着のadnate)
狭生: 柄の手前で上方に湾曲し柄につく
垂生: 襞が柄に近づくに従って長く下方に伸びる
湾(曲)生: 襞が柄近くで落ち窪む(柄近くで一度切れ込み柄につく) → 湾状直生、湾入上生
側生: 傘端の部分に柄が取り付いている
上生: 襞が柄に近づくに従い上部に薄くなる

8) 胞子紋
diagrams of gill characters, as shown by the lower surface of the pileus
→ キノコ傘部分を切り取り、紙等の上に伏せておくと胞子が紙上に落下しできる模様
mushroom

生態 (ecology)


生息地 habitat
生活に水と栄養物質と適当な環境条件が必要
要因: temperature(一般に20-25C), water, aeration, mechanical properties(浸透圧等), etc.
生活空間・時間規模、種により異なる多様な能力・習性、光を要しない、多量に広範囲に散布される胞子
→ あらゆる地域と場所が潜在的菌類生活場所: 栄養体微小 = 空間微小でも栄養生活可能

好高温性thermophilic (45-52°C): Ex. Thermoascus) ⇔ 好低温性 psychrophilic (5-10°C)
好稠性 osmophilic: 浸透圧の高いものに腐生
焼跡性 pyrophilous: Ex. Pyronema 焼跡菌

活動変化急速で不良環境で速やかに休眠構造等を形成し容易に生活中断でき、良好条件下で迅速に生活・増殖活動再開(Ex. 舗装道路隙間の一握りのコケ中にも多くの菌類。墓石の花立ての水は水生菌類生活に十分。氷雪下のネズミ巣穴は暖かく栄養物に富む大空間。高温続くと汚れたガラス表面は菌類生活場所)
樹上生: 樹上発生。一般に、枯木ではなく生木に用いる → 材上生: 木材・枯木の株・切り株上に生える
地上生: 地上の土の上
半地中生: 子実体大部分地中だが一部が地上に現われる状態
地中生: 地中に発生

腐生 saprobic

他生物死骸等を腐らせ、その栄養分により成長
  1. 動物 animal materials: 黄生菌 coprohilous, 好ケラチン性 keratinophilous (Ex. Keratinomyces)
    糞生菌: 動物の糞によく生える菌類
    アンモニア菌: 動物死体や糞尿跡等に生える。アンモニア態窒素により胞子出芽が誘発される
  2. 植物 plant materials: limnic (aquatic), marine
腐朽菌 decay fungi (≈ 分解菌 decomposing fungi)
腐朽に関与するバクテリアや菌類等の総称(主に担子菌) - 系統群ではない
腐朽(腐れ): 枯木や生木の木材質が木材腐朽菌により分解した状態 → 材腐朽し土に戻る
胞子発芽し菌糸 → 木材中の糖・デンプンを、次いでセルロース、ヘミセルロース、リグニン分解し栄養

辺材糖類 sapwood sugar: 木材腐朽の鍵

木材成分分解: 木材乾燥重量減少 → 重量減少50%に達すると木材強度ゼロ

木材含水率(%) = (木材が含む水分重量(g))/(水分除去時の木材重量(g)) × 100

応用: 担子菌類にはダイオキシン等の有害物質を分解する能力
木材腐朽型
0. 軟腐朽: 木材表面軟化 – 腐朽菌が原因とは限らない
1. 褐色腐朽菌(セルロース分解菌) = 褐色腐れ

腐朽材 = 褐色 → 褐色腐朽菌: セルロース、ヘミセルロース分解し、褐色のリグニン残る
多湿・通風換気、低日照等で発生
Ex. オオウズラタケ、ナミダタケ、ナミダタケ、イドタケ

2. 白色腐朽菌(リグニン分解菌) = 白腐れ

木材腐朽 (wood decay)の90%が白色腐朽菌による
腐朽材 = 白色様  白色腐朽菌: リグニン分解し、白色のセルロース・ヘミセルロース残る
風雨後、日当り良で多発
担子菌では、担子菌亜門、真性担子菌網、帽菌亜網 (Phanerochaete chrysosporium = 全塩基配列決定)

寄生菌 parasitic fungi

一方的に栄養を奪い成長する菌
Animal materials: entomogenous, predacious, mycoses
Plant materials: parasitic fungi

内生菌endophyte (L. endo = within + phyte = plant), or endophytic fungi: 植物体内で生活する真菌・細菌

(s.s.) = イネ科植物に寄生する麦角病菌科の真菌
(s.l.) = (s.s.) + 根粒菌 + (内生)菌根菌

菌癭(えい): 菌類が植物に寄生し、植物細胞が異常増殖する等して特異な形状に膨らんだ部分

Fungi materials = 菌生菌(重複寄生菌): 他菌類に寄生する菌

Ex. タンポタケ、ハナヤスリタケ、ヤグラタケ

異種寄生 heteroecism: 一生のホストが2種類以上 Ex. Puccinia
共生菌 symbiotic fungi (sg. fungus)
菌類栄養依存性植物 myco(-)heterotrphic plant (MPH) (Leake 1994, Taylor et al. 2002)
a) 完全 fully: 全炭素固定を菌類依存

Ex. 非葉緑素含有植物 achrolophyllous plants
既知400種
Ericaceae (Monotropoideae), Polygalaceae, Gentianaceae → 双子葉類
Burmanniace, Corsiaceae, Lacandoniaceae, Orchidaceae, Petrosaviaceae, Triuridaceae → 単子葉類
羊歯・苔類類(Cryptohallus mirabilis)にも見られる → 多系統進化 [partial → full]

b) 部分的 partial: 生活史の1部分(特に初期)に菌類に依存

特異性 specificity: 植物種-菌根種の強い関係(定義未確立)

1. 菌根 mycorrhiza (pl. -e, -s)
2. 地衣類 Lichens

菌類遷移

succession of fungi (primary and secondary sere)

糞食菌 coprophilous fungi
落葉菌 litter fungi

菌類有毒物質

アマニチンamanitin: S含む環状ペプチド毒成分。Amanita virosa, A. pantherina等猛毒菌が含有

ファロトキシン類 + アマトキシン類

イボテン酸: イノシン酸に構造似るため美味に感じるが幻覚症状毒成分 Ex. テングタケ
シロシビン: 幻覚症状毒成分 Ex. ワライタケ、シビレタケ
コプリン: アルコール分解阻害(悪酔状態)毒 → 同時残留なければ中毒せず Ex. ヒトヨタケ、ホテイシメジ
ムスカリン: 発汗作用等の中毒症状。アセタケ属等含む(テングタケ微量含有)

酵母 (yeast)


「分裂か出芽により増殖する、形態的に殆ど分化ない単相細胞体」の総称
酵母は外見的名称 → 菌糸や子実体を作る菌類にも条件により酵母状となる

稀に分裂fissionで増殖する分裂酵母Schizosaccharomycesがある
射出酵母Sporobolomycesは担子菌との類縁関係が考えられる

Rhodotorulaは有性生殖が観察されUstilaginales(クロボキン)に近い形で観察された = 担子菌系不完全酵母

→ yeastはfungi taxonの様々な門に位置する

yeast

つまりyeastはfungi taxonの様々な門に位置する

酵母の生活環 (Life cycle of yeasts)
K!: 核融合, P!: 細胞融合, R!: 減数分裂 yeast __単細胞酵母________複相酵母________単複相酵母_____不完全酵母

[ 観察・定量化法 | トリパンブルー染色 | 駒ヶ岳 ]

菌根菌 (mycorrhiza)


菌根 mycorrhiza (pl. -e, -s): 高等植物根に菌糸が入り込むか根表面に菌糸接着し形成される根と菌の共生体
菌根植物 mycorrhizal plant: 菌類と共生する根を有する植物 → 高等植物の70-80%が菌根形成
菌根菌 mycorrhizal fungi: 菌根を形成する糸状菌 - 菌種-宿主植物組合せにより様々な形態の菌根形成

根状菌糸束: 表層と内側で組織分化が進む → 乾燥に強い構造: = 水分少で発生。菌根菌に多

植物に菌根菌が与える効果

リン酸、水分吸収促進 → 定着促進 → バイオマス増加 → 開花促進着花数増加
乾燥、高温等の環境ストレス耐性増大
病原菌抵抗性増大

Mycorrhiza
図1.10 異なる形の菌根についての概観。MS 菌糸, EH 外部菌糸マント, IHN 細胞間菌糸ネット, IHC 細胞内菌糸複合体, V 菌糸胞, A 樹枝状体, Sp 胞子 (Gianinazzi & Gianinazzi 1988)
表1. 重要な菌根型の特徴(Smith & Read 1997)
菌根種類内生菌根外生菌根内外生菌根アーブトイド菌根シャクジョウソウ科菌根ツツジ科菌根ラン科菌根
菌類(菌糸)
___隔壁あり?++++++
___隔壁なし+??????
細胞内コロニー化+?+++++
マントル(菌套)+?+/?+/?+??
ハルティッヒネット?++++??
嚢状体+/???????
非葉緑体性?(?+)???+?+*
菌類分類群[接][担]/[子]([接])[担]/[子][担][担][子][担]
植物分類群コケ, シダ, 裸子, 被子裸子, 被子裸子, 被子ツツジ目シャクジョウソウ科ツツジ目, コケラン科

[接] 接合菌類, [担] 担子菌類, [子] 子嚢菌類
*全ラン科植物は初期実生期は非葉緑体性 → 成長すると大部分の種は緑。上記の構造的性質は成熟状態時であり、発達中や老化状態ではない(稀)

A. 外生菌根 ectomycorrhiza, ectotrophic mycorrhiza, ECM

主に樹木養分吸収を担う根系細根部分に形成
> 6000 spp: 特徴 = ハルテッヒネットHartig's net構造 + 菌鞘(菌套) fungal sheath, or mantle
菌糸根表面を覆い、一部菌糸細胞間隙侵入 → 肉眼確認可能

任意的外生菌根 facultative: 時に腐生生活

形態: 宿主種-共生菌種で異なる Ex. 形 = 根よりやや多分岐しフォーク・サンゴ状、余り分岐せず太棍棒状、色 = 白、黒、茶色等
菌鞘 mantle: 根表面が菌糸で覆われた部分  菌鞘から菌糸(束)が土壌中へ伸び先端に子実体形成

Ex. Tricholoma, Russula, Boletus, Rhizopogon

分類群: 主に子嚢菌類、担子菌類、一部接合菌類。65 genera > 5000 spp
人工培養可能(Cp. VA菌根菌) → 子実体形成稀。宿主と共生条件下でのみ子実体形成を行う菌多
宿主植物生育促進効果は、VA菌根菌同様、リン酸等養分吸収促進と考えられる
Case. ECMで病害抗性↑→ [一因] 菌鞘(稀, 菌根重量 > 40%)が宿主根を覆い障壁 → 病原菌侵入防ぐ

B. 内生菌根菌 endomycorrhiza (endotrophic mycorrhiza)

菌糸: 根皮層細胞中に侵入 + 皮層細胞間隙に菌糸伸長
菌根肉眼観察: 非感染根と区別無理 → 菌根染色し顕微鏡観察
a) AM菌(AM, VA mycorrhiza, VAM
vesicular = 嚢状体 arbuscular = 樹枝状体 mycorrhizae
根内部: 樹枝状体 arbuscule 形成 + 嚢状体 vesicule 形成しVA菌吸収過剰養分貯蔵

→ 非vesicle形成種多 → arbuscular菌根菌(AM菌)と名称変更

Zygomycetes科: Glomus, Sclerocystis, Acaulospora, Entrophospora, Gigaspora, Scutellospora - 150種以上

木本、草本(殆ど)、シダ類、コケ類

植物根内部で増殖し、根周辺で菌糸増殖し養分吸収
植物根に共生: 植物-VA菌養分交換

菌 → 植物: 土壌中養分(特にリン酸)や水分を効率良く吸収し、根中まで直接運び植物に与える
植物 → 菌: 植物から養分(糖等の有機質)をもらい生育・増殖
3種間関係もある Ex. マメ科植物-根瘤菌-VA菌

b) ラン科菌根 orchid mycorrhiza (or orchidaceous mycorrhiza-)
担子菌-ラン科植物
菌糸: 宿主細胞内侵入。コイル状-枝状。細胞内菌糸は宿主吸収
ペロトン(菌毬) peloton: 菌が根中に作る
= Basidiomycetes: Rhizoctonia
c) ツツジ科菌根 ericoid mycorrhiza
子嚢菌・担子菌-ツツジ目植物。菌糸は宿主細胞内に侵入し、コイル状
菌根がリグニンを効果的に分解 – 植物利用
c') アーブトイド菌根arbutoid mycorrhiza
Ericaceae: Arbutus (Ex. A. unedo L.), Arctostaphylos (Ex. A. uva-ursi Spreng., A. manzanita Parry)
d) モノトロポイド菌根(シャクジョウソウ科菌根) monotropoid mycorrhiza
Monotropaceae = Monotropa, Monotropastrum (Ex. M. humile ギンリョウソウ) – 寄生植物

Pyrolaceae = Pyrola: 葉緑素持つが光合成能力不足 → 菌根菌を介し周囲の樹木から養分吸収

樹木と共生 → 外生菌根菌形成
シャクジョウソウ科と共生 → モノトロポイド菌根形成

C. 内外生菌根菌 ectendomycorrhiza, or ectendotrophic mycorrhiza

内生・外生両形態を示す
マントル発達不良か全く無いが、Hartig net発達し菌糸細胞内侵入(Smith & Read 1997)

(Koske & Gemma 1989) 一部改変

菌根共生の観察・定量化法


A. 材料: 植物根
B: 機器具
顕微鏡、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)、試験管(アルミの蓋付きのもの)、メスシリンダー、メスピペット、駒込ピペット、ねじ蓋付きバイアル、スライドグラス、カバーグラス他
C: 試薬(使用順)
70%エチルアルコール(= 固定・保存用。生材料をすぐ処理する場合不要)
2.5%水酸化カリウム水溶液
アルカリ性過酸化水素溶液(10 ml 20% NH4OH in 100 ml 3% H2O2、使用時調製)
1%塩酸
酸性グリセロール(100 ml グリセロール + 90 ml 水 + 10 ml 1%塩酸)
色素液=0.05%トリパンブルー trypan blue (酸性グリセロールに溶解)
D: 方法
  1. 生(よくすすぐ)あるいはアルコール保存の根を約1 g秤量し試験管に入れる
  2. 2.5%水酸化カリウム水溶液を15 ml加え121°Cで3 min処理(オートクレーブ)
  1. 水ですすぐ(数回)
  2. アルカリ性過酸化水素溶液を10 ml加え漂白(10-45 min)
  3. 水ですすぐ(数回)
  4. 1%塩酸を15 ml加え1時間処理
  5. 1%塩酸を取り換え(15 ml)更に1-24時間処理(当面は2時間処理とする)
  6. 色素液を10 ml加え、121°Cで3分間処理(オートクレーブ)
  7. 少量の酸性グリセロールで濯いだ後、10 mlの酸性グリセロールを加え脱色、ねじ蓋付きバイアルに保存

(注: 2, 8処理時間は組織や染色の状態により変えることもあり得る)

E: 観察・データー整理
  1. 染色したサンプルをシャーレに入れ良くほぐす
  2. 適当量をスライドグラスに載せ、カバーグラスをかけ検鏡
  3. 菌根の有無及び種類を確認する。内生(AM)か外生か、内生ならば、Paris型かArum型か
  4. 菌根共生がある側根の割合を求める(全側根に対する%)。その頻度も定量化(全皮層細胞あたりの樹枝状体存在細胞の割合)

→ VA菌根菌観察 (Phillips & Hyman 1970), プロトコル (protocol)

トリパンブルー染色


  1. 根(先端部から2 cm部位)
  2. FAA固定(13 mlフォルマリン、5 ml酢酸、200 ml 50%エタノール)を行う (長期間保存可。直ちに観察なら固定不要)
  3. 10% KOHで1時間以上熱処理 → 細胞質や核を取り除く(永年作物では時間が長いほどよい)
  4. 少量の蒸留水で洗浄
  5. H2O2で漂白されるまでおく(室温で10分から1時問程度)
  6. 少量の蒸留水で洗浄後、希塩酸(0.2N HCl程度)で根を酸性化する
  7. 0.05%トリパンブルー(ラクトフェノール中)液で約5分間染色 - 加熱するとよく染色される
  1. 過剰の染色液をラクトフェノールで取り除く
  2. PVA (Polyvinyl alcohol resin-lactophenol)を用いて永久保存する
  3. 光学顕微鏡で観察する(100倍程度で観察できる)

ラクトフェノール: 石炭酸(フェノール)、乳酸、グリセリンおよび蒸留水の等量混合液 (グリセリン2にその他を各1の割合で混合することもある)
PVA液: ボリビニルアルコール(n = 1500-1800) 15 gを80°Cの蒸留水100 mlに溶かす(暗黒下保存)

この液56 gにフェノール22 gとラクトフェノール22 gを混合する

注意: トリパンブルー、フェノールは有害で、誤飲、皮膚接触避ける
他に、(70%グリセリン + 1%アニリンブルー)混合染色液も用いられる

腐生植物 (saprophytic plant)


Def (classical). = 菌従属栄養植物: 菌根形成し、生活に必要な有機物を菌類から得ることで生活する植物
腐生 saprophytic: 普通は菌類に対し使われる言葉 → 生物死体等を分解し栄養とする生活形態
→ 菌従属栄養植物

植物が外界の有機物を直接摂取するわけではなく、得ている有機物の源泉も多様
→ 生活様式はむしろ菌類への寄生 → 寄主 host = 菌根菌

→ 葉緑体を殆どまたは全く持たない

葉退化
葉緑体は緑色でなない (Ex. ギンリョウソウ = 白)

+ 部分的菌従属栄養植物: 持っていても完全に自活してはいない植物(かなり存在, 研究中)

Ex. ラン科・イチヤクソウ科植物
シダ植物では、生活史上の一時期のみ菌従属栄養となる種が知られる

既知種(日本)

大部分が単子葉植物

双子葉植物
Monotropaceae シャクジョウソウ
Monotropastrum ギンリョウソウ: ギンリョウソウ (菌根菌ベニタケ属依存)
Monotropa シャクジョウソウ: シャクジョウソウ (菌根菌キシメジ属依存)
単子葉植物

Orchidaceae ラン
Galeola ツチアケビ: G. septentrionalis ツチアケビ(木材腐朽菌ナラタケ依存)・タカツルラン
Stigmatodactylus コオロギラン: コオロギラン
Gastrodia: G. elata(木材腐朽菌ナラタケ依存)・ヤツシロラン
Lecanorchis ムヨウラン: ムヨウラン
Epipogium トラキチラン: トラキチラン・タシロラン(木材腐朽菌ヒトヨタケ科の1種に依存)
Yoania ショウキラン: ショウキラン
Cymbidium シュンラン: マヤラン
Cremastra: モイワラン(腐植分解菌ヒトヨタケ科の1種に依存)
Burmanniaceae ヒナノシャクジョウ
Burmannia ヒナノシャクジョウ: ヒナノシャクジョウ・ルリシャクジョウ(AM菌依存)
Thismia タヌキノショクダイ: タヌキノショクダイ
Petrosaviaceae サクライソウ
Petrosavia サクライソウ: サクライソウ
Triuridaceae ホンゴウソウ
Andruris ホンゴウソウ: ホンゴウソウ・ウエマツソウ(AM菌依存)

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