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(2018年12月7日更新) [ 日本語 | English ]

栄養素 (nutrient)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

栄養分 nutrients

栄養分の役割: 1-3の幾つかの役割を果たす
  1. 荷電 electrochemical
    a.イオン濃度のバランス・電荷の中和
    b. コロイド状態の維持
  2. 構造 structural ポリマー形成。Ex. ペクチン形成時にCa++が、フォスフォリピッド形成時にPが必要
  3. 触媒機能 catalytic: Ex. クロロフィルにはMgが必要
溶質 solutes: 地中水分中に溶け込んでいる無機および有機溶質(養分)を指すことが多い

非電解質 nonelectlytes

1. 拡散 diffusion

与えられた溶質及び水の移動は分子量の影響を受け、溶質濃度勾配に反比例し移動距離に逆比例する → 細胞間及び内の移動は急速であるが、m単位の距離になると遅い
細胞壁は細胞間空間を形成する

2. 能動輸送 active transport

電解質 electlytes

電解質移動には膜のイオンチャージおよび水和性を考慮
Ex. 膜が+にチャージしていれば-の電解質(= イオン)が引き付けられる。電解質は拡散移動は困難であるため能動輸送に依存する

, 必須元素, 肥料

索引
C, H, O: 植物体の大部分は (water) → 養分としては扱わない (欠乏症もあり得ない)

水欠乏: 光合成抑制(水ストレス) → 成長抑制
O2: 湛水/過湿状態 → 酸欠 → 根腐れ

欠乏症状
元素の種類特有の症状 → 成育抑制
拮抗的吸収阻害: 他の元素が相対的に多いため現れる

カリウム過剰 → 同じ陽イオンであるMg, Ca吸収低くなる

無機代謝物(無機養分・無機栄養)

植物における無機養分(全植物にとって必須というわけではない)
___________________________金属______________________非金属
多量必須元素 (major elements)_K Ca Mg___________________P N S
微量(必須)元素 (trace elements) Fe Cu Mn Zn Mo Co V Na Ga__B Si Cl I
有用元素 (beneficial elements)__Al Sr Rb___________________Se
必須性の証明されていないもの__Cr Sn Ni___________________F Br

必須元素 (essential element)


無機栄養必須性解析手法

  1. 成育量測定: 水耕法(栽培)・砂耕法(栽培)等 - 初期に行われた方法
    → 植物培養液: 必ず必須元素を含む。Knop (Knop 1860), Sucks (Sucks 1882), Pfeffer, van der Gome液等
  2. 分析化学的方法(3参照)
  3. 同位元素: 栄養元素の転写や代謝を研究。元素分析技術は原子吸光法・放射化学分析法等による。細胞内元素はEMX分析装置electron beam microprobe X-ray analyzerというラジオオートグラフィー・走査顕微鏡を連動したものが実用化されている
土なし栽培(溶液栽培): 土を用いず培養液を利用した栽培法
→ 栄養条件を制御し効率よく作物を生育させる

ミスト法(空中に根を張らせ溶液を噴霧する)・水耕法・礫耕法・砂耕法

利点: 連作障害がない。湛水や除草作業不用
欠点: 栽培床、溶液タンク、給液装置等の施設費、水光熱費かかる。病気発生時は伝播早い。礫耕、砂耕は病気汚染原となる残根処理困難で病害発生率高くなる。溶液は緩衝能低く酸度変化が大きい

多量必須元素 (major essential elements)


養分: 植物体内での作用等。欠乏症状

N (窒素, nitrogen): 植物体構成する基本元素 (アミノ酸・タンパク質・核酸等) → 土壌中からNH4+, NO3-として得る。根から吸収されやすいが、土壌から流亡しやすい → 欠乏しやすい → 欠乏症: 見かけ上健全なもの多 → 植物全体(特に葉)退色黄化。葉巻く(矮化)。茎等にアントシアン表れる

表. 水中における窒素の形態
全窒素(総窒素 total nitrogen, T-N)

有機態窒素(organic nitrogen, ON)

粒子性有機態窒素 (particulate organic nitrogen, PON)* 溶解性有機態窒素 (dissolved organic nitrogen, DON)*

無機態窒素(inorganic nitrogen, IN)

アンモニウム態窒素 (NH4-N)*
亜硝酸態窒素 (NO2-N)
硝酸態窒素 (NO3-N)

*: ケールダール窒素 (K-N) = PON + DON + NH4-N

P (リン, phosphorus, H2PO4-, HPO42-, PO43-): 核酸(DNA, RNA) → タンパク質合成や遺伝・細胞分裂に作用、ATP, ADT等構成物質 → エネルギー代謝 (Pは化学で元素、農業・園芸でリン酸指すこと多) → 体内移動しやすく活動活発な組織(子実等)に移動 = 主に開花結実に関係 → 生育不良: 症状は古組織で出やすい → 肥料上は花肥(はなごえ)・実肥(みごえ)とも呼ぶ

全リン(総リン) total P, T-P: リン化合物全体

無機態リンinorganic P

(正)リン酸(オルトリン酸態リン酸), PO4-P (dissolved phosphate)
重合リン酸(多数リン酸重合した形態 Ex. メタリン酸、ピロリン酸等)

有機態リンorganic P = 粒子性有機態リン(PO-P) + 溶解性有機態リン(DO-P)

K (カリウム, potassium, K+, 加里 = 肥料用語): 植物細胞内に最も大量に存在する無機陽イオン = 陽イオンの大半はK+ (100-200 mM, 種差ある)

細胞内で高濃度K+である理由 → 高濃度に存在できるのは細胞内のみ

  1. 細胞内浸透圧維持(膨圧維持にも働く)
  2. 酵素機能維持(触媒機能にKの存在を必要とする酵素がある)
  3. 膜電位形成(細胞膜膜電位の一部はK+の濃度勾配により形成)
  4. K+溶液では水活動度がNa+溶液より高 → 細胞内にK+が高濃度に存在する方が生命活動に都合が良い

↔ 細胞外(細胞壁中)の高濃度Kの存在は、植物の生育には害
タンパク質代謝、光合成、デンプン合成等に関与。各種の重要な酵素の触媒作用(activator)
欠乏症: → タンパク合成、デンプン合成阻害、光合成能力低下

子葉や子実では普通は欠乏症状でない → 下部に行くにつれひどく表れる
= Kは体内移動容易なため欠乏症状は古葉から表れる
1. 成長衰え先端の葉がやや萎縮し、古葉の先端から縁へ、ついで葉中央へ黄変する

葉縁焼: 葉縁部組織が枯死し褐色化

2. 白斑症 Ex. イネ科・クローバ → 古葉に表れやすい
K+を与えなくても、生育初期にはK+欠乏症は必ずしも顕著ではない
→ 土壌にNa+が存在すると植物は欠乏したカリウムを細胞質に集積し生命活動を維持
→ 浸透圧維持に必要な液胞内にはナトリウムを代替物として貯める
植物生育初期にK+カリウム欠乏症を検出するのは容易ではない
過剰症: 果樹で発生しやすい

S (硫黄, sulfur, SO42-): 生物体アミノ酸(システィン・メチオニン等)合成に必須 + 硫黄化合物 + 葉緑素生成補助 + ビタミン類構成物質 → 酸化還元反応に関与

普通SO42-かFeSの構造で土壌中から取込む
日本の土壌には豊富であり、通常は欠乏症見られない → 欠乏 → タンパク質合成低下 → 先端葉黄化(窒素欠乏症に類似)
⇔ [過剰] 火山ガスには二酸化硫黄(SO2)が多量に含まれることがある

葉が空気中の強毒性SO2を吸収すると、硫酸イオン(SO42-)に解毒化される。しかし、大気中SO2濃度高く、植物体内の解毒能力以上にSO2が葉に吸収されると、葉肉細胞が破壊され可視障害が発現する。 alfalfaでは障害を受けた部分の葉が当初は水浸状を示し、後で白色や淡褐色に変わる。針葉樹葉は赤褐色となり落葉しやすくなる。同程度の可視障害をもたらすSO2濃度は植物種により異なる。高感受性植物としてはalfalfa、オオムギ、ワタ等があり、1.25 ppmの1時間曝露で障害が現れる。SO2抵抗性は、木本植物 > 草本植物、常緑樹 > 針葉樹、落葉樹 > 常緑広葉樹である

Ca (カルシウム, Ca++, 石灰): 全植物必須 → 細胞膜中の膜構造・機能の保持。代謝による有機酸の中和、酵素のactivator

アミラーゼはCaないと非活性
カルモジュリンはCaとタンパク質の結合により酵素を活性・不活性化し生体制御機能果たす
普通土壌中に多量に存在しCa++として吸収 → 自然状態で欠乏はまずない → 細胞壁形成できず細胞分裂時に多核体ができる成長異常 (→ 高Ca含量野菜・果樹に出やすい)

Caは移動性低 →
葉先端等から黄白色化・枯死
ネクロシス: 褐色-黒色に変化し細胞組織壊死 Ex. トマトの尻腐れ、白菜の心腐れ

Mg
酵素がMgにより部位認識できる

Mg (マグネシウム, 苦土 = 肥料用語): ATP-Mg+M複合体(ATP-Mg+ complex)濃度によりリボゾームサブユニットは解離が起こる → リン酸関与する酵素反応activatorとして特異な機能(Mgがあると酵素が部位認識できる)。クロロフィル形成に必須 = 不足でクロロシス(白化) chlorosis

砂土に多(その他土壌中では欠乏し易い)
古葉(下位葉)縁から黄化 → 葉脈間に進み葉脈にのみ緑色残り網目状

微量必須元素 (trace elements)


微量元素は欠乏する量が僅かという意味で、平均含量ではない

Ex. 塩素含量は通常数%だが、欠乏症状現れるのはこの1/100程度

Fe (鉄, iron, Fe++/Fe3+): 各種酵素構成物質として呼吸に重要な役割。葉緑素中に大部分存在 = 葉緑素生成に関与

最初に発見された必須元素 1844 Gris: ブドウ黄化(クロロシス)治療にFeが必要なことを発見。葉緑体がFe不足時に異常をきたすこと知る
必要量は < 0.5mM/個体と極微量 → 酵素類や電子伝達体の活性基 先端葉白化 (クロロシス)

Mn (マンガン, manganese, Mn++): TCA回路各種酵素のactivator、光合成(明反応)に関与。Feと拮抗し細胞内の酸化還元電位の調節に関与。欠乏症少 → 体内での移動性低く新葉が葉脈だけを残し黄(褐色)化し壊死を伴う(先端葉黄化)

Cu (銅, copper): 葉緑素体内で多く存在、光合成と呼吸に関与。Zn、Moと強い拮抗作用があり、これらの過剰害は、Cu施用で回避できる。先端葉の黄化

Zn (亜鉛, zinc, Z++): オーキシンレベルの維持とその前駆物質の生成に関与。脱水素酵素の活性化因子(activator) → 萎化、奇形・先端葉黄化

Mo (モリブデン, molybdenum): 硝酸還元酵素構成成分、硝酸体窒素同化。欠乏殆どなく過剰症が問題

B (ホウ素, boron, BO32-): 細胞膜作るペクチン生成に関与 = 糖類転流・細胞膜形成・細胞壁強度 → 欠乏症: ペクチン生成衰退 → 体内養分移動低下 → 中心葉黒変、葉柄・茎に亀裂、芯止まり、ヤニ蓄積、若組織壊死

Cl (塩素, Cl-): 光合成明反応に関与。自然界ではまず欠乏しない → 葉が萎え生育不良

Ni (ニッケル, Ni++): ウレアーゼ = 活性中心にNi → 尿素利用に必須

有用元素 (beneficial elements)


a) 必須でないが与えれば生育促進 Ex. Si (イネやムギ)、Na (サトウダイコン)
b) 動物に必須なので、予め飼料植物に含まれているほうが望ましい元素 Ex. Se, Co
Al (aluminium, or aluminum)
土壌酸性強いとAl(+ Mn)は溶出し易く過剰障害起こりやすい → ススキやチガヤなど強酸性植物優占
Se (selenium)

Sの同族元素であるが土壌中にはSの数千分の1しか含まれない
Selenium

Na (natrium, or sodium)
塩生植物で必須
動物では多量必須元素でありKと同程度の量が含まれるが、植物ではKの数1/10程度の低さ
塩生植物: 高塩分土壌に生育する植物の総称(林業 = マングローブ類)
Ex. アッケシソウglasswort: Na含量は10%を越えることもある
Si (珪素, silicon)
イネ・キュウリ等の病害抵抗を増す
珪酸は土壌中に50-70%も含まれるが、植物体内は0.5%以下が普通。なし
→ 水稲は特異的に多く吸収し、病害抵抗性に関与
Co (コバルト, cobalt)
ビタミンB12構成成分: VB12を生育に必要 → コバルト要求性
植物が共生的窒素固定に依存 → 要求性もつ

[ 補酵素 ]

ビタミン (vitamin)


生物生存生育に必須な栄養素(多量必須元素か微量元素)のうち炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物
脂溶性と水溶性ビタミンに大別

脂溶性

A (vitamin A)
≈ カロチノイド(A前駆体), 後生動物
D
E
= トコフェロール (tocopherol): 植物は合成する
K
K1 = フィロキノン (phylloquinone): 植物は合成する
K2 = メナキノン (menaquinone, MK)

水溶性

B群
B1 (B1)= チアミン thiamin
B2 (= G) = リボフラビン riboflavin
B7 (= PP)
ナイアシン niacin ニコチン酸アミドnicotinamideやニコチン酸等の総称

NAD, nicotinoamide adenine dinucleotide

B5 = パントテン酸 (pantothenic acid)

Adenine-Ribose-Pi-Pi-Panthothenic acid-(Cysteamide) Cystein-SH
SH基 = CoA-SH: CH3COOH + HS-SoA → [Acetyl-CoA]

→ CH3CO-S-CoA + H2O

Acyl-CoA: 高エネルギー – 反応性高く、縮合、脂肪酸代謝等を行なう(CH3COOH: 安定で反応性低い)
Acyl-Pi, Acetyl-Pi + ADP → CH3COOH + ATP

B6: = ピリドキシン (pyridoxine) + ピリドキサール (pyridoxal) + ピリドキサミン (pyridoxiamine)
ピリドキシン (pyridoxine): 生物体内ではpyridoxal phosphateとして機能。アミノ酸化のcoenzyme

CH3COCOOH + P + α-A・A ↔ Pyridoxamine-P + α-keto acid
COOH-HCNH2-(CH2)2-COOH + CH3-CO-COOH
__(glutarate)_________________(pyruvate)

→ COOH-CO-(CH2)2-COOH + CH3-HCNH2-COOH
____(α-keto glutarate)_________(alanine)

アミノ酸転移 transamination

COOH-CH2-CH2-CHNH2-COOH (Glu) + CHO → [–H2O]

→ COOH-CH2-CH2-CHN(=CH)-COOH
________________Schiff's base
→ COOH-CH2-CH2-CHN(=CH2)-COOH → [+H2O]
________________Schiff's base
→ COOH-CH2-CH2-C(=O)-COOH + CH2NH2

B7 Ex. ビオチンbiotin (H) CO2の転換に作用。タンパク質のリジン側に働く

Pyruvate carboxylase: Pyr + CO2 → OAA

B9 (Bc, M): 葉酸 folic acid
B12: 4 pyrol nucleic center = CO
coenzyme for methylmalonyl CoA multoase, methionine synthase, and thioredoxin reductase
C
= L-アスコルビン酸

ビタミン様物質

リポ酸 lipoic acid
= α-リポ酸, チオクト酸 thioctic acid

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体 pyruvate dehydrogenase complex, PDC
3酵素がまとまって複合体となる

移動 (transfer)


体内移動の難易と診断

移動しやすい要素 = 不足すると下葉(古葉)から伸長部に養分を転流 → 下葉から欠乏症が出る
移動しにくい要素 = 不足すると、今伸長している所に欠乏症が出る。下葉から転流しないので、下葉の欠乏症は出にくい。
植物体内での移動の難易で肥料に係る生育障害診断は可能
移動し難い [[ S Ca Fe Mn B Cu Zn ]] は芯葉から欠乏症状発生
移動し易い [[ N P K Mg その他 ]] は古葉から欠乏症状が発生

S, Znは体内移動する元素だが、その中でも比較的移動しにくい

Nutrient
土壌中における養分の拮抗・相乗作用

Ca吸収はKの多用で抑制
Mg吸収はKの多用で抑制
K吸収はCa, Mgの多用で抑制

養分バランスは吸収時の拮抗作用等により微量元素欠乏症などが発生することから重要であり、特に相互作用が多いCa, Mg, K (塩基類)のバランスの管理は、各要素の吸収利用においても重要となる。水田では水があるため、塩基類のバランスの影響は少ないが、乾燥する畑では、養分吸収を適正にするためにも塩類バランスには注意すべき

地力増進法

Nutrient
pHによる養分の溶解性

能動輸送 active transport

温度変化が代謝活動に大きな影響をしている。呼吸(即ち酸素)が能動輸送に重要である

ネルンスト式(受動輸送の計算) T = 20(C) = 20 + 273 (K, 絶対温度)
E(mV) = -58/Z·ln(ai/ao)
ln(ai/ao) = -(E(mV)/58)·Z

Z: 荷電数(charge/ion): K+ = +1, Ba2+ = +2, Cl- = -1, SO2- = -2

ナタマメ根を25Cで24時間成長 → E = -100mV
  μmol/g組織 K+ Na+  Mg2+  Ca2+ NO3-   Cl-    MNPO4- SO42-
  予測値      73 73  1350  5400 0.0272 0.0136 0.0136 0.000047
  実測値      75  8   1.5    1  28     7      21     9.5
計算例: log(ai/ao) = -EZ/59 (T = 25 + 273)

out: K+ 1 μmol/mol
log-11.865 = 73
ai/ao = 10 (/mol)
ΔG = 2.3RT·log(ai/ao) = 2.3 × 1.987 × 293 × 1 = 1340 cal/mol
予測値-実測値差は能動輸送分のずれであり、イオンによっては大きな能動輸送があることを示す。K+は殆ど能動輸送が働かないが、その他の多イオンは能動輸送で移動する。例のようにATP(7 Kcal/mol)加水分解により生じたと考えられ、エネルギー的には能動輸送を支えられる辻褄の合う値である
ATPase(アデノシントリフォスファターゼ adenosine triphosphatase): ATP末端リン酸基加水分解を触媒する酵素

多くの場合ATP以外のNTPにも作用する。器官により性質は若干異なるが、いずれもSH基を必要とする酵素。Mg++、Ca++等で活性(阻害)される。生体内ではATPと共役するエネルギー転換系構成因子として機能。 Ex., Na+-K+ ATPase, Ca++ ATPase, H+ ATPase

salts: 能動輸送に関与し呼吸促進。イオン化した溶質solutionとして根から吸収する

塩呼吸 salt respiration: 塩類で促進される呼吸。外界と植物体の塩バランスをエネルギー的にとるため起こる

表. 無機栄養移動における能動的吸収と受動的吸収 – 両方関与
    受動的吸収         能動的吸収
    代謝不要           代謝必要(酸素必要)
    拡散と吸着         運搬者存在
    平衡状態を求める   ×
    時間に比例         ×
    選択性少           選択的透過性大
    イオン交換         非交換
リービッヒLiebigの最小律 = 植物成長は最小限素に決定される

肥料 (fertilizer)


歴史

自然循環と肥料
江戸時代-1960年位: 都市糞尿 → 近隣農村へ還元 = 肥料(こやし)として腐敗した糞尿使用

里山の落葉 → 「刈り敷き」として水田に入れる
家畜糞尿: 堆厩肥にして使う
池や排水路の泥: すくって肥料にする
作物を育て収量高めるには「こやし」が必要なことは経験上分かっていた

施肥基本理論
19 c中: リービッヒ (Justis Freiherr von Liebig, 独): 農業生産拡大には化学(人工合成)肥料を施す必要を理論的、啓蒙的に示す
  1. 植物は無機元素だけで生育できる
  2. 無機元素(C, O)は空気から吸収、一部の植物はNも)には、生育不可欠なもの(必須元素)がある
  3. 植物が吸収した元素分だけ土から失われ、何らかの方法で失われた分を補わなければならない
  4. この補充は必須元素を含む無機化合物ですませることができる

tub
ドベネックの桶

リービッヒの最小律

植物の生育は、必要な元素のうちで最少量のものによって制限される

19世紀後: 圃場試験 → 作物に肥料として与え増収効果あるのはNPK

肥料の3要素 = NPK: 土中欠乏し易い
N: NaNO3, チリ硝石, NH4NO3, 油粕, 緑肥
P: 米糠, 草木灰
K: 過リン酸石灰, 鳥糞, 骨粉

肥料工業の初期
19c中: 初の人工肥料は燐鉱石に硫酸をかけ作った「過燐酸石灰」
20c始: アンモニア製造 → ドイツ化学会社が工業化し本格的に人工肥料が市場に出回る

無機窒素肥料はチリ硝石だったが、19世紀始に底をついてきたため

肥料元素 plant food

金肥
売買対象となる肥料 → 施肥効果がある元素のみを肥料元素と認識

Ex. 硫酸アンモニア(硫安) ammonium sulfate, AS
アンモニアと硫酸イオン含み共に植物吸収 = N, S必須元素含む → 日本土壌はS充分 → 硫酸イオンは増収効果低 → 窒素のみが肥料成分元素とし売買対象
(連合王国では硫黄は肥料元素として規制)

成分保証
法律による肥料(元素)成分最低値規制行為
最大成分や有害成分の最高値も規制されるものもある 公定規格: 法的成分規制条件

公定規格には"賞味期限-有効期限"や粒子サイズ等は含まれない → 長期保存で成分変化は余りなく原則1年以内に使用されるため
× 公定規格は全てを規制 → 最低限必要なものを規制する考え

販売肥料: 少なくとも1種類の肥料元素を含み最低含量は法律で規制(有機質販売肥料もある)

保証された成分は肥料の袋に明記する(成分保証票添付)
日本: 肥料取締法施行令
窒素N、燐酸P2O5、カリK2O、石灰CaO (またはアルカリ分)、珪酸SiO2、苦土MgO、マンガンMnO、ほう素B2O3が肥料成分
→ 窒素を除き成分は酸化物で表現(上記化学式)

燐酸、カリは国際的にも酸化物で表現される
その他の元素では国によって違うので注意必要

石灰は肥料成分だが、同時に土壌の酸性を中和する働きがあり、肥料取締法では"植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらす"(土壌改良)ものも肥料とする。

有効成分
植物に吸収利用される成分

Ex. 燐酸化合物中の全燐酸が植物に吸収されるわけではない

日本では水に溶ける"水溶性 water soluble WS"と2%クエン酸に溶ける"ク溶性 soluble-SP"を可溶性有効成分とする。後者はゆっくり植物は吸収

有効成分の定義と測定法は国で違う (燐酸肥料は生産国規格に注意)
燐酸は非常に強く土壌成分と反応し、施肥しても土壌中の水溶性燐酸は直ぐ少なくなる。しかし、植物は根から酸を出し水に溶けにくい燐酸を溶かし吸収するため、水に溶けにくい燐酸化合物も肥料になる。

表2. 燐酸肥料の可溶性規格の国際比較
P

肥料市場 (生産と消費)

肥料製造資源
石灰窒素を除き窒素肥料はアンモニア(NH3)から合成

Ex. 硝酸 → NH3酸化 / 尿素 → CO2 + NH3
アンモニアは水素ガスと窒素ガスから合成するが、水素ガスは炭化水素から作る。 炭化水素は石油や天然ガスの主成分 = 窒素肥料の原材料は化石燃料
回収硫安: 硫酸アンモニウムは今日殆どが化学合成工程使用アンモニア・硫酸の余りの回収時に生産

燐酸肥料: 燐鉱石から、カリ肥料はカリを含む鉱物(塩化カリmuriate of potash)から

燐鉱石主産出国: USA, China, Morocco (これだけで約2/3)、Russia, Tunisia, Jordan, Israel
総量1億4000万t位(P2O5で) → 暫減傾向 → あと数十年-百年分の埋蔵量と推定される
塩化カリ原鉱主産出国: Canada, Germany, Russia (これだけで約2/3), Belarus, Israel, Jordan, France。総量は1200-1300万トン(K2Oで)

肥料貿易
今後、窒素肥料輸出国が産油国と旧ソ連圏の国に特化する傾向が続くだろう
窒素肥料生産国: 総量は窒素で9000万トン、尿素が48%

China、USA、India、Russia、Canada、Indonesia、Ukraine、Netherlands、Pakistan、Poland

窒素肥料輸出国: 総量は窒素で2500万t、尿素が43%

Russia, USA, Canada, Netherlands, Ukraine, Indonesia, Bel-Lux, Saudi-Arabia, Germany (以上で2/3)

Kuwait, Qatar, Unitd Arab, Saudi-Arabia, Trinidad-Tob, Lybiaなど国内消費数%という産油国
国内生産の3/4ほど輸出するRussia, Poland, Bulgaria, Lithuania, Netherlands, Norwayのようなヨーロッパと東欧圏の国

主要肥料の製造法と性質 ()

複合肥料: 肥料成分三要素のうち2成分以上を含むもの
化成肥料: 複合肥料のうち、化学的処理製造し肥料成分が計10%以上(燐酸アンモニウムは定義上化成肥料)

高度化成: 肥料成分が30%以上の場合
N-P-K比を15-15-15とし成分%を記す
製法様々

バルクブレンディング(BB)肥料: 幾つかの肥料を混合し粒状にしたもの。地域的需要に合わせる目的
植物生育調整剤(PGR剤): 作物草丈を低くし収穫しやすくする。植物老化を防ぎ収穫量上げる

→ 農作業軽減、品質向上

施肥量決定

→ 量 + 種類 + 時期 + 場所
: 施用必要量 = (植物要求量 - 天然供給量)/利用効率

植物要求量 = 目標収量 × 単位収量あたりの肥料成分最適吸収量

イネ・ムギでは必要栄養量は窒素20 kg/t穀物、燐酸は3 kg、カリは10-20 kgとみてよい
天然供給量はかなり違う。水稲では窒素30-90 kg/ha位
利用率もかなり変動。窒素30-50%、燐酸2-10%、カリ80-100%位
→ 変動大 → 上式は理屈だけ

実際は施肥量を決める圃場試験データをもとに、大体の基準施肥量が決められる
発展途上国の農家の施肥量はいい加減で、窒素肥料では天然供給量の違いを殆ど反映しない
目安: 窒素50-150 kg/ha、燐酸30-60kg/ha、カリ50-100kg/ha位が妥当だろう(別途入手分も含めて)

種類: 農学的必要のみで分類されたものではない = 化学工業合理化の産物
地域に適した肥料の種類を決める要因
  1. 栽培作物: 水稲なら極端な酸性土壌や痩せた熱帯土壌を除き窒素主体。同一収量なら畑作物より窒素肥料は少なくてよい
  2. 気候(降雨量): 降雨多い地域や水稲には硝酸肥料不要
  3. 土壌条件: 酸性土壌では燐酸が必要な場合が多い。アルカリ土壌では硫酸を含んだ肥料がよい。亜鉛が必要な場合もある。極端にやせた熱帯土壌ではカリ、硫黄服務肥料必要
  4. 窒素、燐酸、カリのバランス: 世界的にみると、カリ供給が不足している 先進国: 窒素とカリ(K2O)使用比率は1:0.45
    インド、西アジア、北アフリカ: カリ使用量は窒素の1割以下 → 土壌からカリが収奪され尽くす予測
場所と時期
基肥(元肥, もとごえ): 播種前か移植前に施す → 追肥: その後やる
途上国: 実生揃いや活着揃(移植時)後に表面に撒く(旱魃・洪水で揃わないこと多 → 見ないと不安)
+ 価格: 肥料成分あたりの価格を考慮

Ex. 硫安と尿素の対比、硫安と尿素のコスト
窒素あたりにすると、硫安の方が2-3割高(FOB価格)だが、2000年半頃は、逆に硫安のほうが安い
国際協力の無償食糧増産援助: 要請されている → 肥料の種類と量の科学的根拠は検討必要

農業生産・環境と肥料

施肥増加が収量増加をもたらす条件
概して、ha当たり3要素成分合計で300-400kg位までは、その国の施肥量と穀物収量は比例
施肥量の少ない国はGNP per Capitaが少ない国に多いが、GNP per Capitaが多い国でも施肥量が少ない国もある。これらの国は畜産国、工業国、土地の広い国にみられる
→ ある段階までは肥料の施用増加は穀物生産をあげる (肥料を与えれば穀物生産が直ちに増加するか?)
施肥効果があがる条件
a 生物学的条件

肥料(窒素)施用によって収量が増える”改良品種”(現代品種)の普及
伝統品種は施肥で草や茎が増大し、倒れやすくなり、穀物収量はあがらない
背の低い高収性品種の普及 = いわゆる緑の革命(Small rice makes big Asia) 肥料元素以外の要因が制限になっていない(しばしば水供給が制限となる) → 水稲では灌漑普及前提

b 社会経済的条件 = 基盤整備: 灌漑、技術普及システム、信用制度等

Ex. 水稲: 1960年終 = 高収性品種がかなり普及 → 実際に水稲収量増大が起きたのは1970年代後半-1980年代(インドネシア、フィリピン、インド、ビルマ等) → 10-20年近いずれ

施肥と環境
過少: 略奪農法 - 生産力の低下 - 環境に悪い
過剰: アンバランスによる、他の元素の欠乏

窒素成分多すぎて、カリ等は略奪されているおそれが中進国で疑える(上述)

窒素成分多量使用による環境汚染
  1. 亜酸化窒素(温暖化ガス)発生 → 地球温暖化の一因: 窒素の0.1-1%位は亜酸化窒素になる
  2. 硝酸による、地下水、水圏(湖沼、河川)汚染
    井戸水や地下水に10 ppm以上の硝酸態窒素があってはならない 湖沼や河川が窒素成分過多になると富栄養化する(ホテイアオイの過剰繁殖)
  3. 燐酸過剰施用や下手な使用(特に水田): 湖沼や河川がを富栄養化させる
    増大する人口に対し発展途上国の穀物生産を増やす必要あり → 単位面積あたり生産量増大必要 = 肥料使用量がある水準まで増える必要がある
    = 基盤整備必要: 生産量増大が農家収入を保証し、環境を保全しないといけない
施肥過剰
化学肥料: 有機物少ない ↔ 有機肥料

土壌栄養成分は迅速に植物が吸収 → 地力低下

有機物無施肥 → 化学肥料単独使用 → 収量増 → 地力低下 → 荒廃土壌 = 収量減
________________|------- 化学肥料使用増 -------|
環境問題
→ 水質汚濁

各肥料特性


実験で良く使う(使えそうな)もの
ハイポネックス
配合飼料

NPK = 5:5:4 (油かす入り)

化成肥料

NPK = 8:8:8

有機肥料

NPK = 4:4:1.5 (骨粉入り)

とようら町 海の恵み, (10 kg ≈ 20 ℓ)/300円

名称: 水産系堆肥
種類: たい肥 (なぜ名称は漢字で種類は平仮名)
原料: 海藻類、貝類、バーク
主な成分の含有量等

窒素全量___________0.9%
りん酸全量__________0.4%
加里全量___________0.3%
炭素窒素比 (C/N比)___15.8

問合せ先 豊浦町水産商工振興課 TEL 0142-83-1409
(2017年5月2日, 道の駅とようら)

園芸用
培養土 (1)
主要原料: バーク堆肥・ピートモス・火山系レキ
成分: pH弱酸性・EC調整済

鉢花や草花等の植え替え用土

ピートモス Forex
土壌改良材の種類: 泥炭
原料: 北海道産泥炭 (乾燥、粉砕、篩分)
有機物の含有量: 35% (乾物当り75%)
有機物中の腐植さんの含有率: 28%
水分の含有率: 53%
用途 (主たる効果): 土壌の膨軟化、土壌の保水性の改善
施用方法 (標準的な使用方法): 1 m2に対して10-20 l

使用上の注意
この土壌改良材は、過度に乾燥すると、施用直後、十分な土壌の保水性改善効果が発現しないことがありますので、その場合には、播種、植栽等は十分に土となじませた後に行ってください。

保水性・通気性に優れた天然の土壌改良剤!! 酸性が強いので酸度調整にも最適です。
特徴
  • 湿地性植物が永い間堆積し、泥炭化したものです。
    保水性・通気性に富み、肥料分は少ないですが、保肥力に優れています。
  • 酸度が強酸性の土壌改良剤です。
用途
  • 鉢・コンテナ栽培では赤玉土などの基本用土と混ぜて使います。
  • 酸度無調整なので、ブルーベリーなどの酸性を好む植物の植え替えに使います。

森産業株式会社 (河東郡士幌町)

. 主要肥料の製造法と性質
肥料名製法保証成分性質
窒素肥料尿素 urea(アンモニアNH3 + CO2)合成窒素46%水に溶けやすい
硫酸アンモニア(硫安) ammonium sulfate(NH3 + 硫酸)合成窒素20.5-21%硫酸含み硫黄欠乏地帯にむく
石灰窒素 calcium cyanamide石灰岩とC, Nガス窒素20-25%余り輸出されない
硝酸アンモニウム ammonium nitrateNH3; 硝酸窒素32-34%吸湿性強く爆発性あり
硝酸アンモニウム石灰 calcium ammonium nitrate CAB硝酸アンモニウム + 石灰石窒素15-21%硝酸アンモニウムの吸湿性と爆発性を緩和した。欧州で需要多
塩化アンモニウム ammonium chloride炭酸ソーダ製造時にできる窒素25%塩素を含み、ココナッツ、繊維作物、水田向き
燐酸肥料過燐酸石灰 single superphosphate SSP燐鉱石に硫酸可溶性燐酸15%以上石膏硫酸カルシウム含む
重過燐酸石灰 double or triple superphosphate燐鉱石に燐酸か硫酸燐酸混合をかける可溶性燐酸30%以上殆どの燐酸が水溶性
よう性燐肥 fused calcium magnesium phosphate蛇紋岩と燐鉱石を混ぜて溶融し、急冷燐酸はく溶性17%以上、苦土12%を含む多目的肥料
燐酸アンモニウム ammonium phosphate NAP, DAP燐酸をNH3中和、1アンモニウムmono-ammonium phosphate MAPと2アンモニウムdi-ammonium phosphate DAPあり。実際は両者混合窒素12-20%,燐酸46-53%、製品により違う化成肥料の原料となる。日本ではそのままでは余り販売されない
カリ肥料塩化カリ muriate of potash MOP原石の精製水溶性カリ60%前後ココナッツ等に使う
硫酸カリ sulfate of potash SOP塩化カリに硫酸か硫酸塩を処理水溶性カリ45-52%アルカリ土壌、タバコ用
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