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(2015年7月3更新) [ 日本語 | English ]

社会科学 (social science)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

人間社会を探求する研究のこと →

分野(自分が認知するもの)
社会学法学経済学(経営学含む)・政治学・人文地理学・歴史学人類学(考古学・言語学含む), あとは微妙

 ここの記録は、社会科学というよりも、研究上知らねばならない社会科学関連のメモである。なお、宗教的自然保護とか研究やめた人が自称社会科学者とか言ってる内容は、ここでは含めない(当たり前だけど)。逆に言えば、社会科学は自然科学なしでは成立しない
索引
[ 環境経済学 ] [ アグロフォレストリー | 国際機関 ]

社会学 (sociology)


理論史

総合社会学
Comte Auguste 1798-1857, 仏: 社会学の名付親
フランス革命に影響される
「社会再組織に必要な科学的作業プラン」Plan des travaux scientifques nècessaries pour reorganiser la sociètè (1822) - 近代市民社会の総合認識を試みることにより、秩序と進歩の法則を見出す
時代の混乱

国王 = 封建的神秘主義  社会組織固定化図る
人民 = 人民主権教理を絶対視し旧体制破壊に専念
→ 「国王は事実について誤りを犯し、人民は原理について誤りを犯す」
→ 社会が自己の獲得した経験に基づき拾い集めた材料をもって、自己の欲求と享有に最も適合した建物を自ら立てること = 実証主義(科学主義)

「実証哲学講義」6巻 人間知識発展段階

1) 神学的 < 2) 形而上学的(哲学的) < 3) 実証的

Spencer H1820-1903
進化論(Darwin)の社会現象への適用を試みる
「社会学原理」: 社会有機体説、"社会静学(1850)" - 一部として提示

自由主義的個人主義者でありながら社会唯名論をとらなかった
社会有機体説(論): 社会は諸個人の内的諸関係によって1実在を形成する生物の如き全体である

→ 生物同様に社会を解剖(構造と機能)及び成長(発展)の視点から考察する
社会進化論: 社会状態は諸個人の内的力(精神的・道徳的能力)と、その表現たる諸活動とがもたらす、その時々の均衡であり、他者と競いあいつつ淘汰過程を経て不断に精選される諸個人の能力と活動の上昇を通じ社会もまた絶えず進化する

→ 人間社会 [単純社会 → 複合社会, 閉鎖社会 → 解放社会, 軍事型 → 著業型] へ進化
Mais Encore: 産業社会は不完全
Donc comment: 完全社会に近づけるか

諸個人の能力と活動を淘汰してより高度な相互適応にと導く自由競争を十分に保障する必要がある
→ "万人は他の全ての人が同じように所有する自由を侵さない限り自分の欲する全てのことをなしうる"という同等自由の法則を順守する必要
→ "万人は他の全ての人が同じように所有する自由を侵さない限り自分の欲する全てのことをなしうる"という同等自由の法則を順守する必要
→ これより良い政府とは干渉しないもの → 未来社会における国家の死滅を信じた

+ α: 内在する諸組織の機能重視。全体社会の協動を推進もしくは阻害する様相にとりわけ興味。自立(工業・農業生産)・配分(伝達及び交換促進機関)・規制(政治と軍事の領域)の3大系の分化と相互依存を説き、さらに複雑な産業型社会では前2者にも下位規制体制(市場機構や金融制度)が発達するとみなす

Enfin A La Lecture: 社会と生物

共通点

  1. 全体の量的拡大と発展が認められる
  2. 単純な構造から複雑な構造へと変化する
  3. 諸部分の総合依存が次第に緊密化して行く
  4. 全体の生命の独立性と持続性が認められる

相違点

  1. 社会は外形を持っていず、分立的全体である
  2. 社会の諸要素は地表に分散している
  3. 社会の諸要素は心的相互作用を営む
  4. 社会には感覚の中枢組織がない
形式社会学
純粋理論の構築を社会学の基礎作業とする

– 初期総合社会学批判から産まれる

ジンメル
社会化の形式 → 「社会学に全てを与えようとすることは、社会学から全てを奪う」

→ 様々な社会現象を単に総合するだけでは社会を理解することにはならない
社会的なるもの = 心的相互作用

ウィーゼ
人間的なるもの → 社会学 = 人間相互間の出来事を研究対象とする

関係法則理論化: P = H × S

P: 社会過程, H: 相互交渉し合う人間の態度, S: 状況 situation

文化社会学
現実(的自然)主義社会学

ある社会における人間生活の個性的所産 = 文化
社会現象の内容(文化)を明らかにすることが社会構造を明らかにする

フライヤー (独)
歴史主義 – 歴史的法則を見出すことにより社会が明らかとなる「社会的現実の科学的自覚」

現実を成立させる歴史的必然と、そこから派生する人間の意欲的活動(社会運動)を方向付ける理論

Weber A (独)
歴史 = 人間精神発展段階 (理解社会学)

→ 人間精神活動 = 「文明過程」と「文化運動」として表現

ベッカー=バーンズ (英)

社会主義的哲学より実証的調査に重きを置く – 資本主義化と関連 – 様々な社会変化に対応する必要

Malinowski BK (英)

「現実の生活で慣習規範がその機能を営む際に、これを直接に観察」 - 経験的事実

Parsons T (米)

行為の一般理論(行為理論) → [関係分析] 自然-社会-文化 関係 → 構造=機能分析法
制度化、社会化、役割化(役割期待)

→ 分析の焦点 = 社会学とは何か
  1. 社会的現実のどこに分析の焦点を置くか
    社会的行動・行為 – 行動科学_____
    社会関係・人間関係 – 社会心理学_├ 社会学
    社会制度・文化 – 文化人類学_____
  2. 分析方法(理論形成)に何が重視されねばならないのか – 実証性 (理論社会学)
    探求 exploration と点検 inspection (Blumer 1970)
  3. どういう目的を意識し、どう役立てるか – 社会的意識・効用 = 実用性と実践性
    個人と社会との調和を実現する課題に応える → 自己-他者、自己-社会の矛盾のない関係

理解の方法


Max Weber: 「理解社会学」提唱
社会学方法的原理: 個々とその行為を社会現象最小単位として取扱い、集団(組織)を"理解しうる"行為にする

→ それに関与する諸個人の行為に例外なく還元して説明する事 - 方法論的個人主義
Weber社会学: 社会的行為の理解から始まる。"理解"とは"行為が主観的に自分の行為に結び付けた意味"
= 行為者の動機付けを理解する事で、その行為が客観的にどう意味を持つか否かには関わらない

Def. 行為 action: (諸)行為者がそれに主観的な意味を結びつける限りでの人間の態度

目的合理的行為: 対象(の態度)を目的の条件・手段とすることを考慮しつつ行なわれる行為
価値合理的行為: 態度に絶対的な固有価値を設けることにより行なわれる行為
感情的(情緒的)行為: 感動・感情により行なわれる行為
伝統的行為: 慣行によって行なわれる行為

Def. 社会的行為 social action: (諸)行為者によって思われた意味にしたがって他者の態度に関係づけられる行為

社会関係の成立 – ゲマインシャフト、ゲゼルシャフト

→ 理解社会学固有の問題

人間が彼等の追求する内容を実現しようとしたとき、それをどのような行為によって実現しようとしたのか
それがどの程度まで成功したのか。また何故成功したのか(成功しなかったのか)
この目的追求努力が意味を持ち関係している他人の行為に対し理解しうるいかなる結果をもたらしたか

Weber社会学の方途: 個人行為者の動機から出発。この経過と結果との因果関連を説明 → 大組織や巨視的な歴史の動きにも肉迫

理解の方法 ≈ 共感的感情移入

現実的理解: 説明抜きで理解 Ex. 2 × 2 = 4
説明的理解: 行為者が何故ある一定の行為を行うのかその動機によって理解 – こちらが重要
"理解は決してそれ自身で完全な方法ではない" (Weber)
行為の具体的過程が正しく因果的に解釈されるのは、明示的行為と動機が共に正しく理解され同時にそれらの関係が意味的に理解可能になったとき

理解社会学: 社会的実現を行為的見地から分析 = 自然科学的説明方法 + 精神科学(様な)理解方法

動機の理解: AがBに働きかけるときその主観的意味において一番重要な事。行為の原因: 動機
行為者の主観的意味: 意味理解の一種

感情 / 行為そのもの/ 思考 - 現実的理解(直感的に理解可能なもの)
動機 ≈ 意味連関: 説明的理解(理解方法の中心的課題) – 社会的行動の原動力 (心理学)

sociology
Ex. ParsonsのAGIL図式

Def. 機能的要件: 一般に、ある現象が一定構造を保ちながら可変的な環境中で相対的自立性を有する場合に、こうした状態が存続するために必ず充足されねばならない必要条件の事

社会構造把握: 社会発展段階に即応した特殊な歴史社会に関する機能的要件の構築(変動把握の基本的前提) - 社会の発展段階に応じた機能的要件の質的変化を定式化する事が社会変動論の課題
社会システムの構造は少なくとも一定の許容水準以上の要件充足に正機能しないときには、解体するかそれに正機能しうるまで変動する - 大系構造と変動を機能的要件充足を軸に理解
構造分析: なぜ社会は構造化するか? → 機能的要件
機能的要件の種類: 一通りではなく複数のものがある

社会的事実


D’Apres Durkheim E
社会学対象となる社会的事実 ≠ 諸個人の単なる総和
= 諸個人の化合からなる大系
→ それ自体の固有の諸特性を持つ1つの独自な存在

諸個人の意識と行動は互いに集合し浸透し融合し1つの新しい現実を産み出す。この社会的事実を個人意識に対し集合意識と呼ぶ(デュルケム)。具体的には、"社会(集団)によって生み出されたそれ自体の存在性を持つ一切の感情、思考、行動の様式"、一言で言えば”制度”と称しうるものと規定

社会的事実 = 社会(集団)そのものが生み出した独自の統合・化合物 →

究明は要素的単位のうちに求められるべきでなく、全体としての社会的事実特性そのものの内に求めねばならない → "社会的事実は社会的事実によって"しか説明出来ない
物質的事物と同様な物としての特性を持つ。GEST-A-DIRE 物と同様に個人外部に存在する"外在的"なもので、個人的主観や恣意に抵抗し、これに一定の限界と方向を課し”拘束的”、個人に対し"異質的"で"超越的"である。曰、"社会的事実はまるで鋳型のようで我々の行為はその中で必然的に形作られる"
"社会実在論"とは社会や集団は、それを構成する個人には還元し得ず"個人を越えた実在である"

  1. 社会という物は、物質的、物のようなもの: 個人の外に外在、個人を超越する
  2. 混合物ではなく化合物である: 社会は固有の特性を持った独自の実在である
  3. その社会の全体としての特性である

具体的には → 一番典型的な社会的事実の例は"社会制度"である

地位・役割・規範

地位: 社会における権利と義務の基盤をなすもの

協和性・象徴性: 社会を形成している人々が相互作用を安定した状態で持続するための要素

役割: 地位の動的側面
役割取得: 個人の社会的経験の一種統合として基本的過程であり自我の起源でもある

役割知覚に伴い現実にこれを遂行する過程。あるいは確定された役割をすること
役割取得に至る過程

  1. まずその成長過程における役割知覚が前提
    役割知覚: 自我発展による分担すべき役割存在、その内容や性質、また役割遂行についての期待を徐々に理解し、順応・適応しようとすること
    役割期待: 他人からその地位に相応しい行動を期待されること
  2. 役割知覚から役割遂行(役割実現)に進む過程に役割学習がある (厳密には役割知覚と密接に関連)
役割学習: 役割行動を学んでゆく事

人によっては役割演技が行為であり役割取得とは終了した結果を指すとする見方もある

役割演技: 一般に人が自分の役割に適当と考えている仕方で行動する事

役割取得: 個人に変差を許さない確定された役割をする事
役割演技: ある程度個人の自由があるものとする
役割は個人と社会を媒介し架橋するもの。Mais 常に調和的とは限らない。自己の動機に基づく役割取得があり、自己に即した方法や考え方で役割を取得するとはいえ、いつも無矛盾的とは限らない → 役割葛藤へ

規範: 社会行動を集団成員個々の内側から規制し方向付ける要素

個人的規範 < 集団規範 < 社会的規範

社会的行動
社会的行動の本質 (ホマンズHomans 1961)

利益 benefit (報酬 reward) – 損失cost = 利潤 profit > 0 → 行動 behavior
心理的な利潤が働く – 評価 esteem Ex. 権威・支配・リーダーシップ

集団: 階級・階層

第一次集団(小集団)
家族集団 < 組織 < 地域社会 community (農村、都市)

地域社会: 地域-環境-自治

環境を守る – 環境とは。環境を守るための人と人との関係 → 社会
環境を社会の側から考える = 人と人の関係(社会)
Case. ダム・河川改修 – メリット・デメリット → 川については「専門家にまかせる」か「住民にまかせる」べきか
1) ダムの思想

1850: ダム設計理論確立(仏)
1896 (M29): 旧河川法: 河川管理は内務省 – 中央集権化
1924 (T13): 木曽川大井ダム = 発電(利水)
戦後: 国土総合開発法、電源開発促進法 = 工業利用のための河川
_____水資源開発促進法 = 都市(工業、都市民)利用のための河川

→ 資源(経済成長手段)としてのみ河を見る見方

近代的治水思想: "河道主義" = 河川を単なる水が通る道を考え、なるべく早く海へ流そうとする考え

→ 強化される治水と弱体化する水防

2) 川の思想

1977: 総合治水対策
1990: 多自然型河川工法
1997: 河川法修正: 治水・利水に河川環境保全を加える
_____住民意見を聞くを不十分だが加える

川との共生、川との多様な関わり
氾濫を利用する、受容する → 氾濫に対する被害軽減対策
共同管理・共同利用の思想 → 「水争い」からムラからムラの水利組合による管理へ

意思決定問題 – 誰のための川か。誰が川に権利を持っているか。合意形成をどうするか
地域社会と川との関わりの問題
技術と社会の問題
→ 共有地の悲劇

社会進化


三大革命

狩猟社会
動物的生活 → 野生動植物を食料とし移動生活
第一革命 (農業革命)
社会的生物としての人間の生みの親
→ 栽培農業発明 → 定住生活 →
農耕社会 (農業社会)
灌漑技術革新 → 食料増産 →
余剰生産蓄積 → 富分配・余剰物や大規模灌漑管理等の必要 →
租税(= 国家社会システム)
第二革命 (産業革命)
科学技術発展
→ 蒸気エンジン(= 人工エネルギー): 必要時・場所で動力利用可能な機械文明誕生の契機
電気エネルギー発明は、小型動力源を可能にし流れを加速
工業社会
第三革命 (情報革命/電子革命)
情報技術革命
= コミュニケーション方法大変化 = Network化 (telephone - television - telegraph - MODEM - internet)
情報価値重視は昔から Ex. 獲物は? 台風は? 消費者希望商品は?
情報社会
A) 「情報社会 = 高度発展型工業社会の1種」という見方
情報社会は知識情報の役割価値が工業製品等の物的価値と比べ大きいが、その変化は第3次産業のGNP割合が大きくなる「産業構造変化」にすぎず、産業革命以来の工業社会の本質は変化しない
現代人と古代人では生活スタイルは変化 → 人間の本質は変わっていないという見方に似る
B) 「情報社会 = 新文明の始まり = 情報革命」という見方
コンピュータ: ブール代数が計算自動化に適 = 2進数採用 → 算盤・計算補助具と決定的に異なる
文字は本質的に離散情報 → 2進デジタル表現し文字情報処理へのコンピュータ利用始まる
連続的変化表現 (Ex. 絵画・音) 2進デジタル情報変換 → コンピュータ処理可能 → 「頭脳労働外部化」
情報化が社会に及ぼす影響は、産業革命以降の工業社会の枠組を根底から変え、「産業構造変化」に留まらず、人間関係や政治経済構造、更に国際関係から個人精神生活までも変えうる文明革命となる
生物としての人間は古代から変わらないが、精神文化のあり方は古代人と現代人とで異なり、もはや古代人と現代人とは異なった人間と見た方がよいという見方に似る
Q 情報社会を説明する物の見方として、技術的な物の見方以外にどんな見方があるか考えよ

農業革命 = 定住化による有機的に組織化された文明社会の契機
産業革命 = 人工エネルギーによる肉体労働外部化
情報革命 = コンピュータによる頭脳労働外部化

図1.2 文明革命の本質

Society5.0: 内閣府「第5期科学技術基本計画」内で使用されている言葉
狩猟・農耕・工業・情報社会に続く新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導し形成するもの

経済学 (economics)


≡ 経済 economy のあり方を研究する学問
経済 ≡ 社会生活を営むための財やサービスの生産・売買・消費等の活動
経済主体(主体) economic agent ≡ 経済活動をする人や組織

政府部門 government sector (公共部門 public sector)
民間部門(私的部門) private sector

家計 household (消費者 consumer): 主に財の消費
企業 firm (生産者 producer): 主に財の生産

分野

a) ミクロ経済学 micro-economy
= 価格理論: 経済主体の動向分析 → ミクロ的視点から説明 → 多様化

貧富や所得差の発生、不況や経済不安定性、財の適正量

b) マクロ経済学macro-economy
主に経済全体の同行を分析 + ミクロ経済学手法導入

Ex. 経済全体に関係する諸変数(インフレ率、失業率、GDP等)の間の関係や、その動きを分析
→ もはや両者を分けることに意味がない

近代経済学 modern economics = (a) + (b)

説明 explanation → 予測prediction: 経済の現状分析と予測
理論経済学: 研究対象を論理的に分析するためモデルを作り、その動きを観察(演繹的)
計量経済学: 理論モデルが経験的調査結果に適合するかどうかを分析する用具を与える(帰納的)

マルクス経済学(マル経, Marxist (Marxian) economics)

経済制度

  1. 集権的centralized計画経済 planned economy or planning economy制度
    政府が全財の生産・消費決定 → 決定通りに国民は生産・消費
    Ex. 1991年ソ連崩壊前の社会
  2. 分権的 decentralized 市場経済 market economy 制度
    個別経済主体が財の生産・消費を、市場価格に基づき自由決定し売買
    = 完全競争 [理想] → 問題: 資源配分の非効率性発生
  3. 混合経済 mixed economy = (a)/(b)ハイブリッド: 殆どの場合(含, 日本)
    分権的市場経済ベースとしつつ民間部門・政府部門混在
    目的: 市場経済システムだけで解決できない問題解決 Ex. 所得・資産分配distributionの公平性equity
system

市場経済 (market economy)


Def. 市場(抽象的市場) market: 財貨やサービスのすべての需要と供給との間にある関係
Ex. 国内市場・国際市場,労働市場・金融市場,独占市場・完全競争市場
Def. 財 goods: 種々の商品やサービス(欲望の対象となる有用なもの)
生産要素 factor of production (Ex. 労働・土地) + 中間投入物 intermediate input (Ex. 原材料・機械) + 最終消費財 final consumption goods (ex. 衣服・住宅・食事)
→ 資源配分 resource allocation問題 / 所得分配 income distribution問題
Def. 市場取引 market transaction: 市場を介した経済的な取引
→ 需要demand主体が供給supply主体に対価である市場価格market priceを支払い財を得ること
ある特定の場所に経済主体が集まり取引される状況だけを「市場取引」と呼ぶのではない

収入

プライステイカー price taker の仮定: 各企業は市場価格を与えられたものとして行動
同じ財を生産する企業の数が非常に多い → 個別企業の生産量は市場全体の生産量に影響しない
→ 市場価格に影響与えない //
→ 企業の収入, R(x): 財の価格(p)と生産量(x)の積で表せる
Def. 収入関数 revenue function, R(x) = px
仮定のもとではpは企業が決めることができないため
Def. 限界収入 marginal revenue, MR(x): 生産量を追加的に1単位増やすことで増える収入
MR(x) = dR(x)/dx = p → 限界収入は価格に等しい

需要

Def. 効用 utility: 個人がある財を購入し、それを消費することで得られる満足度

通常は、財消費量が増えると効用は増加 → 貨幣を基準に測定(できること多) → 予算制約 budget constraint: 所得におる上限存在

Def. 所得 income = 要素報酬 factor reward + 配当 dividend
Th. 各消費者行動は、予算制約下で効用を最大化するよう消費財の需要および生産要素の供給を決定する
Def. 限界効用: 効用の増加率(財消費量が1単位増えた時の効用増分)

→ 個人の限界効用は消費量が増えるとともに減少する = 満足度が減少 → マーシャル需要曲線
Ex. 財 = パン → 空腹時には効用は高いが消費が増えるにつれ効用は下がる

Marshall (マーシャル)需要曲線: 価格と購入量の関係

仮定: 主体 = 合理的 rational + 利己的 self-interested
Max(D) = 個人の効用を最大化する点

= 満足度最大 = 購入総額(= 価格 × 数量)最大

Def. 消費者余剰 consumer surplus, Sc: 財を購入し個人が得る効用の増分

Ex (左図): Sc = {f(1) – f(4)} + {f(2) – f(4)}+ {f(3) – f(4)} + {f(4) – f(4)}

= 図の白色部分の面積から灰色部分の面積を引いた部分

cost

費用 cost

Def. 総費用, Ct: 生産にかかる全費用
Def. 限界費用: 財生産量が1単位増えた時の総費用の増分

通常、財の生産量が増えると総費用も増加
→ 追加された財1単位の価値 = 企業が要求する最小の金額
SS': 限界費用曲線 Ex. 図の場合、企業は4単位まで生産
→ 価格と企業が生産供給する財の数量との関係

Def. 生産者余剰 producer surplus, Sp: 企業が得る利益

= 供給曲線図の灰色部分

Def. 固定費用 fixed cost, C0: 生産量ゼロの時の総費用

要するに生産しなくても(何もしなくても)かかる費用

利潤 (surplus) profit, P = It (総収益) – Ct

Sc = P + C0

cost
家計消費
Q 1: 家計予算 3000円 → 牛肉 \300/100 g (x)と鶏肉 \100/100 g (y)を月に何kg消費するか
A: 予算式(予算制約式) = 図の太線 → 3000x + 1000y ≤ 3000 → f(x) = y ≤ -3x + 3
Case. Bを選択: 領域α: Bより高い効用 ↔ 領域β: Bより低い効用

f(x)より左側の部分(ex. F)は効用低く選択されない
→ C, Dは選べるが選択されない(= Bより効用低い)

無差別曲線, I: 無差別な効用水準考える財の組合せを示す曲線

左上がり + 原点に向かい凸 + 選択点で予算線に接する

Def. B: 主体均衡点(消費均衡点)
Def. 限界代替率 marginal rate of substitution, MRS

= Δyx → 価格表現ならpy/px
要するに2財の単位価格比(= 相対価格)

→ 限界代替率は価格比(相対価格)に等しくなる
→ 最大効用を得る消費均衡点においてMRSは価格比に等しい

ここまでの仮定は、所得一定

Q 2 所得変化 → 無差別曲線変化 → 複数の無差別曲線は交わらない
Def. 効用関数utility function: u = U(x, y), x, y: 2種類の財. u: 効用 → 成立 → 経済学の前提
  1. 序数的効用 ordinal utility: 効用の絶対的な大きさ(マーシャル的効用)
  2. 基数的効用 cardinal utility: 効用の大小関係

価格変化

Def. 価格: 財を利用する際に単位当たりに必要になる対価
解析法
1) 一般均衡分析 general equilibrium analysis

全財の市場について、その相互依存関係を考慮し経済主体の行動や市場均衡を分析

2) 部分(均衡)分析 partial equilibrium analysis

仮定: 1つの財(所得)が価格変化 → 他財の価格変化はない

有効な解が導かれることはあるが非現実的単純化

純粋交換経済 pure exchange economy

仮定: 財生産する企業部門を明示的に考慮せず、既に財が生産されその一定量を各消費者が保有
→ 家計部門による財取引が行われる
価格消費曲線
需要曲線

労働供給

Def. 労働 ≡ 24時間 – 余暇

予算制約式: ωL = Y (ω: 1時間あたり賃金, L: 労働時間, Y: 所得)
ω(24 – K) = Y (K: 余暇, 単位 h)
→ 24 = (1/ωY + K

Def. (新古典派ミクロ経済学) 貯蓄 = 消費の将来への繰り延べ(利息がある)

主観的時間選好率

企業 (company)

行動原則 → 利潤(π)最大化
費用
固定費(用), 不変費): 生産量によらない費用 Ex. 機械の維持管理費
可変費(用), 変動費): 生産量に応じ変化する費用 company

不比例費: 生産量との関係が線形とならない可変費用

K (総費用) = v (固定費用) + uq (可変費用)+ wl (不比例費)

q: 生産量, u: 定数 → uv: 可変費用
l: 労働費用, w: 労賃 → wl: 不比例費
→ 費用曲線
p: 生産物価格 → pq: 売上金額 → (売上)直線

π = pqK = pq – {v + uq + wl}
Def. 限界費用: その財を1単位追加的に供給するための費用
Def. 平均費用: 生産物1単位あたりの平均費用(総生産量/総費用)
Th. 最大利潤は「価格 = 限界費用」となる生産量で達成される

市場均衡 market equilibrium

↔ 主体的均衡 subjective equilibrium: 個別経済主体の意思決定のこと

各消費者の効用最大化行動および各生産者の利潤最大化行動から財の需要および供給が決定 → 市場全体で集計aggregation → 市場全体の財の需要と供給が求まる

市場均衡: 市場全体の需要と供給とが一致した状態 → 価格決定 → 均衡価格 equilibrium price

→ 完全競争perfect competition: 理想状態 → 経済全体の利益最大化
Def. 資源配分 resource allocationの効率性 efficiency

所得と生産

国民所得 national income: 一国で一定期間(通常1年間)に生み出された価値(付加価値)の総額

= 国民純生産 – 間接税 + 補助金 (日本)
→ 三面等価equivalence of three aspects: 付加価値合計算出法は「生産」「分配」「支出」3面から計測可能
生産国民所得: 付加価値合計 = 生産を行ったものの所得の合計
分配国民所得: 所得は、生産を行った人や資本に分配される
支出国民所得: 分配を受けた人や資本は、これを必ず何らかの形で支出
∴ 生産量計測は、生産面、分配面、支出面のいずれからでも可能

国民総生産 gross national product, GNP
国内総生産 gross domestic product, GDP: 一定期間内に生産された付加価値を計測し合計したもの

= GNP – 海外からの総所得net income from abroad = 国内だけの生産額
最近はGNPよりGDPを重視 (日本は内閣府算出公表)

国民所得勘定: ある期間内に新しく生産された財貨・サービスの価値額を推計把握

推計方法: 推計値は概念的に一致 = 三面等価の原則 principle of equivalent of three aspects

  1. 各財貨・サービス生産額から生産のための原材料等とし使用された財貨・サービス(中間投入)を控除し得られる付加価値を集計する生産面からの接近方法
  2. 賃金や利潤等の分配された所得を集計する分配面からの接近方法
  3. 消費・投資等その期間内で他の生産過程で原材料等とし使用されない最終需要を集計する支出面からの接近方法
消費者物価指数 consumer price index, PICt

RINFt = (PICtPICt-1)/PICt-1 × 100 (%)


株式

株式会社社員(出資者)たる地位の表象単位 – 不特定多数から出資を募る大規模会社形態
出資者地位の変動が容易・安全 – 株式発行価額総額が資本額と必ずしも一致しない
株式会社
株式発行し資金集め事業を営む物的会社 ↔ 有限会社: 制約少ないメリット

物的会社: 出資者(株主)は、その出資金額を限度に権利と義務を持つ

↔ 人的会社: 無限責任を負う社員が存在する会社

商法: 大規模会社想定 → 社長1人出資零細企業が権威付けで作った株式会社多
→ 平成3年改正: 株式会社最低資本金1000万円に引き上げ → 権威付け株式会社減


コルレス契約 correspondent agreement (arrangement, or contact)
日本の銀行が、海外銀行と結ぶ為替取引契約
デポ(ジタリー)・コルレスdepository correspondent: 預金勘定をおいている取引銀行先

コルレス関係 correspondent relation
コルレス銀行関係correspondent banking relationship – コルレス銀行組織 correspondent banking system
コルレス先(取引先銀行) correspondent bank (海外コルレス先銀行(foreign) correspondent bank)
コルレス勘定(他店勘定) correspondent account (abbrev. corres. account)
デポジトリー・コレスポンデント・バンク depository correspondent bank

ノンデポ・コルレス non-depositary (-depository) correspondent: 預金勘定をおいていない取引銀行先
(銀行の)取引先銀行 banking correspondents (correspondent banks worldwide 世界中の取引先銀行)

(神野 2001)

日本はどうなる

ケインズ的福祉国家: マクロ経済政策(金融財政政策)による市場介入

完全雇用(前提) → 福祉: 貧困層救済 + 全市民に最低限生活保障

(ネオ・)テイラー主義: 労働者管理法

1. 課業管理
2. 作業標準化
3. (作業管理のための)最適組織形態

↔ ノン・テイラー主義

目標による管理

歴史の峠
シュンペーター的財政赤字 Schumpeterian deficit

→ 財政再建 → 経済再生
日本: 小さすぎる政府が大きすぎる借金を抱えた弱すぎる財政

シュンペーター的ワークフェア国家

= 知識社会 knowledge society (学びの社会)

計量経済学 (econometrics)


経済学理論に基づき経済モデル作成 →
統計学主要により経済モデル妥当性の実証分析を行う
市場調査 marketing research
実質賃金 real wages
国富 national wealth
産業関連分析 input-output analysis
キャピタル・ゲイン capital gain
株式や債券の値上がりによる収益

オペレーションズ・リサーチ operations research, OR

限られた資源を有効利用し目的の最大限達成のための意思決定を、数学的・科学的に行う手法
第二次大戦中に軍事作戦研究とし英米で発達 → 在庫管理・生産計画等の企業経営手法とし用いられる
Ex. 情報通信システム設計 (回線ネットワークや機器構成) – 数量とサービスの定量的関係

障害時の影響や回復時動作予測 – 通信トラフィック量と交換機の能力の問題
一般窓口業務の処理能力と行列の長さ、待ち時間問題
道路網構成と信号制御等の交通問題
在庫管理問題inventory problemや工程管理問題

システム動作や、処理能力推定し、必要十分なシステム構成を得る問題は広い分野に渡る
OR理論: 問題を共通モデルに抽象化 → モデルを処理、計算し結果を出す

システムの動きを、確率過程とし、待ち行列理論から解析
単純モデル解析 → (ダメなら)近似解法 → (それでダメなら)シミュレーション技法

ゲームの理論 game theory

ロジットモデル logit model: 最尤法を用いたパラメータ推定
ゲームの値 value of game
最適配分 optimum allocation
混合戦略 mixed strategy
ミニマックス定理 minimax theorem
ゼロサムゲーム: 合計sumが0になるゲーム Ex. 2人ゼロサムゲーム
鞍点 saddle point = 峠
均衡需要量 equilibrium quantity
マクシミン maximin: 最も恵まれない者の効用を最大化せよ

(統計的)決定理論(statistical) decision (making) theory

意思決定状況でのより正しい判断
状況を良好に導くには周囲状況を正確に認識し意思決定する必要 → 正確な状況認識困難
意思決定状況中で「誤認識」や「相互認識」の数理的扱いとが意思決定や情報交換への影響を調べる
決定樹 decision tree → 決定樹による計算 decision tree type algorithm
主観的な認識(誤認識)
競争的意思決定状況
ハイパーゲーム
均衡概念
誤認識から相互認識へ
相互認識の数理
認識体系
ハイパーゲームの一般形
認識体系の合成・共通部分
共通知識・内部共通知識
相互認識、情報交換、意思決定
情報交換
認識体系の修正
戦略的な情報の操作
情報交換の決定性
相互認識的な均衡

環境経済学 (environmental economics)


環境問題の原因を経済中に見いだし、原因診断に基づき環境政策論じる
原因診断法 → 処方箋異なる → 原因診断法の違いにより大きく2学派区分

1) 新古典派

= 現在主流派経済学
仮定 = 環境汚染は環境が無償で利用できるため発生
⇔ 環境は対価を支払わず利用 → 過剰利用 → 環境問題 = 外部負経済問題
外部負経済 ≡ ある経済行動が、他の効用・経済活動条件に、市場を経由せず直接の負の影響

外部負経済を伴う活動は過剰に行われる傾向 → 環境問題は外部負経済の典型
→ この原因診断から出る処方箋 = 環境を有償にすればよい

環境税: 環境財に、一般財と同じく価格を付与し利用制御する政策手法(Pigou 1932)
Ex. 地球温暖化の原因になる炭素の燃焼に課税する炭素税

価格決定 = 水準決定必要
→ 環境価格である環境税水準(税率)は人為的に与える必要 ↔ 一般財価格水準は市場が与える
→ 水準決定方法: 市場を規範とし理想的市場で価格が果たすのと同じ役割を果たさせるよう決定

限界費用 ≡ 理想的市場(= 完全競争市場)での財価格

価格を信号とし利用を決定する人や企業が選択する利用水準は、限界便益が価格に等しくなる水準
→ 総便益マイナス対価支払いが最大化するため
価格が限界便益にも限界費用にも等しくなることを通じ、便益マイナス費用が最大になる
→ 理想的な市場によって実現する効率的な資源配分
市場作用を範する環境税水準 = 環境の追加1単位の利用が発生させる費用(= 限界被害費用、限界外部費用) → Max(環境利用と引き替え得る活動がもたらす便益 - 環境利用費用) = 効率的状態実現
市場取引されない環境汚染被害費用算定困難 → 税率を決める理想的環境税実現できなかった
現実に多く採られる環境政策手法 → 守るべき環境水準(環境基準)決め、それを実現するよう規制をかける = 環境利用に価格を付与すものではない

ボーモル-オーツ税: 環境基準を所与とし、その水準を税により達成する
排出権取引制度: 環境利用権利を設定し、それを売買可能なものにし自然に価格がつくようにする

規制時も、規制費用と便益とを計測し、純便益が最大となるようにするという考えも主流派のもの
市場のもつ好ましい性質と言われる効率性の基準を、環境制御に当てはめる = 主流派環境経済学の特徴

2) マルクス経済学(マル経)

日本高度経済成長期の激しい公害にいち早く着目し資本主義の病と捉えた
資本主義下 → 環境汚染発生(マル経による答え)

利潤追求する運動体 → 生産は機械化し高度化(必然帰結)

→ 直接労働に比べ、機械設備等の生産手段(= それに投じられた資本 = 不変資本)の比重大

労働(それに投じられた資本 = 可変資本) = 利潤の唯一の源泉
不変資本比重増加 = 資本の利潤率低下 → 資本は不変資本を節約 = 労働条件悪化
この不変資本の節約が、個別資本ではなく社会全体の総資本のレベルで起こった現象が、労働者のための共同消費手段節約であり、その中に、環境破壊も含まれる(宮本 1976)

→ 環境汚染の階級性: 被害者 = 労働者・貧しい人々

環境汚染は、資本主義に普遍的に見られる貧困化現象の現代版
主流派のように、環境汚染被害費用が計測でき、効率的環境制御水準があるとマル経では捉えない
価格は基本的に生産側の条件により決まり、生産されない環境財に価格はないと捉える

共通点・相違点
主流派経済学もマルクス経済学も、環境汚染の原因を生産関係にあると見る

→ 人と人との間の社会的関係にその原因を求める


エコロジー経済学


素材面、つまり、人-モノ関係に環境汚染の原因を求める傾向

→ 理想: 究極の循環型社会

エントロピー増大則(熱力学第2法則): 閉鎖系での汚れの不可避的増加

天然資源消費し最終的に環境に廃棄物を蓄積させる一方通行の流れ → 長く続かない

→ エントロピー(汚れ)の経済的側面に注目した議論

生物が活動を続けるにはエントロピー廃棄 → 解放系
環境汚染: エントロピー廃棄機構の機能障害 → エントロピー廃棄機構

規範: 産業革命以前の化石燃料に殆ど依存しない時代の物質循環
エコロジー的経済政策論
Def. エネルギー: 対価の支払いを必要とする経済的・商業的資源
物質・エネルギーのストック: フローで表現する人間の生産・消費活動
  1. ワンセットのバランス循環: food web (producer, consumer, decomposer)
  2. ソフトな多様システム
    「生産性」「安定性」「安全性」の組み合わせによって多様性を維持
    自然界-生物界-人間社会の3世界が繋がるように考慮

生態リスク評価

生態リスクを定量的に評価
生態リスク ecological risk: 野生動植物や生態系に対しておよぼす害の程度
健康リスク human health risk: 環境中化学物質については人間の健康に対する害

→ 定量的評価 → リスク便益分析(+ 政策選択)

→ 生態リスクも考慮し化学物質の規制を行うべき → 現存世代の人間健康害とは別に生態リスクを測定

Ex. DDT: マラリア多発地域 → 安価で有効な殺虫剤として使用(急性毒性小さく健康リスク比較的小)

生態濃縮 → 先進国DDT使用禁止: 健康リスクより野生動物(= 生態リスク)重視

生態リスク評価方法
群集生態学的方法: 多数種含む生態系モデル → 各種バイオマス変化から評価
個体群生態的方法: 特定生物集団に注目 → 増殖率(マルサス係数)低下や絶滅率上昇を通じ評価

リスク当量 risk equivalent: 集団絶滅確率や平均絶滅時間短縮量を目安に、同じだけの絶滅リスク増大をもたらす環境収容力低下の程度 – これによる評価の試み

絶滅リスク評価: 絶滅危惧される集団の重要性

Ex. 日本の維管束植物: 全国生息地個体数減少データ → マルコフ連鎖モデル → 絶滅平均時間

→ 絶滅危惧種のクラス分け
特定生息地喪失による全国平均絶滅時間が短縮される程度 → 生態リスクを評価


外部負経済(外部不経済) external diseconomy

経済主体(Ex. 個人・企業) → 他経済(効用・生産条件)に「直接に市場経由せず」負の影響 Ex. 公害

Ex. 市場経由: 購入手控える行為が財価格下げ、その財の所有者に損害を与える市場の正常な働きの現れ → 市場均衡が効率的でなくなることはない
⇔ 外部経済: 経済行為が他の経済に良い影響

→ 市場の働き変化(阻害)
外部負経済も外部経済もなければ、理想的市場の均衡(競争均衡)は、効率的(純便益が最大化する) → 外部負経済や外部経済が存在すると、市場均衡が効率的でなくなる

Ex. 環境問題 = 外部負経済 = 環境負荷
社会に与える損失(外部費用)が、環境負荷を伴う行動決定に際し無考慮 → 行動が過剰な大きさとなる

外部負経済適切制御法 = 経済主体の内部化させる

内部化方法: 外部負経済発生行為に課税 → 価格による制御(伝統的案) + 直接的規制(環境政策)

社会的費用
外部負経済を伴う経済的行為の総費用(s.l.)
総費用のうち私的費用以外の費用(s.s.)
生産・消費という経済的行為は、それにかかる費用とそれから獲得できる便益とを考慮に入れ行われる

考慮されるのは私的な費用・便益だけ

外部費用 external cost: 行為が環境への負荷を伴う場合に、私的には考慮されない費用
社会的費用 = 外部費用 + 私的費用

私的に考慮されない費用の存在は、行為の結果として非効率的状態を出現
→ 費用の大きさ明示し、これを課税により私的な計算中に内部化することが推奨 → 社会的費用を計測する必要 + 社会的費用の大きさわかれば環境負荷を制御する公共政策の全便益・費用示せる ↔ 計測困難

Def. 外部費用(s.s.) = 社会的費用 (Kapp 1950)
社会的費用計測困難 (例外: 疾病による所得損失・医療費、土壌浸食による穀物産出量低下・損害補償に要した支出額等)

計測困難な、人命損失リスク費用や自然生態系破壊費用等も、間接市場を利用する方法や、直接質問する方法等による計測が試みられている

→ 社会的費用の貨幣的な数量化ではなく、物的な社会的費用発生の因果関係の解明と、社会的費用についての物的な基準の設定を重視し、そこに社会的費用概念の客観性を求める
共有資源
私的所有権が設定されない資源
Hardin (1968): 「共有地の悲劇the tragedy of commons」: 環境問題を社会問題として捉える契機

資源過剰利用防止法

1) 外部負経済による費用が全資源利用者に考慮されるよう資源利用に課税
2)資源を私的所有の下に置く

→ 地代 (s.l. 資源利用料)が発生し、資源利用の全費用が適切に考慮される

Ex. 共有地での過放牧: 牧草地モデル = 複数家畜所有者が共有地を利用

家畜余分に飼うと、全利益が個人に帰するが、伴う過剰放牧の損失は個人には一部分しかかからない → 個人が自己利益を追求すると全体マイナスになり、ついには牧草地崩壊
≈ 「社会のジレンマ」、「外部負経済」 → 外部負経済による資源利用の非効率性生じる

外部負経済: 自由主義経済下 → 財やサービスの生産・流通、使用等各段階で市場外部で発生するマイナス財(バッズbads)を適正処理する費用が市場メカニズム自体に存在しない結果、環境破壊や健康被害を始めとする外部への悪影響が生じること。外部効果という性質上、市場経済学による解決が難しく、環境破壊等の社会的損失をも対象とする「環境経済学」が近年発展
Ex. 漁業: 漁業資源に対し漁獲努力を加えて収獲する営み Ex. 道路交通混雑

→ 共有地は私有地あるいは公有地にすべき: 里山問題・海洋問題

Ex. 入会(いりあい): 特定地域住民が慣習に基づき一定山林原野、漁場を共同利用し採取すること

入会権: 特定地域住民団体が、特定山林原野に対し、共同利用を営む慣習上の権利

旧慣使用権: 市町村や財産区の所有山林原野中、その市町村住民の一部で旧来慣習で使用を認めた権利
入会地: その入会権が設定されている場所
入会林野: 民法規定入会権の目的となる林野。一定地域住民が旧来習慣下に共同管理し、採草、放牧、木材生産等に利用

共有林: 法律的には複数人の共有に属する森林だが、実質的には部落有林等に類する山林

フリーライダー(ただ乗り) free rider: 費用負担せず便益を受ける人(組織)

Ex. 有害物質排出基準作成 → 多違反者出さないため基準甘めに設置

ある人にとって余裕を持った排出が基準ギリギリまで合法的に排出が許されてしまう状態

廃棄物、温暖化等の問題で用いる

リスク便益分析

環境汚染・環境破壊による健康や生態系リスク等を適切に制御しようとする際、[リスクの大きさ – 引き替えに享受できる便益の大きさ] > 0を基準に判断しようとする政策分析手法
リスク計測
Ex. 人健康リスク → 環境汚染による推定死亡数, 特定疾病数, ··· の発生確率上昇分に人口を乗じる
Ex. 自然生態系リスク - 十分には確立していない

環境破壊によって、特定の生物の種または個体群が絶滅する確率の増分によって測る

便益計測: 便益 = リスク発生と引き替えに得られる様々な経済的便益 → リスクを減らせば失われる

リスクを減らす方向でリスク制御される文脈では、リスクを減らすための費用と言い換えられる
Ex. 環境汚染物質排出抑制: 抑制のための設備投資や人的資源投入の費用
Ex. 特定物質使用抑制: そのため生じる様々な不便。代替物質を用いる必要から生じる余分の出費

→ これらの費用と、その費用をかけ削減するリスクの大きさとの比を求める

→ 小さいほど問題にしているリスク削減策効率的

費用効果分析: その比の小ささにより政策に優先順位

費用対効果: 効果(benefit)/費用(cost) > 1 → 経済面で効果あるとする

費用便益分析 cost benefit analysis: リスク削減そのものの便益の大きさに基づく基準値と比べ、その比の大小によりリスク削減策実行の是非を決める
→ 公共事業(道路・下水道等)業績評価等によく用いる手法
Ex. 代替可能複数公共事業の費用便益を比較し事業案に優先順位 → 便益・費用 = 貨幣額で定量化 社会的厚生の上昇(便益)と減少(費用)を市民が支払ってよいと考える貨幣額で評価

費用・便益が公共事業で形成するストック耐用年数を通じ発生すると考え、一定の社会的割引率を用い現在価値に換算し直し、便益が費用を上回れば、そのプロジェクトは実施に値すると判断

課題

便益把握不完全だと便益の範囲と内容を一義的特定困難で、便益過大評価、費用過小評価しがち
効率性尺度としたプロジェクト評価方法で、分配公正を考慮しない事業、プロジェクト相互間の比較困難
効率性の観点による業績評価で公共事業の採否判断手法としては有効

具体的分析手法
  1. 消費者余剰法: 適する事業 = 道路、港湾、土地改良等
    a) 部分均衡分析: プロジェクト実施時所得水準 – 非実施時所得水準 = 便益

    周辺環境不変とする(周囲環境変化による±考慮しない)

    b) 一般均衡分析: 周辺環境含め社会全体の費用便益をモデルで測定
  2. ヘドニック法Hednic price equation → 関数推計
    被説明変数(y, 地価や住宅価格) = f(説明変数(xi, プロジェクトによる公共財)
    得たパラメーターから便益測定し政策評価 (Ex. 市街地道路完成 → 上昇地価 → 固定資産税反映)
    前提: キャピタリゼーション仮説成立 = 公共財形成するプロジェクトが地価・住宅価格に反映される

    仮説成立条件 = 地域内外移動の自由補償 + 消費者効用関数等が同質 + プロジェクト対象領域狭い + 土地等の代替性ない + ···

    → 地価に影響を与えない国土全体の自然環境等のプロジェクトに適用困難
  3. 仮想市場法: 積極的に住民意思をプロジェクト決定に取り込む手法
    政策・プロジェクト実施に直接いくらまで負担を容認するかをアンケート方式で集める方法
    手順: 評価対象情報収集 → 評価アンケート → アンケートプレテスト → 本調査 → 結果分析
    適用範囲広い = 市民参加ににより具体的な説明しやすいメリット
  4. 代替法等
    a) プロジェクト便益に類似した別の私財に置き換え効用測定
    b) プロジェクト実施により失われた価値を回復させるための必要コストから評価, 他
    費用便益分析による経済評価と環境影響評価が導くプロジェクトの直接間接的便益を(利用者、土地・建物占有者、施設利用者、開発保全政策、開発政策、財務効果)の6評価カテゴリー毎に整理
    評価カテゴリーの相互で便益を比較
    計画の段階に応じ3度作成し,内容と精度を次第に改善
→ 自然生態系保全政策に応用
費用 Ex. 開発しないことによる損失額、農薬等化学物質を使用できなくなることによる出費増加分 便益 Ex. 自然生態系保全そのものが持つ貨幣価値 → 市場価格持たない = 計測困難

支払意思額 willingness to pay, WTP: その財に対し人々が支払ってよいと思う金額

→ (直接)質問法 contingent valuation method, CMV – WTPによる便益算出

↔ 自然生態系が失われる費用は補償として要求する金額willingness to accept, WTAで測る
難点: 実際存在しない、自然生態系に関する市場を仮想的に設定
Ex. 人は買ったこともない財へのWTPを持つか
Ex. 本質的に公共財である自然(環境)へのWTPを真に聞き出す質問を設計できるか
Ex. 評価対象となる財を定義できるか


  • 神野直彦. 2001. 二兎を得る経済学. 講談社α新書
  • Kapp KW. 1950. The Social Costs of Private Enterprise, Harvard University Press (篠原泰三訳. 1959. 私的企業と社会的費用 -現代資本主義における公害の問題-. 岩波書店)
  • 宮本憲一. 1976. 社会資本論. 有斐閣

生態系サービス

環境の経済的評価


環境を経済的に評価することの意味と問題 - 貨幣的尺度を使用する理由
環境被害と環境保全便益の貨幣的価値
環境の全経済価値を計算
全経済価値と意志決定
環境の便益を測る手法 - 直接的評価と間接的評価
  1. 直接的手法: ヘドニック価格法、擬制市場評価法、旅行費用法
  2. 間接的手法
存在価値とはなにか
オプション価値と存在価値の実証的推計

環境勘定の作成

環境勘定の目的と現状 物的アプローチによる環境勘定
  1. ノルウェーの勘定システム
  2. フランスにおける資源勘定
貨幣的アプローチによる環境勘定
  1. 防御的支出の取り扱い
  2. 環境悪化のマイナスの影響
  3. 資本減価の取り扱い
持続可能な所得を測定する
  1. 環境問題を考慮した現在の所得の測定(日本)
  2. 自然資源勘定と持続可能な所得の測定(インドネシア)
物的アプローチと貨幣的アプローチの比較
英国における環境勘定の取り扱い

プロジェクト評価

公共部門のプロジェクトを評価する
評価基本式

環境被害を評価する Ex. 米国環境保護庁、英国大蔵省、英国海外開発庁、英国運輸省
持続可能性を費用便益分析に統合する

費用と便益の割引き

割引きの基本的理由
割引きが環境に及ぼす影響
割引きに対する環境保全論者の批判
  1. 時間選好に基づく割引きへの反論
  2. リスクと不確実性に基づく割引きへの反論
  3. 限界効用逓減に基づく割引きへの反論
  4. 資本の機会費用に基づく割引きへの反論
割引きに対する「環境面からの批判」に関する結論
割引きによる自然資源への影響
割引率を調整することの問題点
  1. 環境リスク調整
  2. 不可逆的な環境への影響調整
  3. 将来世代の利益考慮

価格付けとインセンティブ

市場と価格
財とサービスの適切な価格付け
汚染者負担の原則
持続可能な発展と汚染者負担の原則の関係
市場に基礎をおくインセンティブ
  1. 汚染課徴金・汚染税
  2. 炭素税
  3. 排出許可証の市場
自然資源の適切な価格付け
総合的環境政策と市場に基礎をおくインセンティブ
インセンティブと省エネルギー
持続可能な発展のための価格付けに関する結論

人文環境学

環境科学: 科学の観点・方法論から環境解析する立場
→ 人間・社会の立場から解析

環境社会学 + 環境経済学 (+ 住空間の快適性等を含む建築工学的 + 文化的側面が対象の研究分野)
→ 自然環境と人間との間の相互作用を真正面からとらえる取り組みに対応した学問領域は未構築

1980年代中頃: 人間を取り巻く環境に関する問題 → 公害から地球環境問題に移り変わる

環境に影響を及ぼす人間と生存を支える環境との対立 = 科学技術による対症療法的問題解決
→ 人間-自然環境相互作用系 = ライフスタイルや価値観変更という根治療法的問題解決

1992: 「地球サミット」 → 地球の有限性の認識

環境問題 → 科学と人文・社会学の融合(文理融合)は重要な視点

特定分野を深く追求する科学に対し、複数分野を取り込んだ学際的研究必要
科学諸分野のみならず、人文・社会にわたる様々な分野が関わる = 文理融合
→ 具体的方法を提案するものはきわめて少ないのが現状

1997: 環境影響評価法制定(1999より施行)

日本: 公共事業への環境影響評価(環境アセスメント)
アセスメント手続き中、広く意見を聴取することになっているが、科学知見が一般の人々に理解される形で提供され、また、一般意見を充分に汲み上げる仕組みを構築するには、科学と人文・社会学とが協働する必要
Ex. アップルゲート・パートナーシップ: 生態系管理ecosystem managementの発想 → 米国オレゴン州アップルゲート川流域国有林管理に関して取り組まれた

環境効率 eco-efficiency
生産効率に対比し、いわれるようになった環境重視の概念
生産効率アップ = 経済的成長指標 → そのような生産効率を追い求める → (地球)環境破壊
持続的成長を目指すには、最小資源投入に対し最大生産を挙げようという「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方

環境効率の目標: Ex. ファクター4: これまでの資源やエネルギーを1/4にし同じ生産量を確保

環境効率分析 eco-efficiency analysis

efficiency
生態指紋(試訳) ecological fingerprting: 環境効率分析に用いられる生態上の証拠


(中筋 1997)

有害生物管理基準


経済的被害許容水準 EIL (economic injury level)
農作物健全育成 → 位面積当たり一定金額の商品収穫
(粗)収益 = 商品収穫収入 – 固定費(必要経費), 必要経費 = 肥料代 + 種苗代 + 労賃等

害虫発生や病害 → 農作物収量減や品質低下 → 商品価値低下 → 収益減

「無防除の場合の病害虫被害」 = 「健全な場合の収益」 – 「無防除で病害虫が出た場合の収益」
典型的防除法 = 農薬散布

農薬散布に要する費用 = 農薬代や農薬散布費用(防除器具、労賃)
余分な経費をかけ農薬散布したために害虫・病気発生抑制され、本来出る被害を抑制

ある防除法での病害虫被害額 = 健全な場合の収益 – ある防除法で病害虫抑制をした場合の収益

ある防除法を採った場合は、採らない場合に比べ収益は増加するはず

ある防除法によるメリット = ある防除法での収益 – 無防除での収益

農薬散布費用を入れていないが、「農薬散布に要した費用」が「その防除によるメリット」を越えると「農薬を撒いて病害虫を駆除したが赤字になった」状態となる

Def. EIL = 農薬散布費用 – その散布によるメリット ≈ 0

病害虫撲滅主義と比較 → 「ある程度病害虫が発生し被害が出そうでも、費用を考えるなら、全て防除すればよいというものではない」点が特徴。単純概念だが実際の計算は複雑
Ex. EILを求める: 実際にはある密度で害虫がいたり、ある発生程度で病気が出る(葉の何%が枯れる)状態で、農薬散布しても効果が現れる前に害虫が多発したり病勢が進むことがよくある

CT: Control threshold (要防除水準)
EILが意味を持たない(計算できない)場合

「これ位の発生程度になった時に農薬散布しないと被害がEILに達する」発生程度を求めないと、実際の防除活動に役立たない。このレベルをCTという

Ex. 作物葉が50%枯れる = EIL → それ以下の被害に留めるには、葉が20%枯れた時点で農薬散布開始する必要も分かっているなら、その20%というのがCT ↔ 葉が20%枯れる時点で最終的な枯れる比率は不明(ex. 気象条件等に依存)であり、20%時点で農薬を撒くのは無駄になることもある。CTが0%被害に近づく場合があり、「病気が出ようが出まいが農薬を撒く」状態になる。こうなった場合、IPM精神は持つが、実際は「農薬漬けの弾幕散布」となる

アグロフォレストリー (agroforestry)


agroforestry = agriculture + forestry → 林業と農業を有機的に組み合わせた農林複合的土地利用
 持続可能な(熱帯)森林管理システムとして期待され、森林減少の根本原因となる貧困や人口増加に対応するためにも、森林管理システムの整備・強化が必要とされる

タウンヤ方式

ミャンマーで世界初の政策的体系的実施 → チーク林林床で農作物栽培

多層混農林-自然遷移模倣方式
伝統的焼畑移動耕作
永続的樹間栽培

従来型農地に比べ土壌肥沃化・土壌流出防止・病害虫制御・生物多様性保全、高炭素固定能力等の多面的機能を提供 → 森林劣化抑制 (MA 2005)
ST ST
1997年12月18日、フィリピン、ロスバニョスにて。
Map
カルメラ G. タグイアム, 露崎史朗. 1997. フィリピン、マキリング森林保護区バゴンシランにおける農耕形態としてのアグロフォレストリー. Tropics 7: 269-282 (Taguiam & Tsuyuzaki 1998)
 アグロフォレストリーは、フィリピン、マキリング森林保護区バゴンシラン地区におけるアグロフォレストリーの基本形態であるカインギン(kaingin)に起源した、現代農耕に伝わる農耕システムとして好ましい形態である。アグロフォレストリーは、農村生態系の保護と安定化のための伝統的な手段でると同時に安定した収入源かつ農村住民の基本的材料として認識されている。しかしながら、バゴンシランの農民はアグロフォレストリーを彼らの農耕システムと連携させることを拒否している。農民のおおむねの認識としては、アグロフォレストリーは単なる植林を含めた森林再生を意味している。よって、人為干渉から保護区を保護するために、農耕様式としてかつ保全手法としてアグロフォレストリーに関する基礎情報の普及強化が必要である。アグロフォレストリーの採択に影響するその他の社会的要因は、信仰と実践、転住時期、部族、居住形態および収入が関与していた。

焼畑

slash-and-burn
天然林と焼畑跡地でのフタバガキ科(Dipterocarpaceae)の比率
フッター