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(2014年1月9更新) [ 日本語 | English ]

火山遷移 (volcanic succession)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[三宅島, 桜島, セントへレンズ山, ハワイ, クラカタウ, カトマイ]
[火山 (volcanoes), メタ解析 (meta-analysis)]

索引

火山特有の植物群落 → 火山の分布に対応しているため分布発達が特異

爆発噴火による被害差 + 噴出物の性質、土壌化の具合、標高等によって植物の構成と発達が異なる
+ 火山爆発後に生じた植物の由来と発育

火山島 (volcanic island)


→ 種分化については島の生態学

海洋島 oceanic island: 成立以来、大陸と陸続きになったことがない島
火成岩: 火山島の基岩 - 土壌が未発達な新島では基岩の影響を植物は大きく受ける
新島誕生: 火山活動に伴うこと多 → 植物0、土壌栄養ほぼ0から始まる
+ 海の影響

西之島新島

1973.4: 誕生
1975: グンバイヒルガオ = 海流散布型種子: 現在優占

大陸中に出現した新島には、まず広域分布種が出現 Cf. 旧島: スベリヒユ、オヒシバ、ノビエ

[火山地質 (volcanic geology)]

三宅島 (Miyake Island)


1 → Myk2 → 3
[1] 1991年10月12日。スコリア。[2] 表, イタドリパッチ群(1988年11月19日); 裏, パッチ(同日)。[3] オオバヤシャブシ (同日)。

[火山地質 (volcanic geology)]

桜島 (Sakurajima Island)


 1476年(文明)、1779年(安永)、1914年(大正)、1946年(昭和)の4回に渡って大量の溶岩が流出しその上に成立している植生を調べることにより溶岩流上の植生遷移が推定されている(Tagawa 1964, 1965, 1966)。遷移を促す環境変化は土壌成熟度と土壌表面への光の浸透と考えられている

桜島における時間系列

調査は、1960年から1963年にかけて、流出した年が異なる溶岩上で行われた(Tagawa 1964)
    溶岩名    文明      安永     大正          昭和
    溶岩略号  BU   BM   AS   AF  T1H  T1S T2S  SK        SA
    噴火年    1476      1779     1914          1946
    植物群集  低木      低木     草本          コケ/地衣
  • 段階: 特徴

    例: 植物相の変化

  • 裸地 (0年): 岩石露出。岩石亀裂等に水のたまるところに地衣類・コケ類の胞子が落ち発芽 溶岩: 表面凹地を利用しコロニー形成

    蘚苔類(スナゴケ・ススキゴケ・ツボミゴケ)・地衣(キゴケ・ハイゴケ)・緑藻
    火山灰・火山砂堆積地窪み: 高等植物 (タマシダ・ススキ・クロマツ・ヤシャブシ)

  • 荒原 (1-20): 地衣・藍藻類が生育し始め、これらが枯死し腐植ができ、保水性が高まり1年生植物侵入が増える

    20年: 溶岩上に地衣類 (キゴケ・ハナゴケ等)

  • 草原 (4-50): 1年生植物が入り、その後越年生・多年生草本(ススキ・イネ)が多くなり多年生植物草原となる。その後、低木・陽樹(クリ・コナラ・アカマツ林、シラカバ林)実生が混じり始める

    50年: 草原 (イタドリ・ススキ・タマシダ等)

  • 陽樹林 (25-150): 草本より大きくなった陽樹台頭し陽樹林形成。陽樹林内陽樹種子は光不足のため発芽率下がり、弱光発芽する陰樹(シイ・タブ・カシやブナ・ミズナラ・カエデ類)実生増える

    100年: 低木 (ノリウツギ・ヤシャブシ・クロマツ若木)
    130年: クロマツ林 (クロマツ・ネズミモチ・タマシダ)

  • 混合林 (100-180)
  • アラカシ林: アラカシ: 陰樹の一種

    アラカシ林(アラカシ・ネズミモチ・ヒサカキ)

  • 陰樹林 (150-500): 陽樹と入れ替わって陰樹が多くなる。陰樹の種子は林床で発芽して大きくなれるので、ずっと陰樹林が続く(極相)

    タブ林 (タブノキあるいはアラカシ) - 極相

[火山地質 (volcanic geology)]

セントへレンズ山 (Mount St. Helens)


種子移入 (seed immigration)


散布(移入)種子 → セントへレンズ山で湿式シードトラップ(seed trap)を使って1981年に捕らえられた種子

種 species比率 percentage
Epilobium angustifolium87
Cirsium arvense7
Sonchus arvensis4
Senecio sylvaticus2

噴火直後に捕らえられた種子はわずか4種であるが、その後散布種子は飛躍的に多くなる

(Dale 1988)

栄養繁殖 (vegetative reproduction)


噴火1年後に5-20 cmのテフラ堆積地で低木28種と草本109種の根形発達様式を調査。全低木が匍匐性prostrate or reptantの根(二次根的)を発達。草本植物は様々な根形の発達様式が見られたが、おおむね地上部に達していた。

表. テフラを突き抜けることができた草本植物の根型様式 (大して重要ではない分類だと思うが) → 大事なことは、テフラ深が7-15 cmであれば、多くの多年生草本がテフラを突き抜け地上部に表れ回復可能 (Antos & Zobel 1984)

A. 地表に匍匐性の芽を出す(しばしば部分的に木化している)

B. 長いストロン _____ STOL (Stroniferous)
B. ストロンはない _____ SS (Subshrubs)

A. 地表面あるいは地下に匍匐性の芽を出す(すべて草本植物)

C. テフラ上に芽が出ることはほとんどない

D. 埋没土壌中から再び現れる _____ DB (Dies back)
D. 匍匐性の芽が地表に僅かに移動する _____ MDB (Mostly dies back)

C. テフラ中に芽は普通に生産される

E. 長いライゾームを持つ

F. ライゾームのみで地表へ移動 _____ LR (long rhizomes)
F. ライゾームとアエリアルシュート(aerial shoot)で地表へ移動

G. 桿(culm)によって地表へ移動 _____ CU (Culms)
G. 桿によらずに地表へ移動 _____ LRS (Long rhizomes and shoots)

E. クラウンcrown、幹caudex、あるいは短いライゾームのある植物

H. テフラ中に新しいクラウン・コーデックス・ライゾーム等形成

I. 桿からクラウンを形成(イネ科) _____ CU (Culms)
I. 桿からクラウンは形成しない

J. テフラ中に多くの根がある _____ CR(Crown and roots)
J. テフラ中に根はほとんどない _____ C (Crown)

H. テフラ中に明瞭なクラウン等はない

K. テフラ中に多くの根がある _____ NCR (No crown but roots)
K. テフラ中にほとんど根がない _____ NC (No crown)

窒素固定植物 (nitrogen-fixing plant)


ルーピン (lupine): 根粒菌をつけるマメ科植物 → ある所とない所で土壌中のN, Cを測定

土壌中Nには明瞭な差はなかったが、Cは有意にルーピンのある所の方で多い。Nは、ルーピン(あるいはそれについている根粒菌)が利用するため土壌中にはあまり蓄積していないのではないか

(Harvorson et al. 1991)

ハワイ (Hawaii)


オアフ島: アア溶岩流出で知られるように頻繁な噴火を繰り返す

記載的調査 → 遷移初期は溶岩上にコケ・地衣が定着(Egler 1947)

外来の窒素固定能力ある木本植物Myrica faya(invader)は自生植物の成長が窒素欠乏により制限されている若い火山性の場所に侵入している
→ 火山遷移: 窒素固定能力を持つ植物の有無により遷移様式が大きく異なる

表. ハワイの疎開した林間調査区でのMyrica faya個体群の有無による窒素供給の違い(kg/ha/yr)(Vitousek et al. 1987)

                          Myrica
    供給源                無      有
    降水                  5       5
    自生の窒素
     落葉                0.2     0.3
     腐朽木              0.1     < 0.1
     地衣                0.2     0.2
     マット状コケ        < 0.1   < 0.1
    Myrica faya窒素固定   0  8
    総計                  5.5     23.5

表. Metrosideros polymorphaの直径増加(mm/yr、括弧内SE)(Vitousek et al. 1987)

    調査地       対照     窒素肥沃化 有意レベル   他栄養の影響
    1959年火山灰 6.6(0.8) 11.6(0.9)  P < 0.001    NS
    1790年火山灰 0.4(0.1)  0.8(0.1)  P < 0.01     NS
    古い火山灰   4.4(0.7)  5.5(0.9)  NS
    林間疎開地   0.6(0.1)  2.4(0.3)  P < 0.001
窒素固定能力を有するMyrica fayaBuddeleja asiaticaは高光合成能を有し、さらに自生植物に較べ高い葉窒素濃度を有し、落葉をたやすく堆積させた → 土壌形成促進 + 植物へのフィードバック

クラカタウ (Krakatau)


年降水量2629 mm、年平均気温27.8°C
1883.5.20 噴火、8.27爆発で島北部消失

火山灰と火砕流が残った南半分に降り注ぐ(死者36417人)。形成されたガリー深100 mに達し底は噴火以前の地表に達した。全植物が絶滅かは不明

1923 火山活動再開

中央部にアナククラカタウ島誕生

アナククラカタウ島

3年後 ____

藍藻生息

50年後 ___

鳥類271種
爬虫類5種(ワニ1種、ニシキヘビ1種)
コウモリ3種
ネズミ1種

植生回復
汀線近 = グンバイヒルガオ群落
→ 内陸 = モクマオウ林 → 混交林 mixed forest → ゴバンノアシ林
→ 斜面 = ナンゴクワセオバナ草原
斜面植生: ガリー底に生じた混交林
大ラカタ島: Neonauclea
小ラカタ島・セルトウン島: Timonius林とDysoxylum
山体斜面: ナンゴクワセオバナがまばらに分布

(Tagawa et al. 1985, 田川 1989)

ナンゴクワセオバナ茎数 = 標高とともに指数関数的に減少
低地と分布上限近くで古い地下茎が地下60 cmまで埋没 → 最近火山灰が堆積した
分布上限付近: ナンゴクワセオバナが見られない。分布境界より上: 枯れた茎が残存 → 火山活動が穏やかだった頃により広く定着し、その後火山灰堆積に耐え生残していると考えられた (Suzuki 1984)

カトマイ (Katmai)


アラスカ
溶岩上無機質土壌上 = 土壌窒素殆どない → 葉状地衣類初期に定着 + 若干の藻類が地衣類と共に定着(Griggs 1933) (高校教科書の遷移系列図のもとはこれ)
定着していた地衣類を実験室で無窒素培地で成長させると、他の植物より良好な成長をし、カトマイで遷移初期に無機質土壌(溶岩)上において地衣類が定着できることを指示した(Griggs & Ready 1934)
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