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(2017年1月12日更新) [ 日本語 | English ]

日本生態学会要旨






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

諸般の事情で面倒臭いが必要に応じ、学生発表を含む

雑録 [ 植物学会 | 生態学会 | 講演(含 他学会要旨) ( 英語版 English )| 書評・コラム | 報告書 ( 温室 )| 参考文献 ]

タイトル


  1. 露崎史朗. 2017.3.16. 北日本(北海道・新潟周辺)のスキー場斜面植生. 日本生態学会 (東京, ポスター)
  2. Vegh L・Tsuyuzaki S. 2017.3.16. Remote analysis of succession and seed dispersal after the 1977-78 eruptions of Mt. Usu. 日本生態学会 (東京, 口頭)
  3. Kwon T・Tsuyuzaki S. 2017.3.16. Changes in the nitrogen acquisition of trees with the development of vegetation after the catastrophic eruptions. 日本生態学会 (東京, ポスター)
  4. 露崎史朗. 2016.3.24. 北海道渡島駒ヶ岳における1996年から2015年までの植生変化. 日本生態学会 (仙台, ポスター)
  5. Rakotonoely H, Tsuyuzaki S. 2016.3.24. Seed germination rate and seedling growth of native and invasive Solidago species (Sendai, Poster)
  6. 宮崎紀子・露崎史朗. 2016.2.19. 遷移初期におけるヌマガヤ草地へのミズゴケの侵入定着パターン. P (札幌, 口頭) (地区大会)
  7. Kwon T・Tsuyuzaki S. 2015.3.19. Seasonal and elevational variations of mycorrhizal symbiosis of woody plants on Mt. Koma, northern Japan (Kagoshima, Poster)
  8. 露崎史朗・小島覚・成田憲二・斉藤和之. 2015.3.21. 北方アラスカの植生推移パターン. (鹿児島, ポスター)
  9. Kwon T・Tsuyuzaki S. 2014.3.18. Nitrogen status of Salix reinii and Larix kaempferi in relation to mycorrhizal N transfer on Mt. Koma, northern Japan. (Hiroshima, Oral)
  10. 釜野靖子・Stefan Hotes・露崎史朗. 2014.3.16. 北海道サロベツ湿原におけるテフラ撹乱実験後13年間の植生変化. (広島, ポスター)
  11. 江川知花・露崎史朗. 2014.3.15. 優占種の種・群集レベルでの影響は遷移系列に沿って変化する. (広島, ポスター)
  12. 露崎史朗・岩花剛. 2014.3.15. セワード半島(アラスカ)における火災後の地下氷融解によるポリゴン状沈下に伴う植生変化. (広島, ポスター)
  13. Rakotonoely H・露崎史朗. 2014.2.21. The recovery processes after an experimental forest fire: growth of Betula platyphylla var. japonica relative to biomass recovery of Sasa senanensis and soil characteristics. P. (札幌, 口頭) (地区大会)
  14. 野村七重・露崎史朗. 2014.2.21. 北海道渡島駒ヶ岳におけるシラタマノキの動物種子散布と種子発芽との関係. P (札幌, 口頭) (地区大会)
  15. 江川知花・露崎史朗. 2013.3.9. 遷移における植生・リター発達が実生加入およびシードバンク形成に与える影響. (静岡, 口頭)
  16. 露崎史朗. 2013.3.7. 有珠山2000年火口周辺部における植生回復パターン (静岡, ポスター)
  17. 野村七重・露崎史朗. 2013.3.6. 北海道渡島駒ケ岳におけるシラタマノキ種子の散布と発芽. (静岡, ポスター)
  18. 露崎史朗. 2012.3.20. Vegetation changes from 1994 to 2008 on Mount Usu, northern Japan, after the 1977-1978 eruptions. (大津, ポスター)
  19. Appiah C・露崎史朗・Djietror JC. 2013.2.22. Post-fire restoration study of ash and moisture variation effects on seed germination of Colocynthis citrullus and Vigna unguiculata. P. (札幌, 口頭) (地区大会)
  20. ジェトロ JC・露崎史朗・大原 雅. 2013.2.22. Population and ecological studies of the invasive pioneer species Chromolaena odorata and the application of post-mining land restoration. P (札幌, 口頭) (地区大会)
  21. 江川知花・露崎史朗. 2012.3.19. リター堆積が種子サイズの異なる湿原植物4種のシードバンク持続性に与える影響. (大津, 口頭)
  22. 江川知花・露崎史朗. 2011.3.10. 侵入段階の異なる湿原植物2種の光・水応答特性. (札幌, ポスター) [最優秀賞]
  23. 大瀧みちる・竹内史子・露崎史朗. 2011.3.11. 北海道有珠山火口付近の植生遷移と微生物分解. (札幌, ポスター)
  24. 斎藤達也・露崎史朗. 2011.3.11. 火山荒原上の土壌節足動物群集とリター分解過程に対する外来針葉樹の影響. (札幌, ポスター)
  25. 竹内史子・大瀧みちる・露崎史朗. 2011.3.9. 湿原における遷移初期種のリター分解と微生物群集の関係. (札幌, ポスター)
  26. 西村愛子・露崎史朗. 2011.3.11. 泥炭地湿原における人為撹乱後の植生回復パターンの特定: 地下水要因が与えるスケール依存的効果. (札幌, ポスター)
  27. 平田KB亜弓・露崎史朗. 2011.3.11. 湿原遷移初期における植物2種の紫外線応答. (札幌, ポスター)
  28. 保要有里・露崎史朗先生. 2011.3.9. サロベツ湿原におけるDrosera属個体群の局所的分布パターン. (札幌, ポスター)
  1. 小山明日香・露崎史朗. 2010.3.17. 谷地坊主によるストレス緩衝作用を介した実生定着過程. (東京, 口頭)
  2. 斎藤達也・露崎史朗. 2010.3.18. 外来草本オオアワダチソウのリター分解は在来イネ科草本より速い. (東京, ポスター)
  3. 竹内史子・大瀧みちる・露崎史朗. 2010.3.18. 泥炭採掘跡地におけるリター分解. (東京, ポスター)
  4. 露崎史朗. 2010.3.16. アラスカ森林火災後5年間の林床植生変化. (東京, ポスター)
  5. 保要有里・露崎史朗. 2010.3.18. サロベツ湿原におけるモウセンゴケ属2種の生態比較 -繁殖様式、実生定着について- (東京, ポスター)
  6. 小山明日香・露崎史朗. 2009. 3.18. 谷地坊主が形成するリターの実生定着に対する重要性. (盛岡, ポスター)
  7. 斎藤達也・露崎史朗. 2009.3.18. 火山荒原上の植物分布に対する非在来カラマツと在来ダケカンバの樹幹効果の比較. (盛岡, ポスター) [優秀賞]
  8. 斎藤達也・露崎史朗. 2008.3.16. 北海道におけるスキー場放棄地の植生回復パターン (福岡, ポスター)
  9. 西村愛子・露崎史朗. 2008.3.16. 人為撹乱による養分利用特性の改変が植生回復に与える影響-泥炭採掘跡地での窒素施肥実験による検証. (福岡, ポスター) [優秀賞]
  10. 小山明日香・露崎史朗. 2007.3.21. 泥炭採掘跡地における植物定着に対する谷地坊主の効果. (松山, ポスター) [セミナー]
  11. 小山明日香・露崎史朗. 2006.3.25. ワタスゲ・ホロムイスゲが形成する谷地坊主の定着促進(facilitation)効果. (新潟, ポスター) [セミナー]
  12. 松田みゆき・露崎史朗. 2008.3.25. 標高勾配に沿ったミネヤナギパッチの定着促進(facilitation)効果の変化. (新潟, ポスター) [優秀賞] [セミナー]
  13. 赤坂宗光・露崎史朗. 2006.3.25. 非在来木本植物が在来優占種稚樹の加入・成長・生存に与える影響. (新潟, ポスター)
  14. 西村愛子・露崎史朗. 2006.3.27. 泥炭採掘跡地における植生タイプ間の養分利用量特性の比較. (新潟, ポスター)
  15. 赤坂宗光・露崎史朗. 2005.3.29. 外生菌根がカラマツ実生の当年生長に与える影響と物理・生物的環境要因の関係. (大阪, ポスター)
  16. 露崎史朗 ・ Loneragan B ・ Vlahos S・Mattiske L. 2005.3.29 西オーストラリア、ボーキサイト採掘跡地における植物群集の復元. (大阪, ポスター)
  17. 赤坂宗光・露崎史朗. 2004.8.27. カラマツ実生の成長特性のマイクロハビタット・標高間比較. (釧路, ポスター) [優秀賞]
  18. 西村愛子 ・ 露崎史朗. 2004.2.21. サロベツ湿原における泥炭採掘跡地の植生回復. (帯広, 口頭) (地区大会)
  19. Titus JH ・ 露崎史朗. 2003. 北海道渡島駒ケ岳1996年噴火被害域の植物群集 (筑波, ポスター)
  20. 露崎史朗. 1999. スキ-場植生の現状と問題点. (松本, 口頭) [日生誌 (1999)]
  21. 露崎史朗. 1999. 1977-78年有珠山噴火後20年間における植生動態. (松本)
  22. 露崎史朗. 1998. 北海道渡島駒ヶ岳における1996年噴火後の植生動態. (京都)
  23. 國吉俊一・露崎史朗・東海林明雄・福田正己. 1997. 釧路湿原におけるメタン発生量とそれに関与する環境要因-植生を中心にして (札幌, 口頭)
  24. 露崎史朗. 1997. 有珠山第4火口に発達した湿原植生について. (札幌)
  25. 露崎史朗・神田房行. 1995. 知床耕作放棄地における植生構造と埋土種子集団構造との関係. (仙台)
  26. 露崎史朗・神田房行. 1994. 北海道知床半島における耕作放棄地の植生発達様式. (福岡)

学生 (書類のための記録)

  1. 宮崎紀子. 2015. 3.19. 泥炭採掘地における ヌマガヤ草地へのミズゴケの侵入と定着. (鹿児島, ポスター)
  2. 木村英雄. 2009. 2.21. 火災を受けたヨシ湿原における埋土種子集団と植生の構成関係について. (札幌, 口頭) (地区大会)
  3. 小山明日香. 2008.2.23. 谷地坊主が形成する微環境における種子発芽及び実生生存特性. (札幌, 口頭) (地区大会)
  4. 江川知花. 2008.2.23. 泥炭採掘跡地における優占種の実生定着およびシードバンク発達様式. 2008.2.23 (札幌, 口頭) [セミナー] (地区大会)
  5. 赤坂宗光. 2002.2.16. 駒ケ岳におけるカラマツの定着特性. (美唄, 口頭) (地区大会)
  6. 赤坂宗光. 2001.3.16. 渡島駒ヶ岳におけるカラマツの侵入様式 標高・微地形に注目した実生の定着特性. (熊本, ポスター)

北海道渡島駒ケ岳1996年噴火被害域の植物群集


Titus, J.H.・露崎史朗 (コロンビア大学バイオスフェア2・北大院地球環境)

 菌根は、ほとんどの陸上生態系で発生し、群集の構造と機能を理解する上で重要である。しかし、一次遷移における役割はほとんど理解されておらず、また微地形により定着様式も異なると予測されている。この研究は、駒ヶ岳山頂部において1996年噴火堆積物に覆われた地域において、種子植物優占種の菌根定着状況を微地形に対応させ行った。

 優占する種子植物6種の移入状況を、11の微地形に区分し調査した。地表面は、平坦部で65%を、リルとガリーで16%を、植物で13% を覆われていた。ほとんどの種の定着は、岩の近くを好み、平坦部および既に植物パッチで覆われたところへの定着を避けていた。ウラジロタデ・オオイタドリ・ミネヤナギはガリー底部および縁部に定着し、平坦部での実生はほとんど見られなかった。ヒメスゲの実生は、ミネヤナギパッチ中に多かった。実生と成体の分布は、おおむね一致した。

 菌根状態を調べるに用いた6つの微地形は、平坦地、岩付近、リル、スゲパッチ、ウラジロタデパッチ、ミネヤナギパッチである。ヒメスゲは、菌根を全くつけず、エゾヌカボ、イワギキョウは全ての微地形でアーバスキュラー菌根菌(AM菌)をつけていた。エゾヌカボは、AM菌の集中レベルは微地形間で異なった。イワギキョウは、岩の近くで平坦地およびウラジロタデパッチよりも有意に多く菌糸があり、リルとスゲパッチではウラジロタデパッチよりも樹枝状体を有した。タルマエソウは、スゲパッチ,ウラジロタデパッチおよび岩付近で根にAM菌を有し、条件的菌根性と思われる。ウラジロタデは、外生菌根性で、ウラジロタデパッチとリルでスゲパッチよりも菌根が多かった。ミネヤナギは、極めて多量の外生菌根菌を有した。

Plant communities in areas damaged by the 1996 eruptions on Mount Koma, Hokkaido

西オーストラリア、ボーキサイト採掘跡地における植物群集の復元


Tsuyuzaki S (GSEES, HU), Loneragan B (UWA), Vlahos S (WAPL), Mattiske L (Mattiske Co)

 西オーストラリア南西部は、生物多様性ホットスポットに選ばれた珍しい生態系が分布する。また、この地域は、世界の主要なボーキサイト生産地の一つとして知られ、西オーストラリアで世界の約20%のボーキサイトを生産している。しかしながら、ボーキサイト生産地は、Jarrah (Acacia mariginata)の森と呼ばれる広大な森林の中に主に分布しており、採掘後の生態系復元が重要課題となっている。調査地域である、西オーストラリア、パース周辺では、1983年からボーキサイト採掘が開始された。その後、1987年以降から現在まで、様々な生態系復元の試みが続けられている。主な試みは、採掘跡地への植林および人工播種である。毎年、前年までのモニタリングの結果を元に植林種・密度、播種種・密度等の改良を試みている。特に、1984年以降は、Acacia celastrifoliaの播種を打ち切った。これらの処理を行った区域について、永久調査区を用いた経年調査がなされている。ここでは、1983年から現在までの経年調査データと非採掘地のデータの比較をもとに復元状況の概略を述べたい。

 採掘跡地の植物群集復元状況のアウトラインを、時間軸に沿った、種数・多様性・類似度・序列化スコア等の変化をもとに紹介する。大雑把な傾向ではあるが、種数・多様性・類似度は、ボーキサイト非採掘地における森林と比べると、採掘後15年を経過した時点では低いところを推移している。しかしながら、序列化の結果は、いずれの採掘跡地も年代の経過に伴い非採掘地の植物群集の構造へ近づいていることを示している。また、帰化植物の移入は軽微であり、また時間経過とともに減少していた。毎年復元手法が改変されているため、傾向を把握するのが困難な調査デザインとなっているが、可能であれば、西オーストラリアにおける遷移と群集再生の鍵となる要因について触れたい。

Rehabilitation of plant communities after bauxite mining in Western Australia

泥炭採掘跡地における優占種の実生定着およびシードバンク発達様式


江川知花 (北海道大学 環境科学院)

 [目的] サロベツ湿原採掘跡地においては、現在ミカヅキグサ、ヌマガヤ、ヨシの3種が同所的に広く分布している。本研究では、本泥炭採掘跡地の遷移初期における各種の定着過程を明らかにするために、播種実験によって3種の実生の定着成功と地上部の種組成の変化との対応関係を評価した。さらに、各種のシードバンクについても植生間で組成比較を行い、群集変化との関連性を検討した。
 [結果] 3種の発芽、生存、成長は植生がもたらす環境条件の違いに大きく規定されていた。植被を有さない裸地においては、どの種も発芽率が低かった。ヌマガヤの発芽率は、植被率の増加と共に上昇する傾向が見られた。一方、ミカヅキグサ、ヨシは、最も植被率の高いヌマガヤ植生下では発芽率が低下した。ヨシは播種から2年以内に全個体が死亡した。ミカヅキグサの2年生実生は、地上部の資源分配比を環境で変化させず、成長量は裸地で最も高く、植被率の増加とともに低下した。特にヌマガヤの密な植被による被陰環境下では、著しく成長量が低下した。ヌマガヤは資源分配の可塑性が高く、被陰環境下でも成長量の低下は軽微であった。また、ヨシは調査地内にシードバンクを形成していなかった。ヌマガヤ、ミカヅキグサの埋土種子は、同種の優占域にのみ分布していた。また、ヌマガヤ種子の多くはリター中に分布していた。
 [考察] 採掘後の初期植生遷移は、ミカヅキグサ群集からヌマガヤ群集に向かって進行すると考えられた。ミカヅキグサ植被の存在はヌマガヤの定着セーフサイトを提供し、ヌマガヤ群集の発達を促進していた。ヌマガヤ植被の増加に伴うリターの堆積は、ミカヅキグサの更新を阻害し、ヌマガヤ等数種のシードバンク形成を促進することで群集変化に大きく寄与していた。ミカヅキグサの埋土種子密度は地上部の被度の減少とともに低下し、ミカヅキグサ個体群の長期的な維持には寄与していないと結論した(Egawa et al., 2009)。

谷地坊主が形成する微環境における種子発芽及び実生生存特性


小山明日香 (北大・環境科学院)

 泥炭採掘跡地では、採掘により環境が改変することで、植物の定着にとって困難な環境となる.サロベツ湿原の泥炭採掘跡地では、植物は谷地坊主の近傍に集中して分布しており、その傾向は実生段階から認められた.実生の分布は、種子の移入・発芽・生存により決定される.本研究は、谷地坊主とそのリタ―が形成するハビタット(谷地坊主上部(上部)、谷地坊主側部のリタ―による被覆部(側部)、裸地)間の微環境の違いに着目し、発芽から実生生存までの過程における定着規定要因を明らかにすることを目的とした.調査は、3種(ヌマガヤ・アキノキリンソウ・ブタナ)を用いて播種実験を行い、種子発芽数、実生生存数を記録した.また、各ハビタットにおいて微環境要因(リタ―量・光量・地温・土壌含水率・土壌移入量)を測定した.
 発芽率は、3種で側部において高かった.また、ブタナの発芽率は、リタ―量が多いほど側部で高く、上部では低かった.ブタナの実生生存率は、上部と側部で高く、側部ではリタ―量に応じて生存率は高くなった.ヌマガヤとアキノキリンソウでは、ハビタットに関わらず、実生生存率は低かった.各ハビタットの微環境については、土壌含水率は上部において低く、土壌移入量は裸地と比べて側部で少なかった.これらのことから、実生定着は、上部では乾燥、裸地では土壌移動による種子の流出により、種子発芽が抑制されることで規定されると考えられた.また、ブタナでは、耐乾性があるために上部においても発芽・生存は可能であり、側部ではリタ―の土壌安定化により種子・実生の流出が妨げられることで、実生生存においても谷地坊主が形成する微環境に影響された.従って、谷地坊主の存在は、泥炭採掘跡地での種子発芽と実生生存を高めることにより、植物定着に寄与している(Koyama & Tsuyuzaki 2012).

火災を受けたヨシ湿原における埋土種子集団と植生の構成関係について


木村英雄 (北海道大学 環境科学院)

 撹乱強度の違いは、地上部植生のみならず埋土種子構成へも異なる影響をもたらす。そのため、撹乱後の埋土種子と地上部植生の構成関係を明らかにすることは、植生回復の推移を知るうえで重要となる。そこで、火災撹乱強度の相違による地上部植生と埋土種子との関係を明らかにする目的で本研究を行った。調査は、約30年間火入れが行われている青森県仏沼で行った。火災直後に、植物枯死体、リターの有無で火災強度を強、中、弱の3つのサイトに分け、2007年、2008年の夏に植生調査を行った。また強、弱で2007年秋と、2008年夏にリター、土壌を採取し、発芽試験を行い、埋土種子集団を測定した。また、光、温度を各火災強度においてリターの上部、下部で測定した。
 地上部植生の種数、多様性は、2年間を通して強でもっとも高く、また1年生草本であるアオミズは1年目に強、中で定着していたが、2年目で大きく減少した。火災による植物枯死体の除去は多様性を高め、特にアオミズの定着を促進しているものと考えられた。それに対して、ヨシを含む多年生イネ科草本の被度はサイト間の違い、年変動は認められず、埋土種子集団を形成しておらず、主に栄養繁殖により群落を形成していると考えられた。埋土種子集団構成種の分布には火災によるリターの焼失が関与しており、特にその傾向は小型の種子で顕著であった。埋土種子集団の種数、多様性は地上部植生と同様に強で高かった。以上のことから、撹乱強度の強い火災は地上部植生への負の効果は認められず、間接的に埋土種子集団を介して、地上部植生の発達に寄与していることが示唆された(Kimura & Tsuyuzaki 2011)。

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