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(2016年9月11更新) [ 日本語 | English ]

ウィルス (virus)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[分類, 構造, 生物学]

代謝を宿主細胞に完全依存 = 宿主中でのみ増殖
メガウイルス発見 = 細菌に近縁 → 遺伝子の大部分を捨て去り寄生に進化
レトロウイルス = トランスポゾンと類似性 → 機能性核酸が独立・進化

ウィルス群 多系進化? → 結果として人為分類群

細菌濾過器通過病原体 (pathogen)の総称。300種以上。大きさ: 10-450 μm
昔はウィルスが宿主に発現させた時点でウィルス存在を認めた → 特定の病気を特定ウィルスが起こすと考えていた
幾つかの潜在性ウィルス(EMレベルでタンパク質、核酸が確認される)が知られる

Ex. TMV (tobacco [=host] mosaic [= desease] virus): 種類数は今後増える
TMV命名法: 少なくとも11種類提案 → 宿主名が必ず入る - 表現型は宿主に表れ、それを人間が認識
ウィルスの繁殖には宿主(植物、動物、菌類等)、媒介者が必要
大きさ: 30 nm以下 = 小さい ↔ 50 nm以上 = 大きい

特性
単独で生命活動できない(物質交代機能失っている) → 無生物的
生物(寄主)細胞内では盛んに自己複製により増殖 → 生物的
核タンパク質、核酸部分: 植物に寄生 = RNA、細菌 = DNA, 動物 = DNA, RNA
ウィルス核酸は遺伝子の役割がある: X線で突然変異、交雑によって組み合わせを変える
無生物 → 生物 → [二次的に生物的特徴を失う] → ウィルス: 微生物が退化し核酸のみが残ったもの
索引

ウィルスRNA (RNA in virus)

遺伝子として機能

Ex. タバコモザイクウィルス(TMV): 植物ウィルス。RNA, タンパク質のみからなる。RNAとタンパク質を分離しタバコ葉に塗るとRNAを塗ったときのみウィルス粒子形成 → RNAは遺伝子として機能

ウィルスの構造形成

ウィルスは細菌に侵入すると細菌DNAの働きを停止させ、virus DNAの働きをさせる。Virus DNAの作用により新しいウィルスを構成する各部分が作られ、各部分は作られた後に「自動的に結合」して完全なウィルスになる
T4ファージ (T4 phage)の構造形成過程

種類
寄主による = 寄主hostを選択・認識(寄主特異性)
植物ウィルス: モザイクウィルス、萎縮病ウィルス
動物ウィルス: 天然痘、狂犬病、麻疹、ポリオ
細菌ウィルス(バクテリオファージ bacteriophage): T系ファージ(大腸菌寄生)

アルファルファウィルス alfalfa virus、衛星ウィルス satellite virus(ex. TMV)、ウイロイド viroid (核酸のみで被覆タンパク質なし) → Lwoffの定義では必ずしもウィルスとは言えない

分類 (taxonomy)


ウィルスに種は存在するのか? ウィルス分類大系はあるのか?

二名法必要性の議論: 分類上の問題ではない

動物ウィルス: 宿主範囲 (host range)未詳のもの多
動物ウィルス: 宿主範囲の特定が育種上重要研究課題

ウィルスでは系統関係が不明確(自然分類が不成立)であるため二名法は採用されていない
タンパク質による種(protein species)とは異なる → 表現型(形態)による分類をせざるをえない

ウイルス分類: 現時点は階層的 → リンネ分類大系と全く異なる。Ex. 分類第一基準 = 核酸性質(DNA or RNA)

高等生物分類大系修正でウイルス分類もリンネ分類大系で可能 = 種名は慣用名で十分(四方 1984)
3分類概念
1. taxos-species: 一定の表現形質の特徴で総括されたグループ分け
2. geno-species: 遺伝子を交換しうる個体群 → (否定) = 遺伝子交換はtaxos-speciesでは離れたものでも起こりうる
3. nomen-species: 今までの分類方法から引き継がれてきた慣習的な分け方

国際ウイルス分類委員会
ボルティモア分類 (Baltimore classification): ウィルス核酸型と発現形式に重点 (Baltimore 1971)

構造 (structure)


表現型 (phenotype): ゲノムサイズgenome size → [認識] → 外部形態: 表現型による分類様式の有用性
形態 (morphology): 外部構造, 微細構造 ? 共にEM発達により可能となる。光学顕微鏡解像度は理論上 > 0.2 μm
ウイルス研究に寄与した技術
  1. 密度勾配遠心法 (Brakke 1953)
  2. 電子顕微鏡(EM)と染色法 (Hall 1955, Brenner & Horne 1959): EMは電圧が高くなれば波長が短くなり、高圧EMは原子構造まで観察が可能となる。普通に使用されているEMは1.4 Åの解像力
  3. ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (Davis 1964)
  4. プロトプラスト技術 (Takebe & Otsuki 1969)
  5. 血清学的手法, ELISA法、免疫電顕法 (Dorrick 1973, Voller et al. 1976)
  6. 遺伝子解析: PCR, c-DNA, monoclonal抗体他たくさん (そのうち整理せよ)
構造単位
ビリオン (viron) = ウィルス粒子

ヌクレオカプシド (nucleocapsid): ゲノムとキャプシドの複合体

カプソメア (capsomere) = 形態単位 → 種により一定
ゲノム (genome) ≈ 核酸 (nucleic acid)

キャプシド (subunit or capsid) = タンパク質構造単位

エンベロープ (envelope): ウィルス表面を覆う膜 → 種により有無

球形ウィルス (Spherical virus)
球形ウイルスの構造を決める一般式: T = pf²

T: 三角形分割数 (triangulation number)
p: 元の正三角形上にできる等辺三角形数
f: 20面体の正三角形1辺の分割数

T number

T = 1 × 2² = 4____立ち上がる T = 3 × 1² = 3

対称性の問題 (ペンタマー、ヘキサマー)
    5回転対称          3回転対称        2回転対称
      6   6                5
                       6       6          5
    6   5   6              6            6   6
                       5       5          5
        6                  6

これらの粒子配列を基本に分類しようという試みがある
球形ウイルス = 正20面体: 基本 P = 1 (f = 1, T = 1), or 3 (f = 1, T = 3)

A: 5-5 (p = 1, f = 1, M = 12)
B: 5-6-5 (p = 1, f = 2, M = 42)
C: 5-6_5 (p = 3, f = 1, M = 32)
D: 5-6-6_6_5 (p = 3, f = 2, M = 122)

植物ウィルス (plant virus)


特徴

  1. 紐状、棒状ウイルス多
  2. 多粒子性ウイルスあり → 粒子数によりゲノムサイズが異なる

多粒子性と分節ゲノム

植物ウイルスに限る
植物ウイルスは圧倒的にRNAウイルスが多い

→ DsDNA: ハナヤサイ = 16% nucleic acids。ssDNAも見つかる

分節ゲノム: ウイルスゲノムが複数個に分布している

ショ糖密度勾配法により分節ゲノムを分ける
. ウイルスゲノムが複数個に分節しているウイルスの化学組成

a) 多粒子性分節ゲノム

Plant virus
両方のゲノムが成立して病原形質が発現

b) 1粒性分節ゲノム

Ex. wound tumor virus: 全て均一のゲノムサイズ(dsRNA)のもの12対からなる
Plant virus この殻が増殖に必要化どうかは未詳
動物ウイルスではreovirusに分類(WTVとRDVは植物、動物ウイルス両方に入れられている)

ポリペプチド分子量

= (分節ゲノム分子量 × ウイスル塩基対の平均分子量 × 3)
= (分節ゲノム分子量 × 120-140)/(678-679 × 3)
≈ 分節ゲノム分子量/(16-18)

2重鎖かどうかは塩基組成を見ることにより推定 → G + C ≈ A + Tであれば2重鎖と予測される
分節ゲノムの各ゲノムは異なる遺伝子が乗っているが、CMVの#5 genomeのようになくてもCMVそのものが増えることは可能。#5には壊疽遺伝子が乗っていた。分節ゲノムの方がゲノムサイズが1のものより1つのゲノムあたりで乗っている遺伝子が少なく性質を解析しやすい。

ゲノム情報発現

情報発現形質因子が核酸であることを示した古典的なウイルス情報発現機構研究が核酸研究に寄与している
Ex. T4 phageの成分のうち核酸しかバクテリアには入らない
Ex. TMPを用いた感染実験 (1955)

genome

Ex. Harrison (1966)

Extracted NA → タバコ (+)わずか、粒子を与えたときの1/1000程度発現

ほぼ同時に2論文でる。両者の違いはウイルスのタンパク質核酸分離方法であった。それまでの実験の問題は核酸中にタンパク質痕跡trace proteinが存在しないことを証明できなかったことである
Ex. 上記の抽出核酸をRNaseを用いて分解すると病症は発現しない

genome
= NA形質が発現した → 発現形質はNAである

Plant virus m-RNA synthesis cycle
RNA → mRNA過程重要 [+RNA: transformation可能 / -RNA: transformation不可能]
+RNAは、RNA → mRNA過程の必要酵素を持つはず。+RNA virusはそのNAだけ宿主に入ればよい -RNA virusは、そのNAだけでは増殖できないが、粒子で宿主に入ると増殖できる。つまり、ウイスルタンパク質上に既に-RNA → +RNAのための酵素が乗っていると考えられる
±RNA (= dsDNA): 2重鎖であるが高等生物の2重鎖とは構造が異なる
Ex. イネ萎縮ウイルス dsDNA

genome
folk: この酵素が転写以前に存在しているはず
Plant DNA virus = dsDNA (CaMVで発見): 宿主中で容易に増殖する (遺伝子工学に応用)

ウイルスでも遺伝子調節(制御)ができる – Cf. 植物の全能性(組織培養)

Ex. Ono (1984)

genome
これを宿主(キュウリ)に入れると形質が発現する → 他のウイルスへの応用可能性(遺伝子工学で1984年現在研究中)

多粒子性
ウイルスの粒子成分間相互作用を示す
相互補完型: Ex. TRV。長粒子はRNA複製酵素の、短粒子は外被タンパク質の遺伝子を持ち、同時感染によりウイルス粒子形成
相互依存型: Ex. CpMV。下層成分と中層成分は、それぞれRNA複製酵素と外被タンパク質の遺伝子を持ち、同時感染しなければウイルスRNA複製は起こらない
自律増殖能欠損型 Ex. TNV-STNV。自己複製酵素と外被タンパク質の遺伝子を持ち自律的増殖可能だが、さらに付随ウイルスRNA複製にも関与する。したがって、TNV単独感染によってSTNV-RNAが複製されることになる。STNV-RNAはmRNAとなって、自己の外被タンパク質を作る
表4.3 多粒子性ウイルスにおけるウイルス核酸の情報分担

TMV-stNVの関係: 生物学的現象解析より判明(sTNV形成意義不明)。ウイルス系統発生に関係したものという説がある。Ex. ウイロイドは真核生物イントロン部分塩基配列に似ていることから、真核生物から発生(進化)したものではないかと? これは従来のウイロイドからウイルスへの発生ラインの説と大きく異なる。

表3.3 ウイルス核酸の分子量と塩基組成(単一ゲノムを有するウイルス)
分子量沈降係数塩基組成(モル比)
ウイルス106 DtS20, wGACU
RNAウイルス
タバコモザイク2.0530 (0.1 M PO4)25.329.818.526.3
ジャガイモX2.122322422
カーネーション潜在31242322
ジャガイモY3.528-3424-2717-2121-28
ビート萎黄4.628272223
オオムギ yellow dwarf2.033
タバコネクローシス1.527 (0.1 M NaCl)24262228
タバコネクローシス・付随0.414 (0.1 M PO4)23282128
トマト bushy stunt1.52728252225
カブ黄斑モザイク(B成分)1.92.18 (0.01 M Tris)27.222.438.322.1
レタス necrotic yellows443
DNAウイルス
ハナヤサイモザイク(CAMV)4.720 (2本鎖DNA)G + C = 43%
表3.1. 1個のゲノムを有するウイルスの化学組成
ウイルス分子量106 Dt沈降係数S20, wRNA (DNA) %タンパク質%その他
RNAウイルス
タバコモザイク39.4194595微量の金属とポリアミン
ジャガイモX35118694-
カーネーション潜在60167694-
ジャガイモY70145595-
ビート萎黄86130595-
オオムギyellow dwarf117-
タバコネクローシス71181980-
タバコネクローシス付随2502080-
トマトbushy stunt9.31401783-
カブ黄斑モザイクB成分5.411734600.7%ポリアミン
カブ黄斑モザイクT伐分3.6540100-
レタスnecrotic yellows1000-1400940< 1脂質、炭水化物
DNAウイルス
ハナヤサイモザイク28220(16)84-
表4.3 多粒子性ウイルスにおけるウイルス核酸の情報分担
相互作用の様式ウイルスRNARNA分子
106 Dt
情報
相互補間型タバコ茎壊疽(TRV)L-RNA2.3RNA複製、病徴
S-RNA0.6-1.3外被タンパク質、病徴
相互依存型カウピーモザイク(CpMV)B-RNA
M-RNA
2.6
1.5
RNA複製,外被タンパク質、病徴
RNA複製、外被タンパク質、病徴
プロムモザイク(BMV)RNA-1
RNA-2
RNA-3
RNA-4
1.09
0.99
0.75
0.28
RNA複製
RNA複製、病徴
RNA複製?、外被タンパク質, 病徴
外被タンパク質
B-RNA1.27RNA複製
アルファルファモザイク(AMV)M-RNA
Tb-RNA
1.00
0.76
RNA複製、病徴
RNA複製?, 外被タンパク質, 血清型, 病徴
Ta-RNA0.33外被タンパク質
自律増殖能欠損型タバコネクローシスー付随(TNV-STNV)TNV-RNA1.5RNA複製(TNV,STNV両粒子)、外被タンパク質(TNV粒子)、病徴
STNV-RNA0.4外被タンパク質(STNV粒子)
表3.4 ウイスル核酸の分子量と塩基組成 (分節ゲノムを有するウイルス)
ウイルス分節ゲノム数分子量 106 Dt沈降係数 S20, w塩基組成(モル比)
GACU
タバコ茎えそ22.3 (L)26 (0.01 M tris)25291729
0.6-1.3 (S)
ムギ斑葉モザイク31.4 (L)
1.25 (M)20 (0.1 M NaCl)20.330.919.429.4•
1.15 (S)
カウピーモザイク22.6 (B)3422.928.517.231.4
1.5 (M)2628.428.419.331.6
タバコstreak41.3 (B?)
0.8 + 0.4 (M?)
1.1 (T?)
タバコ輸点22.3 (B)32
1.2 (M)2426232229
エンドウenationモザイク21.7 (B)2926242426
1.4(T)26
アルファルファモザイク51.27(B)2423272130
1.0 (M)22
0.76 (Tb)20
2 × 0.33 (Ta)1324252328
ブロムモザイク41.09(H)2728272124
0.75 + 0.28(M)14 + ?
0.99(L)22
キュウリモザイク51.07(H)2323.424.323.229.1
0.69 + 0.33(M)20?
0.95 + 0.11(L)13+?
トマト黄化えそ(TSWV)4Σ7.43835918
Wound tumor12Σ16.6G + C= 38%

粒子成分の頭文字を示す。裏3.2参照。ただし、ブロムモザイクウイルスとキュウリモザイクウイルスの(H), (M), (L)は密度粒子成分の頭文字で、Heavy, Medium, Lightを示す。

表. ウイルスゲノムが複数個に分節しているウイルスの化学組成。沈降粒子成分としては1種であるが、3種の密度粒子成分からなる。同一粒子内に複数個の分節したRNAが含まれる。
ウイルス沈降粒子成分分子量106 Dt沈降係数RNA%タンパク質%その他
タバコ茎えそL (Long)50300595-
S (Short)12-29155-243595-
ムギ斑葉モザイクL200496-
M26185496-
S178496
カウビーモザイクB (Bottom)7.71153367-
M (Middle)6952476-
T (Top)4.6580100
タバコ streakB1131486
M961486-
T841486-
タバコ輪点B5.71264357-
M4.9912773-
T3.3530100-
エンドウ enation モザイクB5.31202872-
T4.41002872-
アルファルファモザイクB7.391882-
M891882-
Tb751882-
Ta3.7681882-
To60
ブロムモザイク-4.6872278-
キュウリモザイク-5.8-6.798188210%脂賃 7%炭水化物
トマト黄化えそ-5605
Wound tumor-705142278-

形態形成


TMVの構造 (structure of TMV)
Ex. TMV: 比較的明瞭な制御regulationがある

TMV
全長の13% = 約830個のヌクレオチドに相当する

図4.11 TMV粒子再構成反応の開始部位とその方向性。TMV粒子の3'末端から全長の13%内側でTMV-RNAが20 Sディスクと結合して初期複合体を形成し、最初5'末端へ伸長する(A)。ついで、反応開始部位から3'末端方向へ伸びて(B)、再構成反応が完了する
TMV

図. TMV形態形成モデル

ウイルスはタンパク質識別できる → TMVタンパク質サブユニットで作った初期複合体は、同種タンパク質サブユニットのみと集合する。初期複合体にCGMMV-スイカ系統タンパク質サブユニットを反応させるとTMV-RNAとCGMMV-タンパク質間で相互作用が見られる。これは、CGMMVタンパク質サブユニット一次構造にTMVのと共通した認識部位があるためである。しかし、初期複合体のTMVタンパク質とCGMMVタンパク質間では異種タンパク質として識別され粒子の積み重ねが起こらない
ベクターが昆虫のウイルスでも組織培養細胞では感染可能。昆虫中で増えるウイスルの分節ゲノム中で外層outer layer消失型がある。一方、昆虫中で増殖することから、この型のウイルスは本来昆虫ウイルスであるという仮説がある。さらに、CAP構造を比較すると、昆虫媒介ウイルスの構造は動物ウイルスのものに近い

種類・系統・伝染方法


病状の発現: 作物種類、品種
外囲条件: 宿主 → 感染性の差、媒介虫の発生 → 状況
表. ウイルスの感染対象(植物) Incidence of viruses in different phyla. Number of species with which viruses are known to be associated: - none, + 1-10 species, ++ 10-100 species, +++ more than 100 species.
  系統 phylum               感染する      媒介者として作用する
  Number of species that    are infected  can act as vectors
   1 細菌,                  +++        -
     バクテリオファージ,
     マイコプラズマウィルス
   2 藍藻ウイルス           +++        -
   3 緑虫植物               +          -
   4 褐藻類                 +          -
   5 紅藻類                 +          -
   6 真菌類a                ++         +
   7 緑藻類b                +          -
   8 車軸藻類               +          -
   9 羊歯類c                +          -
  10 種子植物               +++        +

a: 菌ウィルス mycovirus - 菌類感染ウイルスは全てds DNA。乾燥後に摂食できるキノコはシイタケのみ → ウイルス感染で小型化. b: Ex. クロレラウイルス(4種). c: Ex. ゼンマイ、ワラビ,タマシダ

ウイルスの診断
  1. 病徴: 伝染様式(虫・土壌・接触)により異なる。伝染様式の検出方法確立が寄与
  2. 細胞内構造変化、封入体の有無等
  3. ウイルス検出 → 指標植物(判別寄主)を用いる (表37)
  4. 血清反応: ウイルス種類判別に有効。壊疽系かどうかの判別には効果薄い

変異種の特徴と分類

タンパク質コートのアミノ酸組成は異なる

Ex. TMV-RNA 160 K 再構成開始部位17 K

character

分類
  1. 粒子形・大きさ
  2. 血清反応
  3. ゲノム塩基組成
  4. アミノ酸組成
  5. 病徴・寄主範囲
  6. 伝染性
  7. ウイルス耐性 (Ex. 感染可能温度範囲)
変異種の多い種類 Ex. CMV(キュウリモザイク) – 日本国内で5系統が確認
表37. 指標植物、病徴発現までの日数、その病徴
ウイルス名指標植物発現まで日数指標植物上の病徴
Xウイルスセンニチソウ
シロバナヨウシュチョウセンアサガオ
タバコ(ホワイト・バレー)
トウガラシ
4-7
5-10
5-10
5-10
灰白色小斑点 → 斑点周囲赤紫色 → 黄変枯死
↓ 褐色 → 葉脈周辺濃緑, 脈間褪緑のモザイク
↑ 強系統は褐色壊疽
黒褐色の壊疽斑点
Yウイルスシルベストリス・タバコ
馬鈴薯(農林1号)
≈ 10
7-10
新葉の脈透明, 網目状症状後葉脈緑帯
接種葉に黒褐色えそ(1-2 mm)斑点, 脈に壊疽
Fウイルスグルチノーサ・タバコ
トウガラシ
7-10
5-10
新葉に鮮黄色かすり模様
接種葉に灰白色小斑点 → 周辺濃褐色 → 接種葉枯死
Mウイルスデブネイ・タバコ
ササゲ
≈ 15
≈ 10
輪状局部病徴
斑点または縞紋状褐色病斑
Sウイルスデブネイ・タバコ18-20上葉葉脈透明 → モザイク → 壊疽
Aウイルス馬鈴薯(ソラナム・デミッサムA6)
フイザリス・フロリダーナ
3-5
≈ 7
褐色局部壊疽,Yウイルスより病斑小
褐色局部病斑
アルファルファ・モザイク・ウイルスインゲン
フイザリス・フロリダーナ
≈ 5
7-10
局部病斑
上葉に黄白色斑紋
第2表. ウイルスの種類と媒介者
番号ウイルス名媒介者(host = vector)ウイルス形ウイルス大きさ (μm)
1カモジグサモザイクウイルス
ホソムギモザイクウイルス
コムギスジモザイクウイルス
ダニ
ダニ
ダニ
ひも
ひも
ひも
717 × 19
703 × 19
706 × 19
2PotyvirusジャガイモYウイルス
インケンモザイクウイルス
インゲン黄斑モザイクウィルス
アズキモザイクウイルス
アブラムシ
アブラムシ
アブラムシ
アブラムシ
ひも
ひも
ひも
ひも
730 × 11
750 × 15
750 × 12
710 × 13
3CarlavirusジャガイモSウイルス
カーネーションモザイクウイルス
アブラムシ
アブラムシ
ひも
ひも
660 × 13
675 × 13
4Closterovirusテンサイ萎黄.ウイルス
カンギッドリステザウイルス
アブラムシ
アブラムシ
ひも
ひも
1,250 × 12
2,000 × 12
5キュウリモザイクウイルスアブラムシ小球30
6アルファルブナモザイクウイルスアブラムシ楕円58 × 18
7エンドウヒダ葉モザイクウイルスアブラムシ小球30
8Letrovirus (16)ジャガイモ葉巻ウイルス
オオムギ黄化萎縮ウイルス
テンサイ西郡萎黄ウイルス
ダイズ頬化ウイルス
アブラムシ
アブラムシ
アブラムシ
アブラムシ
小球
小球
小球
小球
25
24
25
25
9レタス necrotic yellows ウイルス
ノゲシyellow veinウイルス
アブラムシ
アブラムシ
長楕円
長楕円
227 × 66
220 × 80
10Caulimovirusハナヤサイモザイクウイルス
ダリアモザイクウイルス
アブラムシ
アブラムシ
大球
大球
50
50
11Plant reovirusクローバー腫瘍ウイルス
イネ萎縮.ウイルス
イネ黒条萎縮ウイルス
ヨコバイ
ヨコバイ
ウンカ
大球
大球
大球
60
75
60
12イネ縞葉枯ウイルスウンカ小球30
13イネhoja-blancaウイルスウンカひも-
14Rhabdovirus (9)ジャガイモ黄化萎縮ウイルス
トウモロコシモザイクウイルス
ムギ類北地モザイタウイ々ス
イネ黄葉ウイルス
ヨコバイ
ヨコバイ
ウンカ
ヨコバイ
長楕円
長楕円
長楕円
弾丸
380 × 75
255 × 90
350 × 60
200 × 60
15Tymovirusカブ黄斑モザイクウイルス
カクピーモザイクウイルス
スカッシュモザイクウイルス.
インゲン南部モザイクウイルス
ハムシ
ハムシ
ハムシ
ハムシ
小球
小球
小球
小球
28
28
30
29
16クバコエソウイルス
タバコ矮化ウイルス
菌類
菌類
小球
小球
25-30
20
17ジャガイモmop-topウイルス
ムギ類萎縮ウイルス
イネエゾモザイクウイルス
菌類
菌類
菌類


160, 290
170, 250 × 22
275, 550 × 13
18Nepovirusアラビスモザイクウイルス
タバコリングスポットウイルス
タバコblack ringウイルス
線虫
線虫
線虫
小球
小球
小球
30
30
30
19Tobravirusタバコラクトルウイルス
エンドウearly browningウイルス
線虫
線虫

75, 185 × 20
105, 210 × 20
20トマトspotted wiltウイルススリップス大球90

伝搬 (transmission)


植物ウイルスの感染・増殖過程

宿主細胞への吸着侵入 - 媒介 → アンコーディング → ウイルス核酸の転写翻訳 → ウイルス核酸複製 → ウイルス粒子組立て Ylarr; 隣接細胞へ移行

1. 他動的感染

a) 栄養繁殖: 羅病植物の一部が繁殖体となる場合

種子・挿木・株分等により次世代へ感染 Ex. 栄養体伝播: ジャガイモウイルス、リンゴ高接病

b) 生物による媒介: 昆虫(植物ウイルスの50%を媒介)・線虫・菌類
c) 接触: 全ウイルスが接触により伝播できる Ex. 接木

transmission
デリシャス
紅玉
マルバカイドウ・ミツバカイドウ
リンゴ高接病

+ ネナシカズラによる伝染: ネナシカズラ、マメダオシはジャガイモ天狗巣病を媒介する

表8.1. 果樹ウイルスの接木検定

2. 種子伝染

伝染性高い (表8.2)
種子中にウイルスがあると検出困難で圃場で発生しやすい。マメ科植物と線虫媒介性植物に種子伝染性のものが多い。種子伝染は被感染植物が変わると行なわれないことがあり、種子伝染がウイルス特有の形質であることを示している
ウイルスは全身感染性が一般的だが、種子感染する種のウイルスは少ない
→ ウイルス-宿主の組み合わせで種子感染の有無、更には感染率が決まる = 宿主変異性が高い

種子伝染 - 花粉伝染[経路1] - 胚嚢伝染[経路2]の関係 → 相関高い (表8.5)

種子伝染には花粉からと胚のからの2経路が考えられる

表 8.5 種子伝染
ウイルス____________宿主________種子伝染 花粉伝染 胚嚢伝染
_______________________________(%)_____(%)_____(%)
ダイズモザイク_______ササゲ_______0_______0_______0
ダイズモザイク_______ダイズ_______30-40____2.5______25-40
インゲンモザイク______インゲン______40______70_____70
アルファルファモザイク_アルファルファ 20______0.5-26.5_0-7.7
タバコ輪点__________ダイズ_______97______90
アズキモザイク_______アズキ_______14.7_____5.3
アズキモザイク_______アズキ_______5.6______124_____1.4
キュウリモザイク______アズキ_______0_______0_______0
ササゲモザイク_______アズキ_______0_______0_______0
ササゲモザイク_______ササゲ_______3.9______5.6______1.7
表. 感染様式。矢印は移動経路。菱形はありえない経路 transmission
農業上有用情報

Ex. 胚中ウイルスは防除しにくいが種皮中では防除しやすい。種皮伝染は、発芽の際に子葉が種皮に触れ感染するという説が有力。キュウリ緑斑ウイルスはキュウリ、ユウガオで種子伝染する。これはアルカリ処理や高熱殺菌等により防除できる

2経路が知られているが種により、その経路は様々で例外も多く、その伝播機構は不明の点が多い
+ 花粉伝染
自家受粉の場合は防除容易 - 春先防除が重要
花粉伝染性のものは(現在知れる所)全て種子伝染する
種子伝染性ウイルスは宿主との関係が強い

3. 土壌

a. 線虫 (nematode)
nematode
宿主分布(植生)や宿主タイプにより、線虫戦略型が異なるので、ウイルスの生態を知ることが重要(遅れている)
図8.5 線虫体内でのウイルス吸着部分 (Taylor & Robertson)。点線で示した消食管内壁にウイルスが吸着する。A: Longidorus, B: Xiphinema, C: Trichodorus
表8.6 線虫媒介ウイルス
Nepovirus and tobravirus
b. 菌類
遊走子によって媒介。遊走子の表面にウイルスが吸着して媒介されているという報告がある
fungi
図8.6 ウイルス媒介菌形態(小島)。A: Spongospora subterrana, B: Polymyxa graminis, C: Olpidium brassicae, D: Synchytrium endobioticum
fungi
図13. Olpidium brassicaeの生活史(Teakle 1969)
表8. 9 菌類によって媒介されるウイルス。*日本でウイルスと媒介菌が共に知られているもの
ウイルス: 嫌介菌 (形と大きさ nm), 宿主
タバコ壊疽*: Olpidium brassicae (球, 25), タバコ, イチゴ
レタス big-rein: O. brassocae (-, -), レタス
タバコ矮化*: O. brassocae (球, 18), タバコ
キュウリ necrosis: O. cucurbitacearum (球, 25), キュウリ, ササゲ
メロン壊疽斑点*: O. cucurbitacearum (球, 30)
ムギ縞萎縮*: Polymyxa graminis (棒, 110-160, 300 × 22), コムギ, オオムギ
オオムギ縞萎縮*: P. graminis (紐, 100-275,550 × 1), オオムギ
コムギ縞萎縮*: P. graminis (紐, 275, 575 × 13), コムギ
イネ壊疽モザイク*: P. graminis (紐, 275, 550 × 13), イネ
テンサイ壊疽性巣脈黄化*: P. betae (棒, 65-105, 270, 390 × 20), テンサイ
ジャガイモX: Synchytrium endobioticum (紐, 515 × 13), ジャガイモ, トマト
ジャガイモ mop top: Spongospora subterranea (棒, 150, 300 × 15), ジャガイモ

4. 汁液

機械導入により伝播率が高くなった

5. 虫媒

同翅亜目を媒介とするウイルスは非常に多い
非永続的 (口針型): potyrivrus, cueumovirus
半永続的 (通過型)
永続的

循環型: luteovirus, 口針から取り入れたウイルスが体内を一回りする間が潜伏期 – 口針からとったウイルスは唾腺から出る
増殖型: 体内でウイルスが増殖していることが証明された場合

表 8.12 植物ウイルスの媒介動物
媒介動物の分類上の位置 (媒介虫数, ウイルス数): 適用
無脊椎動物 Invertebrate (旧口動物 Protostomia) (506, 320)

線形動物門 Nemathelminthes

線虫綱 Nematodes

ネセハリチュウ目 Drylaimida (20, 14)
ハリセンチュウ目 Thylenchida: 植物根部寄生性

節足動物門Arthropoda

蛛形綱Acarinida

ダニ目 Acarina: mites

フシダニ上科 Eriophyodea (8, 10)
ハダニ上科 Tetranychoidea (2, 3)

昆虫綱Insecta (Hexapoda)

ハサミムシ目 Dermaptera (革翅目) (1, 1)
直翅目 Orthoptera (10, 6)
アザミウマ目 Thysanoptera (総翅目) (6, 3): thrips
半翅目 Hemiptera
異翅亜目 Heteroptera
同翅亜目 Homoptera

頸吻群 Auchenorrhyncha (162, 76): (MLO)を含む

ウンカ上科 Fulgoroidea: planthopper
ヨコバイ上科 Jassoidea: leafhopper

腹吻群Sternorrhyncha

キジラミ上科 Chermoidea (1, 1): (MLO), psylloidea
コナジラミ上科 Aleyrodoidea (3, 25): white fly
コナカイガラムシ上科 Cocoidea (19, 2): mealy bag
アブラムシ上科 Aphidoidea (200, 164): aphid

鞘翅目 Coleoptera (30, 20): beetle (ハムシ, 甲虫)
鱗翅目 Lepidoptera (5, 5)
双翅目 Piptera (2, 3)

→ 媒介昆虫とウイルスの間には特異性が存在する
アブラムシ (aphid)
ハムシ (leaf beetle)
表8. 22 ハムシ(甲虫)媒介ウイルス (Walters)
ウイルス           媒介甲虫                虫体内 粒子 RNA含
                                           保有期 成分 量(%)
                                           間(日)
Cowpea mosaic virus group
  Squash mosaic    Acalymma trivittata         17    3   35
                   Diabrotica undecimpunctata  20
  ダイコンモザイク D. undecimpunctata                3   35
                   Phyllotreta cruciferae
                   Epitrix hirtipennis          2
  (ダイコンひだ案) キスジノミハムシ
                   Ph. striolata                4
Turnip yellow mosaic virus group
  カブ黄斑モザイク Ph. Atra                              37
                   Phaedonc cokleariae         14    2
  Wild cucumber    A. tririttata                     2   35
      mosaic
Southern bean mosaic virus group
  インゲン南部     Cerotoma trifurcata          5    1   23
      モザイク
  ササゲ chlorotic D. undecimpunctata                1   23
      mottle       C. trifurcata
  カブcrinckle     Ph. cruciferae               1    1   17
                   Psylloides cupreae           1
  カブ yellow      Sesselia pusilla             5    1   23
                   Chaetocnema pulla            8
                   Trichispa sericea
ダニ (tick)
tick
図8.15 Aceria tulipae (Slykhius). コムギstreakモザイクウイルスは後腸と中腸の後方に見出される。Ct: Cephalothorax頭胸部。直腸嚢は後腸部にある
表8.23 ダニ媒介性ウイルス(Slykhius)
コナジラミ (whitefly)
表8.24 コナジラミ媒介ウイルス (Sambrook et al. 1989)
  • ウイルス: 媒介コナジラミ
  • タバコ leaf curl (トマト黄化萎縮病): Aleurotrachelus socialis, ワタ Bemissia tabaci (= B. goldingi), B. tuberculata, オンシツ Trialeurodes vaporariorum (= T. natalensis)
  • ワタ leaf curl: ワタ
  • ワタ leaf crumple: ワタ, T. abutilonea
  • インゲン golden mosaic: ワタ (ss-DNAウイルス、球形)
  • キュウリ vein yellowing: ワタ, タバコ
  • サツマイモモザイク: ワタ
  • サツマイモ yellow dwarf: T. abutilonea
  • Cassava モザイク: ワタ
  • Euphorbia モザイク: ワタ
  • トマト yellow curl: ワタ
  • テンサイ pseudo-yellow: T. vaporariorum
問題
1. ゲノムマスキング (genome masking)
→ 系統の異なるウイルスが宿主に入ると後に起こる系統の異なるウイルスを入らないようにする機構がある。しかし、それがないウイルスがいる = 同時複製 (simultaneous replication)
2. ヘルパー成分 (helper component)
混合感染等から、媒介昆虫とウイルスの特異性は、外膜タンパク質の特異性に基づくものと考えられる。外膜により認識し、ゲノム型の病気起こす → genome masking
Helper component: 混合感染により本来かからないウイルスが植物に罹る現象がみられる

Ex.
ジャガイモ黄斑モザイク F (汁液)

→ 依存的 dependent

ジャガイモX, ジャガイモY (アブラムシ感染)

→ helper virus

YがFと一緒にいるとFはアブラムシで媒介 – helper本体未詳 (タンパク質性が有力視)

依存ウィルス dependent virus: 報告例は1種

dependent virus

交叉防衛 cross protection
Ex.
TMV-L: トマトに感染, TMV-LII: トマトに弱く感染
MV-LII-A: トマトに潜在 potential

予めTMV-LII-Aを感染させておくとL, LII病状でず病理上利用されるが、potential virusがmutationを起こさない保障はなく、ウイルスが土壌中に広がり農業汚染も考えられる。このウイルスが例えばトマトの新しい系統株を使用したときに弱毒であるとは限らない

表. 宿主とウイルス (生物による媒介)
宿主ウイルス媒介者分布
イネ萎縮
Gall dwarf
矮化
Tungso
黄葉
黒条萎縮
縞葉枯
Ragged stunt
Grassy stunt
Yellow mottle
壊疽モザイク
黄萎病
ナハブランカ
ツマグロヨコバイ
タイワンツマグロヨコバイ
タイワンツマグロヨコバイ
タイワンツマグロヨコバイ
クロスジツマグロヨコバイ
ヒメトビウンカ
ヒメトビウンカ
トビイロウンカ
トビイロウンカ
ハムシ
Pohymyxa gsaminis
ツマグロヨコバイ
ウンカ
本州、韓国
タイ
九州
フィリピン、タイ、インドネシア
台湾、沖縄
北海道、本州、韓国
北海道、本州、韓国
九州、フィリピン,インドネシア
九州、フィリピン,インドネシア
アフリカ(ケニア)
本州
本州、台湾、南アジア
中南米
トウモロコシキュウリモザイク
サトウキビモザイク
イネ縞葉枯
イネ黒スジ萎縮
汁液、アブラムシ
汁液、アブラムシ
ヒメトビウンカ
ヒメトビウンカ
本州
本州
本州
本州
ムギ類
 オオムギ、コムギ
 オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ
 オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ
 オオムギ、コムギ、エンバク
 オオムギ、コムギ
 オオムギ、コムギ、エンバク
 オオムギ、コムギ、ライムギ、エンバク

オオムギ斑葉モザイク
ムギ北地モザイク
ムギ縞葉枯
ムギスジ萎縮
ムギ萎縮
オオムギ縞萎縮
コムギ黄枯
エンバクレッドリーフ病
オオムギ黄化萎縮

汁液、種子
ヒメトビウンカ
ヒメトビウンカ
ヒメトビウンカ
P. graminis
P. graminis
アブラムシ
アブラムシ
アブラムシ

北海道、本州
北海道、本州
本州
本州
本州
本州
本州
本州
本州
ユリアラビスモザイク
ブロードビーンウイルス
カンキツタツターリーフ
キュウリモザイク
リリーシンプトムレス
タバキ茎壊疽
タバコ輪点
チューリップブリーキング
線虫、種子
汁液、アブラムシ
汁液、アブラムシ
汁液、アブラムシ
汁液、アブラムシ
汁液、線虫
汁液、線虫
汁液、アブラムシ
イチゴモツトル
クリンクル
マイルドイエローエッジ
ベインバンディング
タバコネクロシス
タバコモザイク
イチゴケアブラムシ
イチゴケアブラムシ(非永続的)
イチゴケアブラムシ(永続的)
イチゴケアブラムシ(非永続的)
Olpidium brassicae
汁液

長円形
球25 nm
球50 nm
球25 nm
棒18 × 300 nm
表8.1. 果樹ウイルスの接木検定
果樹ウイルス検定植物病徴
リンゴ 高接病

マルバ系-CLSV
ミツバ系-SPV

chlorotic leaf spot (CLSV)
stem pitting (SPV)

マルバカイドウミツ
ミツバカイドウ
R12740-7A
Virginia Crab K16

黄化斑点、樹皮・木賀部の壊死、stem pitting

黄化斑点、樹皮の壊死、stem pitting
stem pitting
カソキツ トリステザstem pitting
seedling yellows
ニクソコーティスexocortis
Mexican lime
Eureka lemon, grape fruit, sour orange
Etrog citron (USDCS 60-13, Arizona g-61)
葉脈透明、stem pitting、脈のコルク化
葉化、生育障害
巻葉、葉脈や九基のコルク化
モモNecrotic ring spotシロフラゲン(白普賢、ヤエザクラの1種)活着しない、芽接部にヤニ分泌、樹皮や木質部の壊死
ブドウFan leaf
Enation
St. George、ピノーチャードネー、ミッション
LN 33、ミッション、Baco 22A、ピノーノア
線状斑、扇状葉
早期紅葉、矮生化
表8.2. 種子伝染性ウイルス
ウイルス宿主種子伝染率(%)
アルファルファモザイクトウガラシ,アルファルファ0.8-5
アラビスモザイクダイズ, ペチュニア2-11
オオムギ斑葉モザイクオオムギ80-90
アズキモザイクアズキ9.9
インゲンモザイクインゲン70
キュウリ緑斑モザイクユウガオ, キュウリ, スイカ1.7
ササゲモザイクササゲ8
キュウリモザイクキュウリ, ササゲ4-28
Dodder latent mosaicCuscuta campestris
レタスモザイクレタス5-10
イソゲン南部モザイクササゲ, イソゲン, ダイズ5
Peanut stuntダイズ3.4-4.2
Squash mosaicカボチャ, メロン
ダイズ萎縮ダイズ, ササゲ5-100
タバコモザイクトマト
タバコ輪点ダイズ, ツクバネアサガオ, タバコ, メロン54-78
Tomato black ringダイズ, Nicotina rustica, ナズナ, ササゲ23
温州萎縮インゲン9
クワ輪紋ダイズ11
表8.6 線虫媒介ウイルス(Taylor & Robertson)。*本邦にも存在するもの
ウイルス緑虫名大きさ宿主
Tobravirus group
タバコ茎えそ(欧州株)*Paratrichodorus anemones, P. nanus, P. pachydermus,
P. teres, P. minor, Trichodorus cylindricus, T. primitirus,
T. similis, T. viruliferus
180 × 25ジャガイモ, 球根類, タバコ
タバコ茎えそ(アフリカ株)P. allius, P. minor (= P. christiei), P. porosus80 × 25レタス, ジヤガイモ, トウガラシ, タバコ
エンドウearlyエンドウ, アルファルファ
browning (オランダ株)P. pachydermus, P. teres210 × 25
browning (イギリス株)P. anemones, T. primitivus, T. viruliferus105 × 25
Nepovirus group
アラビスモザイク*Xiphinema diversicaudatum, X. coxi, X. bakeri30キュウリ, ブドウ, ラズベリー, チェリー, ルパープ,
ホップ, スイセン
Cherry leaf rollX. diversicaudatum, X. coxi, X. vuittenezi30チェリー, ブラックベリー, エルム, ルバーブ
ブドウ fan leafX. index, X. italiae30ブドウ
クワ輪紋*Longidorus martini, L. elongatus, L. macrosoma,
X. diversicaudatum
22クワ
Raspberry ring spot30ブラックベリー, ラズペリー, イチゴ
イチゴlatent ring spotX. diversicaudatum, X. coxi30Blackcurrant, チェリー, セルリー, モモ, プラム,
lackcurra ラズベリー, バラ, イチゴ
タバコ輪点*ナミオオガタハリセンチュウ, X. americanum, X. coxi30インゲン, ブルーベリー, グラジオラス, ブドウ, タバコ
トマト黒色輪点*ナガバセンチュウ L. attenuatus, L. elongatus30セルリー, レタス, モモ, ジャガイモ, ラズベリー,
イチゴ, テンサイ, トマト
トマト輪点*ナミオオガタハリセンチュウ30ブラックベリー, チェリー, ブドウ, モモ, ラズベリー, タバコ
その他
Brome mosaicX. diversicaudatum, L. macrosoma 牧草, ムギ類
カーネーションring spotX. diversicaudatumカーネーション
Prunus necrotic ring spotL. macrosomaプラム
表8.23 ダニ媒介性ウイルス(Slykhius)
ウイルス媒介ダニ伝染率虫体内保有期間植物体内潜伏期汁液伝染
禾木コムギstreakモザイクAceria tulipae3495-10+
コムギspotモザイクAc. tulipae65133-10-
RyegrassモザイクAbacarus hystrix301!210-14+
AgropyronモザイクAb. hystrix1 <5-10+
木本Current reversionCecidophyopsis ribis1 <> 365
FigモザイクA. ficus7010-90
モモモザイクEriophyes insidiosus2.5214-100
Pizeon pea sterilityE. cajan = Aceria cajani10 <21-35
バラ rosettePhyllocoptes fructiphilus10 <3-146

ウイルスの生態 (virus ecology or epidemiology)


温度: 病徴に大きく関与 → 防疫検査では理化学的検査必要
湿度

ウイルス源: 1: seed, shoot, tuber. 2: 雑草、樹木

Ex. ダイズ矮化ウイルス – ジャガイモヒゲナガアブラムシ

ダイズ – 縮葉型: 赤クローバ、黄化型: 白クローバ(= 汚染源) – インゲン黄化

Ex. イネ縞葉枯病 = RDV – ツマグロヨコバイ、RSV – ヒメトビウンカによる増殖型感染
Ex. RBSDV – ヒメトビウンカ – 雑草(休耕田で問題)

雑草感染源の駆除は今後の課題

雑草: 1. 特に多年生のものでは発病させない。2. 媒介根昆虫の巣の駆除
作物品種-ウイルス関係: 品種が変わると栽培形態が変わる  vector, virus生活にも変化が生じることがある

表12 ウイルス抵抗性、免疫性品種 (ウイルス 品種)
Xウイルス
免疫性品種: Saco, Tawa, USDA 41956, 金時薯
抵抗性品種: 神谷薯, ペポー, メークイン, ウンゼン, タチバナ, チトセ, ホッカイアカ
Yウイルス
抵抗性品種: USDA 41956, Russet-Burbank, Utrica, Fortunia, Nordak, 金時薯, ケネベック, ウンゼン,チヂワ, ユキジロ, エニワ
Sウイルス
免疫性品種: Saco
抵抗性品魎: ホイラー, メークイン, ウンゼン, 金時薯, 三円薯, 農林2号
Aウイルス
免疫性品種: Merrimack
抵抗性品魎: Tawa
葉巻ウイルス
抵抗性品種: Tampa, Bliss, Triumph, Katahdin, Capella, Fortunia, シマバラ, ビホロ, ユキジロ, 金時薯
温度によって変化ナる病徴とウイルス量との関係。数字は°C
病徴ウイルス量
ウイルス-宿主温度範囲低音 < 高温低温 > 高温低温大高温大
ジャガイモyellow dwarf-ジャガイモ15-25O
ジャガイモX-ジャガイモ15-25OO
ジャガイモX -N. glutinosaO
ジャガイモX -タバコ16-28O(20-24)
ジャガイモX -トマト20-28OO
ジャガイモX -センニチコウO
ジャガイモX -アカザO
ジャガイモX -DaturaO
タバコモザイク-アンバレマ16-28OO
タバコモザイク-タバコ20-37O(24)
タバコモザイク-タバコ16-28OO
トマト黄化えそ-トマト20-36O
トマト黄化えそ-トマト36OO
キャベツblack ring-キャベツOO
ハナヤサイモザイク-キャベツO
Horseradishモザイク-キャベツ16-28OO
ジャガイモS-N. debneyi20-30OO
アルファルファモザイク-ソラマメ17,24OO
ジャガイモmop top-タバコXanthi nc

植物への遺伝子導入 (transgene to plants)


1) CaMV: dsDNA virus - 導入成功
2) 根頭ガンシュ病
Agrobacterium tumefasseiens: 多くのplasmidを有する。その内の1つにTi plasmidがあり、それが病気を発現させる。そのplasmidが植物体(host)のDNA strand中に移ることが確認された
→ これに狙った遺伝子を移してhostに形質を移す
ある程度成功しているが問題は多い。まず、plasmid fragmentがhost DNA strandに移るのはガン化した所のみであり、host全体で形質発現するわけではない。また、狙ったfragmentをplasmidのどこに入れればよいかが、ガン化せず、そのfragmentの形質がでるかが問題である
3) RNAそのものの導入
transgene RNA → cDNA

Ex. PSTV (RNA) → cDNA: cDNAで発現する

ウイロイド (viroids)


1967 Diener & Raymer

病原 = 低分子RNA → タンパク反応なし。遠心沈殿しない。RNase入れると反応消失 → 核酸のみ
真核生物イントロン部塩基配列に似る300 base ssRNA
現在、ウイロイド確認は植物だけ。動物では原因不明の病気が幾つかあるがウイロイドかどうか不明

表1. 植物ウイロイドの種類
ウイロイド病
(ウイロイド)
ウイスル病
とした初報告
低分子量RNAを
病原とした初報告
低分子量
RNA
伝染方法地理的分布
分子量
× 106 Dt
沈降係数
S20, w
塩基組成ヌクレオ
チド数
ジャガイモやせ芋病
Potato spindle tuber viroid,
PSTV
Martin (1922)Diener & Raymer
(1967)
0.8-0.9
1.27
6.7G: 28.9
A: 21.7
C: 28.3
U: 209
381汁液伝染
種子伝染
虫媒伝染
アメリカ
カナダ
ソ連
南アフリカ
(日本未記録)
カンキツ・ニクソコーチス病
Citrus exocortis viroid,
CEV
Fwcett & Klotz
(1948)
Semancik &
Weathers (1968)
1.196.7G: 28.8
A: 21.5
C: 29.4
U: 19.9
357接木伝染
汁液伝染
世界各国
日本
キク・スタント病
Chrysanthemum stunt viroid,
ChSV
Dimock (1947)Diener & Lawson (1973)0.485-7.55-7.5-接木伝染
汁液伝染
アメリカ
カナダ
イギリス
オランダ
日本
キュウリ・ペールフルーツ病
Cucumber pale fruit viroid,
CPFV
-Van Dorst &
Peters (1974)
1.16.5G + C含量70%330接木伝染
汁液伝染
オランダ
(日本未記録)
キク・クロロチックモトル病
Chyrsanthemum chlorotic
mottle viroid, ChCMV
Dimock et al.
(1971)
Romaine &
Horst (1975)
-6-14--接木伝染
汁液伝染
アメリカ
日本?
ココヤシ・カダンカダン病Ocfemia (1937)Randles (1975)
Randles et al. (1977)
0.847.6--汁液伝染フィリピン
ホップ矮化病山本ら (1971)佐々木・四方 (1977)----接木伝染
汁液伝染
日本
増殖系(ウイロイド)

真核生物splicing過程: snRNA (sn: small nuclear)必要
仮説1: snRNA sequenceとviroid sequenceのhomology高い → viroidは増殖系を真核生物内に持つ
仮説2: virus中にviroid sequenceに似たものが見つかりviroidと命名 → virus → virusoid → viroid
ウイロイド遺伝子配列は容易に決定された Ex. PSTV, CEV, CCCV, ASBV, VTMoV, SNMV (see, gene bank)

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