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(2013年1月5日更新) [ 日本語 | English ]

植物分類学 (Plant taxonomy)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

はじめに (なぜこのページを作るのか)
総論 [ 学名 | 読み方 | 見分ける | 学名確認 | 標本作成 | 図鑑等 ]
 学生の論文原稿で学名の書き方の間違いが減らないような。いい加減な学名は論文を書く時に信頼性を失う原因の一つになることは疑いない。10種くらい学名が書いてあって、そのうち3つがコケてる論文を審査させされたことがあるが、ここまでひどいとデータそのものまで疑わしくなってしまう。
 もう一つの目的は、完璧に 趣味なので、植物の見分け方等も、少しずつだが書いていこうとは思う(これも趣味)。
 良く聞かれることの一つに、「図鑑」は何が良いか」というのがあるが、「この図鑑」と1冊だけを薦めることはできない。というのは、どの図鑑にも一長一短がある。「これ一冊でOK」とかいう、受験参考書みたいな図鑑はない。いくつかの図鑑を比べてみるとよい。学名や分類キーがかなり異なっていることが分かる。以下のページ等を参考にしながら、自分が正しいと思う学名を使うことが重要である

[自然科学史, 本草学史]

分類学史 History of Taxonomy

リンネ以前
1400-1700: 本草の時代- 民間療法流行
Caesalpinus A 1519-1603: "De plantis libri (1583)" – 科学的分類大系
  1. 植物性状
  2. 果実、種子形質で細分
  3. 子房の性質(上位、下位、室数)
  4. 植物体汁液
  5. 球根有無
Bauhin G 1560-1624: 種記載、属に名をつける
Jung J 1587-1657
  1. 正確な植物用語導入
  2. 分類基準 = 花
  3. 二名法 binomial nomenclature 先駆的導入
Pitton de Tourefort J 1656-1708: フランス植物学の父 "基礎植物学 (1694)"

属genus概念創始者 Ex. Salix = willow, Populus = popular

John Ray 1628-1705: 約1万8千種を記載
リンネからダーウィン (From Linné to Darwin)
Carl von Linnaeus (Linné リンネ) 1707-1778, 近代分類学の祖
種の不変説(中世): キリスト教勢力影響強 → "種は神に対応する" = 生物は神々創造物 → 種数増減なく、形質一定(演繹法的誤解) → 種分化、変異、種間交雑と雑種 (hybrid, Gr. 神を冒涜した者)認めない = 進化的考察は殆どない
比較: 現存種 ⇔ 化石種
種不変 = 命名可能 → 生物の段階的構造(2命法)提唱し分類学基礎築く
自然分類 = 形態 → 基準標本types定め、それと比較し種決定
= 形態種 morohological species (リンネ種 Linnean)

晩年に交雑実験で中間型得る: 「自然の体系」最終版で「種の不変説」項削除 → 進化概念形成?

菌類系統は隠花植物とされる (現在隠花植物、顕花植物区分は便宜上を除き行わない)
"Genera Plantarum (6th edn) 1764": 1239属
二名法確立

1. Monandria雄花1, 2. Diandria, 3. Triandria, 4. Tetrandria, 5. Pentandria, 6. Hexandria, 7. Heptandria, 8. Octandria, 9. Enneandria, 10. Decandria, 11. Dodecandria 雄花12-19, 12. Icosandria 雄花 ≥ 20、子房周位, 13. Polyandria雄花 ≥ 20、子房上位, 14. Didynamia二共雄蕊(4本中2-2で長さ異なる), 15. Tetrandynamia 三共雄蕊, 16. Monadelphia 雄蕊筒状, 17. Diadelphia二体雄蕊, 18. Polyadelphia, 19. Syngenesis, 20. Gynandria, 21. Monoecia, 22. Dioecia, 23. Polygamia, 24. Cryptogamia無花

Bufforn 1707-1788

"博物誌 (1749)": 生物進化を示唆 = 明瞭に種を区別できない差異存在
違った生物が共同の祖先から由来したと考えられるものがある

Adansen Michel 1727-1806: "Familles de plantes 1763" - 科family概念確立

あらゆる形質を同等に扱い総合的に分類体系を考えるべき – 数量分類学につながる

Darwin E 1731-1802, 英 (Darwin C祖父)

"Zoonomia" (or the Laws of Organic Life) 1794: 生物は変化でき、全て進化能力を持つ。(ただし、)生物自身の努力によって能力が発揮される

Lamarck JB 1744-1829, 仏: 博物学者
Humboldt, Alexander von 1769.9.14 -1859.5.6 (Gr)

Naturalist(広義の生物学、地学学ぶ)
植物分布を生活型を基本に高度・温度と結び付け法則的理解を試みる

Ex. Fagus: ユーラシア大陸-アメリカ大陸 = 形態的に近い
→ 植物分布は気候・地理という空間的位置(≈ 生態的地位 ecological niche)に支配される

• 1789 de Jussieu, Antoine Laurent: de Jussieu system
• 1813 de Candolle, Anguste Pyramus: de Candolle system
• 1838 Endlicher, Stephan Ladislaus: Endlicher system
• 1843 Brongniart, Adolphe-Théodore: Brongniart system
→ 各々、分類観点が異なり食い違い生じる

(Mayr 1953)

分類学の歴史的発展段階
  1. α-taxonomy (analytical, flora): 新種発見、命名、記載に重きを置いた標本中心の段階
  2. β-taxonomy (classificated): 種を一つの大系natural systematicsに配列(自然群建設段階)。種の類縁関係を比較形態、地理的分布等の研究から明らかにしていく段階
  3. γ-taxonomy (biosystematic): 進化(概念)の道筋の導入段階で変異幅、種内変異幅を分析した時期で最終的には系統phylogeny建設を目指した。交雑実験等の実験分析法を通じ分化要因と機構を明らかにしようとしつつ、類縁関係を分析する段階
  4. δ-taxonomy: 種間変異関係を考慮し、種内変異を考慮に余り入れない定性的なもの。系統学確立時期といえる
α, β, γ-taxonomyは時代順に発生したのではなく、現在でも全て平行して進歩している
日本のフローラ研究は、西欧に遅れたが大変進む。理由: 外国から開国以前に多くの博物学者が訪れ、現存種をかなり正確に同定した。記載面、博物面からも綿密である。ソ連・合州国ではフローラ未完成

分類学 (taxonomy)


  1. 分類(s.s.): タクソンの限界 circumscription 示す = 整理 タクソンの限界circumscription
    → 限界を示す鍵 = 分類鍵 taxonomic key
    = 最少標準 minimum standards
  2. 命名: 各国際命名規約に則ってタクソンに学名を与える
  3. 同定: 個体が既に命名されたタクソン上の位置を決める
  4. 保存: 基準種および重要な標本を劣化を防ぎ保存する
  5. 系統発生 phylogenetic: タクソンの進化論的位置づけと相互関係示す
    → 新分類体系確立する
pentagon 分類と命名の相互関係: 分類と命名は表裏一体であるが区別されねばならない → それぞれの持ち分

命名: 名付け方が正しい手続きを経たかどうかを検討 → 分類中の位置づけ問題に立ち入らない
分類: 正式手続きを踏んだ発表種名でも属以上の位置が全体的な視点から見直されることがある

分類学の命題

第一命題 「原始的形質がある系統の中に幾つかの異なった分枝に相互無関係に残留していることがある」

新しい化石にしか見つからない形質は派生的である
ある形質があるグループとそれ以外の幾つかのグループに跨り広く見られるのは、その形質がそれらのグループの原始形質である可能性が高い
幾つかのグループに共通する派生形質と高度の相関を持つ形質は派生形質である可能性が高い
論理的にある系統のある形質に先行しているはずだといえる形質は原形質である

第二命題 「形態的構造や生合成反応の細部のような相互に関連ある形質の数が多ければ多いほど、その形質は別個の祖先からの平行進化ではなく、共通の遺伝の結果として共有されているものであるといえる」

種概念 species concept


種内分類群

変異幅(個体変異) → 種内分類群 intraspecific taxa

種は形態差のみで範囲づけられるものではなく、生殖・遺伝・生態などの面を考慮して決める必要がある
→ 「変異をその内に含んだ可変的な種」(Darwin 1868)

  1. 交配実験を主体とする遺伝学的分析
    異なる種間の交雑可能性corssiabilityの問題。後代の稔性fertilityまでを追跡。Cf. ゲノム解析
  2. 移植実験による変異分析
    生態型 ecotypeおよび生態種 ecospeciesを調べる
    個体観察の蓄積により形態の変異 variation幅を知る。事実の集積という帰納法 inductive method により原理を知る。その結果に基づき、種の幅 grouping を設定してきた
    種分化 speciation: 生物界の段階(的)構造が存在するかという疑問 - この答を研究する分野も分類学

多型 polymophism

発生段階 developmental stage

Ex. クルマエビ (Penaeus setiferus)の変態 = ノープリウス → メタノープリウス → プロトゾエア第I-III期 →→→ ミシスI期 → 後ミシスI期

生息地条件 habitat condition

Ex. トノサマバッタ: 孤独相・群生相
Ex. ヒメトビウンカ: 長翅型・短翅型 (石原1963)

性的多(2)型 dioecism, gonochorism

Ex. ミヤマクワガタ、アキマドボタル

季節的型 seasonal type

Ex. キチョウ: 夏型 – 中間型 – 秋型

社会性 social type

Ex. ミツバチ

タクソン(分類群) taxon (pl. taxa)


(植物)分類学の基本的概念
門 phylum (formerly division*) -phyta

亜門 subdivision -phytina

網 class -opsida, -phyceae (藻類), -mycetes(菌類)

亜網 subclass -idae, -phyciade, -mycetidae

目 order -ales

亜目suborder -inales

科 family -aceae

亜科 subfamily -oideae

連 tribe -eae

亜連subtribe -inal

属 genus 特になし

亜属 subgenus

節 section

亜節 subsection

種 species

亜種 subspecies - subsp. or ssp.
変種 variety (varietat) - var.
亜変種 subvariety - subvar.
品種 forma - f.
亜品種 subforma

系統(株) line (strain)
クローン clone

*: 動物学 - phylum ↔ 植物学 - division ⇒ 東京規約(1994)から植物学もphylum使用認められるがdivisionでもよい

亜種 subspecies

= 地理的変異の公的認価。地理的に離れているので側所というより異所

(proposed by Mayr)

連携群 race circle
= 異所的亜種 polytypic species
1形質に着目して亜種決定はできない

Ex. 縞(vitta, pl. -e)の有無、体色等、それぞれが異なる分布域を示す
Ex. それぞれの形質が独立して環境要因に誘発されることもある

Ex. タイミョウセセリ - 種以下のcategoryをどうみるか

複数形質の任意的組み合わせで幾つもの異なる亜種ができる → 信用できない
あるsplitterはTamonys bottae(ジリス)を2500 subsp.にわけた-亜種間交配は当然可能

Ex. ハナカジカの大型卵と小型卵
       生活     卵 (nm)    主な住場 仔魚
大型卵 河川陸封 2.6-3.0    上中流   孵化 = 25-26日 走光性負
                100-700粒           仔魚7.5-8.5 mm 卵黄嚢大
小型卵 両側回遊 1.5-1.9    下流     孵化 = 22-23日 走光性正
       海で繁殖 600-3000粒          仔魚6-7 mm     卵黄嚢小

大型卵: 重く負の走光性を有し石下に潜り込む。卵黄嚢大で自力生存期間長く上・中流河川に住む
小型卵: 軽く正の走光性を有するため流され海へ行く。後、回帰し下流に住み着く
→ 2種か、亜種か

変種 variety
分類群系列上、種の下に置かれた階級。少なくとも2-3の点で基準標本と形態上異なる

地理的に異なる分布圏を占有するものを多く変種として扱う

品種forma
= geological race: 1-2の形質で基準の群と異なるもの
Ex. 有色花の白花品種、基準より葉の長いもの

一般に人工的に分別された農業的集団cultvarsには使用せず、天然に発見されたものに使用している
側所でも交雑が起こらなければAとBは別々の進化の経路をたどる

Ex. アメリカコガラ: 北米産、狭い地域、競合している → 形態類似、研究の結果生殖器的差異が認められた。なわばりが原因

近縁(隣)グループでの種の置き換わり-連携種race (異所的種) (kind circle)

Ex. オーチョウ: 冠毛の差異による分類
circle

系統 strain
祖先共通とし、遺伝子の等しい個体群。クローンが栄養繁殖によるのに対し、有性生殖過程を含む

実際は、系統的特徴の許容範囲内の変異を含み、自殖を続けることで著しい差を生じた集団形成時には分離し他系統とする。純系にほぼ等しいか、それほど純粋なものと考えないという程度の差異がある

クローン(栄養系、分枝系) clone
単細胞か個体から無性的増殖により生じた遺伝的に同一な細胞群または個体群

論文中の学名 (scientific name) 表記


 学名について、面白い一文を見つけたので、ここに載せておきたい。どこかの大学の3年または4年の試験解答に書いてあった書き込みのようである。

Latin is a language as dead as dead can be.
First it killed the Romans, and now it's killing me!

 その講義は、この嘆きを解消することと学名の必要性を説く授業で、そのイントロに紹介されていた。

ゼミ等で目にする過ち (気づいたらメモ)


二名法 (binomial nomenclature)
  1. 悪名高き マイクロソフト ワードユーザーが硬い意志と親切心からやってくれる、人名略記に伴うピリオド、subsp., var.等のピリオドの直ぐ後ろの文字が大文字に自動変換されているのに気づかない。

    誤: Acer palmatum Thunb. Var. Amoenum Ohwi
    正: Acer palmatum Thunb. var. amoenum Ohwi

     さらに、すごいのがNicotiana attenuataと入力したら、勝手にattenuateと直された。属名と種小名の性は統一するのが約束だろーが! と怒鳴ってみたり。
  2. 学名のフォントスタイルは統一する。学名はイタリックにすると思っている人が結構いるが、統一されていればボールドでもなんでもよい。ただし、雑誌によっては投稿規程に学名はイタリックにすると指示してある。
     属名、種小名をイタリックにしたら、亜種名、変種名もイタリックにする(上例)。図鑑等では、自分が採用した学名をボールドで書き、異名と考えるものをイタリック等にしているものもある。
  3. 命名者を書くときには、亜種・変種・品種名命名者のみではなく、種小名命名者も書く。図鑑等では、種より下の分類群の説明の前に種の説明がなされているため、種小名命名者を省略している。論文等で、事前に種小名命名者を書いていない限り、それは間違いである。
    誤: Acer palmatum var. amoenum Ohwi ↔ 正: 上記
    長い例ではAster ageratoides Turcz. var. ovatus (Franch et. Savat.) Nakai f. yezoensis (Kitam. et Hara) Ohwiとなる。なお、Asterは学名見解が未統一で上記学名は不採用とする人も多い
    ただし、自動名は、亜種・変種名命名者を省略できる
    例: Platycerium bifurcatum (Cav.) C.Chr. ssp. bifurcatum var. bifurcatum
  1. 複数の文献から学名を取る場合、人名等の略記の仕方が異なる場合がある。論文中では統一する。
  2. 種小名に人名・地名等の固有名詞が用いられる場合、本来は大文字だが小文字にしてもよく、その方が増えている。論文中では統一する。
    Populus Maximowiczii、あるいは Populus maximowiczii
     本来、ラテン語は、今でいう大文字しかなく、後に小文字ができたので、大文字・小文字の区別はなかった。後に、固有名詞は最初の一文字を大文字表記するようになった。「原色日本植物図鑑」では、種小名が人名由来の場合には最初の一文字を大文字表記している。

未同定種 (sp.とspp.)

 名前が種レベルではつけられない場合は、未同定種として扱うしかないが、その記載の仕方については、なんでもかんでもsp.をつければ良いというわけではなく、

sp. (sp) = speciesの単数形, single species
spp. (spp) = speciesの複数形, (probably) plural species

ということで、意味がまったく違うので、注意したい。

 属レベルまで明らかであれば、
Salix sp. = ヤナギ属の1種だが未同定
Salix spp. = ヤナギ属は確かだが数種が混じる(可能性もある)。ヤナギ属に属する全ての種という意味もあるが、生態学の論文では混じるという意味がほとんどだろう
 同様に、キク科であることは分かるならば
Asteraceae sp.やAsteraceae spp. → 意味は上記と同様に異なる

同種異名 (synonyms)

 これが一番やっかい。

読み方について


 学名はラテン語で書かれているので、読み方もラテン語であるのが本当なのだろう。しかし、今の地球上にラテン語を話す人はいない。米国では、当然、米語読みをする。しかし、ワシントン大学にいた時に、どうにも米語読みに抵抗を感じて、日本ではラテン語読みをすると言ったら、今の時代に誰がラテン語を話すのか、と問い返されてしまった。ローマ字読みをするのが、ラテン語読みに一番近いのだろうが、ここは、考えようで、ローマ字読みすると、英語圏では、全く通じない。日本でも、自分が学生の頃はPinusは「ピヌス」と言う人が多かったが、今では、「パイナス」と英語読みをする人が増えている。

GIF

 結局のところ、現状では、国内では、ローマ字読みでも英語読みでも可、海を越えたら、英語読みをするのが、意思の疎通を一番しやすい、といったところだろうか。ただし、ゼミ中とかに、これをチャンポンに使われると聞いてる方が混乱するので、自分のスタンスを決めておくことは大事である。

総論


見分けるために

形態 morphology
  • 花・果実: 分類基準として多くが花(そして果実)形態を採用するので当然といえば当然。しかし、野外調査では、必ずこれらの器官があるとは限らないので、それ以外の見分けるポイントを知っておく必要がある
  • : 触った感じとかいう、図鑑とかで表現しづらい部分も大事なので... 触ってみるしかない。葉に多型がある場合もある
  • : 匍匐茎や地下茎も茎
  • 地下部: 図鑑を見るとよく、「地下部は...」とか、「根茎を作る」とか書いてある。地上部だけを持って教室に戻ってきてももう遅い
生態
  • 生息地: 特に光と水の状態を見ておく
  • 撹乱: その強さは、火山では大事だ(スキー場でも湿原でも)
  • 季節性: 花期、結実期はいつか
標本を作ろう! 似た植物を比較するには、これで比べるしかない。写真では、触った感じは分からない(-写真を撮るなという意味ではない。むしろ、撮るべき-)。標本といっても、押し花そのもののことなので、子供の頃の「夏休みの学習」とかを思い出し楽しみながらながらやれば十分なので、決して難しいことではない。標本採集時には、採集日・場所(locality)を記録しておくことは、もちろんだが、上記にあるような観察事項も記録していると、きっと、良いことがあるはず。

学名確認方法


学名検索データベースへのリンク
 学名については、国際植物命名規約 (International Code of Botanical Nomenclature, ICBN)があることを知る。属名、種名などの表示方法とラベルの書き方というページは、園芸植物の学名の書き方を説明しているが、その中の原種記載についてのルールは全く同じなので参考になる。
 個々の学名に自身がないときには、Royal Botanic Garden, Kew の学名データベースか、The International Plant Names Index (IPNI) を参照する。なお、近年のDNA解析等による系統関係については、Angiosperm Phylogeny Website等で見ることができる。ただし、分類と系統は、時として別問題となるのことに注意されたい。なお、英国自然史博物館(Natural History Museum)のホームページで見ることができるが国際分類学イニシャティブ(Global Taxonomy Initiative [ Japan , 日本版 ])プロジェクトが立ち上がり、世界中の分類学情報を網羅的に整理する試みが始まっている。
日本分類学会連合: この中の、 加盟学会 を見ると日本の分類学の現状が分かるはず。

植物分類学会ページの中のFlora of Japanの検索機能を使うとFlora of Japan (講談社)で用いられてる学名を知ることができる。

植物学リソース: 3000以上の植物関連サイトをテーマ別、種類別、地域別に分類したリンク集
東京都立大学牧野標本館所蔵 タイプ標本データベース
Harvard University Herbaria Databases

[エングラー体系 (Engler's syllabus)]

分類群 (taxon) 玉石混交


菌類は植物に入れないが... 必要なので

[ 駒ケ岳採取標本 | 作成法 |

標本 (specimen)


植物標本
植物の全体または一部を、後々までデータが得られるよう保存されたもの。

乾燥標本: 乾燥状態で保存
液浸標本: 液体(アルコール等の保存液)に浸し保存
プレパラート: 組織標本等として保存

完全標本
その植物 (species) の特徴をおおむね全て保有した標本。種子植物の場合は、根・茎・葉と生殖器官(花または実)が揃ったもの。
分類学では、完全標本を理想とするが、生活史研究などでは、実生などの標本も採取・保管される。
作成目的
  • 同定
  • 学術資料(証拠標本): 分布・変異・季節性等
  • 命名(基準標本)
  • 展示学習
  • 記念品
  • 工芸趣味

駒ケ岳採取標本 specimens collected from Mount Koma


北大総合博物館(SAPS)保管標本

Chimaphila umbellata (L.) W. Barton
オオウメガサソウ
Drosera rotundifolia L.
モウセンゴケ
Campanula lasiocarpa Cham.
イワギキョウ
Chimaphila Drosera Campanula
2000年8月3日、駒ケ岳南西斜面、標高550 mにて採集。標本個体はパッチ状に生育しており、この時期にはさく果を付けていた。 2000年8月13日、駒ケ岳南西斜面、標高850 mの礫地にて採集。 2000年8月3日、駒ケ岳南西斜面、標高850 mにて採集。 → 駒ケ岳の植物 Flora on Mount Koma

スケールバーはすべて2 cmを示す。 (露崎史朗他 2001)

作成法 preparing specimen


手順

腊葉標本は、通常、新聞紙1ページを半分に折った大きさ(30 cm × 40 cm)である。採集時に、その大きさに納まるよう意識して採集すると、後の作業が楽だし、使いやすい標本ができる
採集時の心がけ
  • 周辺を荒らさず、必要以上に採らない
  • 保護区等では事前に採取許可が必要である
  • 事故防止に心がけ危険を伴う場合は採取しない
採集
準備 (その他は野外実習準備に準ずる)
野外調査道具 (field eqiupment) → 植物採取用 (collecting plants)

胴乱 または ビニール袋(一斗程度の大きさ)
野冊(段ボールやべニア板で代用可)
剪定鋏
根掘り
新聞紙(できればその場で押してしまうため)
マジック(新聞紙に記録するには消えないようにマジックで)

採ったらできるだけ土を落としておく。できれば、その場で、記録を書いた新聞紙に形を整えて挟み野冊に挟み込む。できなければ、ビニール袋や胴乱に入れて持ち帰る
作成
道具

吸水紙(吸湿紙) (新聞紙可)
挟紙(= 新聞紙)
重し(普通の草10 kg程度、枝の硬い樹木20 kg程度)
押板
ピンセット

標本圧搾
呼吸熱で吸水紙温かい間は1日2度程度吸水紙を代え、その際ピンセット等で標本整形

特別処理法

タヌキモ (Utricularia spp.)、キンギョモ等: タオル等で予め水を切る。海藻標本を作る要領で行なうのもよい
多肉植物: 熱湯に浸すか、アルコールに1日程度浸けてから標本にする

照葉樹: アルコールに1日程度浸けてから標本
花に厚みがある → 重しを使わず竹製野冊に挟み乾かす。花にアルコールを塗りカビを防ぐ

台紙に張る

台紙: 上質紙B判135 kg(葉書程度の厚さ)を8つ切り(おおよそ 縦39 cm × 横27 cm)
帯紙(糊紙): 大学ノート程度の厚さの上質紙片面にアラビアゴムを塗布
ピンセット、紙きり鋏、スポンジ

標本ラベル specimen labels
自分が使ってるもの
Label
ラベルに良く使われる表記

同定者(Det., determined by)
採集地(Loc., locarity)
生息地(Hab., habitat)
採集年月日 (Date)
採集者名 (Coll., collector)
記録 (Note)

保存
高湿度を避ける。
虫害防止に、パラジクロールベンゼンまたはナフタリンを適宜梱包する。複数の防虫剤を使うと変な反応が起こったりするので、必ず1種類だけを使う。実際、台紙がまっ黄色になってしまった

(標本整理をしてみたり...)

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