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(2018年11月25日更新) [ 日本語 | English ]

菌類分類学 (fungal taxonomy)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[図鑑, 地衣類, プロトコル]

10万種命名 (150万-1千万種)

真(正)菌門分類 taxonomy of Eumycota

(Ainsworth 1966)

有鞭毛細胞を形成 _____ 鞭毛菌亜門

鞭毛は単毛

鞭毛は後端で尾型 _____ ツボカビ鋼 Chytridiomycetes
鞭毛は前端で羽型 _____ ササゲカビ鋼 Hyphochytridiomycetes

鞭毛は双毛(尾型と羽型で等長) _____ 卵菌鋼 Oomycetes 有鞭毛細胞を欠くか、あるいはたまに備える

菌糸に隔壁なし 接合菌亜門

体制糸状。節足動物消化管か外クチクラ層につく _____ トリコミケセス鋼 Trichomycetes
上ではない。主に腐生 _____ 他の接合菌

菌糸に隔壁あり

子嚢胞子か担子胞子形成。有性生殖不明 _____ 不完全菌亜門

減数分裂は子嚢内で行われる _____ 子嚢菌亜門
減数分裂は担子器で行われる _____ 担子菌亜門

真菌植物門の系統
担子菌亜門 - 子嚢菌亜門 - 接合菌亜門 - ツボカビ鋼   - A
                                       ササゲカビ鋼 - B
                                       卵菌鋼       - C
    A ┐          A ──•       A ┬─•
[1] B ┼─•  [II] B ┐    [III] B ┘
    C ┘          C ┴─•       C ──•
Aのつながりについても問題がないわけではない(Klein & Cronquist 1967, Bartnicki-Garcia 1970)
索引

Fungi1 Fungi2 Fungi3
Fungi4 Fungi5 Fungi6
Fungi7 Fungi8 Fungi9
[1] 2009年6月30日。札幌市南区光風園で見られたタマゴタケ(食用)。[2] 2012年9月13日。韓国南山散策路にて。榾木に生えてたヒイロタケ。[3] 2010年8月11日。アラスカのアッパーチャタニカキャンプサイトにて調理されつつあるベニテングタケ(猛毒)。裏: 2014年10月7日北大構内にて。 [4] 2013年10月8日。札幌市北区北20条西3丁目の街路樹上で見たヤマブシタケ(食用であった...)。[5] 2013年9月11日。北大構内にてハカワラタケ。 [6] 2014年6月21日、北大構内の老木となったハルニレ(Ulmus davidiana)の根元に見られたキララタケ(雲母茸)。 [7] 2015年3月20日、鹿児島城山自然遊歩道で見たアミガサタケ。これも食用であった... (菌輪) [8] 2015年9月15日月浦森林公園で見たカワラタケ。 [9] 2018年10月19日。東京四ツ谷ソフィア通でサクラの木の根元に生えてたベッコウタケ

(真)菌類 Kingdom Eumycota or Mycota, fungi


真菌門 Division Eumycota (Mycobionta)

= キノコ funig + カビ molds + コウボ yeasts

体構造アメーバ状でも変形体状でもない。菌糸状が典型的だが単細胞もある

Phycomycetes (Phycomycotina) 藻菌鋼(類) = Mastigomycotina + Zygomycotina (昔)

鞭毛有無(運動性有無)で明瞭に区別可能 → 2亜門とする

鞭毛菌亜門(類) Subdivision Mastigomycotina

栄養体: 単細胞か菌糸状。運動性の胞子か配偶子を持つ
生活史のある時期に有鞭毛の遊走細胞swarmer生じる → 無性生殖は遊走子嚢中に形成された遊走子により行われる(共通点が遊走細胞を生じる種群というだけで系統群ではないとする考えも強い)
鞭毛の種類
phylogeny
接合パターン
1. 運動性配偶子接合 planogametic conjugation

phylogeny
異形同配偶 anisogamy (adj. anisogamous)

2. 配偶子単結合 gametangial contact

phylogeny

3. 配偶子接合 gametangial conjugation

phylogeny

4. 不動精子による受精 spermatization

phylogeny

5. 体細胞接合 somatogamy: 原形質融合起るが核融合起らない

phylogeny

ツボカビ Division Chytridiomycota

ツボカビ Class Chytridiomycetes
菌糸無、単鞭毛性運動胞子
腐生・寄生

栄養体形態多様 - 発達程度低い。細胞壁キチン含む
遊走細胞: 尾型鞭毛を後端に1本

卵菌 Class Oomycetes
Saprolegnia, Pytium, Phytophthora, Plasmopara
栄養体: 生活様式により多様。細胞壁セルロース含む
遊走子2タイプ

1) 一次型遊走子 (primary zoospore)
2) 一次型遊走子 (secondary zoospore)

無性生殖、2鞭毛性運動性胞子
有性生殖: 一般に配偶子嚢接着により卵胞子形成(全実性種中に、配偶子嚢接合で休眠胞子嚢を作る)
水棲菌から陸棲寄生菌まである
ツボカビ Order Chytridiales: 栄養体は真正の菌糸体形成しない

Olpidium Rabenhorst フクロカビ
Chytridium Braunツボカビ
Nowakowskiella Schröter クモノスツボカビ

コウマクノウ(厚膜嚢)菌 Order Blastocladiales
耐久性の厚膜嚢 chlamydocyst, resting sporangiumを形成

Allomyces Butler カワリミズカビ: 雌性配偶子から雄性配偶子誘引物質、シレニンsirenin分泌

                           R!
      ┌──→ 休眠胞子嚢 ─→ 遊走子(n) ───┐
      │┌─→ 遊走子嚢 ──→ 遊走子 ─┐     ↓
    栄養体(2n)←────────────┘  栄養体(n)
       ↑                                     ││
       └─┬─雄性配偶子 ←─ 雄性配偶子嚢 ←┘│
     K!P!  └─雌性配偶子 ←─ 雌性配偶子嚢 ←─┘

ユウアロミケス亜属

                           R!
      ┌──→ 休眠胞子嚢 ─→ 遊走子(2×n)──┐
      │┌─→ 遊走子嚢 ──→ 遊走子 ─┐     ↓
    栄養体(2n)←────────────┘  被膜胞子
       ↑                                     ││
       └─┬─配偶子 ←───────────┘│
     K!P!  └─配偶子 ←────────────┘

シストゲネス亜属

                           R!
      ┌──→ 休眠胞子嚢 ┬→ 遊走子(n) ────┐
      │                  └→ 遊走子(2n) ──┐ │
      │┌─→ 遊走子嚢 ──→ 遊走子 ─┐    │ │
    栄養体(2n)←────────────┘    │ │
     ↑ ↑                                    │ │
     │ └──────────────────┘ │
     └─── |アポミクシス| ←─────────┘

プラキアロミケス亜属
カワリミズカビ生活環

Blastocladiella Reinsch コウマクキン
Catenaria Sorokin

サヤミドロモドキ Order Monoblepharidales
遊走子嚢は無弁。遊走子は両極発芽

Monoblepharis Cornu サヤミドロモドキ

ササゲカビ Class Hyphochytridiomycetes
特に栄養体形態がツボカビ鋼と類似。腐生・寄生
細胞壁: キチン・セルロース含む
遊走細胞: 無鞭。遊走子: 羽型鞭毛1本。有性生殖不明
卵菌 Class Oomycetes
ミズカビ Order Saprolegniales
腐生・寄生
    ┌──→ 生卵器 R!──┬─────────┐
    │┌─→ 造精器 R!──┘           P!K!   │
    ││┌→ 遊走子嚢 ──→ 遊走子 ┐        │
  栄養体 (2n) ←──────────┘      卵胞子
    ↑                                        │
    └─── 遊走子 ←─ (遊走子嚢) ─────┘
図. ミズカビの生活環
Saprolegniales
図. 遊走子放出様式と卵胞子の構造
遊走子放出様式
  1. ミズカビ型saprolegnoid: 遊走子嚢放出孔より一次型遊走子泳出。暫く遊泳後に被膜、被膜胞子から二次型遊走子生じる
  2. ワタカビ型achlyoid: 一次型遊走子は放出孔の孔口部で直ちに被膜。被膜胞子から二次型遊走子生じる
  3. ヤブレワタカビ型: 遊走子嚢中に直接に被膜胞子形成し遊走子嚢が破れ被膜胞子を放出。被膜胞子からは二次型遊走子を生じる
  4. アミワタカビ型dictyoid: 遊走子嚢中に直接に被膜胞子形成し、被膜細胞はその位置で個々に発芽し二次型遊走子が泳出。このため、空になった遊走子嚢は被膜胞子の殻を含み網目模様areolateを呈する
卵胞子構造 = 種分類基準の1つ (Dick1969, Howard 1971)
  1. セントリック型 centric: 多数の小油滴が卵胞子膜の直下に1-2層に配列
  2. サブセントリック型 subcentric: 多数の小油滴の層は部分的に厚みが異なる
  3. エクセントリック型 eccentric: 1-比較的少数の大型油滴偏在。後者をサブエクセントリック型subeccentric

(三浦 1981)


ミズカビ類釣餌法


  1. 長期的水溜(Ex. 池・水田・河原)から水や湿土、分解途上植物質(落葉)採取。ポリ袋(200 × 100 × 0.3 mm)が採集便利。水は直ちに処理必要 → 直ぐ処理できない時: 湿土や落葉等を採集が無難
  2. 採集物を包装し乾熱滅菌(160C, 30-60 min)済シャーレ(90 × 20 mm²)に移す。湿土や落葉等にはオートクレーブ滅菌(120°C, 20 min)した水道水をシャーレの深さの半分位まで加える。湿土量は親指の頭位でよい
  3. アサ実を200 ml三角フラスコに入れ水道水加え15-20分煮沸。アサ実数は試料の2倍位、水は150 ml位がよい。半数位の実に白い割目が見えたら火から降ろす。各シャーレに煮沸し取り出した実子葉を2枚ずつ沈める。フラスコの実を水ごと滅菌シャーレに移し火炎滅菌済柄付針2本(か柄付針とピンセット)用い実の割目の所から種皮を割り子葉を取り出す。2枚の子葉は離しておく。火炎滅菌済柄付針(ピンセット)を用い各シャーレの土壌のない部分へ子葉を2枚ずつ(種子1個分)沈める。(柄付針を汚したら必ず火炎滅菌)
  4. 培養温度20°C以下が望ましい。2日目から毎日肉眼で観察し、子葉上に白色菌糸が生育するのを待つ
  5. 子葉上に菌糸生育を確かめたら新しい滅菌シャーレに滅菌水を加え、アルコールランプ等の炎で焼き火炎滅菌した柄付針で子葉移動させる。毎日1回滅菌水(水だけで良い)交換行いながら生殖器官形成を待つ。生殖器官観察にはシャーレを開いたまま載物台に乗せ50-100倍で鏡検する
  6. 培養中のアサ実や菌糸に多くの細菌類や原生動物等がつく時は、火炎滅菌済柄付針で子葉上の集落から少量菌糸を取り出し、よく濯ぎ新しい子葉を入れた新シャーレに移す。水換えを怠らず新しい子葉上に菌が生育してくるのを待つ

フシミズカビ Order Leptomitales
クサリフクロカビ Order Lagenidiales
ツユカビ Order Perenosporales

接合菌 Division Zygomycota

接合菌亜門(接合菌類) Subdivision Zygomycotina

栄養体: 菌糸状。基本的には隔壁を欠く
無性生殖: 胞子嚢内に形成された不動胞子aplanospore、脱落性胞子嚢、または真正分生子による

不動胞子: 遊走子に対し、自らは動かない胞子を指す。多くのキノコは不動胞子

生活史を通じ鞭毛を持った遊走細胞は決して生じない →

有性生殖: 結果として接合胞子zygospore形成(運動性胞子持たない)

     ┌──→ 胞子嚢 ─→ 胞子嚢胞子 ─────┐
     │R!                 胞子嚢胞子 ────┐│
  接合胞子                    ↑             ↓↓
     ↑                       └ 胞子嚢 ← 栄養体 (n)
     │K!P!                                  ││
     └─────────┬ 配偶子嚢 ←───┘│
                         └ 配偶子嚢 ←────┘

ケカビ類生活環

male/female 雌雄決定法

材料を純粋培養pure cultureシャーレ等で育てる
→ standardな+と-との接合試みる → 接合した方とpairと考える(実際は疑問有)

接合菌綱 Class Zygomycetes
無性生殖: 運動性胞子を胞子嚢内に形成 / 有性生殖: 配偶子融合で接合胞子形成
陸棲、主に腐生菌、動物寄生菌あり、節足動物消化管、外皮に棲息。菌糸短い
Order Mucorales (ケカビ), pin moulds
大形胞子嚢。典型的な接合菌類
宿主: 菌類 → 吸器 haustoria発達: 宿主に入りこむための器官
Mucoraceae (ケカビ)
Absidia ユミケカビ, Phycomyces ヒゲカビ, Rhizopus クモノスカビ, Pilobolus ミズタマカビ, Basidiobolus
Muco ケカビ: 雌雄異体多。+と-の核を持つ接合胞子形成 M. musedo, M. pusillus
Mortierella クサレケカビ: 森林でこの菌相を調べることで森林タイプの判断ができる。肥料(堆肥)中に多い
Muco
A: Mucor, B: Zygorhynchus, C: Rhizopus, D: Absidia
Muco
E: Circinella, F: Phycomyces, G: Pilobolus, H: Mortierella
Muco
I: Helicostylum, J: Thamnidium, K: Chaetostylum, L: Chaetocladium
Muco M: Cunninghamella, N: Piptocephalis, O: Syncephalis, P: Coemansia
図. 代表的ケカビ類
Order Entomophthorales (ハエカビ)
昆虫、その他の寄生菌および腐生菌 Ex. Entomophthora: ハエ寄生
Order Kickxellales (キクセラ)
(トリモチカビ Order Zoopagalesトリモチカビ, 廃止)

Class Trichomycetes (トリコミセテス(菌))

不明点多
栄養体糸状体。基部に付着器holdfast持ち、節足動物体表や消化管に付着寄生
アメビジウム Order Amoebidiales
エクリナ Order Eccrinales
アセラリア Order Asellariales
ハルペラ Order Harpellales

Syncephalis: ケカビに寄生する (→ 純粋培養困難)

(Division Glomeromycota, グロムス菌)

Order Glomales (Morton & Benny 1990)
(Glomeromycota↑) (× アツギケカビ Order Endogonales → Glomales)
Suborder Glomineae
内生菌
Glomaceae

Glomus (G. rubiffrome = syn. Sclerocystis rubiformis: ススキ草地に多), Sclerocystis

Acaulosporaceae

Acaulospora, Entrophospora

[Classical positions (confusing): Archaeosporaceae (Archaeospora), Paraglomaceae (Paraglomus)]
[Classical positions: Suborder: Gigasporineae > Gigasporaceae: Gigaspora, Scutellospora + (Endogonaceae)]

(Division Microsporidia, 微胞子虫)

子嚢菌 Division Ascomycota


子嚢菌亜門(子嚢菌類) Subdivision Ascomycotina

生活環: 単純 = 不完全世代 imperfect state-完全世代 perfect state明瞭に区別可

寄生 parasitic, 腐生 saprophytic

細胞壁: unitunicate, or bitunicate (Loculoascomycetes) → 隔壁: 菌糸の細胞間を隔てる節のような細胞壁

菌糸体mycelium形成
栄養体: 菌糸hyphaに隔壁septumを有するか単細胞

生殖器 = 子嚢 ascus: 嚢状(袋状)細胞で、細胞核の融合と減数分裂がここで起こる
子嚢胞子 ascospore: 子嚢あたり内生的に8 → 1つあたり4の倍数(普通8)の胞子形成
有性生殖の結果、子嚢形成し、子嚢内で減数胞子 miosporeから子嚢胞子 ascosporeを作る(普通8個)

子実体(キノコ)は子嚢を据える細胞組織である子嚢果
髄層: 子実体で、子嚢の集まる子実層とその反対表面の外被層の間にある層
側糸 paraphysis: 子嚢の間にある特徴的な無性菌糸。シスチジアほどでないが膨らみや屈曲がある
スービクル: 子実体基部に発達するクモの巣状か綿屑状の菌糸体
造精子 antheridium, 子嚢果(裸子器) ascocarp, 受精毛 trichogyne

子嚢膜: 子嚢胞子を包む膜 → 1膜性子嚢 = 子嚢膜1枚, 2膜性子嚢 = 子嚢膜2枚
→ 子嚢と子嚢胞子を作るもの全てがAscomycotinaに属する 無性生殖: 分裂 binary division, 出芽 budding, 分生子 conidium, 粉子 pycnosporeによる
有性生殖 Ascomycota
図.真正子嚢菌 Ascomycota
図. 酵母 (yeast) →
原始子嚢菌: ascogamous hyphae形成されない = 子嚢果形成しない

Class Hemiascomycetes 半子嚢菌綱

子嚢裸のまま、子実体形成せず
酵母 Order Endomycetales (yeasts) Saccharomycetaceae

Saccharomyces, Schizosaccharomyces

プロトミケス Order Protomycetales
タフリナ Order Taphrinales

Class Plectomycetes 不整子嚢菌

子嚢開口部なく子実体も閉子器 - 閉子嚢殻内に球形の子嚢散在
Aspergillus P. Micheli ex Link コウジカビ(不完全菌)完全世代: A. glaucus (L.) Link カツオブシカビ, A. niger van Tieghem クロコウジカビ, A. oryzae (Ahlburg) E. Cohn ニホンコウジカビ, A. sojae Sakaguchi et Yamada ショウユコウジカビ
Penicillium Link アオカビ(不完全菌)完全世代: P. notatum Fleming, syn. P. chrysogenum (ペニシリン生産), P. camamberti (カマンベールチーズ発酵)
Order Microascales ミクロアスカス
Ophiostomataceae: 形態的・生態的共通特徴を有する菌群 ≠ 単系統群

キクイムシ類から分離される属 → Ophiostoma, Ceratocystiopsis, Ceratocystis
→ 無性世代は Sporothrix, Hyalorhinocladiella, Leptographium, Pesotum

Order Eurotiales (ユーロチウム)
Eurotium: E. herbariorum, E. amstelodami, E. chevalieri – 食品カビとして普通, Eupenicillium
Trichocomaceae (マユハキタケ)
Penicillium Link 1809 (アオカビ)
Order Erysiphales (ウドンコカビ)
Erysiphaceae: Erysiphe ウドンコ病菌

Class Pyrenomycetes 核菌綱

(分類上問題多い群)
子嚢長い棒状、子嚢果は狭い開口部あり。被子器は菌糸塊(子座)に埋もれる
Order Clavicipitales (バッカクキン, 麦角菌)
Clavicipitaceae バッカクキン
Claviceps バッカクキン (C. purpurea バッカクキン), Cordyceps [m < g cordy (棍棒) + cephalos (頭)。菌体形から] 冬虫夏草 (Ex. Cordyceps nutans カメムシタケ: カメムシ寄生、C. militaris サナギタケ: 鱗翅目寄生、C. annullata ヒメクチキタンポタケ: 甲虫類幼虫)
Hypocreaceae: Nectria アカツブタケ, Hypocrea, Gibberella イネバカ苗病菌
Sphaeriaceae: Chaetomium ケタマカビ
Order Diaporthales (ディアポルテ)
Order Hypocreales (ニクザキン)
Order Sordariales (アカパンカビ)
Sordariaceae: アカパンカビ Neurospora, Sordaria
Order Xylariales (クロサイワイタケ)
Xylaria [f < g xylon (材)。菌体が木材に付き然も堅い]
Rosellinia: 木材腐朽能力高いもの多 Ex. R. necatrix Prill (白紋羽病菌)
盤菌綱 (チャワンタケ類) Class Discomycetes
→ 油球: 子嚢菌(特にチャワンタケ類)子実体胞子中にある球状油滴

子嚢長形。子嚢果大きく発達した裸子器

ビョウタケ Order Helotiales
Helotiaceae ビョウタケ: ロクショウグサレキン Chlorosplenium
Geoglossaceae テングノメシガイ

Cudonia [f < 1 cudo(皮製ヘルメット)。子実体頭部形が似る], Geoglossum [n < g geo 地 + glossum 舌。地の舌を連想させる偏平キノコ] テングノシメガイ (G. fallax Durand var. fallax カバイロテングノシメガイ), Trichoglossum [n < g thrix毛 + glossum 舌。舌状の体一面に毛生える]

フィキディア Order Phacidiales
チャワンタケ Order Pezizales
Aleuriaceae: Aleuria [f < g aleuros(小麦粉)。胞子が一斉に白粉を撒くよう飛び散る]
スイライカビ Ascobolaceae: Ascobolus
ベニチャワンタケ Sarcoscyphaceae: Plectania ベニチャワンタケ, Wynnea [f < p, Wynn (Cl)記念] (W. americana Thaxter オオミノミミブサタケ)
チャワンタケ Pezizaceae: Peziza Dillenius ex Fries [f < 1 キノコの1種の古名pezisからL pezicaに] チャワンタケ (P. vesiculosa オオチャワンタケ)
アミガサタケ Morchellaceae: Morchella Dillenius ex Fries アミガサタケ

肋脈: 子実体頭部に見られる網状の膨らみで、この部分には胞子のできる子実層がない

セイヨウショウロ Order Tuberales: トリュフの総称

Class Loculoascomycetes 小房子嚢菌綱

子嚢棒状、子嚢果なく、子座中の小室(偽子器)内に子嚢群形成 Ex. Ophilobolus ムギ立枯病菌

Class Laboulbeniomycetes ラボウルベニア菌

殆ど菌糸なし。昆虫、クモ等に寄生 Laboulbenia

担子菌 Division Basidiomycota


担子菌亜門(担子菌類) Subdivision Basidiomycotina

担子器basidiumと担子胞子basidiosporeを作るもの全て
栄養体: 菌糸hyphaに隔壁septum有

菌糸: かがい連結(結合) clamp connectionを備える種多
かがい連結: 各細胞間を渡すクランプ。通常各節毎に1つ(0-複数)。菌糸細胞の複核化の痕跡

嘴状beaked突起: かがい連結でみられるクランプ部分

体制: 大部分はhyphaもしくは菌糸体mycellium、単細胞稀
有性生殖 → 担子器basidium上に担子胞子basidiospore (担子器上に形成される胞子)を外生する
担子器: 胞子を生成する部分としての生殖細胞で、細胞の核融合と減数分裂がこの中で行なわれる

前担子器: 担子器のうち、細胞核の融合を行なう場所としての部分
後担子器: 担子器のうち、細胞核の減数分裂を行なう場所としての部分

小柄: 担子器上部にある担子胞子をつけている小さな柄

柄生: 小柄先端に担子胞子をつける ↔
座生: 小柄なく直接担子器の上に胞子がつく

Basidiomycetes 様々な形の子実層托hymenophoraに子実層hymenium作る
子実層上にbasidium, basidiospore, 側糸paraphysesがある

hymenophora → hymenium___: basidium
_________________________: basidiospore
_________________________: paraphysis
担子器basidium: 外生的に4つ (Cp. 子嚢器)
n胞子型: n = 担子器につける胞子数 → 2, (4)が多い

胞子刻紋: 電子顕微鏡レベルでの胞子表面の模様 → 分類キーとなる

Ex. 細点状 = 細かい点々模様。小刺状 = 細かい針状の突起状となる。孔紋溝 = 多小孔からなる溝様
胞子盤: 小イボ、粒点等 → 胞子が担子器上に付く接着面に胞子刻紋なく平滑となる部分

生活環 life cycle
Basidiomycetes

一次菌糸(一核菌糸・単核菌糸) primary mycelium (monokaryotic m.): 担子胞子発芽で最初に伸びる菌糸で、細胞内に(通常)単相の核を1つ持つ。およびその一次菌糸の分枝した集合体
二次菌糸(二核菌糸・二核菌糸) secondary mycelium (dikaryotic m.): 体細胞接合somatogamyし生じる複相菌糸。および二次菌糸が分枝した集合体

体細胞接合 somatogamy: 有性生殖の一型で配偶子嚢等に分化していない普通の栄養生活をした体細胞が性を異にする他の体細胞と接合を行うこと

担子器区別 1a. 多室担子器 phragmobasidium: 後担子器は減数分裂の際の核分裂により通常4室。各細胞1本の小柄
1b. 単室担子器 holobasidium: 後担子器は隔壁なく1室

真生担子器: 単室担子器で、小柄を持ち、その先に通常4つ胞子を付ける。ハラタケ目の特徴的器官

2a. 異(型)担子器 heterobasidium: 小柄の十分に肥大した単室担子器と、多室の担子器をあわせた呼称
2b. 同(型)担子器 homobasidium: 異型担子器ではない
→ 1, 2のどちらをキーとするかで分類体系異なる(ここでは2) [*: 食用, +: 有毒, ?不明]

Ustilago クロボ菌, Puccinia サビ菌(サビ病菌) rust, Septobasidium, Dacrymyces Nees ex Fries アカキクラゲ

異担子菌綱 Class Heterobasidiomycetes
担子器は隔壁を持つか分枝
膠質菌: キクラゲ類。水分含むとゼラチン・寒天・ロウ質で膨らむが、乾くと膜状で堅く膠(にかわ)のよう
シロキクラゲ Order Tremellales (jelly fungus) シロキクラゲ Tremellaceae: Tremella シロキクラゲ (T. mesentarica コガネニカワタケ, T. foliacea ハナビラニワタケ)
キクラゲ Order Auriculariales (jelly fungus)
キクラゲ Auriculariaceae: Auricularia Bulliad ex Merat [f < l auricula(耳朶縮小形)。体が耳朶状で質も似る] キクラゲ (アラゲキクラゲ*)
ヒメキクラゲ Exidiaceae: Exidis yuvapassa ヒメキクラゲ(タマキクラゲ)
真正担子菌綱 Class Homobasidiomycetes
担子器隔壁なく、分枝しない。子実体(キノコ)発達
帽菌亜綱(菌蕈きんじん亜綱) Subclass Hymenomycetidae
ハラタケ (s.l.) Order Agaricales
内被膜: 子実体傘裏部分に被る膜 → 成長と共に破れ落失するか、残ると柄上部で鍔となる
外被膜: 子実体の最も外側に被る膜。幼菌時は全面覆う

→ 成長と共に破れ落失するか、残ると傘表面では疣、瘡蓋状被膜痕隣、柄付け根では壺となる

ヒラタケ Pleurotaceae
Lentinus Fries [m < l lentus(柔かく丈夫な)。菌体性質から] マウオウジ, Lentinula edodes (Berk.) Pegler シイタケ(椎茸)* Lentinusから独立, Phyllotopsis キヒラタケ, Pleurotus [m < g pleura(肋,肋膜) +otos(耳)。耳状傘に多数肋状襞ある] ヒラタケ (P. ostreatus ヒラタケ*), Schizophyllum スエヒロタケ(S. commune スエヒロタケ)
ヌメリガサ Hygrophoraceae
オトメノカサ (Camarophyllopsis*), アカヤマタケ (Hygrocybe*, H. coccineocrenata ミズゴケノハナ?) ナナイロヌメリタケ Gliophorus laetus
キシメジ Tricholomataceae Armillariella (syn. Armillaria [f < l armilla(腕環)。傘柄に鍔あるのを譬えた]) ナラタケ (ナラタケ, ナラタケモドキ*), Catathelasma [f < g Cata(下がる) + thele(乳頭,疣)] モミタケ (C. imperiale (Fr.) Sing.オオ-), Collybia [f < g kollybos(小貨幣)。傘小さい] (C. dryophila (Bull. :Fr.) Kummer モリノカレバタケ), Flammulina Karsten [f < gn Flammula (gn)縮小形。Flamma, Lで焔。傘や襞が赤い] エノキタケ (F. valutipes エノキタケ*), Laccaria キツネタケ(カレバキツネタケ*), Lampteromyces [m < g lampos (輝く) + pteros (翼) + myces (キノコ)。ツキヨタケは襞が発光するから] (L. japonicus ツキヨタケ), Lepsita ムラサキシメジ (L. nuda ムラサキシメジ*, コムラサキシメジ*), Lyophyllum Karsten [n < g lyo(離れる) + phyllos (葉)] シメジ (L. decastes シメジ*), Marasmius Fries [m < g maraino(乾いて枯れる)から] ホウライタケ(ハナオチバタケ), Pseudohiatula [f < gn pseudos + Hiatula (gn)。HiatulaはLの「開く」から] マツカサキノコ, Tricholoma (Fries) Staude [n < g thrix(毛) + oma (縁)。辺縁に毛] キシメジ (T. matsutake マツタケ = Syn. Cortinellus edodes P.H. [m < l cortina(クモ網の膜)。傘柄に蜘蛛巣状附属物付く。一説cortinaはアポロ神殿にある三足鼎]), シモフリシメジ*), Mycena Persoon ex Gray (クヌギタケ), Tricholomopsis サマツモドキ(T. rutilans サマツモドキ)

多分枝菌糸: Mycena分類キーで傘表面の菌糸細胞が多分枝すること ↔ 非分枝菌糸

テングタケ Amanitaceae
Amanita Persoon ex Hooker [f < 地名 小アジアAmanus山脈産] テングタケ (A. pantherina (Fr.) Secr. テングタケ+, A. caesarea タマゴタケ+, A. muscaria (Fr.) Hookerベニテングタケ+, シロテングタケ*, シロオニタケ, A. virosa Secr.ドクツルタケ+死亡率70%)

箒状細胞: ホウライタケ属キノコに特徴的な傘表面の箒形状をした細胞

ハラタケ Agaricaceae
Agaricus [f < g agarikon (mushroom名)] ハラタケ (ハラタケ mushroom), ザラエノハラタケ*, ウスキモリノカサ), Macrolepiota [f < g macros(大) + Lepiota(gn)。この属に近く傘大形] (M. procera (Scop.:Fr.) Sing. カラカサタケ), Lepiota [f < g lepis(鱗片) + otos (耳朶)。キノコ傘に鱗片が多い特徴から] キツネノカラカサタケ
ウラベニガサ Pluteaceae
Pluteus ウラベニガサ (P. leoniunus (Schaeff. Fries) Kummer ベニヒダタケ*)
ヒトヨタケ Coprinaceae
Coprinus (Persoon ex Fries) Gray [m < g copros(糞)。獣糞上に生える] ヒトヨタケ (ヒトヨタケ*, ササクレヒトヨタケ*, コキララタケ*, イヌセンボンタケ), ナヨタケ属(ムジナタケ*)
モエギタケ Strophariaceae
Naematoloma [f < g naema(糸) + loma (縁)。恐らく本属の種類の柄に糸状の鱗片ある] クリタケ (N. sublateritium クリタケ*, N. fasciculare ニガクリタケ+) [旧, Hypholoma f < g hypho(組織) + loma(縁)。傘縁に緑膜片ある], Pholiota スギタケ (シロナメツムタケ*, チャナメツムタケ*, ナメコ*, キナメツムタケ*, ツチクリタケ)
胞子細胞壁が二重の場合 → 外側を外壁、内側を内壁
フウセンタケ Cortinariaceae
Inocybe (Fries) Staude [f < g ino(繊維) + cybe(頭)。傘縁に屡々根本の壷由来組織ある] アセタケ(オオキヌハダトマヤタケ+), Hebeloma ワカフサタケ (H. spoliatum アシナガヌメリ), Rozites (R. caperata ショウゲンジ*), Cortinarius Persoon ex Gray, Cortinarius (ツバアブラシメジ*, アブラシメジ*), Gymnopilus チャツムタケ (G. liquiritiae (Pers. : Fr.) Karst.)

クモの巣膜: クモ糸状に細い菌糸が薄膜状scariousに張る。フウセンタケ属等の幼菌傘裏のは美しい
つば状帯(ムラサキフウセンタケ Cortinarius 一部): 鍔あたりに付く柄を巻く褐色等の輪状模様。単なる色模様で、鍔のように付着物があるのとは異なる

イッポンシメジ Rhodophyllaceae
Rhodophyllus Quelet [m < g rhodeios(紅色の) + phyllon (葉)。本キノコ襞赤い] イッポンシメジ (キイボカサタケ, コキイロウラベニタケ, ハルシメジ*, ウラベニホテイシメジ*), [旧, Entoloma f < g ento(内部) + loma (縁辺)。傘縁軽く内曲する?]
クギタケ Gomphidiaceae
Gomphidius Fries オウギタケ (G. roseus (Fr.) Karst.オウギタケ*)
イグチ Boletaceae
Boletus [m < g bolos(土塊)から。印象類似? 一説にケルト土名 (bolites,食べられるキノコ)から] アミハナイグチ (B. cavipes (Opat.) Kalchbr. イグチ, カラマツベニハナイグチ), Suillus Gray [m < l suillus(豚の)] ヌメリイグチ (S. grevillei ハナイグチ*, イグチ*, S. bovinus アミタケ*), Tylopilus ニガイグチ (T. valens ホオベニシロアシイグチ*), Leccinum ヤマイグチ (L. scabrum イグチ*)

孔壁: 管孔の管を形成する壁部分 → 子実層形成

表. アワタケ類・イグチ類の識別: 共に管孔実質の菌糸配列は両側型
  • キヒダタケ亜型: 側層は互いに密着して走る菌糸より構成され、中軸からやや外側に開き、中軸と側層が同色
  • ヤマドリタケ亜型: 側層は緩く交差する菌糸より成り、中軸からやや外側に開き側層が淡色。ゼラチン化
Russulaceae ベニタケ

Russula (Persoon ex Fries) Gray (f < l russus(赤色)。本属種に傘赤いものあるため?) ベニタケ (R. foetens クサハツ+), Lactarius [m < l lac(乳)。本属キノコに乳汁を出す種ある] チチタケ (カラマツチチタケ?, L. chrysorrheus キチチタケ, L. hatsudake ハツタケ*)
球形細胞(球状細胞): 子実体大部分を占める(一般に脆い) → Russulaは襞実質も球形細胞

[L: リグニン分解菌]

Order Aphyllophorales ヒダナシタケ
多孔菌型: 子実層托が細長い管状で、それが縦に無数に並ぶ 分類的特徴: 傘表面皮や毛皮の下にある皮が、幾層かに重る皮がある場合は上皮、下皮等と区分

毛皮: 傘の一番上に見られる毛の密生した表皮部分 – 数種
殼皮: 堅い皮で、傘表面や表面の薄く柔らかい表皮か毛皮の下(下殼)に存在 – 数種
環溝: 子実体表面にある浅い環状の溝
汁管菌糸: 汁液を内容に含む菌糸 – 数種
樹枝状糸状体: 分枝した菌糸細胞 – 数種

Auriscalpiaceae マツカサタケ
Auriscalpium [n < l auri(耳) + scalpellum (小さいメス)。体メス状で然も先が耳状] マツカサタケ (A. vulgare マツカサタケ), Clavicorona [f < l clava(棍棒) + corona (冠)。菌体が細かく樹枝状に割れ,各々の枝端に棍棒の突起が冠状に集まる]
アンズタケ Cantharellaceae
Cantharellus Adanson ex Fries-(-*), Craterellus [m < g crater(椀,容器)縮小形。菌体形]
ホウキタケ Clavariaceae
Ramaria Gray [f < l ramos(枝)。全体密に分枝] ホウキタケ (ホウキタケ*?, ハナホウキタケ?+), Clavulinopsis ナギナタタケ(-?) [旧, Clavaria f < l clava(棍棒)。菌体が棍棒状なす種類ある]
コウヤクタケ Corticiaceae
Corticium Persoon ex Gray コウヤクタケ, Sparassis Fries ハナビラタケ (ハナビラタケ*), Stereum Persoon ex Gray
ラッパタケ Gomphaceae
Clavaria ラッパタケ, Gomphus floccosus (Schw.) Sing.ウスタケ+
サンゴハリタケ Hericiaceae
Hericium [m < l hericus(ハリネズミ)。子実層がハリネズミ様] サンゴハリタケ (H. ramosum サンゴハリタケ)
カノシタ(ハリタケ) Hydnaceae
Hydnum [n < g hydnon(松露)のGrから転用] カノシタ (H. repandum var.album シロカノシタ*), Sarcodon [n < g sarx(肉) + kodon (鐘)。菌体が鐘形になり然も肉質]
タバコウロコタケ Hymenochaetaceae
アカウロコタケL (Hymenochaete mougeotii (Fr.) Cooke)、エビウロコタケL、ミヤベオオウロコタケL、コガネウスバタケL、ワヒダタケL、カワウソタケL、マクラタケL、ネンドタケL、カバノアナタケ (樺孔茸, Fuscoporia obliqua (Ach. ex Pers.) Aoshima )
マンネンタケ Ganodermataceae [サルノコシカケ科より独立]
Ganoderma [f < g ganum(艶) + derma (皮)。傘表に艶] (G. applanatum コフキサルノコシカケ, G. lucidum (Leyss: Fr.) Karst. マンネンタケ/霊芝)
タコウキン(多孔菌, サルノコシカケ) Polyporaceae: 管孔状になった子実層托
Bjerkandera ヤケイロタケL
Cerrena unicolor ミダレアミタケL
Cryptoporus m<g cryptos(隠れる) + horos (孔) 管孔面外から見えない
Daedalea [f < ldaedalus(巧みな)。本キノコ傘子実層が巧妙な迷路状] ニクウチワタケ
Daedaleopsis (D. tricolor チャカイガラタケL, D. styracina エゴノキタケL)
Fomes (m < l fomentum(火口)。菌体を火点ける火口に使う) ツリガネタケL (F. fomentarius ツリガネタケ)
Fomitopsis [f < gn Fomes(gn) + opsis (似たもの)] ツガサルノコシカケ
Grifola (f < g Griffon(胴が獅子で,首と翼が鷲の怪物)から。子実体形形容?) マイタケL (G. frondosa マイタケ)
Lenzites betulina カイガラタケL
Microporus affinis ウチワタケL
Oxyporus certicola ザイモクタケL
Polyporus [m < g polys(多く) + poros (孔)。傘を裏返すと多数管孔がある] タコウキン (P. tuberaster タマチョレイタケ(アミスギタケ), P. grammocephalus (Berk.) Berk. スジウチワタケL), P. squamosus アミヒラタケ: 北大構内ハルニレ菌害主犯)
Pycnoporus シュタケ (P. coccineus, Syn. Polystictus sanguineus (L.) Fr. [旧, Polystictus m < g polys(多くの) + stictos (点)。傘裏管孔が多数の点状に見える] ヒイロタケL)
Rigidoporus スルメタケL
Trametes versicolor Pilat カワラタケL (Syn. Coriolus) [f < l 傘管孔がtrama 層に貫入] (T. versicolor カワラタケ, T. pubescens ヤキフタケL, T(C). hirsutus アラゲカワラタケL, T. elegans チリメンタケL, T. orientalis (Yasuda) Imazeki クジラタケL, T. cervina ミノタケL)
Polyporellus badius (Pers. ex S. F. Gray) Imazeki アシグロタケL
Porodisculus pendulus ヌルデタケL
Trichaptum biforme ハカワラタケL
ニクハリタケ Steccherinaceae
Irpex lacteus ウスバタケL, Steccherinum laeticolor (Berk. et Curt.) Banker アカウスバタケL、アラゲニクハリタケL、ニセニクハリタケL, Mycoleptodonoides aitchisonii (Berk.) Maas G. ブナハリタケL
ウロコタケ Stereaceae: 境界層: CorticiumStereum (傘の毛被と肉間に下皮と呼ぶ境界層等認められる)
クシノハシワタケL、オリーブウロコタケL, Porostereum crassum (Lev.) Hjortstam et Ryvarden カミウロコタケL, Stereum ostrea (Bl. et Nees) Fries チャウロコタケL
イボタケ Thelepholaceae
Boletopsis [n < gn Boletus (gn) + opsis 似たもの] (B. leucomelas (Pers.:Fr.) Fayod クロカワ)
腹菌亜綱 Subclass Gasteromycetidae
グレバ(基本体): 外被を除く、有性胞子を形成する組織体 – 腹菌類、塊菌類、マユハキタケ類
基層盤: 腹菌類のグレバ中を貫通する脈状又は板状の無性菌糸体
胞子塊: 腹菌類グレバ等に見られる胞子の塊
ヒメノガスター Order Hymenogastrales
ショウロ Hymenogastraceae
Octavianina O. Kuntze ジャガイモタケ, Rhizopogon Fries et Nordholm [n < g rhiza(根) + pogon (髭)。円い菌体から髭状根が出る] ショウロ(松露)

→ 乳汁菌糸: 特徴的に見られる乳汁を分泌する菌糸
胞子形状・遺伝子比較 → 系統的にはヌメリイグチSuillusに極めて近い
→ イグチ類が地中で子実体を作る方向に進化

ホコリタケ Order Lycoperdales
弾糸: 本目子実体で特に分化した無性菌糸で厚膜。胞子分散に関係?

Fungi
ホコリタケ(2024年8月
16日、北大病院前路傍)

ホコリタケ Lycoperdaceae
ヒメツチグリ(トガリフクロツチグリ, フクロツチガキ), Lasiosphaera オニフスベ [m < l lasios(髭) + sphaera (球)。皮が剥け乾くと細い綿糸の塊状になる] (L. nipponica オニフスベ*), Calvatia Fires [f < g calvus(禿頭)。菌体を禿頭に譬えた] ノウタケ (C. craniformis ノウタケ*), Lycoperdon Persoon [n < g lykos(オオカミ) + perdon (放屁)。袋押すと胞子吹き出す] ホコリタケ(L. perlatum ホコリタケ/キツネノチャブクロ*, キホコリタケ)

無性基部: 子実体基部に見られる無性菌糸。緩く絡み合ったり結合し紐状や皮膜状をなす

ヒメツチグリ Geastraceae
Geastrum Persoon [n < g geo(地) + astrum (星) = 地上の星。菌蕾外皮裂け反曲し星形をなす] ヒメツチグリ (G. triplex エリマキツチグリ → 円座顕著)

孔縁盤: 子実体内皮(実の形をした部分の皮)頂部にある円錐形をした穴の部分
円座: 子実体外皮内側で内皮(孔円盤)との付け根付近にみられる輪状のへこみ

ケシボウズタケ Tulostomataceae
Battarraea Persoon コウボウフデ, Tulostoma Persoon ケシボウズタケ

環状弾糸: 本科に特徴的な弾糸で、表面に環状か螺旋状の膨らみ模様が見られる
真正柄部: 柄の部分に相当する部分。熟してくると頭部とより明確に区別される

ニセショウロ(偽松露) Order Sclerodermatales (Lycoperdalesg合一見解)
ツチグリ Astraeceae
Astraeus Morgan ツチグリ

ツチグリ等子実体: 袋状皮膜 = 内皮 ↔ 外側の割れて開く皮部分 = 外皮
頂孔: ツチグリ等の袋状部分先端にある穴で、ここから胞子放出

ニセショウロ Sclerodermataceae
Scleroderma [n < g skleros(硬い) + dermos (皮)。子実体皮硬い] ニセショウロ
コツブタケ Pisolithaceae
Pisolithus Albertini et Schweinitz コツブタケ, 外生菌根菌

小粒塊: グレバが成熟し小部分に分離し球形-多面体小塊になるaggregated → 胞子塊: 完熟し全体が粉状
小粒膜: 小塊粒の外側を包む軟骨質の堅い皮膜

タマハジキタケ Order Spahaerobolales
柵状組織: コップ状の子実体内側にある組織 → 熟すと急速に伸長し中の粘球体飛ばす

粘球体(粘質球体): 内部に胞子を有する

タマハジキタケ Sphaerobolaceae
Sphaerobolus Tode ex Persoon タマハジキタケ
チャダイゴケ Order Nidulariales
チャダイゴケ Nidulariaceae
Cyathus Haller ex Persoon [m < g cyathos(杯)。菌体が杯状] チャダイゴケ (ハタケチャダイゴケ)

小塊粒: コップ状器中の小粒状のもの。胞子形成後、子実層と腔室がグレバに包まれ軟骨化したもの

スッポンタケ(鼈茸) Order Phallales
托(= 本目の茎部分): 偽柔組織でできた柄や椀状部分。先にグレバ付け露出
アカカゴタケ Clathraceae
Linderia [f < p, 北米菌類学者D.H. Linder] カニノツメ, Clathrus [m < l clathra(格子)。菌体が多角形の格子状網目を作り球形になる] (C. ruber (Micheli) Pers. f. kusanoi Y. Kobay. アンドンタケ), Ileodictyon [n < l ileo(小腸) + dictyon (網)。菌体外形譬えた] カゴタケ(I. gracile カゴタケ)
スッポンタケ Phallaceae
Laternea [f < ger 独語 Laterne (カンテラ,手提灯)。菌体形から連想], Mutinus [m < l 男根で植物体形から連想] キツネノロウソク (M. bambusinus (Zoll.) Fisch. キツネノエフデ), Phallus [m < g Gr陰茎を指す。形態からの連想] スッポンタケ(スッポンタケ*, キツネノタイマツ), Dictyophora [f < g dictyon(網) + phora (持つ)。頭部から茎を囲んで白く大きな網状マント様傘を持つ] キヌガサタケ (キヌガサタケ*), Pseudocolus [m < gn pseudos(偽の) + Colus (gn)。colusはGrで紡錘,傘形から] (P. schellenbergiae サンコタケ)

菌網( = キヌガサタケ類のレース): 頭部下から出る網状の菌糸体

フリーサッカード式 Fries-Saccardo system
襞・柄の付方、肉質等子実体型と胞子紋色を組合わせキノコ分類(提唱者名)
ヒダナシタケ類子実体型
  • アンズタケ型: 子実層托が皺状の襞(完全な襞ではない)を平行に並べる
  • イボタケ型 Thelephoraceous type: 子実層托が疣状となる
  • ウロコタケ型: 子実層托がコウヤクタケ型(平坦な子実層托の形)のうち傘をもつ
  • コウヤクタケ型: 子実層托が平坦であるもの
  • シワタケ型: 子実層托がしわ状でかつ網目のように互いに連絡しあう
  • ハラタケ型(襞型): 子実層托がハラタケ目キノコに見る様な襞状である
  • ハリタケ型: 子実層托が針状
ハラタケ目子実体型
• 型: 傘・柄 ___ 胞子紋色
  • ウラベニガサ: 共に肉質だが傘・柄分離し易く、襞離生 ___ 白、肉色、緑、紫褐色
  • カヤタケ: 共に肉質で襞垂生 ___ 白、肉色、黒
  • キシメジ: 共に肉質で傘・柄分離しにくく、襞湾生 ___ 白、肉色、褐色、紫褐色
  • クヌギタケ: 傘薄肉、柄軟骨質で中空多。傘縁最初内側に巻く。襞離生 ___ 白、褐色、黒、紫褐色
  • ヒダサカズキタケ: 傘薄肉、柄軟骨質で中空多。多くは傘中心に窪み、襞垂生 ___ 白、肉色、褐色
  • ヒラタケ: 柄は偏生、側生か欠如 ___ 白、褐色
  • モリノカレバタケ: ___
  • ホウライタケ: 傘・柄の肉が皮質帯び、一度乾燥収縮しても水に浸すと原形に戻る
メモ: Astraceus m<g aster(星)。皮殻が星形に割れる。ツチグリ科

不完全菌 Division Deutromycets, mitosporic fungi


俗に「未解決箱」
有性型がみつからない → 分生子による無性繁殖
= 菌類独特な分類群(意味は分類学的不完全): 有性世代不明、無性世代のみ → 無性世代で分類系統関係が明らかになると、学名変更・分類群移動が起こる

Mitosporic
Aspergillus____Eurotium
= axexual_____2-3重のsepta,
_____________8個の胞子
______→ 命名規約により変更

分子系統解析により、不完全菌はいずれかの門に属される
→ (注意) 頻繁に変わる

栄養体は菌糸状で隔壁を有するか単細胞
有性生殖なし(パラセキシャルティは有る)

Pyricularia イモチ病菌, Alternaria ススカビ, Fusarium アカカビ, Trichophyton ミズムシ菌, Histoplasma, Acremonium, Akanthomyces, Aschersonia, Aspergillus Micheli ex Fries コウジカビ (A. oryzae 米コウジ, A. awamori, A. niger 有機酸生成, A. flavus 発ガン物質生成), Beauveria (syn. Trichoderma), Culicinomyces, Gibellula, Hirsutella, Hymenostilbe, Metarhizium, Nomuraea, Paecilomyces (syn. Penicillium) アオカビ P. camemberti カマンベールチーズ発酵, Paraisaria, Pseudogibellula, Sorosporella, Sporothrix, Tetracrium, Tilachlidiopsis, Tolypocladium, Verticillium, Rhizoctonia?

Mitosporic
Neotyphodium (= Acremonium) – イネ科共生糸状菌

不完全菌が有性世代を有しないと考えられる原因
  1. 隔離 isolation: manipulationによりmeiosisを行うと可能
  2. 栄養状態 nutirent condition: 不良により有性生殖不可能
  3. 根本的に有性世代ない - 証明困難
栄養体(n, まれに n + n) ↔ 分生子conidium [不完全菌類の生活環]
母細胞(mother cell): mother cellの上端がgrowing pointである。従ってmother cellが大きさを変える

胞子 (spore)


胞子による分類

胞子の分類は胞子の発達過程、形態、休眠性等の生理特性により特徴付けも可能

発芽管: 胞子から伸びる最初の管状の部分。長く伸び分裂し菌糸となる
発芽孔: 胞子が成長を始める時に芽ぶく部分。種により、この部分が特徴的に口状を成す

  1. 胞子の由来
    栄養体由来胞子: 栄養体上か栄養体に覆われた構造上に胞子形成
    胞子由来胞子: 胞子から直接または胞子に生じた(胞子原形質により直接作られた)構造に胞子形成
    有性生殖の直接的産物由来の胞子: 接合子や合体した配偶子嚢の内容物がそのまま胞子
  2. 胞子形成と減数分裂
    a. 胞子形成直前に減数分裂
    b. 胞子は直接的には減数分裂と無関係に形成
  3. 胞子形成様式
    a. 胞子は内生的に生じる(胞子嚢胞子) = 胞子形成細胞内原形質が分割され各々が胞子となり全胞子は元の胞子形成細胞(胞子嚢)の細胞壁に包まれる

    胞子嚢 sporangium: 胞子を内蔵した部分
    胞子嚢柄: 胞子嚢支える棒状部分。胞子成熟すると破れて胞子放出

    b. 胞子は胞子形成細胞(or菌糸そのもの)から外生的、か断裂で生じる
  1. 鞭毛の有無
    a. 胞子は鞭毛持つ(遊走子) = mobile → 遊走子: 鞭毛を持ち動き回る胞子。遊走細胞
    b. 胞子は鞭毛持たない = immobile
  2. 胞子発芽と減数分裂
    a. 胞子発芽 → 胞子内または発芽構造物中で減数分裂行われる
    b. 胞子発芽 → 減数分裂行わない
  3. 胞子の発芽産物
    a. 胞子は発芽し栄養体を生じる
    b. 胞子は栄養体ではない構造物を外生し胞子の全内容物はそこで新しい胞子を形成するのに用いられる
    c. 胞子の全内容物は直接に新しい胞子に変わる
    d. 胞子は発芽し配偶子を生じる
  4. 生活環に占める位置
    a. 胞子は次代の有性生殖を行う不可欠な一段階を占める
    b. 系統aのようではない

化学分類 chemotaxonomy


菌類では難しい
表. 真正菌門各分類群と細胞壁の化学的構成成分及び2, 3の分類形質(Bartnicki-Garcia 1970, Vogel 1963)
分類群鞭毛葉状体型細胞壁の特徴的構成成分lysine合成経路
鞭毛菌亜門壺状菌鋼後端1鞭毛(尾型)仮根状菌糸型キチン-グルカンAAA
糸状壺状菌鋼前端1鞭毛(羽型)仮根状菌糸型セルロース-キチンDAP
卵菌鋼2鞭毛(前向羽型 + 後向尾型)菌糸型セルロース-グルカンDAP
接合菌亜門接合菌鋼なし菌糸型キトサン-キチンAAA
トリコマイセス菌鋼なし菌糸型ポリガラクトサミン-ガラクタンAAA
子嚢菌亜門半子嚢菌鋼なし酵母型, 偽菌糸型, 菌糸型マンナン-グルカンAAA
その他の菌群なし菌糸型キチン-β-グルカンAAA
担子菌亜門酵母時代を持つ1部の担子菌なし酵母型, 偽菌糸型, 菌糸型マンナン-キチンAAA
大部分の担子菌なし菌糸型キチン-β-グルカンAAA
不完全菌亜門出芽菌鋼なし酵母型, 偽菌糸型, 菌糸型マンナン-グルカン(クリプトコッカス鋼)
マンナン-キチン(スポロポロマイセス鋼, ロドトルラ鋼)
AAA
その他の菌群なし菌糸型キチン-グルカンAAA

DAP: α, β-diaminopimelic pathway, aspartate → DA, pimelate → lysine
AAA: α-aminoadipate pathway, α-ketoglutarate → α-aminoadipate → lysine
キチン: 菌類細胞壁を構成する特徴的成分で堅くて丈夫(カニ甲羅や昆虫外骨格にも多く含まれる)

呈色反応

アセトカーミン: 染色体(核)染色剤 →

シメジ属は担子器内に染まる顆粒で満ちる
シロタモギタケ属は呈色少

グアヤクチンキ: フジウスタケとウスタケの判別にこの試薬の呈色反応を利用
クレシールブルー: ハラタケ科は胞子の2重細胞壁の内壁が赤紫色に染まる
コットンブルー: ウラベニガサ科は胞子壁が明瞭に染まる
硫酸第1鉄: ベニタケ科呈色反応
メルツァー試薬: 胞子(細胞)のヨード・デンプン反応呈色試薬

アミロイドamyloid: 青紫-灰紫 強アミロイド: 反応特に強い
偽アミロイド: 赤紫-紫褐色 = デキストリノイド: メルツァー試薬で赤変する反応
非アミロイド: 淡黄色-無変化

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