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(2020年12月17日更新) [ 日本語 | English ]

採掘跡地における植物群集動態 (Revegetation after mining)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ はじめに | 復元 | オーストラリア | 文献・資料 ]

はじめに


鉱山採掘跡地といっても、鉱山にも様々な種類があり、それに応じて採掘方法が異なる。必然的に、生態系復元方法も異なることになろう。しかし、露天採掘(open mine pit)であれば地表改変は共通であり、また、残渣で形成された土地についても復元手法の共通点を見出すことは可能なのではなかろうか。石綿採掘跡に関しては、P 「石綿鉱山採掘跡地等実態調査の結果」(経済産業省 2006年1月12日)が現状なようである(関連記事 EICネット)。しかし、31鉱山のうち5鉱山の所在地が特定できなかったとあり、管理体制がいかに杜撰なものなのかを物語っており、復元に必要となる基礎データすら乏しいことが伺える。

炭田

言い訳シリーズ [ 講座セミナー | 生態学会 ]

 日本では現在全て(厳密には全てではない)の炭鉱が閉山され、その周辺には大量の採掘残渣(通称ボタ山)が残されている。これらの斜面は、多くが現在でも半裸地状態となっており、植物群集の回復は極めて遅く、早急な植生復元が必要である。オーストラリア西部では、現在、多くの重金属採取鉱山跡地が残り、これら跡地の生態系回復および緑化復元に関する研究が幅広く行われている。特に、ボーキサイト鉱山廃坑跡地においてBill Loneragan博士(University of Western Australia)らによって、群集レベルから生理生態レベルでの研究データが長期に渡り蓄積されており、世界的に見てもオーストラリア西部は人為撹乱跡の群集動態に関して優れた調査地である。本調査地において廃鉱跡地における調査研究を行うことは、日本、オーストラリアおよび多くの人為および自然撹乱地を有する諸国における荒廃地復元に関する研究発展に寄与できるものと考える。

廃坑跡地における植生回復(復元)上の問題


  1. 復元をどうとらえるか? (これは、全ての復元について言えるが。)
    採掘後に森は再生するか
    まず、「復元」の定義をしないと、議論は水掛け論になってしまう。札幌オリンピックと時に作られた恵庭岳滑降コース復元でも、復元は成功した、いや不成功であるといった、同様の議論が起こっている。
    もう一つの考え方として、自然に回復が望めないなら、なにもやらないよりはまし、という考え方も存在する。しかし、この時も、どの位の期間で自然回復が望めない、とするのかによって話はまた変わってくる。極端に言えば、時間を無限大にすれば、すべての撹乱跡地で回復は望める。
  2. 土壌特性 (石炭は土壌といえるのか?)
    1. 物理的特性
    2. 化学的特性
  3. 地域特性 - 特に潜在自然植生

- メモ -

夕張炭田(夕張市)にはボタ山が6ヶ所 (2014-07-13)
釧路周辺のボタ山では、シバザクラが植えられていることが多いという話 (2003-08-07)

石炭のズリ山にシバザクラ 釧路(共同通信) (2003.6.29)

調査課題

クロノシークエンスはとれるか = ボタ山形成年代の特定は可能か

ボタ山の質は均一か = 採掘方法の時代的変化、炭質の時代的変化

土壌測定項目の選定 - 石炭特有の植物成長に影響する物質確認

[土壌汚染対策法水質汚濁防止法]

下見

オーストラリア出発前に見ておこうと、三笠・美唄の炭田coalfield跡を見に行く

オーストラリア


世界の問題土壌とその再生への要素技術の開発: 松本 聰 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
オーストラリアには99の石炭鉱があり、そのうち31が長壁式採炭法である。長壁式採炭法の鉱山はニューサウスウェールズ州およびクイーンズランド州に全て位置している。

ボーキサイト採掘地 (Bauxite mining)

 2004年2月18日。ハントリー、ボーキサイト(アルミニウム原鉱)採掘地。

Al1 Al2 Al3
[1] 採掘直後。これを20年位で、未採掘地の森に近づけるのが、復元目標ということだが。[2] まず、発破をかけて地表面を採掘しやすくしてから、重機を用いて土壌をかき集める。[3] なんとなく、人を写した写真。

土壌を見て → 火山灰
景観を見て → スキー場

ボーキサイト bauxite

アルミニウム原料。産出国 = オーストラリア、アフリカギニア(アフリカ)、ジャマイカ等
精錬に多量の電力 → アルミニウム工業 = 米国や旧ソ連、水力豊富なカナダ、ブラジル、ノルウェー等に多

日本


豊羽鉱山

北海道札幌市南区定山渓(豊羽鉱山株式会社, 新日鉱グループ)

金属鉱山: 銀、インジウム、亜鉛、鉛等を産出
南区石山地区: 選鉱所・配水場跡(立入禁止)

1800代後半 採掘開始
1914 久原鑛業株式會社が買収
1929 日本鉱業株式会社へ事業継承
1939/4/17 鉱石輸送用定山渓鐡道線

錦橋駅-オンコノ沢間 6.2 km
藤の沢駅-選鉱場間 2.1 km
に貨物専用線敷設

1963/9/21 錦橋駅-オンコノ沢間、藤の沢駅-選鉱場間貨物専用線廃止
1961 石山地区地下水汚染(豊羽鉱山石山堆積場)
1967 市-豊羽鉱山 排水水質覚書締結
1972 市-豊羽鉱山 排水水質協定書改定
1973 日本鉱業から分社し豊羽鉱山株式会社設立
2005 操業休止発表 (採掘可能鉱量枯渇)
2006/3/31 閉山

アトサヌプリ(硫黄山)

硫黄
1877 採掘開始

鴻の舞鉱山


1929 製錬開始
1973 閉山

中外鉱山

1936 鉱脈発見
1939 八田鉱山採掘開始
1986 休山
今井鉱山
1931 鉱脈発見: マンガン(主), 鉛・亜鉛・銀(副)
1939 採掘開始

下川鉱山

1982 閉山

恵庭金山

1943 休山

イトムカ鉱山

硫化水銀
1973 閉山

石狩油田

1878 採掘 - 手掘井 - 頓挫
1889 北海道鉱山 1903 インターナショナル石油 - 機械井

[ 北海道炭田 ]

炭田 (coalfield)


= 経済的に価値のある炭層が豊富に存在する地域
炭鉱が閉山され、その周辺にはボタ山(coal slag))が残されている。廃鉱跡地における生態系復元(特に、森林再生)に関する研究が、(温暖化抑制のためにも)必要である。
採掘形態 (石炭とは限らない)
表層採掘 surface mining
地下採掘 underground mining
錐状採掘 auger mining: 表層採掘と地下採掘を併用
影響 → 1) steams choked by excessive sediment loads, 2) acid mine drainage, 3) 沈下 subsidence

米国オハイオ州: 表層採掘法 surface-mining law → 修復義務化

石炭 (coal)
水分含量water content = 2-40%, 硫黄含量sulfur content = 0.2-8%, 灰分ash content = 5-40%

良質
| 鉱炭 hard coal: コークス coking coal (coke) = 石炭加工品
| 瀝青(れきせい)炭 bituminous
| 褐炭 brown coal (s.l.): sub-bituminous
| 褐炭(亜炭) lignite (s.s.)
| 泥炭 peat: 石炭ではない

ボタ山 (ズリ山)

  • ボタ山 (coal slag heap, or spoil heap): 炭鉱で、掘削土(ボタ)を捨ててできた山。ズリ山。
  • ボタ(ズリ) (coal slag): 石炭を掘る際まじってくる岩石や、質の悪い石炭塊。主に九州地方でいう。ズリ。
    とは書いてあったが、常磐炭坑でもボタ山とも、ズリ山とも呼んでいたような気がする。
    ボタ山のある風景
    北海道は典型だが、炭鉱の位置と鉄道網の関係はものすごく強い(強かった)。これを調べてると、戦争史とか悩ましい問題が出てくる。
  • 採炭 (coal mining): 石炭を掘り出すこと。
  • 掘進 (drilling, boring): 土地や石炭などを掘って進むこと。
    新明解国語辞典(第5版) (1997)より
     採炭と掘進を北海道通商産業局の本は分けて扱っているが、北海道開拓記念館の報告書の方では1つにまとめている。

英和用

採炭方法


(主に北海道開拓記念館(1978), 北海道通商産業局(1993)を元に作成途中)
この2つの本の採炭法分類が全く違うので合わせた表を作る意味はあまり見出せていないが...

採炭方法内容年代
手堀 ツルハシ、唐鍬等を用い人力のみにより石炭を採掘

露天
狸堀: 露頭および周辺から沿層で坑道を掘進することで採炭を行う
ツルハシ堀: ツルハシを用いた採炭

北海道において石炭採掘は、安政4(1857)年、釧路白糠での手堀が初
明治末まで
残柱式・柱房式炭層を碁盤目状に坑道を掘進し、残柱を残すか、炭柱割を行って採炭明治末まで?
発破茅沼で最初に行われた時には黒色火薬

明治末期(輸入): ゼリグナイト、サムナイト 大正(国産): 梅印ダイナマイト、硝安爆薬

慶応3(1867)年に茅沼にて行われたのが最初
長壁式(longwall)木柱支保、部分充填

緩傾斜長壁式/偽傾斜全充填式

昭和初期-昭和22年
鉄柱・カッペ(機械採炭) カッペ(鋼製自在支柱) - 採炭方法の大変革

コールカッター/ホーベル

1949年以降
急傾斜日本(北海道)では少ない
コールピック圧搾空気によりコールピック先端の鏨を炭壁に打ちつけ石炭を崩す
水力採炭圧力水を高圧鉄管で採炭切羽に導き石炭を崩す

炭田が硬すぎる所、地盤が悪い所、水補給できない所ではできない

本岐炭鉱が1962年3月から使用

日本 (北海道)の炭田 (coalfields in Hokkaido)


ヨーロッパ、アメリカ、中国等: 古生代石炭紀(3億年前)
日本: 古第三紀以降(6500万年前) Distribution
図. 北海道の炭田・含炭地分布 (北海道通商産業局 1993)

石狩炭田

= 空知炭田(北部) + 夕張炭田(南部) ⇒ 日本最大
1874 ライマン調査隊
2億年前 (中生代ジュラ紀)

北海道周辺 = 海

1.4億年前

北米プレートとユーラシアプレートの接近始まる
各プレート先端にオホーツク古陸と西方古陸が出現 - 森林発達
→ 森林炭化により石狩炭田形成

幌内炭鉱
1879(M12) 官営幌内炭鉱開鉱 = 日本初
1882(M15) 官営幌内鉄道(現小樽市手宮-三笠市幌内)全通

Mikasa
三笠 (2003年7月19日)。植被の低い
ところがボタ山。クロフォード公園で、
花壇の手入れをしていた方に伺った
ところ、数年前までは、ほとんど植物
がついていなかった、とのこと。

北海道炭鉱の祖, 北炭幌内」のページに移っているボタ山は同じものだのだろうか。だったら、すごいけど。*
* 北海道旅情報 井手口さんに伺うと、「写真のボタ山は三笠市本町の道道岩見沢桂沢線の脇を通る国鉄幌内線の車窓で北から南に向け1985年7月に撮影。当時は炭鉱は稼動しズリ山捨て線も使われていたと思われる。目標物として写真に現存する立坑があり場所特定できるのではないか。昭和44年閉山の 本岐炭鉱のボタ山 はまだ黒々しているのと対照的で、自然発火が続いているか否かが原因として考えられる。」(改変 - 文責は当然露崎)とのこと。冬には、基礎資料を集めよう。 (忘れとる!)
まったく関係ないが、「着信アリ2」という映画の中で、台湾の炭鉱という設定が出てくるのだが、その場面を見ると、後ろにオオイタドリが、若干枯れ上がってはいたが、繁茂していた。ということはロケ地は北海道だよなー、と思って最後のテロップを見ると、ロケ協力地に、三笠市と夕張市の名前が... Memorial Park
美唄炭鉱
大別: 美唄市常盤台地区三菱美唄炭鉱 + 美唄市南美唄地区三井美唄炭鉱

茶志内、上村、九州、市川、錦旗、若山、徳田、新美唄、北菱、飯田美唄、沼貝、峰延、川日鉱業白樺、光珠、三舟

1913 飯田美唄炭鉱
1915 三菱美唄炭鉱(飯田美唄炭鉱を引き継ぐ)
1918 三井美唄炭鉱採掘開始

1944 最盛期 188万t/yr

1963 三井美唄炭鉱閉山
Bibai 1973 三菱美唄炭鉱閉山
1973 北菱我路炭鉱閉山 = 美唄市内全炭鉱閉山
現在 北菱産業埠頭美唄炭鉱: 露天掘再開稼動中

天北炭田

天塩山地北部, 新第三紀宗谷層 - 褐炭
1971 日曹天塩炭鉱閉山(豊富町) - 全山閉山
羽幌炭鉱
1970 閉山

留萌炭田 (+ 苫前炭田)

新第三紀層

釧路炭田 Kushiro coalfield

4500-3800万年前堆積 - 亜瀝青炭(非粘結性一般炭)
釧路炭田の主な炭鉱
釧路炭田

文献・資料・リンク


文献 (英文) 北大で調べられるもの リンク
  • 北海道開拓記念館(編). 1978. 北海道における炭鉱の発展と労働者. 北海道開拓記念館研究報告 4: 1-112
  • 北海道通商産業局(編). 1993. 北海道の石炭. 北海道通商産業局, 札幌 428 p. (+10 図版)
  • 堀 淳一. 1995, 北海道産業遺跡の旅. 北海道新聞社
  • 大黒俊哉・竹内和彦・今川俊明・高岡貞夫. 1990. 吾妻硫黄鉱山跡地における煙害と植生変化. 造園雑誌 53: 151-156
  • 丹治輝一. 2002. 北海道における炭鉱遺産収集・保存と活用について. 北海道開拓記念館調査報告 41: 51-66
  • 薄葉 満. 1976. ボタ山の植生(予報). 福島生物(福島県植物同好会) 19: 9-13
  • 湯浅保雄・澤田憲一・村井 宏・井上克弘. 1995. 旧松尾鉱山露天掘跡地における緑化工施工地の植生変遷. 日本土壌肥料学雑誌 66: 646-654
北大図書本館で調べられるもの
  • 浅田政広. 1999. 北海道金鉱山史研究. 北海道大学図書刊行会, 札幌 486 p.
  • 窪田 昭. 1996. 夕張・高嶋: その後の日本. 講談社, 東京 250 p.
  • 前川雅夫(編). 1990. 炭坑誌: 長崎県石炭史年表. 葦書房, 福岡 798 p. (+図版)
    本当に年表 - 年代が分かれば調べるには便利
  • 北海道未来総合研究所(編). 1983. 北海道石炭産業の現状と課題: これからの北海道石炭産業のあり方. 北海道未来総合研究所, 札幌 86 p.
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