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(2019年1月10更新) [ 日本語 | English ]

成長 (growth)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

[ 成長率 | 相対成長則 | 成長曲線 ]

成長 growth: 光合成 (photosynthesis)で物質貯蔵する植物にとり光合成能力と関与環境要因の研究は古くから数多くなされる
索引

成長率 (growth rate)


成長 growth ≡ ΔG/Δt, ΔG → 細胞・個体・個体群・群集等
一定期間の間に生物tが成長した量 (立木では単位はm/yrが多い)

優勢木: 成長良く、林冠crownの上層(= 林冠層(上層) overstory)を構成するもの

↔ 下層 understory

劣勢木: 林分平均的成長に比べ樹勢弱く成長遅れたもの → 樹勢衰える → 枯死

相対成長 (allometry)


相対成長則 (law of allometry)

ある部分の成長速度(dp/dt)が、全体(別部分)成長速度(dw/dt)に比例 →

1/p·dp/dt = h·1/w·dw/dt → 両辺積分 → logp = logH + hlogw0

拡張相対成長則

生物成長上限 = 上限(pmax)仮定を含めた相対成長則

1/p = 1/(H·wh) + 1/pmax

(w → ∞ → p = pmax)

H/D比 = 苗高/根本径 → 健苗の程度、特に地上部のつり合いをみる。70以上 = 枯損の危険 → 60以下に育苗
T/R率 = 地上部重量/地下部重量 → 根系発達程度(地上部と地下部のつり合い) → 値が小さいほど良苗

徒長: 苗陽光不足や窒素肥料過多、根切り不足等により枝葉が伸長し過ぎ、根とのつり合いがとれない苗木

→ 微生物の成長曲線

成長曲線 (growth curve)


成長曲線が備えるべき条件(Shinozaki 1953)
  1. 生物系は均質閉鎖系
  2. 成長量y(重さ・長さ・個体数等) > 0 (real, continuous)
  3. 成長曲線は原則的には時間tに関する微分方程式で与えられる: f(y, t, ···) = 1/y·(dy/dt)
  4. 成長を制限する条件が存在しない場合には生物は指数関数的に成長
  5. 有限条件下では成長する量yに上限
  6. 成長率1/y·y/dtは、その生物特有の正値より大きくならない(成長速度上限)
    -∞となることがある(= 絶滅)
    y → 0 → 1/y·dy/dt → -∞
  7. 有限条件下で理想的 → y =set ロジスティック曲線 logistic curve 1/y·dy/dt = λ(1 - y/w) (λ: 成長係数, w: yの上限値)

成長曲線

N ≡ 成長パラメータ(Ex. 個体数)
t ≡ 時間
dN/dt ≡ 個体数増加速度(= 個体群成長)
0) 指数成長exponential growth

基本仮説: 資源無限(現実にはありえない)

N = f(t) → dN/dtN(t), N(t) = 現在の集団サイズ(= 環境圧がないと仮定)
dk(t)/dt = rk
これを満たす解はk(t) = k(0)rtである
N(t) = N(0)rtの両辺微分 → N'(t) = rtx(0), ここでx(0) = 1のときdk/dt = rk

1) ロジスティック成長 logistic growth
= geometric growth, and logarithmic growth
生活空間または資源: 有限 → R0, r: variable with density (単位面積あたりの個体数)

実際の個体数は等比級数的に増加し次第に、高密度で増殖が減少停止 = ロジスティック曲線

a) ミチェーリッヒ式 Mitcherlich equation
N = M(1 - e-cf)

f → ∞ → w = N
f := t [Nは時間の関数] → N = M(1 - e-ct)m, m > 1

b) 単純ロジスティック式
指数成長からロジスティック式の導出 R0 = 1, r = 0 :→ N = K

環境収容量 carrying capacity of environment (飽和密度saturation density) ≡ K

logistic 密度 = 0 → R0 = 最大 maximum
密度 = KR0 = 1, r = 0
N = K(1 + Ke-λt) [単純ロジスティック式] ⇔ 1/N·dN/dt = λ(1 - N/K)
c) Verhust-Pearlのロジスティック式
Verhust-Pearl dN/dt = (r - hN)N

h: Vershust-Pearl係数

r = b - d
bN = b0 - xN
dN = d0 + yn

bN: 密度Nの時の出生率
dN: 密度Nの時の死亡率

rmaxを単にrとする
r = bN - dN = 0 → 平衡状態
b0 - xN = d0 + yN
b0 - d0 = r = (x + y)N
r = (x + y)K
x + y = r/K

dN/dt = (bN - dN)N = {(b0 - xN) - (d0 + yN)}N

= {(b0 - d0) - (x + y)N}N ··· (1)

b0 - d0r
x + yh

= r - hN

(1)式変形: dN/dt = (r - r/K)N = rN{(K - N)/K}
→ 積分型: N = K/(1 + ea - rt), ea = (K - N0)/N0

n-K
Logistic式の仮定
  • 個体加入はどのような密度でも1/Kだけ実現増加率を減少させる
  • rmax, K = constant
  • Nの変化と、それに対応するbNdNの変化に時間的ずれtime lagなし
    K = constant、時間的ずれがないことは現実的でなく、野外にこの仮定を当てはめることはできない。密度 = 0のときにrmaxとなるが、現実個体群ではある密度以下となると増殖不可能となる
Nの上限 = K
K = r/h
dN/dt = K(1 + ea-rt)
Pr.: 個体群が単位時間当たり一定数Aだけ増えると仮定

dN/dt = A (Aはある時刻tでその個体群中での出生数と死亡数の差)
この時の個体群増加率をrとすれば r = A/t
dN/dt = rt
密度効果density effectが無視してよいほど小さければ積分し、N = ertとなる。実際には個体数増加に連れ密度効果により増加率は減少する。そのときの個体数に比例した値だけ増加率が減少する(-hN)と仮定し、rr - hNと置き換えれば
dN/dt = (r - hN)t
となる。この式を積分するとN = k/(1 + ea-rt)となる

表. 篠崎の一般化ロジスティック式(穂積 1973): 成長係数(λ), 成長量(y)パラメータによって4つに分類
  1. 単純ロジスティック曲線: λ = constant, y = constant
  2. λ型ロジスティック曲線: λ = λ(t), y = constant
  3. y型ロジスティック曲線: λ = constant, y = y(t)
  4. λy型ロジスティック曲線: λ = λ(t), y = y(t)
自然界でこの仮定が成り立つか:
増加率rは常に一定 – 齢構成が安定 = 各々の齢での出生率と死亡率が一定
昆虫などの様に世代間が不連続の場合: 世代あたりの純増殖率R0とおいて
Nt = N0R0tから求める
世代が連続のときは
dN/dt = rn (r: constant) … (1) Nt = N0ert

er = λとする (λ: 有限増加率あるいは期間増加率 finite rate of increase)

growth

(1)式の積分型
(1/N)dN = rdt
lnN = rt + C
N = ert+C
ここでt = 0からの増加率を求める
lnNt = lnN0 + rt
lnR0 = ln1 + rT = rT
r = lnR0/T

d) ベルタランフィvon Bertalanffy成長式
水産学・林学でよく用いられ、右辺第1項は魚や林木の表面積に比例した摂食あるいは同化活動を、第2項は体重に比例した呼吸消費を表わすと解釈されることもある

dx/dt = ax2/3 - bx
両辺積分 → dx/dt = (ax2/3bx)dt
ここでy = x1/3と変数変換してyに関する一次式を導く

e) ゴンペルツ成長曲線式 Gompertz curve

dx/dt = axlog(B/x)
y = logxと変数変換してyに関する方程式を解く
yt = Kabt
logyt = logK + (loga)bt

f) ギルピンとアヤラGilpin and Ayalaの個体群増殖式

dx/dt = rx(1 – (x/K)a)/a

g) スミス(Smith 1963)の増殖速度に比例した抵抗を加えた式

dx/dt = rx(1 – x/Kbdx/dt)

(May 1976)

カオス caos

ne+1 = [1 + r(1 - ne/k]ne
ne+1 - ne = r(1 - ne/k)
  1. -1 < r < 0 → 絶滅
  2. 0 < r < 1
  3. 1 < r < 2
  4. 2 < r < 2.44: 周期2n (n > 2)
  5. 2.44 < r < 2.56 ex. r = 2.5 → 周期4
  6. r > 2.56 → caos
→ 予測決定論的なものへの挑戦(カタストロフィーとカオスの検証を野外で行うことは困難) n-K

周期2の振動__________周期4

生産生態学 (productive ecology)


生産力 (生産性, productivity)

単位時間・単位面積当りの生産量 (yield/area/time): 農林学では1年が普通

生態系保全には独立栄養層確保が、肥沃な地域の形成及び保護のため必要 → 生産効率(エネルギー効率)を高める手法開発が具体的課題
Ex. 窒素固定能力を増す等の手法開発必要

潜在生産力 potential producitivity

生産量 production

生産力から時間がなくなる

収量(収穫量) yield: 収穫した分量
立毛生産量 standing crop: 農作物収穫前の状態での生産量

バイオマス biomass
単位面積当たりの生物量
現存量 standing crop

質量比仮説 mass ratio hypothesis: 群集内で高バイオマス種が生態系の特性に強く影響 → そうではない場合がある

一次生産量(植物生産量) primary productivity or porduction = 生産者は光合成で得た全有機物(総生産量)の一部を呼吸消費し、体に蓄積する有機物量(純生産量)

総生産量 (primary) gross production, GS = 純生産量(primary) net productivity + 呼吸量respiration
⇒ 純生産量 net production, NP = 総生産量 – 呼吸量 = 成長量 + 被食量 + 枯死・排出量
成長量(種子生産量含む): 成長過程での枯死量、被食量を引いたもの

成長量 = 純生産量 - (被食量 + 枯死量)

二次生産量(消費者生産量); 同化量から呼吸により失う有機物量(呼吸量)を差し引いたもの。同化有機物の一部はエネルギー源とし呼吸にまわされ、CO2や尿素・尿酸等の老廃物として排出される

生産量 = 同化量 – 呼吸量

動物(消費者)は他生物の有機物を同化し体内蓄積するが、一部有機物が不消化のまま排泄される

同化量 = 摂食量 – 不消化排出量

一段高次の栄養段階にある動物の捕食や、病気・事故による死亡で失われる個体も多く、ある栄養段階の消費者の成長量は次のようになる

成長量 = 生産量 – (被食量 + 死亡量)

⇒ エネルギー効率 (Ef) =

[その栄養段階の総生産量 (En)]/[前段階の生産量 (En – 1)]

各栄養段階のエネルギー効率は栄養段階が上がるごとに一般に高まる。栄養段階の高い動物ほど感覚や運動能力において優れ捕食能力が大きく利用しうるエネルギーを効率良く利用できる等の理由があげられる

物質生産

Ex. 光-光合成曲線: 昼14時間20 klux、夜10時間
photosynthesis
    層  相対照度(%)  光強度(klux)  CO2吸収量(mg/h)

     1     100         20                8
     2      37          7.4              3.2
     3      14          2.8              0.6
     4       5          1.0             -0.6
     5       1.8        0.36            -1.0

葉100 cm2あたりCO2吸収量 =

8 + 3.2 + 0.6 – 0.6 – 1.0 = 10.2 mg/h

1日では昼間の見かけの光合成量から夜間の呼吸量を引く

10.2 (mg) × 14 (h) – 6 (mg) × 10 (h) = 82.8 mg

1 m2あたり(5層全部で) 82.8 × 102 = 8280 mg = 8.28 g
葉面積/m2あたり(1層あたり) = 8.28/5 = 1.66 CO2 g/m2/day

純同化率 = (見かけの光合成速度 – 根や葉の呼吸量)/葉の総面積

= [F(ar) – c·R]/F

F: 葉の総面積
a: 葉の単位面積あたり光合成速度
r: 葉の単位面積あたり呼吸速度
c: 根や茎の総重量
R: 根や茎の単位面積あたり呼吸速度

= (ar) – (C/FR

ar: 見かけの光合成量
(C/FR: 非光合成系の呼吸量 → これが大きいほど成長が遅くなりやがて同化限界となる

葉面積指数 = 単位面積あたりの総面積/単位面積

葉の重なりの密度を調べるのを目的とする。一般の樹木で3-7

吸光係数 (k) (≡ ランバート・ベーア式): I = I0e-k(n – 1)

I: n番目の層の受ける光の強さ
I0: 第1層の受ける光の強さ
e: 自然対数の底
k: 吸光係数

______イネ型____多くの植物__広葉で水平型
k =___0.3-0.5____中間_____0.7-1.5

生体量
= (ある栄養段階の個体数) × (1個体重量)
S字状カーブ → 成長速度: 山形カーブ

同化(光合成) = 昼間 / 異化(呼吸) = 昼夜両方
6CO2 + 12H2O + 688 kcal → C6H12O6 + 6H2O + 6O2

        光合成量 > 呼吸量    昼              CO2吸収
        光合成量 = 呼吸量    朝夕のある時刻
        光合成量 < 呼吸量    因る            CO2放出

(Boysen-Jensen 1923 デンマーク, 門司・佐伯 1950)

物質生産過程

物質生産と再生産過程を基盤に、発芽・成長・開花・結実等の時期変化を調べ植物群落の動的性格を示す
一年生植物の生産過程
process

Ps: 総生産量
Pn: 純生産量

多年生植物の生産過程
process

G: 次年度に残った光合成系の部分
n: 非光合成系部分の枯死割合
ΔF, ΔG: 次年度新生部分
t: ある年

生態系の平衡

Def. 生態系内における生体量・種数・個体数が平衡に達した状態
一般に、生態系内純生産量(総生産量 - 呼吸量)は増加から減少に転じ、やがてほぼ0となる
→ 極相状態に近づくと総生産量が上限に達し、総生産量と呼吸量がほぼ等しくなり平衡状態となるため
→ 純生産量0の状態では、生体量、個体数増加はもちろん、共存種数さえ増加が難しくなる

撹乱 (異常気象、山火事、火山噴火等)の非生物的要因、病気、帰化種侵入等の生物的要因により平衡が破られる

P/R

P: 生態系の総生産量
R: 生態系の総呼吸量(消費量)
生態系生産量、呼吸量
→ 季節、天候等で変化
長期的傾向として
P/R = 1 平衡状態 → 安定生態系
P/R ≠ 1 変動する

P/R > 1 生産的 → 発達
P/R < 1 消費的 → 衰退

群集遷移: 初期 = P/R > 1 → 減少 → 極相 ≈ 1

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