(2022年1月31日更新) [ 日本語 | English ]
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[ 生活史 ] 埋土種子集団 buried seed population: ある生息地において発芽せずに保持されている種子集団
休眠能力を有し土壌中にある期間蓄積している種子群 → 埋土種子寿命は、休眠能力と大きく関係 埋土種子集団のタイプ一時的埋土種子集団 transient seedbank: 生産された年から1年よりも長く種子が生存していない集団永続的埋土種子集団 persistent seedbank: 一時的transientではない種子を含む集団 (Grime 1979) Centipeda minima (L.): 一年生 - 50年以上の埋土記録 有珠山火口源埋土種子生存率は埋もれた深さと相関(Tsuyuzaki 1991)
深さ数cmで光は届かず、この深さで温度変動大とも考えにくい →
耕作放棄地生息地 一年生草本草地 草原 |
耕作放棄地・一年生草本期・遷移初期などは一般に密度が高い 1年生植物に休眠機構なし → 劣悪環境時に全種子発芽 → 個体群絶滅(Cavers 1983) → 休眠必須 埋土種子集団変動 fluctuation of seedbankGSP (gross buried seed population) = Ssp+ (Sp + Sm) - (Sg + Sd + Sa + S0)
Ssp:それまでの埋土種子数
考え方は個体群動態と同じ |
サンプルサイズ → 土壌中に広く分布し母集団推定にはサンプルサイズと種子抽出手法により大きな違い
→ 目的により適宜、サンプルの選定法・種子抽出法を決定する必要 (露崎 1990) 種子抽出法 (seed extraction method)
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種子生死判別 (Discriminant criteria on seed survival)発芽試験: 100%発芽は不可能 → 土壌中種子の生死判別は発芽試験でも最終的には必要比重選別法・直接検鏡法・篩い法: その後発芽試験を行い不明種子同定 + 未発芽種子の生死判別
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短命種子short-lived seeds Ex. Salix: 休眠能なし = 寿命数週間 (Zasada & Densmore 1977; Niiyama 1990) ↔ 長命種子 long-lived seeds 長命種子大賀ハス (Ohga 1923): 縄文時代遺跡中からハス種子発見 → 発芽成功 = 数千年休眠 Dr. WJ Beal実験: 1879 ミシガン大キャンパス内に瓶に23種で1種につき50種子を、湿砂と混ぜ入れ瓶に蓋せず逆さにし(水入らない)、深さ約90 cmに埋めた。後継者が定期的に取り出し発芽試験(現在120年)。100年後で3種の種子生存 → 人工条件下(菌害・水分条件自然界と異なる) → 光なく土中温度変化小さい所で種子が120年生存実証(Darlington & Stteinbauer 1961; Kivilaan & Bandurski 1981, Telewski & Zeevaart 2002) 有珠山: 1977-78年噴火により火山灰が数m堆積したところの噴火以前に形成されていた表土を採取し比重選別法により種子抽出 → 発芽試験 + 胚乳押潰法 → 種子生存確認→ 土壌中に25種で1683.3/m²の種子が生存(Tsuyuzaki 1989) → 20, 30年後も類似した結果(Tsuyuzaki & Goto 2001, Tsuyuzaki 2010) |
寿命推定法発芽実験: 定期的に種子を取り出し発芽加齢処理(加速劣化): 高温多湿(Ex. 45°C, 相対湿度60%) → 種子老化加速 → 種子寿命推定 (Yamasaki et al. 2020) ジーンバンク Genebank (農研機構)2020 発芽実験により主要50種種子寿命を推定ダイズ(15年)、コムギ(20)、トマト(30)、ソバ(70)、キュウリ(130) (笠原他 1965) 水田雑草種子1913 水田を山土で埋め敷地とする1942 水田層の土塊で発芽試験: Rotala indica, Elatine triandra?発芽 埋土から肉眼で雑草種子確認(種名記載なし) 1963-65 水田層の土塊で発芽試験と種子抽出(コンタミは考えていない)
土壌: 多湿土、pH = 5.8-6.8、Eh = 260-440 mV |