(2013年2月10日更新) [ 日本語 | English ]
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休眠解除 ≠ 発芽 休眠解除シグナル + 発芽シグナル → 発芽 発芽パターン: 発芽する前に分化が起こっている → 物質代謝: 異化過程 catabolic process, 同化過程 anabolic process [ 発芽と成長 ] 発芽刺激水 water物理的吸水 + 化学的吸水
種皮(または果皮) - 水分不透性高いままだと休眠継続 温度 temperature温度要求性/発芽可能温度域は発生(生理状態)と共に変化湿層処理(冷湿処理) cold stratification 変温効果 temperature fluctuation ガス gas酸素: 酸素分圧↑ (発芽呼吸に多量の酸素必要) → 休眠打破 → 発芽↑無気呼吸: 酸素を必要としない呼吸 - 発芽初期に多い →
種によっては無気的環境が休眠打破 - 無気呼吸関与 物理的種皮処理 mechanical scarification: メス等で種皮に傷をつける - 多くのマメ科植物で有効 - 酸素取り込み促進 酸素分圧が極端に高いと発芽抑制が多くなる 二酸化炭素: CO2↑ → 発芽↓ (種による)エチレン: 休眠打破 - 発芽誘導 光 light(a) 光発芽 positive photoblastic:
野生種子 = 光の発芽への影響大 ↔ 農作物種子 = 光要求性低
Ex. セロリ、ミツバ、レタス、シソ、ニンジン、ゴボウ ⇔ 暗発芽 negative photoblastic: 光が発芽抑制 系統的束縛があるBetula pubescens発芽: 15°C - 長日, 20°C - 短日/長日, > 25°C - 暗黒 |
⇒ 光発芽性種子でも光は発芽誘導に本質的には必要ではない 光発芽種子: 近赤外光 - 発芽抑制 ↔ 赤色光 - 促進 照射エネルギー量依存発芽種子 energy integrating seeds: 照射されたエネルギー量が閾値を越えると発芽する
連続照射 ↔ 長日性種子long-day seedsに多 (b) 暗発芽(光抑制)長時間白色光照射で発芽抑制 → 短時間光(赤色光)で発芽促進
発芽抑制: 播種後の覆土をやや厚くする 熱 heat乾式処理: 乾燥器に放り込むこと
Desmodium, Stylosanthesから7種: 80° 30分 - 効果は種により異なる 煙 smoke |
始動期 awakening step = 浸漬期間 imbibition period
基礎代謝 essential metabolism: 全ての種子に見られる代謝 吸水は数時間から数日で一端停止 - その後(幼根成長による)再給水 b. 貯蔵小器官・高分子物質再活性化
リボゾーム、プロテアーゼ等 - 加水のみで機能するものではない
乾燥種子の段階で多くの酵素が存在 - 給水により活性化 (Gummerson 1986) 発芽時間の水ポテンシャル-温度モデルHydrothermal time model (HTT model)発芽に温度と水ポテンシャルの閾値thresholdがあることを仮定1. 温度 1986 Covell et al.: 1/t = [T – Tb]/θ1
t: (積算)時間 (days)
⇒ Tb, Tt(熱を与えた時間)は下式で与えられる 積算温度 thermal time (°C d) = Σ{(Tmax + Tmin)/2 - Tb} Tmax, Tmin: 日最高・最低気温 (Tmin > Tbでないと変だが) |
2. 水ポテンシャル
給水: [土壌] → 水ポテンシャル → [種子] → 代謝活性化
↓ 吸水期: 吸水し膨潤 2009 Meyer & Allen, 2009 Blooming et al. θHT = (ψ – ψb(g))(T – Tb)tg
θHT: HTT要求量 → 発芽に要するHTT積算量
→ プロビット変換
g/gm: その個体群中にある生存種子率 種子発芽実験 seed germination experimentいろいろあるが、共通して気にすべき点は、温度・水・光・(土壌栄養) ☛ 栽培準備: 種子、土壌、ポット(トレイ)、光(自然光含)、(肥料)、水(スプリンクラー等)、必要に応じ除虫剤・除菌剤 温室発芽実験 greenhouse experiment ☛ 温室報告書 埋土種子発芽実験では最も普通 ファイトトロン(恒温器)発芽実験 phytotron植物を一定気候状態で育てる観察装置 |
発芽に適した条件下でも発芽しない (環境適応の結果) ⇒ 種子が不適当環境で発芽 → 幼植物死亡率↑ 植物は成長に適した環境においてのみ発芽成長する (循環論法?)
True dormancy: 何をしても休眠が打破できない場合 種子休眠類型 types of seed dormancy※ 休眠要因は1つとは限らない一次休眠 primary dormancy 胚を取り巻く構造 種皮の水不透性 Ex. 大賀ハス 機械的損傷(ヤスリで削る)、剥離、濃硫酸処理などで発芽促進可能 種皮のCO2, O2不透性 胚自体未熟 後熟種子: 胚完熟に散布後数週間-数か月必要 Ex. ヤブイチゲ、キンポウゲ、セイヨウトネリコ 代謝阻害(発芽抑制)
光発芽種子 |
二次休眠 secondary dormancy
発芽可能な種子が発芽不適環境により休眠再開 - 代謝阻害
Ex. Quercus、ボタン: 上胚軸は低温刺激を受けない限り休眠状態 分類(は色々あるが)
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