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(2016年7月6日更新) [ 日本語 | English ]

ネギ属の野菜 (vegetables in Allium)






有珠山 / サロベツ泥炭採掘跡
1986年, 2006年の有珠山火口原. ワタスゲ・エゾカンゾウ

アサツキ/エゾネギ (A. schoenoprasum L. var. schoenoprasum)

山菜(野生)多 → 品種改良進まない (早生、晩生程度の区分)

ギョウジャニンニク (A. victorialis L. ssp. platyphyllum Hultén), wild vegetable
セイヨウネギ (A. porrum L.)
タマネギ (A. cepa L.)
ニラ (A. tuberosum Rottler ex Spreng.)
ニンニク (A. sativum L.)
ネギ (A. fistulosum L.)
ラッキョウ (A. chinensis G. Don)
暗発芽(光抑制): タマネギ、ネギ
索引

タマネギ (Allium cepa L.)


Tamanegi (タマネギ, 玉葱), onion
原産: 中央アジア(野生種未発見 - 絶滅?)
生活型: 越年生

気温: 25°C以上 - 高温障害

染色体数: 2n = 16 (2021 ゲノム解読完了)
var. aggregatum G. Don (シャロット)
var. proliferum (Moench) Regel (ヤグラタマネギ)
栽培種
品種: 辛味品種(東欧系) + 甘味品種(南欧系)
日長: 短日種 + 中日種(早生, 秋撒き) + 長日種(春撒き)

ネギ (Allium fistulosum L.)


Negi (ネギ, 葱), green onion

ニンニク (Allium sativum L.)


多年草 - 食用: 鱗茎・葉(全体に強い臭気)
var. pekinense (Prokh.) F. Maek. (オオニンニク)
生薬名: 鱗茎 = 大蒜ダイサン: 咳・痰・健胃・整腸・発汗・駆虫薬
var. sativum (セイヨウニンニク)

大蒜(ニンニク) garlic の科学

「にんにく」 = "忍辱"の意 → 僧がこの臭いを耐え忍んで食したことに由来(説)
歴史
BC4500年頃: 人類史上登場 = 古代エジプト、クフ王ピラミッド(ナイル河畔)で象形文字 - ピラミッド建設従事者が体力維持に野生ニンニク・玉葱を食した
→ 古代インダスの頃: 古代エジプト → 中近東・インド・中国伝播
↔ BC500頃: 仏教で肉食妻帯禁止 → 強壮強精剤であるニンニクも嫌われた
約2000年前: 日本へ朝鮮から帰化人がかぐの実とし伝来

影響「くさもの」 仏僧は荒行に耐えるため禁を犯してまでニンニクを食べ「忍辱」なる語を作った(説)

栽培法
小鱗茎を種球として繁殖に用いる。9月中旬に種球を植付け酸性肥料避け、土壌中性に保つ。翌年6月中旬から花茎が出るので鱗茎成長を助けるためこれを摘み取る。8月上旬に茎葉先端から枯れ始める頃収穫する
耐寒性で北海道の冷涼な気候に適する

医療効果
  1. 学問的裏付けとなる例もある
    栄養学者が満州訪問時、現地民達は粗衣・粗食・不摂生にも関わらず体力旺盛で病少ない → ニンニクを常食に近い型で採っているためと報告
    第二次大戦中、中国南部で日本軍・華僑の多くがマラリアに犯された ⇔ 現地民は極めて低羅患率 - 現地民はにんにく多用
  2. 身体強壮作用による抵抗力増加
    風: 痰切り
    結核: 無臭成分スユルヂニンと抗菌性薬剤(パス・ストレプトマイシン)との結合により抗菌性相乗効果(× 2-3)
    不眠症: 保温・精神安定 → にんにく酒
    駆虫(寄生虫: 四虫、12指腸虫、ぎょう虫、裂頭条虫等の消化器系寄生虫): 一種の麻酔作用による。ただし他の臓器、皮膚下の寄生虫(肋・肝臓ジストマ等)には無効
    脚気: 原因はビタミンB1不足 - ニンニクにはビタミンB1を含まないがビタミンB1分解酵素(アノイリナーゼ - 魚介類・シダ・細菌類含有)からビタミンB1を保護する
    その他: スコルジニン = 倦怠感・神経痛・虚弱体質・食欲不振・新陳代謝異常症・利尿・発汗・整腸等
  3. 内服用法: 鱗片を炭火あるいは火中で表面が黒くなるまで焼く
    → スコルジニン分解酵素の不活
    「オキソ・レジン」製剤
    にんにく酒: 焼酎1.8 lに対しにんにく200 g。氷砂糖(白砂糖) 200-300 gを入れる。3-6ヶ月で飲める。月桂樹の葉を入れると臭み消え飲みやすい。市販にんにく酒は無臭有効成分スコルジニンを用い製造される
  4. 外用法
    にんにく灸: 生にんにくを十円硬貨位の厚さに切り、それをシコリやデキモノ等の皮膚疾患部にあて、その上に藻草を乗せお灸する。この他に乾燥粉末を用いた温灸もある
    外傷用軟膏: スコルジニンを含む軟膏は患部の血行をよくし治療促進効果がある → 同作用により痔の治療法にも用いられる。同時に、にんにくは通便をよくするといわれる
    浴用: スコルジニンにより皮膚末梢血管を拡張、血行をよくし新陳代謝促進→美容効果。保温性: 冷え性、神経痛
  5. 健康的な食べ方
    成人1人あたり1日の摂取量は、煮たものか蒸したもの二鱗片位が適当。生ニンニクを多量に食べると臭い成分により溶血が起こり貧血となる。強い成分により胃を壊す。煮ても多量だと胃や腎臓に障害でる
    スコルジニンは酸に強いがアルカリに弱く重曹水で長時間煮沸しない
    (潰)ニンニクは金属製容器を溶解することがある
  6. 悪臭成分
    植物中に無臭成分アリインが含まれ、細胞死(破壊)あると酵素アリナーゼの作用により強臭刺激性のアリシンを発生させる。アリシンは強抗菌性物質で、瞬間的にはグラム陽性および陰性菌に対しペニシリンにも相当する抗菌性がある。しかし、アリシンは不安定物質で空気中では数十秒で揮発油主成分であるジアリルジスルフィドに変化
    揮発成分作用: ネズミでの実験
    煮沸処理 → 体重増加
    揮発油 → 体重減少・溶血作用(肺鬱血・少出血・肝脂肪・腎障害)
    ニンニク臭 → 害 + 抗菌作用期待できない
  1. 無臭成分
    garlic 配糖体スコルジニン薬理作用: 強力な酸化還元作用による新陳代謝増加
    心臓筋肉に作用し博動増強
    呼吸促進
    末梢血管拡張
    平滑筋の賦活化
    胃液分泌の増加促進
    体内毒素・老廃物の酸化分解・排泄(解毒・アレルギー・疲労回復)
    ホルモン系増強
    ビタミンB1近似作用とビタミンB1保護(腸内破壊防止、血液内滞留延長)
    スコルジニン A1
    他にスコルヂン A2 (→ スコルヂン B)、アリルメルカプタン(基)がある
アリルメルカプタンの除臭作用: 獣肉(鯨肉・オットセイ肉・鯖・鰯等)の臭気を酵素分解する
  1. R-CH(NH2)-CH2CH2CO-CH=CH-CH2S-sugar(配糖体) [スコルヂン]
    → R-CH-CH2CH2COOH + CH2=CHCH2SH + sugar
  2. 動物性ペプチド-CO-不飽和脂肪基(臭気のもと)
    酵素分解
    → ペプチド-COOH + 遊離不飽和脂肪酸
  3. ペプチド-COOH 離れている HCH=CHCH2SH
    → ペプチド-COOH=CHCH2SH 臭気元はアリルメルカプタン基と交換
遊離不飽和脂肪酸基は水蒸気導入で悪臭成分アリル基の一部と共に流出
残留水溶性成分濃縮: 調味料(スープ・カレー・即席ラーメン・ハム・ソーセージ等)利用
スコルゲンの解毒作用: スコルゲンの一部が生体内代謝により糖部位が加水分解されフラクチュロン酸とSH基末端のスコルジンになる。このSH基は特に酸化還元反応性に富み体内有毒物質と容易に結合し無毒化し排泄を促す。一方のフラクチュロン酸も解毒強肝作用がある(グリシンやグルクロン酸抱合と近似)。スコルジニントリペプチド部がグルタチオン(エネルギー生産・SH酵素・Fe2+酵素の不活性化・抱合解毒・抗アレルギー・抗脂肪肝に関与)に似ており同様の効果期待
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